【事後評価】大切な人を亡くした女性を孤立させない支援体制の構築(ReLink)
報告書要約
本事業は、我々のこれまでの活動から、死別のグリーフを抱えた女性が社会的に孤立しやすい状況に着目し、
その孤立の解消および予防を目的として、2024 年 4 月から 2026 年 2 月まで実施した。対象地域は主に福島
県内であり、子ども、配偶者など大切な人を亡くした女性が、安心して語れる場に参加し、必要な情報や支
援につながることを目指した。
本事業を通して得られた最も重要な成果は、死別を経験した女性が、制度・情報・言語の条件によって支援
につながりにくい「構造的孤立」の状態に置かれている実態を、当事者の語りと具体的な事例を通じて可視
化できた点である。遺族の中でも自死遺族には一定の制度的枠組みや相談資源が存在しうる一方で、その情
報に当事者が自らたどり着くことは容易ではなかった。また、自死以外の死別、流産・死産を含むペリネイ
タルロス、配偶者との死別などについては、支援対象として社会的に見えにくく、当事者自身も「どこに相
談すればよいかわからない」「相談するものかどうかもわからない」状態に置かれやすいことが確認された。
さらに、「グリーフ」という言葉や概念の社会的認知が低いため、当事者が自分の状態を言語化できず、イ
ンターネット検索や相談行動にもつながりにくいことが明らかになった。これは、支援につながらない要因
が当事者個人の問題ではなく、社会側の言語・情報環境、導線設計の不足にあることを示している。
本事業では、個別相談、ReLink の会、みんなのプログラム、やわらぎのつどい等の対面の場を継続して実施
し、当事者である遺族が故人のことや自分の気持ちを安心して話せる機会を確保した。みんなのプログラム
は延べ 144 人、ReLink の会は延べ 36 人、やわらぎのつどいは延べ 80 人が参加し、個別相談は 10 件実施し
た。参加者からは「2 か月に 1 回でもここが心のよりどころ」「ここでしか話せないことがある」「もっと
早くつながりたかった」といった声が得られ、対面で継続的に語れる場の必要性が確認された。
また、県内外の関係団体への訪問・ヒアリング、冊子やホームページによる情報発信、リーフレット等の広
報媒体の整備、冊子 445 か所への送付、養成講座 2 回・計 16 名、市民講座を含む講座計 74 名の参加、など
を通じて、情報資産、人材、連携、支援の質を残すことができた。一方で、冊子への問い合わせは 0 件、ア
ンケート回収は 8 件にとどまり、認知・信頼の量的向上や普及啓発の効果測定には課題が残った。
総合的には、本事業は、課題やニーズの適切性、事業設計の整合性、実施状況の適切性、事業成果の達成度
について、概ね妥当であったと評価する。ただし、助成終了後は、助成期間中と比べて事業規模は縮小する
見込みであり、継続的な財源確保、事務局体制の安定化、紹介導線の標準化、測定・記録体制の改善が今後
の重要課題である。今後は、ReLink が地域におけるグリーフ支援のハブとして、当事者の声を社会に翻訳し、
医療・行政・教育・民間支援機関との連携を通じて、早期接続と孤立予防の仕組みを整えていく必要がある。
引用資料
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