• 公開情報
  • 2022年度

長野県

【事後評価】日本で最も火山防災の進んだ地域構築事業(一般社団法人 木曽おんたけ観光局)

団体
一般社団法人 木曽おんたけ観光局
種別
実行団体
事業
日本で最も火山防災の進んだ地域構築事業
種別
通常枠(災害支援事業)

報告書要約


本事業は、御嶽山火山マイスターネットワークが中心となり、登山者への安全啓発、Web を活用した情報発信、子どもを対象とした火山・防災教育、地域住民への学習機会の提供、さらに他地域の先進事例の視察を通じて、御嶽山周辺地域の火山防災力向上を目指して実施された。3年間の活動を通じ、計画を上回る取り組みが展開され、地域全体の防災意識向上に対して一定の成果をあげた点は特筆すべきである。
まず「啓発活動事業」では、登山者に対し御嶽山が活火山であるという基本認識の浸透、安全登山行動の促進を目的として対面型の啓発を継続的に行った。活動回数は計画を大きく上回る11回に達し、ロープウェイや登山口での直接呼びかけやヘルメット着用の推奨、ノベルティ配布などを実施した。アンケート結果では、活火山の認知度は98%以上と非常に高く、安全装備の携行も9割近くに達しており、啓発による意識の浸透が確認された。一方、実際の山頂でのヘルメット装着率が低いとの声もあり、単なる意識の向上にとどまらない「行動変容」を促す施策が今後の課題として浮かび上がった。
「Web発信事業」では、SNS や紙媒体を組み合わせた多角的な発信を展開し、新規メンバー加入による体制強化も図られた。SNS での継続的な情報発信に加え、「火山マイスターネットワーク通信」の発行によって幅広い層への情報到達が実現した。また、メディア出演依頼の増加など外部からの注目も高まり、活動の認知度向上に寄与した。とはいえ、閲覧数やエンゲージメント等のデータ分析は道半ばであり、客観的な評価指標を整備することが今後の大きなテーマである。
「サマースクール・火山学習プログラム」では、子どもたちが火山や防災を学ぶ場として、第24回サマースクールを御嶽山周辺で実施した。観察・実験・ワークショップを通じた実践的な学習により、参加者は火山に関する理解を深めるとともに、地域と火山の関わりや自然現象を科学的に捉える視点を育んだ。37名の参加者それぞれがテーマに沿った気づきを得ており、教育事業として高い成果が確認された。一方、プログラムが密で振り返りの時間が不足した点は、次年度以降の改善が望まれる。
「県内火山防災学習会(自主事業)」では、ビジターセンターを中心に地域住民や観光客に火山や防災を学ぶ機会を提供した。GWやお盆、さらには火山防災の日に合わせたイベントなど、多様なタイミングで学習機会を設定し、地域の継続的な防災教育の基盤形成につながった。自主財源による南信地区での展開も検討されており、事業の広がりが期待される。
「視察事業」では、草津や有珠山など全国の先進地を訪れ、地域での防災教育や火山との向き合い方について多くの知見を得た。有珠マイスターとの交流継続や学術大会での協力体制の構築など、地域を超えた連携の強化にも寄与している。箱根視察は今後の実施予定であり、その成果がネットワーク全体の方向性を整理する貴重な材料となることが期待される。
「災害食開発」は限られた予算の中で3年間の目標として、登山時、トレイル山歩き、または普段の携帯食でもニーズを広げレシピの開発ができた。郷土食にはどんぐりを使用し、味にもこだわり試食を重ね完成した。今後はマイスターネットワークの収入源となるよう製造販売スキームを構築したい。現在でも販売に向けてお土産店舗(木曽の道の駅等)に交渉している。
「ドローン活用事業」はマイスターが操縦資格を得ており、今後災害時に行政と組み物資輸送、災害状況の撮影、被害者捜索等に参入できるよう長野県危機管理課を覚書を交わす内容検討している。
総じて、本事業は「現場での啓発」「デジタル発信」「教育」「地域連携」「知見獲得」を総合的に展開し、御嶽山地域における火山防災力の向上に確かな成果をもたらした。一方で、行動変容の促進、データに基づく効果検証、学習プログラムの改善、視察成果の体系化など次の段階に向けた課題も明らかとなった。これらを踏まえ、今後は活動の質的向上と持続的な体制整備を進め、地域に根ざした火山防災ネットワークとしてさらなる発展を図ることが求められる。

引用資料

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