【事後評価】災害時食支援ラストワンマイルへの到達事業(特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォーム)
報告書要約
このプログラムは、3 年間にわたり防災・減災事業に取り組む「通常枠」と、通常枠の事業期間内に発生した災害に対して緊急支援を行う「緊急枠」という 2 つの事業を並行して実施する設計となっている。「通常枠」で取り組んでいる活動を活用し、災害時に迅速な支援を行うことを目的としており、平時の取り組みが緊急支援に生かされることで、より効果的な支援活動が可能となる仕組みである。本報告書は「緊急枠」に関する評価を取り扱い、以下、緊急枠事業を「本事業」と記載する。
本事業は、2024 年に発生した令和 6 年能登半島地震および奥能登豪雨において、食料支援の課題に対応するために実施された。これまでの災害でも指摘されていた公的支援が届きにくい在宅避難者や車中泊避難者、食料調達が困難な高齢者などへの支援の不足が、今回の災害でも顕著だった。従来の災害支援は避難所を中心に設計されており、それ以外の被災者への支援が十分に行き届かないケースが多かった。これらの課題に対応するため、本事業では被災者の食料確保を強化することを目的に、食料供給拠点を設置し、地域の支援団体や行政との連携を深めることで、迅速かつ持続的な食料支援を行う体制を構築した。
本事業は、3 年間にわたる防災・減災事業(通常枠)での取り組みを活かし、被災地において迅速な支援を実施する「緊急枠」として展開された。実行団体は、セカンドハーベスト・ジャパン
(2HJ)および全国フードバンク推進協議会(全 FB 協)(フードバンク岩手とのコンソーシアム)である。2HJ は中能登町に、全 FB 協は穴水町に食料供給拠点を設置し、これにより被災地で
の食料供給体制が強化され、特に避難所外の被災者や食料確保が困難な世帯への支援が拡充された。
本事業の実施にあたっては、1 月に発災した能登半島地震と、その後 9 月下旬に発災した奥能登豪雨という複合的な災害が大きな影響を与えた。地震による被害の復旧が進む中、豪雨によ
って土砂災害や道路の冠水が発生し、復興がさらに遅れる事態となった。その結果、食料供給をはじめとする基本的な支援が滞りがちになり、特に避難所外で生活する被災者への支援の遅れ
が課題となった。そのため、本事業では豪雨の被害に対応するため、10 月に支援を拡大。発生した新たなニーズに迅速に対応し、追加の食料供給を実施した。
■食料の供給(量)
本事業の成果として、提供された食料は総計約 140.6 トンにのぼり、うち約 117.7 トンは災害
弱者への支援として提供された。在宅避難者やみなし仮設入居者を含む約 13 万 9 千世帯に
支援を届けることができた。また、炊き出しでは 1 万人以上に温かい食事を提供した(2025 年
2 月末時点)。
■食料の供給(質)
提供した食料は、通常の物資に加え、簡便に調理できる食品も多く含まれており、避難所外で生
活する被災者の生活実態に即した支援が実施された。また、炊き出しの提供は、栄養面だけで
なく、被災者の心の安心や生活リズムの確保にもつながった。さらに、地域の団体と連携して行
った見守り型の支援は、単なる物資支援にとどまらず、支援が必要な世帯のアウトリーチにも寄
与した。
■食料支援の継続に向けた取り組み
本事業の特徴として、被災者の食料確保のみならず、地域内の支援ネットワークの強化に重点
を置いた点が挙げられる。現地スタッフの育成を通じて支援のノウハウを地域に定着させ、持続
可能な支援体制の構築を図った。また、現地で活動する他の支援団体や自治体と連携体制を
構築することで、地域内の食料支援ネットワークの基盤を強化した。この取り組みにより、長期的
な支援活動の持続可能性が向上し、災害時に迅速に対応できる体制が構築された。
一方で、いくつかの課題も明らかになった。行政の地域防災計画が避難所中心であるため、在
宅避難者や車中泊避難者への支援の枠組みが整っていないことや、企業との連携が一部進展
したものの、継続的な支援体制の確立にはさらなる取り組みが求められる点が課題として浮き
彫りとなった。また、被災地の広範囲な被害により、地元団体のみで支援を完結させることは困
難であり、外部支援の継続が不可欠であることが再確認された。
総じて、本事業は能登半島の被災地において、食料供給体制の強化を軸に、持続可能な支援
ネットワークの構築に貢献した。今後も、災害時の迅速な支援を継続し、地域の復興を支えるた
めには、地元団体との協力をさらに深め、外部支援との連携を強化することが不可欠である。こ
れにより、被災地が自立的に支援活動を行える体制が整い、持続可能な支援の枠組みとして、
他地域への展開も見据えたモデルとなることが期待される。
引用資料
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