【事後評価】大人も子供も学んで楽しい!三段峡ビジターセンター設置事業(特定非営利活動法人三段峡-太田川流域研究会)
報告書要約
(1)事業概要
本事業は、中山間地域の価値喪失による人口減少という課題に対し、安芸太田町の象徴的存在である三段
峡を核とした価値創造を目指し実施された 。具体的には、三段峡正面口の遊休施設をリノベーションしビジ
ターセンターを開設するとともに、三段峡ブランド商品の開発、カフェの実証実験、三段峡講座事業、三段峡
調査事業、三段峡発信事業の 6 つの事業を展開し、従来実施していた環境教育プログラム、体験ツアー、三
段峡の保全活動を強化することを目的とした。
(2)事業の目的とアウトカム
本事業の中長期アウトカムは、魅力的なコンテンツ開発やパートナーとの連携・協働を通じて三段峡の価値
を向上させ、三段峡に関わる人を増やし、三段峡を中心とした市場(マーケット)を拡大させるとして、そのた
めに、以下の3つの短期アウトカムを設定した。
〇歩くだけではわからない三段峡の自然や文化、楽しみ方が「見える化」され、三段峡の自然に関心の持つ
人の増加や来峡満足度が向上している。
〇環境教育プログラムやツアーが販売され、三段峡のファン、リピーターが増加している。来峡者と家族単位
でのコミュニケーションが図れる(関係家族の獲得)
〇三段峡での市場拡大のための取り組みが行われ、さんけんの取り組みが地域の経済に貢献している。
(3)事業の実績
本事業では、以下の主要な活動とアウトプットを達成した 5 …:
1 遊休施設のリノベーション事業: ビジターセンターをオープンし、年間来館者数は目標の 4,000 人に
対し 4,200 名を達成した。
2 三段峡ブランド商品の開発事業: 目標の 5 個を大幅に上回る 40 個のブランド商品を企画し、お土
産 10 種、カフェ商品 12 種を開発した。
3 カフェの実証実験事業: 週 5 日×9か月の計 214 日間カフェを運営し、売上金額は目標の 60 万円
に対し 953,013 円を達成した 。
4 三段峡講座事業: 139 回の講座を実施し、参加者数は目標の 1,500 人に対し 1,451 人となった。
5 三段峡の調査事業: 73回の調査を実施し、参加者数は目標の 300 人に対し 344 名となった。三段峡
図鑑には 357 種を掲載した。
6 三段峡発信事業: ビジターセンターのインスタグラムで 189 件の投稿を行い、フォロワー数は 420
人、さんけん公式 LINE のアカウント数は 95 人となった 。
(4)アウトカムの達成状況
短期アウトカムについては、概ね目標を達成した。特に、「三段峡での市場拡大のための取り組みが行わ
れ、さんけんの取り組みが地域の経済に貢献している」については、対象となる勘定科目の総額が目標の
55 万円に対し 75 万円、ビジターセンター全体の売上が目標の 200 万円に対し 317 万円となり、目標
を大きく上回った。来峡者アンケートの回収数は目標を下回ったものの、満足度は目標の 4 を上回る 4.09
であり、自然や三段峡への関心の高い層へは魅力的なコンテンツを提供できたと考えられる。
(5)成功要因と課題
成功要因として、「三段峡野外博物館」という一貫したコンセプト、設立以来のフィールド調査研究を基本と
した協業、学術調査の成果を収益化するサイクルの確立、内部の専門性の高いスタッフの存在、地域住民や
ボランティアからの協力、地域おこし協力隊の加入やカフェ経験のあるスタッフの雇用などが挙げられる。
課題としては、来訪者のニーズに対する関心の低さ、団体の収益を上げる体質の不足、地域経済に貢献する
ための地域内のステークホルダーとの協業の難しさ、事務所と倉庫に代わる拠点の整備の必要性などが挙
げられる。特に、来訪者は「自然」や「歴史・文化」よりも「景勝」そのものに関心がある傾向が見られた。また
地域内の観光事業者との連携において課題が見られた。
(6)本事業で取り扱った活動を発展させるための提言
1 三段峡観光に関するマーケティングの強化: 来訪者の地域情報を収集し、景勝としての三段峡の魅力
に焦点を当てたコンテンツ開発を行う。
2 地域との連携強化: 観光事業者との協力関係を深めるため、情報発信やヒアリングを積極的に行い、広
範囲の連携も視野に入れる。
3 組織基盤の整備: 事務所・倉庫に代わる拠点を整備し、マーケティングに関する専門性を向上させ、多
様な収入源の確保を目指す。
4 活動の財源確保: 事業収入の増加に加え、寄付や会費の増加、企業の寄付プログラムへの参加、新たな
助成金の獲得に継続的に取り組む 。
5 ビジターセンターの更なる活用と発展: DIY 等による改修を継続し、魅力発信、体験プログラムの提
供、交流拠点としての機能を強化する 20 ।
(7)事業からの学び・知見・教訓
本事業を通じて、DIY を通じた新たなボランティアとの協力関係の構築、ビジターセンターが地域住民同士
を結びつけるきっかけとなること、協業における信頼関係の重要性、一般の来訪者は必ずしも自然に関心が
高いわけではないという知見、指標を持つことの重要性、資金分配団体からの伴走支援の意義を学んだ。
(8)今後の事業の実施見込み
助成終了後も、本事業で培ったノウハウや構築した基盤を活かし、ビジターセンターを拠点として、三段峡の
魅力発信と地域活性化に向けた活動を継続していく見込みである。カフェ部門とツアー部門での雇用を維持
し、事業収入と寄付によりビジターセンターの持続的な運営を目指す。
(9)事後評価の結論
本事業は、「三段峡野外博物館」という一貫したコンセプトのもと、遊休施設の有効活用、新たなコンテンツ
の開発、地域との連携などを推進し、三段峡の価値向上と地域活性化に貢献したと考えられる。特にビジタ
ーセンターの設置は、情報発信拠点としての役割を果たし、新たな来訪者の獲得や地域住民の交流促進に寄
与した。一方で、来訪者の多様なニーズへの対応や、地域経済への更なる貢献に向けて、今後の取り組みを
強化していく必要性が示唆された。
引用資料
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