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  • 2022年度

山口県

【事後評価】災害時の多様性に配慮した「やさしい避難所」を考える事業(一般社団法人 レベルフリー)

報告書要約


本事業では、災害時に配慮が必要な人を中心に据え、地域住民とともに「やさしい避難所」の実践モデルづくりを行った。食アレルギー・外国人・ペット避難をテーマにツール開発と実践訓練を重ね、地域主体で継続可能な体制づくりに一定の成果を得た。
◆誰にとっても「やさしい避難所」を
本事業における「やさしい避難所」とは、災害時の避難所において、食物アレルギーのある人、外国人、ペットと暮らす人、心身に障害のある人など、災害時に配慮が必要となりやすい人たちを含め、誰もが安心して避難し、過ごすことができる環境を地域の標準として整えていく考え方である。本事業は、この考え方を基盤に、「やさしい避難所」を運営できる地域を増やすことを目的に実施した。配慮を特別な対応として扱うのではなく、地域や社会の中心に置き、避難所運営の標準(スタンダード)として根付かせていくことを目指し、「食アレルギー」「外国人」「ペット避難」を主なテーマとして実践を重ねた。
◆食アレルギーに配慮できる避難所に向けて
「食アレルギーに配慮できる避難所」を増やす取組では、これまでの研修や炊き出し訓練等の蓄積を基に、当団体が関与し続けなくても配慮が実践できる持続可能な仕組みづくりに取り組んだ。スーパー、調理士、栄養士、アレルギー当事者など多様な立場の関係者が参画し、アレルギーに配慮した炊き出しメニューやレシピ、調理・配膳時のポイントをまとめた手引き、避難者向け掲示物などを整理した。これにより、アレルギー対応が一部の専門的な人に任されるものではなく、地域の誰もが担える配慮として共有される土台が整えられた。
◆外国人に配慮できる避難所に向けて
「外国人に配慮できる避難所」の取組では、外国人労働者、地域住民、通訳、行政が共に参加する防災体験研修会を実施し、言語や文化の違いを学び合った。実際の避難所と想定される公民館を使用した運営訓練や炊き出しを通じて、外国人が「支援される存在」にとどまらず、避難所運営を共に担う地域の一員として位置づけられる意識の変化が見られた。これらの成果は「やさしい避難所~外国人編~」として冊子にまとめ、他地域でも活用できる形で共有した。
◆ペット避難に配慮できる避難所に向けて
「ペット避難に配慮できる避難所」の取組では、ペット飼育者、地域住民、獣医、ペット関連団体、行政が参加し、立場や考え方の違いを理解し合うワークショップを重ねた。あわせて、ペット同伴避難や車中泊避難を想定した避難所運営訓練を実施し、心身に障害のある人を含め、多様な状況にある避難者への配慮について具体的に検討した。これらの取組を「やさしい避難所~ペット編~」として整理することで、対立ではなく対話を重ねながら合意形成を図るための実践的な手がかりを示すことができた。
◆避難所以外での避難環境づくり
事業を進める中で、避難所に入ること自体が難しい人や、避難をためらう人が少なくない現状が改めて明らかとなった。ペット同伴避難への不安、心身の障害による環境面の困難、集団生活への負担など、理由はさまざまである。こうした現場の声を受け、当初の事業計画にはなかった車中泊避難訓練を新たに取り入れ、避難の選択肢を広げる取組として事業を発展させた。避難所に「入る・入らない」の二択ではなく、一人ひとりの状況に応じた避難の在り方を考える視点を共有したことは、本事業の大きな成果の一つである。
本事業を通じて、配慮が必要な人を周縁に置くのではなく、その人たちを中心に考えることで、結果として誰にとってもやさしい避難所につながることが、地域の中で共有された。今後は、平常時から地域自らが「やさしい避難所」の運営訓練を継続的に実施することで、災害対応力の向上とともに、地域コミュニィの結束力を高めていくことが期待される。

引用資料

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