【事後評価】若年困窮女性のシェルター運営及び自立支援事業(NPO法人ほっぷすてっぷ)
報告書要約
◆ 事業の背景と目的
本事業は、宮城県内において家庭内に居場所がない、あるいは住まいを失い自立を妨げられている15歳から30歳程度の若年女性を対象に実施しました。対象者の多くは、幼少期からの虐待やヤングケアラーとしての経験により、周囲に相談できず孤立し、学業や就労に支障をきたしている状況にあります。また、公的施設の入所条件に合致せず、経済的困窮から性被害や望まない妊娠のリスクにさらされるケースも少なくありません。こうした「制度の谷間」で苦しむ女性たちのリカバリーには、まず安全な「居住地」の確保(ハウジング・ファースト)が不可欠であると考え、本助成によりシェアハウスの移転・拡大、および緊急シェルターの運営と伴走型自立支援を強化しました。
◆ 事業の実施内容と実績
2023 年 8 月から 2026 年 2 月までの期間、以下の活動を展開しました。
【居住・シェルター支援】
2023 年 8 月にシェアハウスを移転し、受入れ人数を 5 名から 13 名に拡大しました。特に困窮度の高い入居
者に対し、2 週間を上限とした無償の緊急シェルターを提供し、食事提供を含む生活援助を行いました。期
間中の新規入居者は 30 名、退居者は 25 名に達し、そのうち 13 名が緊急シェルターを利用しました。
【伴走型自立支援】
支援員を配置し、行政手続きや通院への同行支援を約 300 回(のべ 210 名)実施しました。また、精神疾
患や障害を抱える入居者に対しては、障害者手帳の取得や障害年金の申請、グループホームへの繋ぎなど、
個別のニーズに応じた支援を行いました。
【相談事業】
本人や行政窓口等から計 99 件の相談を受け、入居に繋がらなかったケースについても情報提供や適切な支
援機関へのリファーを行いました。
【外部連携】
就労支援では「認定 NPO 法人 Switch」、性教育や妊婦ケア等では「NPO 法人キミノトナリ」、経済的支
援では「仙台市福祉事務所」「フードバンク仙台」等と緊密に連携し、包括的な支援体制を構築しました。
◆ 事業成果とアウトカムの達成度
事後評価の結果、主要なアウトカムは概ね達成されました。
【短期アウトカムの達成】
入居者の精神的安定については、利用者アンケートを用いた評価等により、のべ 30 名が安心して生活でき
る環境を得たと判断されました(目標 22 名/達成率 136%)。また、退居時に 25 名が生計の見通しを立て
ており、住居確保が心理的安定と自立意欲の向上に直結することが実証されました。
【社会的資源の活用】
のべ約 280 名の利用者がスタッフの支援を受けながら必要な行政・医療サービスに繋がることができ、本人
の権利が守られる形での生活再建が進みました。
【支援体制の強化】
伴走支援を担うスタッフが 6 名育成され、組織としての支援の質と継続性が向上しました。
◆ 事業の持続性と今後の課題(結論)
本事業の成果の一つとして、シェアハウス内に「自立援助ホーム」を併設したことにより、これまで単年度
の助成金や寄付に頼っていた運営に一部公費が導入され、事業の持続可能性が大きく高まりました。
しかし、依然として「制度の谷間」は存在します。自立援助ホームの対象外となる若年女性への居住支援に
ついては、安定的な公的予算が確立されておらず、今後も国や自治体(子ども家庭庁、厚生労働省の両側
面)に対して、実態に即した支援制度の創設を働きかける必要があります。
本事業を通じて、「住居の確保を土台とした実務的な伴走支援」が、孤立した若年女性のリカバリーに極め
て有効であることが確認されました。今後は、拡大した拠点と強化された地域ネットワークを基盤に、退居
後のアフターケア体制をさらに充実させ、対象者が社会の中で自分らしく生き続けるための支援を継続して
いきます。
引用資料
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