取材記事

休プラ編集部

資金分配団体(通常枠・緊急枠)への応募を検討している方へ 申請前に確認しておきたいチェックポイント―後編:準備する–

資金分配団体(通常枠・緊急枠)への応募を検討している方へ 申請前に確認しておきたいチェックポイント―後編:準備する–

資金分配団体(通常枠・緊急枠)への申請を検討いただいている方に向けて、押さえておきたいチェックポイントをまとめました。後編では、申請にあたって具体的にどんな準備をすればいいのかをお伝えします。(前編はこちら
※本記事は、2025年10月時点の情報に基づき作成しています。最新の情報については、最新の公募要領をご確認ください (休眠預金活用プラットフォーム|公募・申請

後編では、⑦〜⑩のポイントについて解説します。

社会課題へのアプローチ方法は明確か(事業計画書)

 事業計画書をはじめとした申請書類は審査員へのメッセージです。みなさんの思いやプランをしっかり伝えられるように、入念に準備しましょう。具体的には、事業を通して解決したい社会課題をエビデンスに基づいて設定できているか、目指す姿が明確か、解決の方法が理にかなっているかなどが審査のポイントになります。これらをしっかりと整理したうえで、書類の作成を進めてください。

では、事業計画書の具体的な構成と内容を見ていきましょう。下記の図は、事業計画書の内容を大まかに抽出したものです。

事業計画書では、まず「解決したい社会課題」をエビデンスに基づいて具体的に設定してください。次に、その社会課題をどのような方法で解決するのか、中長期的にどんな変化(アウトカム)を目指すのかを示します。それらを踏まえた上で、助成期間が終わる時点で達成すべき「短期的アウトカム」も明確にしましょう。さらに、その短期アウトカムを達成するために「具体的にどういった活動をするのか」を詳しく記載します。

また、資金分配団体が行う支援には「資金支援」と「非資金的支援」があります。それぞれの支援活動でどのようなことに取り組むのかを明確にし、それらが短期アウトカム、中長期アウトカムにつながるような設計が求められています。

次に、「どのような実行団体を、どれくらい採択して助成を行うのか」、資金分配団体としてどのような体制で事業を実施・管理するのかなども整理しておきましょう。

無理のない資金計画を立てられているか(資金計画書)

事業計画書の内容に対して、どれくらい資金が必要になるか、具体的にどのように資金を活用するのかを資金計画書にまとめます。作成にあたっては、公募要領に加え、必ず「積算の手引き」を参照してください。

※詳しくは、公募要領ページの『申請時の参考資料』に掲載されている『積算の手引き』をご確認ください。

資金計画書の内容を大まかに抽出したものが、下記の図になります。

また通常枠の場合は、助成金と合わせて、自己資金(民間資金等)も全体の予算構成に組み込む必要があります。団体の自立性や資金調達力を評価されるポイントでもあるため、あらかじめ資金の確保に向けた具体的な計画を立てておきましょう。審査では、助成金と自己資金を合わせた全体の資金計画が、事業計画と一致しているかが確認されます。公募する実行団体のイメージを明確にしたうえで現実的な資金配分を行うと、計画に説得力が生まれます。

体制の整備はできているか

休眠預金等活用制度は、国民の大切な資産を扱うものです。そのため、資金分配団体と実行団体は、事業の透明性を確保し、公正に進められる体制を備えている必要があります。

例えば、非資金的支援を担うプログラム・オフィサー(PO)の配置といった事業の実施体制、助成金の管理や事務処理を適切に行うための事務局体制、さらに、事業の成果を“見える化”する「社会的インパクト評価」を実施できる仕組みが備わっているかも、審査において重視されるポイントとなります。社会的インパクト評価は、あらかじめ設定した成果目標に基づき、その達成度を自己評価を中心に測るものです。外部専門家の協力を得ることもできますが、資金分配団体団体自身が評価に取り組む姿勢が問われます。

また、JANPIAは、ガバナンスやコンプライアンスに関する体制をしっかりと整備し、必要な規程類を策定・公表することを求めています。これらの体制は、契約時点で整えておく必要がある項目と、事業期間中に段階的に取り組めばよいものに分かれているため、公募要領を確認しながら準備を進めましょう。

必要な書類は揃っているか

最後に、必要な書類がきちんと揃っているかをしっかり確認してください。必要な書類の詳細は、公募要領に記載されています。提出が必要な書類には、「申請する事業ごとに提出する書類」と「申請する団体ごとに提出する書類」の大きく分けて2種類があります。複数団体で事業を申請する場合は、注意が必要です。

▼申請する事業ごとに提出する書類

事業ごとに提出する書類には、事業計画書や資金計画書が含まれます。コンソーシアムを組む場合や国外活動がある場合は、追加で提出が必要になる書類があるため、公募要領をよく確認してください。

▼団体ごとに提出する書類

団体ごとに提出する書類は、団体情報や役員名簿、過去の事業報告書、決算報告書類など、主に組織の信頼性や安定性を確認するための書類となります。

申請書類は不備がないよう、公募要領や提出様式の記載例を参照のうえ、不明な点は個別相談などで早めに確認しましょう。

また、異なる年度の様式で提出されるという不備も多く報告されています。申請書類は必ず最新版を使用してください。よくある不備については、説明会の動画で詳しく紹介しています。必須の書類が提出されないなど、 申請書類に大きな不備があると、場合によっては申請不受理となるケースもあるため、提出前によく確認するようにしましょう。

また公募時期に合わせてオンラインでの説明会を実施していますので、申請を検討されている団体は、参加いただくことをおすすめします。また、個別相談会(オンライン)も実施しています。申請にあたって疑問点がある場合や団体の状況に即したアドバイスが欲しい場合など、ぜひご活用ください。

JANPIAでは、社会課題の解決のために日々取り組む皆さんの思いを受け止め、サポートしたいと考えています。休眠預金活用事業を実施していくためには、休眠預金等活用制度の基本的な考え方を理解いただくことと、また皆さんの思いやプランを申請時にしっかりと伝えていただくことが欠かせません。この記事が皆さんの申請準備の助けになれば幸いです。

休プラ編集部