【事後評価】妊娠・出産・子育てに困難を抱える女性のウェルビーイング支えん【援・縁・円・得ん】(特定非営利活動法人 Commune with 助産師)
報告書要約
本事業は、妊娠・出産・子育ての中で不安や孤立を抱えやすい女性たちが、地域の中で安心して過ごし、自分らしさを取り戻していけるよう支えることを目的に実施してきた。特に、「相談支援」と「居場所づくり」を組み合わせることで、単発的な支援にとどまらず、継続的な関係性の中で寄り添う仕組みを整えた。さらに「包括的性教育」を通じて、女性自身が自分を大切にし、子どもとの関わりや人間関係の基本を考える機会をつくることを目指した。
相談支援は事業開始当初、電話や来所を中心とした属人的な運用であり、記録や情報共有の仕組みが十分ではなかった。そこで、相談体制の見直しと組織基盤の整備を進め、2024年6月にはクラウド型管理システム(Kintone)を導入した。相談内容や支援経過を一元的に記録できるようになり、2024年8月にはLINE公式アカウントを相談窓口として明確に位置付けることで、相談のしやすさが大きく向上した。2024年12月には相談管理体制が本格稼働し、2025年1月以降は相談件数や経路、継続支援の状況を定量的に把握できるようになった。これにより、支援の振り返りや改善が組織として継続的に行える体制が整った。
2024年9月に開設した居場所「さんさんリビングTOMO」では、利用者数だけでなく滞在時間も記録することで、「安心して長く過ごせる場」としての機能が可視化された。親子がゆったりと過ごし、他の利用者と自然に交流できる環境が整ったことで、相談支援と居場所が連動し、相談後の不安が軽減されたり、継続的な関係性が育まれたりする事例も見られた。居場所が安定的に運営されてきたことは、本事業の大きな基盤となっている。
包括的性教育は、2024年度において「0歳からはじまる性教育教育」をテーマにプログラムを検討し、専門家の知見や国際的ガイドラインを踏まえながら内容を整えてきた。2025年度には地域向け講座として実践を開始し、0~2歳児の保護者を中心に学びの場を提供した。性教育を特別なものではなく、日常の中で自分や相手を大切にするための学びとして捉える意識が広がり、早期介入の有効性も確認された。
アウトカム分析では、相談へのアクセス性の向上、相談体制の安定化、居場所を活用した継続支援など、短期的な成果が一定程度確認された。常設的な相談支援と居場所のある運営により、限られた人員でも支援資源を効果的に活用できることがわかり、記録・共有の効率化によってスタッフが直接支援に集中できる環境が整った点も大きな成果である。一方で、中長期的な変化については、今後もデータを蓄積しながら丁寧に検証していく必要がある。
出口戦略・持続化の観点では、助成終了後は資金面や人材確保に課題があり、規模はやや縮小するが、相談対応と居場所運営の基盤が整ったことで事業継続は可能と見込んでいる。本事業で構築した体制を活かし、組織基盤の維持向上に努めながら、地域における女性支援の拠点としての役割をより確かなものにしていく。
そして、本報告書の終結章に、事業の歩みの中で見えてきた学びや気づきを整理し、これからの地域づくりにどのように活かしていくかを示した。本事業で育まれたつながりと経験が、今後の妊産婦・子ども・子育て・女性の「ウェルビーイング支えん」の拡充に結実していくよう、中長期アウトカムに向かって次のステージへと進んでいく。
引用資料
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