• 公開情報
  • 2022年度

京都府

【事後評価】みんなの居場所事業(西本願寺白光荘)

団体
西本願寺白光荘
種別
実行団体
事業
みんなの居場所事業
種別
通常枠(草の根活動支援事業)

報告書要約


本事業は、毎週水曜日に西本願寺角坊を舞台とした居場所事業を展開することで、障害の有無や年齢、性別を超えて誰をも包摂して受け入れることができる社会の実現をめざして活動を行った。事業の中核となる具体的な中長期アウトカムを「右京区において、子ども・女性・高齢者・依存症者等の孤独や孤立を感じている人々が、多機関や共感的な個人によって構築されたネットワークにより、緩く包摂されるような地域・社会になる。」として設定した。中長期アウトカムを設定した背景には、当法人がおもな支援対象とする、
犯罪・非行経験のある女性たちをとりまく複合的困難という問題意識がある。複合的困難のなかでも「社会的孤立」は、彼女たちの矯正施設出所後の生活において特に根深く横たわっている課題だ。本事業は、こうした社会的孤立の解消をめざすべく、地域社会における「居場所」の創出やそれを媒介とした「つながり・ネットワーク」の構築の展開を試みた。“みんてら”と名付けられた本事業は、更生保護対象者の複合的困難の解消をめざすと同時に、これまで地域社会のなかでも内向きともいわれてきた更生保護事業から、従来とは異なる地域社会のひとつの中核的地点となれる更生保護事業への方途を探る活動でもあった。

活動内容の概要は以下の通りである。2023 年 5 月~2026 年 2 月までのあいだに西本願寺角坊の一室を開放し、たこ焼きの作成・飲食、ベンチャー企業との連携による日用品の格安販売、市民講師ワークショップ開催、福祉系団体とのコラボ企画、みんてらマルシェ開催等を実施した。通算 113 回の活動を通じて、更生保護対象者、更生保護関係者、高齢者を中心とする高齢者ボランティア、地域の子どもやその保護者等による延べ 350 人の参加があった。

本事業は、
「1更生保護の対象者を含む地域の多様な住民が、寺子屋を利用することができる。」
「2寺子屋の利用者が、人との交流や様々な体験を通して自分が活躍できる機会を得たり、安心できる関係が増えている。」
「3居場所の活用を通して、地域の様々な団体に更生保護という分野が認知され理解が深まり、更生保護内外の資源との連携が生まれる。」
「4本事業がアウトカム1~3の活動を通して連携の呼びかけ役となり、地域の関係性の広がりと質を向上させ、活動から派生するつながりが持続可能なものとなるよう、活動継続の基盤を作る。」という 4 つのアウトカムを設定した。

定量(記録集計)、定性(インタビュー調査)による効果測定を実施したところ、1~3のアウトカムは達成した。その一方でアウトカム4については活動の基盤はできたものの、運営の根底に関わる今後の活動方針・活動資金に関しては未着手のままとなった。

事業開始時に設定した目標の多くを達成することができたが、その一方で、新たな課題も浮き彫りとなった。
それは、3 年間の参加者層の変遷(第一期:2023 年 11 月~2024 年 5 月頃までの白光荘現/元在所者による参加。
第二期:2024 年 4 月~2025 年 3 月頃までの近隣小学校の高学年による参加。
第三期:2024 年11 月~事業終了時点までの地域ボランティア、アクティビティ講師、小学校低学年・未就学児・その保護者による参加)やインタビュー調査から明らかとなったように、みんてらという限られた資源・空間にさまざまな属性の人びとが混ざり合うことの難しさであった。具体的には、更生保護対象者による小さなトラブルの発生、それらへの懸念から、コアターゲットである更生保護対象者の参加を中断せざるをえない状況が生じた。このことは、冒頭で提示したみんてらの当初の構想内容とは異なった方向へと進むと同時に、運営方
法について省みる契機となった。しかし、1~3のアウトカムを達成できたこと、3年間の事業を通じて少しずつみんてらが地域社会のネットワークのなかに参入していった結果をふまえると、みんてらが地域に住まう特定の人びとにとって居場所として機能していたととらえることもできる。

今後は、参加するさまざまな人びとに向けた更生保護の啓発活動、参加できる条件を複数整えることで、更生保護対象者にとって安心して参加できる居場所づくりをめざす。

引用資料

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