【事後評価】うつ病予防支援(こどもたちのこどもたちのこどもたちのために)
報告書要約
➢社会課題
うつ病患者が増え続けおりその予備群は更に多く再発率も高い。働く世代の罹患は本人とその家族だけで
なく、社会全体にも大きな影響を与えている。一方予防の重要性は理解されていない。
➢目指す社会(⻑期アウトカム)
「うつ病予防のアクティビティ・インフラが整い、誰もが気軽に利用できる、うつ病の罹患率が低下し、
良好な家族関係、健康な社会が実現できている状態」を目指す。
➢具体的手法
・各実行団体の行う受益者への予防プログラムの前後にアンケート(QIDS-J)*を使用し、そのスコアの変
化(カテゴリー移動)による削減率の算出と、削減率から計算される社会的コストの金額を、短期アウト
カムにおける社会的インパクト評価とした。 *QIDS-J 簡易抑うつ症状尺度
・助成期間で示されたインパクト評価のデータを基に、プログラム終了後の有料化や寄付などの支援拡大
による事業の継続に結びつく施策や、実行団体の経営指標の管理についても、⻑期アウトカム実現の為の
重要な出口戦略と位置付け、非資金的支援を行なった。
・社会へのうつ病予防の重要性への啓発として、専門家向けに日本うつ病学会による発表、企業向けに健
康経営エキスポ出展による、啓発と助成終了後に向けた事業紹介を行なった。これらの人々の予防へのさ
らなる理解とネットワークの構築のため、事業報告会を開催するとともに、報告書「メンタルヘルスの手
引き」を作成して発信した。
➢明らかになった課題
・「うつ」という言葉への予想以上の抵抗感があり、リーチの拡大に時間が掛かる事。
・実行団体のプログラム作成、体制作りなどの準備期間が予想以上に掛かった事。かつ営業部門を持たな
い団体はプログラムを実施、拡大する事に時間や工夫が必要な事。
・リーチ拡大のため、NPO こどこどは各実行団体が QIDS-J のアンケートを使用できるストレスチェック
ポータル(POSRI)を開発し、広報・広告により一定のリーチ数が得られた。ただし、期間内にリーチを
リスク削減までは繋げることは難しく、今後も継続して発信する必要がある事。
・社会の予防への理解、認識の変化を得るために、行政へのアプローチを複数回試みたが、十分な理解を
得る事が難しかった事。
・日々従業員のメンタルヘルスの課題に直面する人々、主に産業保健職の現場の予防の重要性に対する認
識の変化は感じられたが、現場から経営層への理解に繋げることが難しい事。
➢事業終了時の成果(短期アウトカム)
・うつの削減率は目標 3.5%対し実績 5.6% 、社会的インパクト評価額は目標 56,430 万円に対し実績
60,502 万円と、目標を上回ることができた。またその金額は推定事業総額 1 億 9,472 万円に対し、約
3.1 倍の効果が得られた。
うつの削減率の指標について監修を頂いた精神科医師からは、この事業は医療で行う事が難しい、ポピュ
レーションアプローチとして有効であるという評価を、精神保健研究の専門家からは、社会実装社会実験
として、この事業から学ぶ事が重要だとの評価を頂いている。この 2 名からの評価内容は、日本うつ病学
会の共催シンポジウムや事業報告会でも発表している。
・助成終了後の出口戦略についても、NPO こどこどのプログラムオフィサーによるコンサルテーションに
より、各団体の課題を明らかにするとともに、事業継続への道が開けている。
・当初からの課題であった社会の予防への理解の低さに対し、健康経営エキスポ、事業報告会において 2
度のアンケート調査を行い認識の変化を調査した。その結果、産業保健職など日頃より予防に対する課題
を感じている専門職ほど「うつは予防できると気づいた」という認識の変化が現れた。
➢今後に向けて
以上を踏まえ、うつ予防への理解と、気軽に利用できる環境整備を継続して行なっていきたい。具体的に
は、実行団体の事業継続への支援、NPO こどこど開発のストレスチェックポータルの整備を行う。課題を
感じている産業保健の職域の意見を、企業の管理職、経営層への判断へと繋げ、そこから個人だけでなく
職場全体へのアプローチを行う事が有効であると考える。
引用資料
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