JANPIA主催「休眠預金を活用した災害支援事業への取り組み」開催報告
石川県
休眠預金を活用した災害支援と復興の取り組みをテーマに、JANPIA主催のイベントが開催されました。能登半島地震をはじめとする事例を通じて、資金分配団体や実行団体の現場報告が行われ、さらに復興に向けた制度の可能性について多様な立場から議論が交わされました。迅速な初動支援から地域らしさの保持、人材育成や外部連携まで、休眠預金が果たす役割と今後の展望を確認する場となりました。
01.開会挨拶
主催者である一般財団法人日本民間公益活動連携機構(JANPIA)より、参加者への歓迎の言葉が述べられました。休眠預金活用制度の意義と成果を振り返りつつ、今後の展望を共有する場であることが強調されました。

02.休眠預金を活用した災害支援事業の概況
制度創設以来、全国各地の災害現場で休眠預金が活用されてきたことが紹介されました。
豪雨や地震などの被災地で、資金分配団体や実行団体による多様な支援が展開されていることが報告されました。

03.トークセッション1「資金分配団体・実行団体からの事例共有」
本セッションでは、休眠預金を活用して災害支援に取り組む資金分配団体および実行団体の代表者から、能登半島地震をはじめとする災害対応の事例が紹介されました。
コメンテーターは大阪公立大学准教授の菅野拓氏が務め、現場の経験や課題を共有しながら、制度の意義と可能性を議論しました。
登壇者:
– ジャパン・プラットフォーム 地域事業部 部長 藤原 航 氏
– 居住支援全国ネットワーク 理事 立岡 学 氏
– エティック シニアコーディネーター 瀬沼 希望 氏
– ななお・なかのと就労支援センター センター長 木谷 昌平 氏
コメンテーター:大阪公立大学 准教授 菅野 拓 氏
ファシリテーター:JANPIA助成事業部 見上

<発表概要>
・ジャパン・プラットフォーム 藤原 航 氏
国内外で緊急人道支援を行う団体として、能登半島地震や豪雨災害での活動を報告。
民間寄付と休眠預金を組み合わせ、食料支援や避難所支援、医療支援などを迅速に展開。「休眠預金があったからこそ初動から切れ目のない支援が可能になった」と強調しました。
・居住支援全国ネットワーク 立岡 学 氏
災害時に住まいを失った人々への支援を中心に活動。高齢者など申請が難しい被災者に寄り添い、専門職やNPOと連携して支援体制を構築。「分配団体は調整役。弱い立場の人を包摂する支援が重要」と述べました。
・エティック 瀬沼 希望 氏
人材育成や地域づくりを専門とする団体として、被災地の事業者再建や人材派遣を実施。休眠預金の活用により活動が加速し、都市部企業と被災地団体をつなぐ役割も果たしました。
・ななお・なかのと就労支援センター 木谷 昌平 氏
地元で障害者やひきこもり・不登校の若者支援を展開。震災後は相談窓口や物資支援、社会福祉協議会との連携を強化し、福祉避難所の新設にも取り組みました。
<コメンテーターコメント>
菅野氏は「支援者自身も被災者である」という視点の重要性を指摘し、災害支援の持続性と地域連携の必要性を強調しました。
<ディスカッションの要点>
セッション後半では、各団体の事例報告を受けて、休眠預金の活用が災害支援にどのような意味を持つのかについて議論が交わされました。議論の中心は「迅速な初動」「弱者への包摂」「人材育成」「地域福祉の強化」といった観点でした。
まず、休眠預金があることで発災直後から切れ目のない支援が可能になり、寄付金の到着を待たずに迅速な活動を展開できる点が強調されました。また、高齢者や申請が難しい被災者を取り残さないために、専門職やNPOが伴走しながら支援体制を整える必要性が指摘されました。さらに、災害支援を通じて地域の人材を育成し、将来的な担い手を増やすことが重要であると共有されました。加えて、福祉避難所の整備や障害者・ひきこもり支援など、地域福祉の強化につながる取り組みが紹介され、休眠預金が社会的包摂を促進する役割を果たしていることが確認されました。
コメンテーターの菅野氏は「支援者自身も被災者である」という視点を提示し、支援の持続性を確保するためには地域連携と人材の支え合いが不可欠であるとまとめました。
04.トークセッション2「復興に向けて休眠預金活用の可能性」
本セッションでは、能登半島地震からの復興をテーマに、休眠預金をどのように活用できるかについて議論が交わされました。
地域財団や官民連携の拠点、行政担当者など多様な立場の登壇者が、それぞれの視点から復興の担い手不足や地域らしさの保持、外部人材やデジタル技術の活用などについて意見を述べました。ファシリテーターは大阪公立大学准教授の菅野拓氏が務めました。
登壇者:
– ほくりくみらい基金 代表理事 永井 三岐子 氏
– 里山里海未来財団 専務理事 森山 奈美 氏
– 能登官民連携復興センター 事業推進チームマネージャー 中橋 竜慶 氏
– 石川県 復旧・復興推進部 創造的復興推進課 現地対策室 課長補佐 杉本 拓哉 氏
– ファシリテーター:大阪公立大学 准教授 菅野 拓 氏

<発表概要>
・永井 三岐子 氏(ほくりくみらい基金)
設立直後に震災が発生し、緊急支援を独自助成で展開しました。これまで約200団体に助成を実施しました。外国人材や女性主体の団体支援を課題とし、担い手育成を進めています。休眠預金の公募にあたっては事前研修を設け、申請のハードルを下げる工夫を行っています。
・森山 奈美 氏(里山里海未来財団)
2007年の能登半島地震を契機に中間支援へ舵を切り、担い手不足に対応してきました。今回の震災では「能登復興ネットワーク」を立ち上げ、情報共有と受け皿整備を推進しました。「能登らしさを守りながら制度を活用する必要性」を強調し、人間と自然、都市と田舎の共存を能登からモデル化したいと語りました。
・杉本 拓哉 氏(石川県/能登官民連携復興センター)
外部人材の関与が不可欠であると指摘しました。休眠預金活用事業でも外部人材を巻き込み、地域に根付かせることが重要であると述べました。さらに、生成AIなどデジタル技術の活用を提案し、効率的な事務作業や知識共有の可能性を示しました。
・中橋 竜慶 氏(能登官民連携復興センター)
地震後に立ち上がった多くの支援者や県外からの協力者への感謝を述べ、「能登のためにありがとうございます」とシンプルにメッセージを送りました。地域の仲間への敬意を表しました。
<ディスカッションの要点>
後半のディスカッションでは、能登半島地震からの復興に向けて休眠預金をどのように活用するかについて、登壇者それぞれの視点から意見が交わされました。議論の中心となったのは「人材」と「地域らしさ」です。能登で起業すること自体が公益的な取り組みであり、地域の未来をつなぐ営みであるという認識が共有されました。また、外部人材を積極的に巻き込み、地域に根付かせることが復興の鍵であると強調されました。さらに、制度を活用する際には能登らしさを失わないようにする視点が不可欠であること、そして資金の流れは成果ではなく社会的変化を基準に動く時代に入っていることが指摘されました。これらの議論を通じて、休眠預金を単なる資金供給にとどめず、地域の未来を形づくる仕組みとして発展させていく方向性が示されました。
本イベントを通じて、休眠預金が災害支援や復興に果たす役割が改めて確認されました。 今後の復興に向けた重要なキーワードとして、「迅速な初動支援」「弱者への包摂」「人材育成と地域循環」「外部人材・デジタル技術の活用」「地域らしさを守る視点」浮かび上がりました。参加者にとって、制度の成果と課題を理解し、次のステップを考える貴重な機会となりました。
