【事後評価】地域若者サポートネットワーク設立事業(ユニバーサル志縁センター)
報告書要約
本事業は、児童養護施設や里親家庭など社会的養護のもとで育ち、18歳前後で公的支援が大きく縮小する「ケアリーバー」を中心とした若者が、社会的孤立や経済的困窮に陥りやすいという構造的課題を背景に実施された。虐待や貧困、低学歴、頼れる大人の不在といった複合的な困難を抱える若者は多い一方、地域で若者に伴走する支援団体や支援者も、人材・資金・ノウハウ不足により十分な支援を継続できていない現状がある。
こうした課題に対し、本事業では、休眠預金を活用して「地域若者サポートネットワーク」を各地に設立し、若者支援団体や支援者、研究者、協同組合、企業、市民など多様な主体が連携する基盤を構築する ことを打ち手とした。具体的には、九州、広島岡山、山陰の3地域において、ネットワーク組織の立ち上げ、ニーズ調査、地域若者おうえん基金の造成、助成事業の実施、伴走型の非資金的支援を一体的に進めた。
事業が目指した変化は、①地域に若者支援のハブとなるネットワークが形成されること、②地域の実情に即した助成と伴走支援により支援団体の活動基盤が強化されること、③その結果として、若者が必要な支援や機会につながり、前向きな変化が生まれることである。中長期的には、寄付や協働による持続可能な支援基盤を地域に根づかせることを目標とした。
3年間の実施を通じ、3地域すべてでネットワークが立ち上がり、規程整備や会議体運営、ニーズ調査、助成事業、伴走支援が実現した。助成先団体への調査では、 86.4%が「若者に良い変化が見られた」と回答し、進学への意欲形成、地域とのつながりの回復、自己肯定感の向上など、具体的な変化が確認された。また、助成金と非資金的支援の両輪により、支援団体自身の活動が行いやすくなったとの回答は 100%に達し、支援の質と継続性の向上に寄与 した。
実施状況としては、資金分配団体による標準化された雛形・マニュアルの提供、月次ミーティングや研修、合同クラウドファンディング等の伴走支援が、未経験団体でも短期間で事業を運営できる環境を整えた点が特徴である。一方で、公的支援拡大に向けた政策提言については、関係構築の途上にとどまり、十分な成果には至らなかった。
本事業から得られた主な知見・教訓として、①多様なステークホルダーを巻き込むネットワーク化が若者支援の実効性と持続性を高めること、②事務局機能と基金運営ノウハウの整備が地域の自走化を可能にすること、③初期段階での伴走型・非資金的支援が組織基盤強化に不可欠であることが挙げられる。今後は、地域若サポを「若者支援の中核」として位置づけ、協同組合・企業との協働や、負担の少ない形での政策提言を組み合わせることで、若者支援を社会全体の仕組みとして広げていくことが求められる。
引用資料
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