• 公開情報
  • 2021年度

全国

【事後評価】空き家・古民家を活用した母子家庭向けハウス設立事業(一般社団法人 全国古民家再生協会)

団体
一般社団法人 全国古民家再生協会
種別
資金分配団体
事業
空き家・古民家を活用した母子家庭向けハウス設立事業
種別
通常枠(ソーシャルビジネス形成支援事業)

報告書要約

厚生労働省の調査によれば、母子世帯の収入は児童がいる世帯の平均所得の 5 割程度であり、経済的な困難を抱えやすく、偏見による入居拒否などもあって住宅弱者になりやすい。一方で、全国の空き家の数は 900 万戸を数え、空き家・古民家問題を抱えている全国の自治体は増え続けている。そのため本事業では、空き家・古民家を活用して母子専用ハウスを新たにつくることで、空き家問題と母子家庭の住居問題の同時解決に取り組んだ。
3 年間の本事業での取り組みにより、千葉、東京、長野、兵庫、宮崎の5つの実行団体が5軒の母子ハウスを新たに立ち上げ、20 部屋を完成させることができた。休眠預金の助成金を活用することで、各母子ハウスでは空き家・古民家を居心地の良い明るい居室に改修することができ、かつ低めの家賃設定をすることが可能になった。また、資金分配団体である全国ひとり親居住支援機構が運営するポータルサイト「マザーポート」で、入居者募集の情報を全国に向けて流したことなどが功を奏して、事後評価を実施した 2024 年 12 月の時点で、この 5 軒に対する母子家庭等からの入居問い合わせ総数は 149 件、そのうち 29 世帯が入居し、16 世帯が退居、入居中は 13 世帯となっている。
当初入居者として想定していたのは、「就労支援などを行うことで職を得て、入居者同士で助け合い、地域ともつながり、子どもが成長したらもっと広い部屋に転居していく」というような母子家庭であったが、実際の入居者の中には、それが難しい人が少なくなかった。虐待やハラスメント、愛着形成の欠如などによる精神的な傷が癒えておらず、それが人間関係や親子関係にも影響を与え、働きたくても働けない、子どもに怒鳴ってしまう、シェアハウスの他の入居者とトラブルになってしまう、うつ状態から抜け出せない、という難しい状況を引き起こしていた。母子家庭をめぐる状況は、思っていたよりも厳しいものであった。
それに対して5つの実行団体は、それぞれの強みを活かして試行錯誤し、ノウハウを蓄積し、互いの取り組みから学び合った。この 5 団体がたどったプロセスは、これから母子ハウスを立ち上げたいという個人や事業者、行政にとって、大いに参考になるものであろう。その中で本事業の学びとして重要な点は、母子ハウスは、単体では採算性を確保するのが難しい構造にあるということである。母子ハウスは、家賃設定を低くせざるを得ない上に退居リスクが高く人手もかかる。シェアハウスで
うまくやっていける人をアセスメントによって選んだり、入居者にハウスルールを守ってもらったり、トラブルの際に介入したり、就労や保育園などのサポートをしたりと、専門性やスキルを持つ人も必要である。その人件費を考慮すると、どうしても赤字運営になってしまう。
今回は、事後評価を行った 2024 年 12 月の時点で5つの実行団体のうち 4 団体が黒字化できていたが、これは休眠預金の助成金があったことと、人件費を実費で支払わず他の事業などでカバーしていたこと、地域(行政や社協、学校、医療などの専門職、企業、地域の NPO(例えば DV シェルター、学習支援団体、フードバンク)など)とうまく連携していたこと、などによるものである。
なお、今回の休眠預金事業では、全国 6~10 実行団体による、24~40 世帯が入居できる母子ハウスを目標としていたが、最終的に 5 団体による 20 部屋と目標を下回った。また、資金分配団体が不慣れであったため非資金的支援を十分に行えず、実行団体にしわ寄せが行ってしまったことも反省点である。各実行団体は母子家庭を支援したいという思いを核に本事業に真摯に取り組み、互いに学び合い、母子ハウスをスタートさせたことに感謝したい。

引用資料

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