• 公開情報
  • 2022年度

福島県

【事後評価】周産期~育児期にある母親が社会的に孤立しない包括的支援体制の整備~(MotherTree)

団体
MotherTree
種別
実行団体
事業
周産期~育児期にある母親が社会的に孤立しない包括的支援体制の整備~
種別
通常枠(草の根活動支援事業)

報告書要約


本事業は、妊娠、出産、育児の時期にある母親が社会的に孤立しない地域を目指し、居場所、訪問
支援、子育て講座、支援者育成、情報発信を組み合わせて、包括的な支援体制を整備したものである。
約 3 年間の実施により、MotherTree は、地域の中で母親が気軽に立ち寄れる拠点と、必要なときに生
活の場へ支援を届ける訪問支援を整え、さらに学びや相談、外部機関への橋渡しを組み合わせる体制
を形成した。

主な実績として、拠点は 109 日開所し、延べ 781 人が利用した。コミュニティサロン Hippo は 28 回
開催し、200 組、延べ 420 人が参加した。さんさんサポートは総利用件数 1,622 件、総利用時間
3,088.5 時間、新規登録 124 人で登録者 177 人となった。講座とプログラムは総開催 85 回、総参加
1,060 人となり、ポジティブ・ディシプリン®プログラムは 5 クール実施し、満足度 100%、NPS10 の評
価を得た。これらの実績から、地域における支援の入口と継続的な関わりの基盤は整備されたと評価
する。

短期アウトカムについては、講座による知識とスキルの向上、利用ハードルの低い居場所の運営、
さんさんサポートによる日常的な困りごとへの支援、孤立ハイリスク家庭への特例的支援、自団体の
認知度と信頼度の向上は達成した。子育て情報の集約、公的支援機関と当事者の橋渡し、支援者のコ
ンピテンシー向上、地域団体とのネットワーク形成についても一定の成果があったが、情報提供後の
行動化、紹介後の接続率、支援者の質の均てん化、連携の継続的な仕組み化には改善余地が残った。
本事業で特に明確になった成果は、支援を単発で終わらせず、拠点、サロン、訪問、講座、特例支
援を組み合わせ、スタッフが母親の状況に応じて支援を組み立てる伴走機能である。母親が困りごと
を十分に言語化できない段階でも、拠点や講座を入口として関わり、必要に応じて訪問支援や外部機
関へつなぐことで、相談だけで終わらせず、生活が回るところまで支えることが可能になった。
一方で、支援ニーズが複合的で精神的な不調、トラウマ、家庭内の葛藤、子どもの医療的ケアや発
達上の課題を抱える家庭では、居場所や訪問だけでは十分に対応できない場合があることも明らかに
なった。また、支援利用そのものへの心理的抵抗、制度要件による公的支援の限界、紹介後に支援へ
到達しないケースも確認された。これらは、MotherTree が単独で解決するのではなく、行政、医療、
専門機関、地域団体、企業と役割分担を明確にして連携する必要性を示している。

出口戦略については、NPO 法人化、HP とリーフレットの整備、拠点と訪問支援の実績蓄積により、
助成終了後の持続化に向けた基盤は形成された。行政委託については、産後デイケア等のレスパイト
機能を制度的に位置づける方向で具体化を進める段階にある。企業スポンサーや福利厚生導入につい
ては、サービス設計と説明資料の整備、実績に基づく提案の土台づくりは進んだが、安定財源化には
今後の契約形成が必要である。寄付についても仕組みの整備途上であり、継続的な資金調達は今後の
重点課題である。

総合すると、本事業は、周産期から育児期にある母親の孤立予防と孤立軽減に向け、地域の中に低
ハードルの入口、日常支援、学び、伴走、橋渡しを組み合わせた支援基盤を形成することができた。
短期アウトカムの多くは達成され、中長期アウトカムである「必要な支援を選択し利用できる地域」
「子育てに寛容な価値観と共助の仕組み」の実現に向けた土台ができたと評価する。今後は、レスパ
イトケアの体系化、連携手順の標準化、支援者育成の質の保証、資金調達の多角化を進め、「子育て
支援は使って当たり前」という社会的メッセージを地域に広げていく。

引用資料

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