【事後評価】発災から復興期を見据えた食料支援体制構築(特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォーム)
報告書要約
このプログラムは、通常枠と緊急枠の2つの事業を平行して実施する設計となっており、通常枠は平時における支援体制の構築、緊急枠は発災後の迅速な支援活動を行うものである。特に、平時の支援活動を基盤に、災害時における支援活動が実施できるようにすることが、この事業の目的であり、「通常枠」と「緊急枠」はそれぞれ独立した事業計画と資金計画を持っている。そのため、本報告書では「通常枠」事業のみを取り扱っており、通常枠事業を「本事業」と記載する。
本事業は、発災から復興期を見据えた食料支援体制の構築を目的として実施され、特に災害脆弱層への支援強化を課題として取り組んだ。近年、気候変動の影響で災害が頻発し、災害時に特に支援が必要となる高齢者や障害者、低所得世帯などの脆弱層に対する支援が不足するリスクが高まっている。これに対処するためには、平時からの支援体制の強化と災害発生時の迅速かつ効果的な対応が求められている。本事業では、これらの社会課題の解決を目指し、対象地域において実行団体が食料支援のノウハウを移転し、連携体制を整備することで災害時に食料支援を行えるネットワーク構築を行った。
実行団体は、全国規模のフードバンク団体であるセカンドハーベスト・ジャパンと、全国フードバンク推進協議会(フードバンク岩手とのコンソーシアム)であった。これらの団体は、各地域での食料支援ネットワーク構築を担当し、災害時に必要な支援を迅速かつ効果的に行える体制を作るために連携した。
事業の概要としては、豪雨災害リスクの高い地域(九州、中国、四国)を支援対象地域とし、これらの地域における食料支援体制を強化することを目指した。具体的な活動としては、支援団体の協力体制を強化するための会議や訓練の実施、また災害時に活用できる食料支援ガイドブックの策定が行われた。これにより、災害時における支援の効率化と質の向上が図られることを期待した。
成果1:ネットワークの構築と地域間連携の強化
本事業の成果としては、次のような成果が挙げられる。まず、九州、中国、四国の3つの地域において、多様な支援団体が参加するネットワークが構築され、災害発生時に食料支援が行える体制が整備された。例えば、岡山では、2024年1月に発生した能登半島地震において、構築されたネットワークが災害時に即応し、炊き出し支援を実施することができた。この事例は、平時におけるネットワーク構築が災害時の迅速な支援に繋がることを示しており、他地域における支援活動にも良い影響を与えた。
成果2:ガイドブックの策定と支援活動の質向上また、食料支援に関するガイドブックが実行団体によって共同で作成され、各地域の支援団体に提供されることで、支援活動の統一性に向けた基盤が整えられた。これにより、災害時における食料支援活動の質の向上が期待される。さらに、各地域で定期的な会議や訓練が実施され、支援団体間の連携が強化され、災害時における協力体制が確立された。特に、四国地方では、行政や社会福祉協議会との連携が進み、地域全体での支援体制の強化に寄与したことも一定の評価ができる。
成果3:ネットワーク構築における多様性・包摂性の可視化
本事業では、ネットワークの機能性を把握するために、参加団体の属性に着目し、達成度を評価した。これは、ネットワーク構築における多様性や包摂性を意識的に可視化した事例の一つであり、今後の全国展開や同様の取組において有効な指標となることが期待される。
成果4:非資金的支援による組織基盤の強化と今後の課題
JPF は非資金的支援として、ネットワークを維持・発展させるための組織基盤の構築に力を入れ、ファンドレイジング活動への伴走支援や企業連携の強化を試みた。その結果、特に緊急枠事業での能登半島地震の対応の際は、一時的に企業や個人から寄付や協力を得ることができたものの、ファンドレイジング方法の確立や継続的な企業連携までには至らなかった。今後の課題として、持続可能な資金調達の方法を確立し、企業等との協力関係を深めることが求められる。また、事務局機能を担う団体の役割を明確にし、より効果的なネットワーク維持に向けた取り組みが必要である。
総じて、本事業は、災害時における食料支援ネットワークの構築と、その維持・発展に向けた基盤作りを進め、災害時の支援の効率化と質の向上を達成した。特に、平時からのネットワーク構築が災害時の即応力を高め、地域内での協力体制や地域間での連携が強化されたことは、今後の災害対応において参考になる事例となるだろう。この成果を踏まえ、今後も地域内や地域間での協力を強化し、持続可能な支援体制の確立に向けた取り組みが求められる。
引用資料
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