活動報告

休プラ編集部

【開催報告】制度の現在地から未来をともに描く「休眠預金活用事業シンポジウム2025」 

東京都

【開催報告】制度の現在地から未来をともに描く「休眠預金活用事業シンポジウム2025」 

JANPIAは2025年11月25日、「休眠預金活用事業シンポジウム2025 -制度の現在地から未来をともに描く-」を東京・日比谷にて開催しました。本シンポジウムでは、休眠預金活用事業の“現在地”の共有に加え、活動支援団体・中間支援組織やソーシャルビジネスの専門家らが登壇し、制度を育み活かしていくための視点やヒントを議論。会場とオンラインのハイブリッド形式で、多様な参加者とともに制度の未来を考える場となりました。 

プログラム

13:00~JANPIA 開会の挨拶
13:05~休眠預金活用事業の現在地について 
13:20~トークセッション Part1「活動支援団体の今とこれから−担い手を支え、育む精度の可能性−」 
13:50~トークセッション Part2「資金循環の新たな可能性−ソーシャルビジネス形成支援から出資事業への展開−」 
14:30閉会

制度をよりよく生かすヒントに・開会挨拶 

(JANPIA 理事長・二宮 雅也)
















はじめにJANPIA理事長の二宮雅也が開会の挨拶を行いました。まず、今回のシンポジウムの目的を、「2019年の事業開始から7事業年度目を迎えた休眠預金活用事業の現在地を見つめ、休眠預金活用法の5年後見直しで生まれた制度である『活動支援団体』と『出資事業』を今後どのように育てていくか、参加者とともに考えていくためのもの」と紹介。

さらに、トークセッションで多様な実践者・専門家とともに、制度の現在地から未来に向けたヒントを探り、次の一歩を描いていきたいとして、シンポジウムへの期待を語りました。

 動画〈YouTube〉|JANPIA 開会の挨拶 [外部リンク]

休眠預金活用事業の現在地について

(JANPIA 事務局長・大川 昌晴)

続いて、「休眠預金活用事業の現在地について」と題し、JANPIA事務局長の大川昌晴が登壇。

2024年度の総合評価をもとに、事業開始から今日までを振り返り、見えてきた課題や成果について語りました。課題としては、「助成終了後の財源確保」や「財源の種類を増やしていく必要性」などを挙げるとともに、中核となる資金分配団体が存在しない地域には実行団体の数も少ない傾向があるなど「地域による事業数の差」があるため、今後も担い手の発掘・育成が必要としました。

一方で、助成終了後の実行団体の半数以上が規模拡大や同程度で継続できていることなど、休眠預金等活用制度が着実に現場の活動の支えになっていることも報告しました。

さらに、JANPIAが作成した、休眠預金活用事業の事業概念図を紹介。「資金分配団体や実行団体の皆様と共に社会課題解決され続ける社会を目指して行きたい」と伝えました。

最後に、休眠預金活用法の5年後見直しを経て、新たに生まれた「活動支援団体」と「出資事業」について、その背景と現在の状況についても触れ、トークセッションへとつなげました。

 動画〈YouTube〉|休眠預金活用事業の現在地について [外部リンク]

トークセッションPart1 「活動支援団体の今とこれから-担い手を支え、育む制度の可能性-」

「活動支援団体の今とこれから-担い手を支え、育む制度の可能性-」と題したトークセッションでは、実際に活動支援団体として活動している、認定特定非営利活動法人全国こども食堂支援センター・むすびえプロジェクトリーダーの中谷純氏、合同会社コドソシ代表の田口由紀絵氏に加え、長年NPO支援に携わってきた、認定特定非営利活動法人日本NPOセンター事務局長の吉田建治氏が登壇。ファシリテーターを務めるJANPIAの大川が、活動支援団体成立の経緯や概要を語ったあと、中谷氏、田口氏、吉田氏がそれぞれの団体の活動について紹介しました。

中谷氏は、こども食堂の支援をする地域ネットワーク団体を対象に役割・強化を図る事業について解説。田口氏は、休眠預金はじめとした外部資金を活用して社会課題解決に取り組む担い手を増やす、「信州社会課題解決の担い手ステップアップ事業」について紹介しました。これらの団体の活動を受けて、吉田氏はソーシャルセクターにおける担い手育成に関わった立場からコメント。「組織のあり方は多様で、団体によってリソースや目指す方向、あり方も違う。

個々の団体のありたい姿に向けてどう寄り添うかがポイントになる」として、両団体がそれぞれのやり方で対応していることを評価しました。

また、各登壇者からは、今後に向けてそれぞれの立場から具体的な改善のアイディアが共有されました。

(左から認定特定非営利活動法人 全国こども食堂支援センター・むすびえ プロジェクトリーダー・中谷 純 氏、合同会社 コドソシ 代表・田口 由紀絵 氏、認定特定非営利活動法人 日本NPOセンター 事務局長・吉田 建治 氏)

 動画〈YouTube〉|トークセッション Part1「活動支援団体の今とこれから−担い手を支え、育む精度の可能性−」[外部リンク]

トークセッションPart2 「資金循環の新たな可能性-ソーシャルビジネス形成支援から出資事業への展開-」

「資金循環の新たな可能性-ソーシャルビジネス形成支援から出資事業への展開-」と題したトークセッションでは、ソーシャルビジネスについて知見のある、千葉商科大学人間社会学部教授の齊藤 紀子 氏とグロービス経営大学院でソーシャル・ベンチャー・マネジメント等の教員を務める髙原 康次 氏が登壇し、出資事業についてディスカッションしました。まずは、ファシリテーターを務めるJANPIA 出資事業部長の小崎 亜依子が、出資事業の概要を説明。「インパクト投資」と呼ばれる出資事業の領域で、”社会課題の解決を第一に据える”というインパクトファーストの方針のもと、これまで十分に資金が行き届かなかった領域へ積極的に投資を促していきたいと考えを語りました。

トークセッションでは、まず「社会課題解決を考えるうえでの投資の役割は何か?」という質問に対して、齊藤氏は、「ソーシャルイノベーション(社会的課題の解決に取り組むビジネスを通して新しい社会的価値を創出し、経済的・社会的成果をもたらす革新)には創出段階と普及段階があります。たとえば小さく始めたソーシャルビジネスが成長し、より多くの受益者に資するよう事業拡大しようとするとき、投資が課題解決を促進します」と指摘。

一方、高原氏は自身がアドバイザーとして関わった団体の取り組みとして「東日本大震災の直後は、現場のがれきの片づけなどが急務でした。地元の人の声から雇用を生み出す必要があることがわかり、津波で壊滅した宮城県山元町のイチゴ栽培や新規就農支援などソーシャルビジネスが展開されました。

政府からの資金や株式などで得た資金を活用することで、被災地に希望をつくることができました」と、出資によって雇用を生む事例が紹介されました。

最後に、出資事業と助成事業の両方を組み合わせ社会課題解決事業を進めていくヒントを各登壇者から意見が述べられました。

(左から、千葉商科大学人間社会学部 教授・齊藤 紀子 氏、グロービス経営大学院 教員・髙原 康次 氏)

 動画〈YouTube〉|トークセッション Part2「資金循環の新たな可能性−ソーシャルビジネス形成支援から出資事業への展開−」[外部リンク]

今回のシンポジウムでは、活動支援団体、出資事業について、実際に事業を担う団体の代表者や専門家から、多くの示唆に富む意見が交わされました。

活動支援団体についてのトークセッションでは、各団体に寄り添った伴走の重要性が改めて浮き彫りになったほか、今後のJANPIAの取り組みについての要望も寄せられました。また、出資事業についてのトークセッションでは、JANPIAの「助成×出資」の両輪のスタイルを生かすことで、助成とは異なる領域に対して新しい支援を届けられることが示されました。

今回得られた知見や気づきを、JANPIAの今後の活動に反映し、よりよい制度運営につなげていくことが期待されます。

休プラ編集部