【後編】「休眠預金活用事業ギャザリング2025」リポート|JANPIA|インターン生 活動日誌|
JANPIAで活動しているインターン生の「活動日誌」を発信します。
今回はJANPIAで年1回実施している、資金分配団体・活動支援団体向けイベント「休眠預金活用ギャザリング2025」について、前後半の2回に分けてリポートします。今回は後半です。
(【前編】「休眠預金活用事業ギャザリング2025」リポート|インターン生 活動日誌)
JANPIAにて長期インターンをしている慶應義塾大学4年の酒井と申します。
11月27日に掲載になった記事前半では、ギャザリングイベントで開催されたセッション『ソーシャルビジネスにおける社会性×事業性のバランスについて考える』についてリポートしました。
今回は、テーマ別セッション『企業連携の促進に向けた資金分配団体の役割』についてリポートします。
こちらのセッションでは、JANPIAから出資や助成を受ける団体である「資金分配団体」が、実際に公益活動を行う「実行団体」を伴走するにあたって、どのようにすれば実行団体と民間企業の連携を促進できるかについて情報共有が行われました。
参加された登壇者は資金分配団体として活動されている瀧田真理さん(特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォーム)、前村静香さん(元一般財団法人大阪府人権協会、現一般社団法人ヒューマンワークアソシエーション)、宮前綾子さん(一般財団法人大阪府人権協会)です。
大阪府人権協会、ジャパン・プラットフォームの方々による事例発表があったのち、企業連携担当者同士のトークセッションやグループディスカッションが開催されました!
1.事例発表での話題
1ー1 大阪府人権協会
大阪府人権協会は、2020年度の通常枠草の根活動支援事業ー資金分配団体として採択実績があります。支援をしていた実行団体10団体のうち4団体にて企業連携の取り組みを行いました。
毎月の各実行団体との月次面談を進める過程で資金分配団体として各実行団体の事業遂行上の課題や出口戦略を検討する中で、企業連携が望ましい実行団体を見出し、JANPIAから提案された企業と連携するにあたって、実行団体と企業の間に立ち、両者間の調整を図ったり、スケジューリングなどを支援したとのことです。また、企業連携が必要と思われる実行団体については、たとえ実行団体側が受け入れ体制の問題で難易度が高いと感じていても、資金分配団体として支援することで連携体制を取るようにしていたとのことでした。
資金分配団体として気を付けたこととしては、企業連携が企業・実行団体・資金分配団体の三方にとって実りあるものになっているかどうかを常に考えていたことを挙げていました。

1ー2 ジャパン・プラットフォーム
ジャパン・プラットフォームは、2019年度以降、通常枠・緊急枠合わせて10事業で資金分配団体として採択実績があります。当日は8つの企業連携事例の紹介がなされました。
企業連携を実現するためのコツとしては、まずPOとして、実行団体のニーズを把握することを挙げていました。また、企業から連携の提案がある場合もあるようで、その際には企業と団体の意見交換の場を提供しています。さらに、双方の立場や言葉の違いを調整し、間に立って「翻訳」する役割が求められているとのことでした。
また、連携できた企業や関心を持っていただいた企業には、定期的に企業訪問し、事業報告を行ったりしているとのことでした。

2.担当PO同士のトークセッション
JANPIA職員と、事例発表に参加した2団体のPOとのトークセッションが開かれました。
いくつかの問いがあったので、その問いの一部を掲載します。
2-1 企業連携を行う上で意識していたことは?
ジャパン・プラットフォームの事例としては、自分たちと連携を推進することで、企業にとってどのようなメリットをもたらされるのか、そして裨益者にどのような支援が提供されるのかを言語化することを意識していたそうです。
また企業に自分たちの活動を正しく理解してもらうことを意識し、資金分配団体を挟まずとも実行団体宛に企業連携の話が来ることも歓迎していたとのことでした。
2-2 企業側から提案があったとき、資金分配団体として困ったことは?
大阪府人権協会から、実行団体と企業のどの組み合わせが適切かの判断に迷う場面があったとの意見がありました。
その場合はJANPIAと協議して、企業のニーズと実行団体のニーズがどの程度マッチングするかを検討し、連携する団体を選定したとのことです。
2-3 連携で苦労したことはあるか?
大阪府人権協会の企業連携では、企業との連携によって実行団体のDXを推進するというプロジェクトについてお話しされていました。
当初、実行団体はDXを受け入れる余力が少なく、DXに後ろ向きだった中で伴走支援が始まりました。しかし、企業と団体で「いいものを作ろう」とする相乗効果が生まれ、半年間の伴走の結果、すべてのスケジュール管理ができるようになり、それに伴う事務的な業務時間が大幅に削減されました。そのことにより、ワークの組み立てなど子どもの支援内容をより充実させるために時間を割くことができ、実行団体の活動の質向上につながったとのことでした。
また、ジャパン・プラットフォームの企業連携では、鹿児島でホテル観光事業を行っている企業との特徴的な連携についてお話がありました。
以前九州にて行われたマッチング会(JANPIAが主催する、実行団体と企業のマッチングを推進するネットワーキングイベント)をきっかけに、JANPIA経由で企業から声掛けがあり、連携が実現したとのことです。
はじめは、企業側でなにか防災支援の取り組みができないかという提案でしたが、ホテルの従業員向け防災セミナーの講師として招聘されるという新しい協力の体制が構築されたとのお話でした。
2-4 伴走支援における信頼関係の築き方について
大阪府人権協会では、企業連携についてともに悩みを共有することを通じて実行団体との距離が近づいたとのお話がありました。連携を促進する段階でも寄り添っているつもりではあったものの、一緒に悩む時間を持つことでさらに信頼関係が深まったという意見がありました。実行団体と資金分配団体が同じ目線で企業を捉えることで、団体同士の絆が深まったとのことでした。

3. まとめ
資金分配団体が時間をかけて実行団体と同じ目線で伴走を行うことで、企業との連携促進に向けて新しい取り組みが生まれるという意見がありました。特に、休眠預金活用事業が終わった団体でも足りなかった点や課題を深く掘り下げること、さらに夢や希望も共有することの重要性についてお話がありました。
4.今回の学び
企業連携についてのセッションの冒頭で、JANPIAは経団連が設立した団体であり、企業と団体の連携を積極的に進めていることが紹介され、記憶に残りました。さらに、実行団体からの提案だけでなく、企業からの連携の提案もあるということを初めて知り、社会課題への注目度の高さを改めて感じました。
また、今回のセッションでは、グループに分かれてのディスカッションも行われましたが、その中で海外との連携についても言及されていたことも印象に残りました。事例発表は国内企業との連携でしたが、社会課題解決のために海外という視点を持つことが有効であると知り、視野が広がりました。その一方で、海外企業との連携は政局の変化によって継続が難しくなる可能性についても議論され、ハードルの高さも感じる内容でした。

最後に
長期インターン2か月目の私にとっては資金分配団体のPOの皆さんに直接会うことができる初めてのイベントであり、普段オフィスにいるだけでは予想のつかない熱量に圧倒されました。
朝から満員のオープニングセッションで始まったギャザリングイベントでしたが、最後のプログラムであるクロージングセッションまで一貫して参加者の方々が積極的に意見を交換されていました。
また、休眠預金を使った事業だからこそ実現できることを考え抜いて話す登壇者や参加者の方の姿が印象的でした。それぞれの団体を代表して将来ビジョンを交換する方々を目の当たりにした、刺激の多い一日となりました。
■事業基礎情報
| 資金分配団体 | 一般財団法人 大阪府人権協会 |
| 事業名 | 差別や排除のない人権尊重の社会づくり事業 |
| 活動対象地域 | 大阪府 |
| 実行団体 | ・特定非営利活動法人 ふーどばんくOSAKA ・特定非営利活動法人 ウィークタイ ・公益財団法人 大阪人権博物館 ・茨木市人権三島地域協議会 ・特定非営利活動法人 ほしぞら&ふれあいハウス鳴滝 ・部落解放同盟大阪府連合会平野支部 ・特定非営利活動法人 キャップセンター・ジャパン(CAPセンター・JAPAN) ・特定非営利活動法人 えんぱわめんと堺 ・特定非営利活動法人 国際ビフレンダーズ大阪自殺防止センター ・一般財団法人 堺市人権協会 |
| 採択助成事業 | 2020年度通常枠 |
■事業基礎情報
| 資金分配団体 | 特定非営利活動法人 ジャパン・プラットフォーム |
| 事業名 | 発災時の被災者の食を支える災害対応準備事業 |
| 活動対象地域 | 中部、近畿地方を中心に、過去5年間大規模な災害に遭った地域 |
| 実行団体 | ・特定非営利活動法人 全国こども食堂支援センター・むすびえ ・特定非営利活動法人 POPOLO ・特定非営利活動法人 セカンドハーベスト・ジャパン |
| 採択助成事業 | 2024年度通常枠 |
■事業基礎情報
| 資金分配団体 | 特定非営利活動法人 ジャパン・プラットフォーム |
| 事業名 | 支援から取り残される被災者への支援体制強化 |
| 活動対象地域 | 全国(過去3年間で災害救助法が適応された地域中心) |
| 実行団体 | ・特定非営利活動法人 ワンファミリー仙台 ・特定非営利活動法人 ながのこどもの城いきいきプロジェクト ・特定非営利活動法人 SEEDS Asia ・地球市民の会 |
| 採択助成事業 | 2023年度通常枠(第2回採択) |
■事業基礎情報
| 資金分配団体 | 特定非営利活動法人 ジャパン・プラットフォーム |
| 事業名 | 災害に対応できる民間支援団体の増加と基盤強化事業 |
| 活動対象地域 | 全国 |
| 実行団体 | ・さいわい ・一般社団法人 能登町定住促進協議会 ・特定非営利活動法人 日本レスキュー協会 ・新潟県フードバンク推進協議会 ・ひのくにスマイルプロジェクト ・特定非営利活動法人 パルシック ・特定非営利活動法人 tasukeai haiki 0 ・特定非営利活動法人 Vネット |
| 採択助成事業 | 2023年度活動支援 |
■事業基礎情報
| 資金分配団体 | 特定非営利活動法人 ジャパン・プラットフォーム |
| 事業名 | 災害時食支援ラストワンマイルへの到達事業 |
| 活動対象地域 | 令和6年能登半島地震被災地、令和6年奥能登豪雨被災地 |
| 実行団体 | ・全国フードバンク推進協議会 ・特定非営利活動法人 セカンドハーベスト・ジャパン |
| 採択助成事業 | 2021年度通常枠 |
■事業基礎情報
| 資金分配団体 | 特定非営利活動法人 ジャパン・プラットフォーム |
| 事業名 | 発災から復興期を見据えた食料支援体制構築 |
| 活動対象地域 | 全国 |
| 実行団体 | ・特定非営利活動法人 セカンドハーベスト・ジャパン ・特定非営利活動法人 フードバンクかごしま ・全国フードバンク推進協議会 |
| 採択助成事業 | 2021年度通常枠 |
■事業基礎情報
| 資金分配団体 | 特定非営利活動法人 ジャパン・プラットフォーム |
| 事業名 | 発災から復興期を見据えた食料支援体制構築 |
| 活動対象地域 | 全国 |
| 実行団体 | ・特定非営利活動法人 セカンドハーベスト・ジャパン ・特定非営利活動法人 フードバンクかごしま ・全国フードバンク推進協議会 |
| 採択助成事業 | 2021年度通常枠 |
■事業基礎情報
| 資金分配団体 | 特定非営利活動法人 ジャパン・プラットフォーム(コンソーシアム構成団体) |
| 事業名 | 在留外国人への緊急支援と持続的な体制構築ー民間団体による活動広報、資金調達環境整備 |
| 活動対象地域 | 全国 |
| 実行団体 | ・特定非営利活動法人 北関東医療相談会 ・公益社団法人 シャンティ国際ボランティア会 ・特定非営利活動法人 日越ともいき支援会 ・特定非営利活動法人 場とつながりの研究センター ・POSSE ・学校法人 ムンド・デ・アレグリア学校 ・JP-MIRAIサービス ・特定非営利活動法人 移住者と連帯する全国ネットワーク ・青少年自立援助センター |
| 採択助成事業 | 2021年度緊急枠 |
■事業基礎情報
| 資金分配団体 | 特定非営利活動法人 ジャパン・プラットフォーム |
| 事業名 | 感染症下の災害で脆弱層支援を実現する活動 |
| 活動対象地域 | 全国 |
| 実行団体 | ・特定非営利活動法人 ワンファミリー仙台 ・一般社団法人 ピースボート災害支援センター (PBV) |
| 採択助成事業 | 2020年度通常枠 |
■事業基礎情報
| 資金分配団体 | 特定非営利活動法人 ジャパン・プラットフォーム |
| 事業名 | コロナ・災害常態の中の新しい災害対応準備 |
| 活動対象地域 | 全国 |
| 実行団体 | ・特定非営利活動法人 岡山NPOセンター ・一般社団法人 ピースボート災害支援センター (PBV) ・特定非営利活動法人 ワンファミリー仙台 |
| 採択助成事業 | 2020年度通常枠 |
■事業基礎情報
| 資金分配団体 | 特定非営利活動法人 ジャパン・プラットフォーム |
| 事業名 | 経済的困窮層の食と生活支援のアクセス確保 |
| 活動対象地域 | 東北、九州・沖縄 |
| 実行団体 | ・特定非営利活動法人 セカンドハーベスト・ジャパン ・特定非営利活動法人 ワンファミリー仙台 ・特定非営利活動法人 フードバンク岩手 |
| 採択助成事業 | 2020年度緊急枠 |
■事業基礎情報
| 資金分配団体 | 特定非営利活動法人 ジャパン・プラットフォーム |
| 事業名 | 支援が届かない在留外国人等への人道的支援 |
| 活動対象地域 | 全国 |
| 実行団体 | ・特定非営利活動法人 北関東医療相談会 ・公益社団法人 シャンティ国際ボランティア会 ・特定非営利活動法人 青少年自立援助センター ・特定非営利活動法人 移住者と連帯する全国ネットワーク ・特定非営利活動法人 日越ともいき支援会 ・社会福祉法人 日本国際社会事業団 ・一般社団法人 反貧困ネットワーク ・公益社団法人 北海道国際交流・協力総合センター |
| 採択助成事業 | 2020年度緊急枠 |
■事業基礎情報
| 資金分配団体 | 特定非営利活動法人 ジャパン・プラットフォーム |
| 事業名 | 質の高い継続的な被災地支援(台風15・19号被災地支援プログラム対応含) |
| 活動対象地域 | 全国 |
| 実行団体 | ・特定非営利活動法人 SEEDS Asia ・公益財団法人 共生地域創造財団 ・特定非営利活動法人 ながのこどもの城いきいきプロジェクト ・一般社団法人 日本インターナショナル・サポート・プログラム |
| 採択助成事業 | 2019年度通常枠 |