【事後評価】人をつなげ支え合う持続可能な富田林市子ども食堂・居場所づくりトータルコーディネート事業(富田林市人権協議会)
報告書要約
1.事業開始前の状況
事業開始以前から、富田林市はこども食堂や居場所づくりに積極的であり、「こども食堂補助金」による立
ち上げ・運営支援や、「とんだばやし子ども食堂・居場所づくり運営支援ネットワーク」による研修・交流の機会
が整備されていた。しかし、開始時点でのこども食堂は14か所、校区内にこども食堂・居場所が一つ以上ある
小学校区は44%にとどまり、地域的な偏在が課題であった。
2.市民アンケートによるニーズの把握
課題を踏まえ、2023年度に全市民を対象とした「地域の居場所に関する市民アンケート」を実施した。その
結果、「地域に自分の居場所がある」と回答した人は52.5%にとどまり、約半数が居場所を持っていないと認
識していることが明らかとなった。一方で、居場所の必要性を感じている人は71%に上り、特に若者や高齢者
でその傾向が顕著であった。求められる居場所の条件としては、「交流できる」「自由に行ける」「自宅の近く」
「無料で支援につながる」といった点が挙げられた。
3.事業の三つの柱と推進体制
こうしたニーズを踏まえ、事業は三つの柱で展開された。第一に、すべての小学校区へのこども食堂・
居場所の設置をめざし、徒歩圏内で利用できる拠点の拡充を図った。第二に、利用者がニーズに応じた
居場所を探せる仕組みの整備、第三に、こども食堂・居場所の運営の安定化と継続性を支える支援体
制の構築である。
事業推進にあたっては、人権協議会、社会福祉協議会、きんきうぇぶによるコンソーシアムが形成され、
それぞれが事務局機能、ネットワーク形成、ICT化などの役割を担った。さらに行政も広報や制度面で支
援し、連携体制が整備された。
4.拠点数の拡大と地域への効果
事業の結果、こども食堂・居場所は事業開始時点の7小学校区14か所から、2026年1月時点で12
小学校区19か所へと増加し、こども食堂・居場所数は約36%の増加、校区内にこども食堂・居場所が
一つ以上ある小学校区は75%に向上した。これにより身近な利用環境の整備が進んだが、地域間の偏
りは依然として課題である。一方で、利用者、ボランティア、運営者へのアンケートにより、こども同士や大
人同士、さらには地域全体のつながりが強まるなど、コミュニティ形成の効果も確認された。
5.情報アクセス向上のための仕組みづくり
居場所を見つけやすくするため、スマートフォン対応のデジタル地図ツール「とんだばやし居場所つな
がりマップ」を開発し、2026年2月に公開した。現在67か所の情報が掲載されており、利用者が目的
に応じて居場所を選択できる環境が整備されつつある。
6.運営を支えるフードバンクの開設
運営支援の一環として、2025年4月に地域フードバンク「つながりフードサポートセンター(つなサ
ポ)」を開設した。企業や個人からの寄付、フードドライブなどを通じて食品を集め、こども食堂や生活困
窮世帯、ひとり親世帯などへ配布している。2026年1月時点で42団体が登録し、安定的な支援体制
が構築されつつある。
7.今後の課題と発展に向けた方向性
今後は、多様な居場所モデルの創出や運営の持続可能性の確保、担い手の育成と循環が重要であ
る。また、食支援にとどまらず、地域の「サードプレイス」としての機能強化や、福祉・教育機関との連携も
求められる。さらに、制度の狭間にある人々への支援の充実や、南河内地域全体を視野に入れた広域
連携の推進が必要である。
引用資料
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