【事後評価】子どもシェルター新設事業 虐待などで家に居場所がない10代の若者に緊急避難と支援の場を(公益財団法人パブリックリソース財団)
報告書要約
2021 年度休眠預金活用事業「子どもシェルター新設事業」は、虐待や家庭環境の問題に
より居場所を失った 10 代後半の子どもたちに対し、安全な避難場所を提供することを目
的に、2021 年 10 月から 2025 年 3 月まで実施した。公益財団法人パブリックリソース財
団(PRF)と子どもシェルター全国ネットワーク会議(全国ネット)によるコンソーシア
ム形式で実施し、新規子どもシェルターの開設と運営支援を通じて、既存の社会的養護制
度の狭間にある子どもたちに対する新たなセーフティーネットの構築を目指した。
主な事業実績と成果
(1) 子どもシェルターの新設
高知県、東京都、福井県に子どもシェルターが新設された。これらの子どもシェル
ターは、子どもたちが安心して過ごせる家庭的な環境を提供し、心身の回復を図るた
めの場として機能している。
(2) 伴走支援の実施と有効性
PRF が発案し、全国ネットが実施した伴走支援により、そのノウハウが全国ネット
に移転され、伴走支援の価値と有効性が明らかになった。伴走支援は、実行団体の不
安を軽減し、子どもシェルター開設準備が効率的に進むとともに、継続的な運営支援
にも有効であることが明らかになった。
(3) 地域ニーズに応じた制度活用の可能性
認可型子どもシェルターだけでなく、地域に応じた柔軟な制度活用の可能性が示さ
れ、問題を抱える若年女性支援事業や社会的養護自立支援拠点事業なども有効である
ことが明らかになった。
(4) 広報活動による認知拡大と波及効果
全国ネットや実行団体による広報活動や PRF 主催の成果報告会により、子どもシェ
ルターの必要性が社会に広く認知された。これにより、子どもシェルター未設置地域
でも開設への関心と意欲が高まり、全国的な子どもシェルター整備促進に向けた機運
が醸成された。
子どもシェルター運営における課題
(1) 職員の確保と資金調達
子どもシェルター運営には 24 時間体制での職員配置が不可欠だが、資金面や人材
面で課題が残っている。現行の措置費だけでは十分な運営維持が難しく、寄付や助成
金の確保が求められる。
(2) 弁護士の参画と専門職支援体制
弁護士の参画は子どもシェルターの運営において重要だが、弁護士との繋がりがな
い団体にとっては高いハードルとなっている。今後は、弁護士以外の専門職による支
援体制の構築も検討する必要がある。
(3) こども家庭庁による事業と既存事業の違い
こども家庭庁による「こども若者シェルター・相談支援事業」と既存の子どもシェ
ルター事業との違いが不明瞭であり、両事業の関係性や役割の明確化が求められる。
提言
(1) 新規子どもシェルターの開設候補団体
地域の実情に応じた支援のため、ニーズ調査を実施し、その結果をもとに地域支援
ネットワークの構築が重要で、そのうえで適切な制度活用が求められる。
(2) 子どもシェルター全国ネットワーク会議加盟団体
伴走支援を活用し、運営上の課題を共有することで、団体間の連携を強化し、持続
可能な運営を目指すべきである。
(3) 子どもシェルター全国ネットワーク会議
伴走支援体制の構築とその実施を継続し、子どもシェルターの新規開設や再開を支
援する仕組みをさらに強化する必要がある。
(4) 日本政府・行政
子どもシェルターの開設を促進するために、開設しやすい制度設計と運営継続を支
援する環境づくりを進める必要がある。また、既存事業との違いを明確化し、子ども
シェルターの付加価値を高めるための施策を検討することが求められる。
結論
子どもシェルターの新設と運営支援を通じて、困難を抱える子どもたちへのセーフティ
ーネットの構築において重要な役割を果たした。しかし、持続可能な運営を実現するため
には、制度整備、資金調達、人材確保といった課題の解決が不可欠である。今後は、全国
ネットや関係機関との連携を一層強化し、子どもたちの権利擁護と安全な居場所の提供を
引き続き目指していくことが求められる。
引用資料
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