取材記事

休プラ編集部

資金分配団体(通常枠・緊急枠)への応募を検討している方へ 申請前に確認しておきたいチェックポイント―前編:検討する–

資金分配団体(通常枠・緊急枠)への応募を検討している方へ 申請前に確認しておきたいチェックポイント―前編:検討する–

資金分配団体(通常枠・緊急枠)への申請を検討いただいている方に向けて、押さえておきたいチェックポイントをまとめました。まずはあなたの実現したいことと休眠預金等活用制度の目指す姿が一致しているのか、どんな形で申請するのが良いか、このチェックリストを参考に、確認していきましょう。
※本記事は、2025年10月時点の情報に基づき作成しています。最新の情報については、最新の公募要領をご確認ください。 (休眠預金活用プラットフォーム|公募・申請

前編では、①〜⑥のポイントについて解説します。まずは申請を検討している段階で、確認いただけるとよい項目です。

休眠預金等活用制度の趣旨と合致しているか 

 まずは制度についてきちんと理解し、みなさんが実施したい事業が趣旨と合っているかを確認しましょう。休眠預金等活用制度は、国や地方公共団体だけでは対応が難しい社会課題の解決や、そうした課題に取り組む民間団体への支援、担い手の育成、資金調達環境の整備を目的としています。「助成」「出資」というお金の面の支援だけでなく、「伴走支援」という形で、各団体が抱える課題の解決をさまざまな面からサポートします。 また、休眠預金という国民の資産を財源としているため、支援を受ける団体は、ガバナンス・コンプライアンス体制を整えることや、資金の使途や事業成果を明らかにし、国民や関係者に対してしっかりと説明することが求められます。

※休眠預金等活用制度の目的や全体像については、下記も参考にしてください

休眠預金活用とは|休眠預金活用プラットフォーム

「資金分配団体」の役割を理解しているか

申請にあたって、「資金分配団体」としての役割と責任を正しく理解しておきましょう。資金分配団体は、指定活用団体(=JANPIA)から助成・出資を受け、民間公益活動を行う実行団体に対してお金の面での支援(助成・出資)と、事業実施にまつわるさまざまな課題解決のサポート(伴走支援)を行う団体です。これまでの実績では、通常枠ではだいたい1資金分配団体あたり5実行団体程度、緊急枠で8実行団体程度が採択されています。なお、この記事では主に「助成」を受ける場合について解説します。

赤枠部分が「資金分配団体」。このほかに、伴走支援のみを行う「活動支援団体」という枠組もあります。

具体的には、以下のような役割が求められています。

大きな特徴としては、お金の支援(資金支援)だけではなく、伴走支援(非資金的支援)を重視している点です。例えば、事業を進めるために必要なノウハウの提供、プロジェクトの進捗管理、現場に足を運びながら事業がうまく行っているかどうか評価や見直しを行うなどその範囲は多岐にわたります。

また、実行団体を効果的にサポートするために、「プログラム・オフィサー(PO)」と呼ばれる専門的なスタッフを、資金分配団体の中で確保し、育成する必要があります。POは、実行団体への「伴走支援」の中心となる存在です。休眠預金活用事業では、POを育成するために、人件費・活動費の助成、JANPIAによる研修の提供など、さまざまな支援体制を用意しています。

ご自身が「資金分配団体」に該当するか分からない場合は、こちらのチャートをご活用ください。

申請団体判別チャート|休眠預金活用プラットフォーム

③申請するのは、どの枠組か

申請には、「通常枠」と「緊急枠」があります。枠によって対象となる事業の性質、助成期間、助成額、申請要件などが異なるため、どちらの枠組が目的や条件に合っているか、公募要領をよく読んで検討しましょう。

▼通常枠

通常枠は、最長3年間の助成を受けられるもので、下記の4つの事業区分に分けられます。

草の根活動支援事業

地域に根ざして活動している団体を対象に、活動拡大や事業に継続的に取り組むための支援を行います。

ソーシャルビジネス形成支援事業

社会課題をビジネスの方法で解決する、新しいタイプの取り組みを支援します。

イノベーション企画支援事業

技術や新しいアイデアを使って、これまでにない方法で社会課題に挑戦する取り組みを支援します。

災害支援事業

大規模な災害に伴う社会課題への取り組み(防災・減災、緊急支援、復旧・生活再建など)を支援します。

▼緊急枠

急を要する社会課題に対して、1年以内で集中的に支援を行うものです。例えば、大規模自然災害、感染症拡大、社会的排除の深刻化など。なお、「緊急枠」への申請は、過去に助成事業の実績(民間公益活動を行う団体への資金的援助)がある団体が対象となっています。また、緊急枠では申請前に JANPIAの個別相談会(オンライン)への参加が必須となっていますので、忘れずに確認してください。

④1団体での申請か/コンソーシアムでの申請か

単独(1団体)ではなく、複数の団体でコンソーシアムを組んで申請することも可能です。コンソーシアムで申請する場合は、コンソーシアム協定書など、申請に必要な書類が単独申請とは異なるため、注意してください。また、各団体の役割分担や協力体制もはっきりと示す必要があるため、コンソーシアムでの申請を検討している方は、あらかじめ構成団体と入念に擦り合わせを行いましょう。詳しくは、コンソーシアムでの申請について を確認してください。

⑤「優先的に解決すべき社会課題」に合致しているか

助成対象となるのは、休眠預金等活用制度が対象としている「優先的に解決すべき社会課題」に当てはまっている事業です。「優先的に解決すべき社会課題」は、下記の3つがあります。

  1. 子どもや若者の支援

・経済的に苦しい家庭など、困難な状況にある子どもたちへの支援

・生活や成長に困難を抱える子どもや若者の育てる支援

・社会課題を解決する力を持った若者を育てる支援

  • 日常生活や社会生活に困難を抱える人の支援

・働くことが困難な人への支援

・孤独・孤立や社会的差別の解消に向けた支援

・女性の経済的自立への支援

  • 課題を抱える地域・地域社会への支援

・地域の働く場づくりや、地域活性化などの課題解決に向けた取り組みの支援

・安心・安全に暮らせるコミュニティづくりへの支援 

申請資格を満たしているか

資金分配団体に申請するには、一定の申請資格を満たしている必要があります。例えば、国内に活動拠点があることや、ガバナンス・コンプライアンス体制が整っていること、実行団体への支援をきちんと行える能力などが、申請資格要件として求められています。さらに、宗教・政治団体や、暴力団・反社会的勢力と関係がある団体、行政から独立した運営体制が整っていない団体などは、助成の対象外とされます。詳しくは公募要領の申請資格要件を確認してください。

前編では、申請前に確認いただきたいことをまとめました。休眠預金等活用制度の目指すものと、皆さんの思いが重なるようであれば、ぜひ申請を検討いただきたいと思います。申請に向けた具体的な準備や必要な書類については、後編(リンク)でまとめていますのでそちらもぜひ参考にしてください。

休プラ編集部