• 公開情報
  • 2022年度

島根県

【事後評価】格差なく子供の可能性が発揮できる居場所(一般社団法人エンター)

団体
一般社団法人エンター
種別
実行団体
事業
格差なく子供の可能性が発揮できる居場所
種別
通常枠(イノベーション企画支援事業)

報告書要約


島根県雲南市は過疎・高齢化が進んだ中山間地域で、光回線の網羅率が低い、公共交通である電車の改札も有人である等、最新のデジタルツールに触れる機会どころか一般に普及しているデジタルテクノロジーに触れる機会も非常に限られた環境にあり、デジタル格差が解消される見通しも立っていない。その為本市においては学齢期の子どもは都会地と比較してデジタルツールの活用イメージや就業イメージなども持ちにくい等の問題が発生している。
そこで本事業では雲南市におけるデジタルテクノロジーに触れる機会に恵まれない10歳~18歳の子ども、特に公的支援ともつながりにくく、より機会と疎遠になってしまっている不登校傾向児等を対象に、事業地域で触れる機会のないデジタルテクノロジーに触れることができる居場所を造成し、デジタルを通じた自己表現や創作を行えるサポートを行う事業を展開した。広域に展開する雲南市における交通の要所に近く、様々な人の目的地となりやすいショッピングセンター内の1区画を改装して居場所を造成し、スタッフと共にデジタル活用機会の提供を行えるピコテラスをオープンし、行政や教育支援センター等他組織とも連携しつつ対象者への支援を行った。
結果として、利用登録者数は目標の2倍近い326人、うち不登校等傾向は15.6%の利用とこちらも目標を超える実績を達成することができた。居場所としての在り方について模索し、スタッフの質の向上やノウハウの蓄積の結果、施設利用者は利用頻度が高いほど自己肯定感が増し、様々なデジタルテクノロジーに触れ想定の倍の作品を作り出すこととなった。また、その過程で捜索に向かうまでの安心安全及び信頼感の醸成が必要不可欠であることや肯定的なコミュニケーションによって前向きな変化を促す傾向があることが分かってきた。不登校等傾向の対象者の定着率も高く、しっかりと対象者に寄り添う、地域におけるデジタルの「たまり場」モデルの創出が出来た。
一方で、度重なる組織内体制変更等をはじめ組織基盤の強化は事業期間中いっぱい時間がかかってしまい、余力の無さも合わせて地域各所へのアウトリーチ不足が目立っていたことから今後の課題として関係団体との連携の強化や継続した広報活動の必要性などが挙げられた。
また本事業を通じた学びとして、地域における対象者世代の特性があげられた。本事業計画時には対象者は「デジタル機会に恵まれず、創作したい欲求を解消できずにいる」という対象者像を前提として全体の計画・設計を行っていたが、事業を通じて直接及び周辺から情報収集を行ったところ、対象となる年齢帯では創作に対する意識的なハードルが大変高く、多くの人にとっては苦痛であるということが示唆された。また、デジタルの機会格差について認識する機会も少なく、想定以上に潜在的な課題であったことも判明した。その為本地域におけるデジタル格差の解消に向けては時間がかかろうともまず創作を苦痛と感じない経験の蓄積や信頼関係の醸成が必須であり、場合によっては本事業の対象とした年齢よりも低年齢層からアプローチを始める必要があること、心理的なハードルを下げるために部活動や地域サークルといった形態を演出し他社に気兼ねなく活動できる環境を整備すること、機材に頼り切るのではなく対象者本人との対話を大切にししっかりとアセスメントを行った上で機材の活用を行っていく事、交通手段など広域に広がる地域ならではの課題に対応していくためにこちらから出向く形での機会提供も検討する必要があることなどの対応策が必要であると結論付けられた。

引用資料

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