活動報告

休プラ編集部

【開催報告】総合評価から読み解く休眠預金活用事業の現在地「第4回 総合評価報告会」

東京都

【開催報告】総合評価から読み解く休眠預金活用事業の現在地「第4回 総合評価報告会」

JANPIAは2026年7月29日、「第4回 総合評価報告会—総合評価から読み解く休眠預金活用事業の現在地―」をオンラインで開催しました。
本報告会では、2025年度に実施した第4回総合評価から見えた成果や課題、フォローアップ調査の結果から明らかになった実行団体の継続状況や継続に至った要因等を紹介。休眠預金活用事業によって生まれてきた変化や成果について共有しました。

JANPIAからの挨拶

報告会は、前日に発災した熊本地震の被災者と関係者へのお見舞いの言葉を述べた後、開会しました。

はじめに、JANPIA専務理事の大川昌晴より、本報告会のテーマが「総合評価から読み解く休眠預金活用事業の現在地」であることを紹介。2025年度に実施した総合評価の内容を報告するとともに、ここまでに見えてきた成果や課題を共有し、休眠預金活用事業で生まれた変化や成果を具体的に知っていただく機会であることを説明しました。
 動画〈YouTube〉|総合評価(第4回)報告会[外部リンク]

総合評価の目的やこれまでの変遷 

JANPIAの総合評価とは、休眠預金活用事業全体の進捗・成果を総合的に把握し、成果や課題を明らかにし、今後の改善につなげるための評価です。大川は、総合評価の意図について「成果や課題を分析して終わりではなく、よりよい事業や成果の拡大に向けて改善していくこと」と述べました。 

続いて、第1回(2022年度)、第2回(2023年度)、第3回(2024年度)の総合評価の内容について説明しました。 
資料〈PDF〉|これまでの総合評価について

2022年度・第1回の総合評価では、2019年の事業開始から3年経ったタイミングで、これまでの活動の成果について定量的な視点、定性的な視点を織り交ぜながら振り返りました。また、休眠預金活用事業において「自律的かつ持続的な仕組み」を形成し、社会課題解決を進めていくプロセスを「ロジックモデル」としてまとめました。

2023年度・第2回の総合評価では、個々の事業の実施によって得られた成果や取り組みの内容に対し、多角的な分析を行いました。その結果、社会課題解決に向き合う事業が多く創出されてきたこと、中間支援の担い手の変化・成長が加速したことが明らかになりました。 

2024年度・第3回の総合評価に際しては、JANPIAの職員全員で複数回のワークショップを行い、制度全体の戦略を図示した新たなロジックモデルを作成。「取り残された課題も新たに生まれた課題も解決され続ける社会へ」という目標の実現に必要な要素を整理しました。さらに、作成したロジックモデルに基づいた評価を行い、事業テーマごとに成果や課題の詳細を分析しました。

総合評価(第4回)の結果概要と見えてきたこと

続いて、JANPIA助成事業部リーダーの根尾智子より2025年度に行われた第4回総合評価の説明を行いました。
資料〈PDF〉|2025年度総合評価

第4回総合評価は、2部構成で取りまとめました。第1部では、2024年度に作成したJANPIAのロジックモデルに基づき、休眠預金活用事業の取組を評価。第2部では、「不登校に関する支援事業」と「ソーシャルビジネス形成支援事業」について横断的に検証し、成果や課題を明らかにしました。

JANPIAのロジックモデルでは、中間アウトカムを3つ設定しています。1つ目は、実行団体の取り組みが助成期間終了後も継続・発展していくこと。2つ目は、その活動を支える資金分配団体などの中間支援機能が強化されること。3つ目は、事業を通じて得られた知見が可視化され、広く活用されることです。 

2025年度の総合評価も、JANPIAロジックモデルを基に評価設問を設計。特に、資金分配団体による中間支援のあり方や、助成終了後の実行団体の実態、連携協働が果たした役割、休眠預金等活用制度の認知度などを重点的に調査しました。

根尾は「今回の総合評価では、成果を上げている資金分配団体に共通する特徴も見えてきた」と語りました。1つは、社会課題を俯瞰し、解決策の解像度を高く持ったうえで事業を設計している点。もう1つは、実行団体を、「イコールパートナー」と位置付け、対等な立場で伴走しながら事業を進めている点です。

事例として紹介した、公益財団法人ちくご川コミュニティ財団(資金分配団体)による「誰ひとり取り残さない居場所づくり事業」では、自治体へのアンケート調査や継続的な対話を通じて、不登校の課題を可視化しました。同時に、地域の共感の輪を広げるための取り組みとして、住民や企業、行政などが参加する「地域円卓会議」やオープンチャットで多様な関係者を巻き込んだり、西日本新聞に連載記事を掲載して課題を周知したりした結果、フリースクール利用の補助制度や基金なども生まれています。 

次に、公益財団法人パブリックリソース財団と子どもシェルター全国ネットワーク会議がコンソーシアムを組んで実施した「子どもシェルター新設事業」の事例を紹介。こちらは、先行事例やノウハウの共有に加え、実務面や相談・助言面での伴走支援が実行団体から高く評価されていることを共有しました。

さらに、助成期間終了後の実行団体の状況を把握するための「フォローアップ調査」の結果を紹介。実行団体が最も効果を感じていた非資金的支援は、「事業実施」、「社会的インパクト評価」、「組織運営」に関する支援だということが明らかになりました。一方で、今後求められる支援としては「ファンドレイジング」「経理・会計支援」などの要望が多いことがわかりました。

一方で、根尾は「今回の総合評価からは課題も見えてきた」と語ります。新たに資金分配団体となった団体のうち、単独申請で採択されたのは約4分の1にとどまり、多くは既存団体とのコンソーシアムや過去の実績を持つ団体でした。休眠預金活用事業において、新たな団体が採択されるハードルが高い実態が浮かび上がっています。

資金分配団体の所在地と事業実施地域の偏りも課題です。東京都をはじめとする一部地域に集中しており、総合評価を実施した時点では、通常枠の資金分配団体がない県が19県ありました。地域間格差の解消に向けた取り組みが求められています。

また、事後評価報告書などを通じて蓄積されている多くの知見が、制度全体で十分活用しきれていないという課題もあります。今後は、実践から得られた学びを広く共有し、次の事業の改善や発展につなげる仕組みづくりが必要です。

第2部では、「不登校に関する支援事業」と「ソーシャルビジネス形成支援事業」の2つの分野における横断分析によって、事業分野ごとの共通点が見えてきました。不登校に関する支援では、学校や行政、地域住民の巻き込みが制度化や地域的な波及を左右するものの、こうした取り組みは実行団体単独では難しい傾向が見えてきました。資金分配団体が伴走して複数団体をつなぎ、関係構築の役割を担うのが重要であることがわかりました。

ソーシャルビジネス形成支援では、「事業性」には3つの段階があること、どのフェーズから事業を始めるかによって、事業性の到達度や求められる伴走支援の内容に差があることが明らかになりました。事業開始時点のフェーズに応じて、それぞれ異なる支援や目指す成果設定が必要になることが示唆されています。

根尾は、今回の総合評価から得られた知見として「資金分配団体の戦略性と伴走する姿勢の重要性」「連携を通じ実行団体の発展と基盤強化の進展」「資金分配団体の担い手拡大に向けた制度的工夫の必要性」「知見を循環させる仕組みづくりの必要性」の4点を重要な示唆として挙げ、これらを今後のJANPIAの事業改善につなげていく必要があるとしました。

フォローアップ調査からみる事業の継続状況とその要因

続いて、JANPIA助成事業部の見上敦子が2025年度フォローアップ調査の結果を報告しました。本調査は、休眠預金活用事業の助成終了後の実行団体の活動状況や持続可能な組織基盤の実態を調べるために、2024年度から始まった調査です。

2回目となる今回は、実態調査に加え、資金分配団体による伴走支援が活動の継続・発展にどう関係しているかにも着目して分析を行いました。今回は2019~2021年度に助成を終了した実行団体を対象に実施しました。
資料〈PDF〉|総合評価報告会資料

同調査では、助成終了後も「活動が拡大・発展している」と回答した団体が44%、「助成当時と同程度の規模で活動を継続している」と回答した団体が29%という結果に。また、休眠預金事業の中で整備した規程類に関する質問では「改訂して運用している」「整備した当時のまま運用している」という回答が大半を占め、制度に合わせて整備した規程類が、現在も組織運営の基盤として継続的に活用されている様子がうかがえました。

活動を拡大・維持している団体の多くは財政規模や人員体制も拡大している傾向にありましたが、一部には、財政規模が縮小している中で活動を拡大・維持している団体もありました。見上は「今後実施する調査では、そうした団体を支える要因や、助成終了後に見られる地域や分野の変化についても把握に努めたい」と語りました。

財源面では、活動が発展している団体ほど資金源が多様である傾向が確認されました。自主財源が増えたとの回答も多かったものの、収入全体に占める割合は依然として限定的です。見上は「今後の調査では、自主事業だけでなく受託事業や他団体との協働事業も含めた資金基盤のあり方を把握し、課題解決の持続の参考にしたい」と述べました。

また、地域や企業などとの連携の状況を見ると、活動が拡大している団体では、資金獲得につながるネットワークだけでなく、知見や社会資源、支援の質の向上につながる連携が増加していることがわかりました。こうした「社会関係資本」の蓄積も、活動の継続・発展を支える重要な要素と推察されます。 

助成期間中の有益だった非資金的支援については、事業のマネジメント支援、評価に関する支援、組織運営支援が特に有効だったとの回答が多数見られました。活動が拡大・発展した団体では、広報・ファンドレイジング支援やネットワーク形成支援に高い評価が集まっています。

 

自由記述では「事業の目的の設定から会議運営まで伴走してもらえた」「新たな視点を示してもらえた」といった声が寄せられました。専門家の紹介やファンドレイジングに関する学び、実行団体同士や行政・企業とのネットワーク形成が活動の広がりにつながったという回答もありました。 

見上は、資金面の支援だけでなく、対話を重ねながら伴走する非資金的支援が、助成期間中の実行団体の事業実施や、その後の活動の継続・発展を支える重要な役割を担っている可能性について言及し、今後も調査を通じて知見を蓄積し、JANPIAが提供する伴走支援や制度運営の改善につなげていきたいと語りました。

総合評価(第5回)に向けて

最後に、第5回総合評価に向けて現在検討されている内容について、JANPIAの根尾から以下の2点が提示されました。

 

1つ目は、23年度に実施された5年ごとの制度の見直しによって新たに導入された「活動支援団体」と「出資事業」について、現時点でどのような成果の兆しが見えているか、どのような課題が生まれているかを調査し、次の制度の見直しの論点となりそうな題材をしっかりと検証することです。

 

2つ目は、資金分配団体や実行団体の声を総合評価の検証に反映させていく点です。特に、資金分配団体へのヒアリングを通して、助成事業の設計・運営の中核を担うプログラムオフィサー(PO)が効果的に活動をすすめていくためにどのような工夫がされているかについて、実態の把握に注力したいと話しました。

 

【まとめ】伴走支援などの非資金的支援が活動を支えるカギ

今回の報告会では、活動の継続・発展における非資金的支援の重要性が強調される場面が多く見られました。総合評価やフォローアップ調査の振り返りを通じて、資金分配団体による戦略的な伴走支援、多様な団体との連携、現場で得られた知見の共有などが果たす役割について、参加者に紹介しました。

 

一方で、資金分配団体の担い手不足や地域間の格差、学びを制度全体へ還元する仕組みづくりなど、今後取り組むべき課題も明らかになりました。JANPIAは、今回得られた知見を制度の見直しや事業改善へと生かし、社会課題の解決を支える仕組みをさらに発展させていきます。

休プラ編集部

KNOWLEDGE

ナレッジ

もっと見る

社会的インパクト評価 社会的インパクト評価 通常枠(ソーシャルビジネス形成支援事業) 通常枠(ソーシャルビジネス形成支援事業) 2021 2021 資金分配団体 資金分配団体 実行団体 実行団体

【事後評価】空き家・古民家を活用した母子家庭向けハウス設立事業

  • #子ども
  • #ひとり親
  • #女性
  • #就労支援
  • #食
  • #つながりづくり
  • #住まい・シェルター
  • #空き家活用
  • #多機関連携
  • #行政連携
社会的インパクト評価 社会的インパクト評価 通常枠(災害支援事業) 通常枠(災害支援事業) 2021 2021 資金分配団体 資金分配団体 実行団体 実行団体

災害時食支援ラストワンマイルへの到達事業

  • #生活困窮者
  • #地域住民・一般市民
  • #食
  • #防災減災
  • #プロボノ・ボランティア
  • #企業連携
  • #多機関連携
  • #行政連携
  • #中間支援組織組成・強化
社会的インパクト評価 社会的インパクト評価 通常枠(災害支援事業) 通常枠(災害支援事業) 2021 2021 資金分配団体 資金分配団体 実行団体 実行団体

発災から復興期を見据えた食料支援体制構築

  • #生活困窮者
  • #地域住民・一般市民
  • #食
  • #災害対応
  • #プロボノ・ボランティア
  • #企業連携
  • #多機関連携
  • #行政連携
  • #中間支援組織組成・強化

もっと見る