【事後評価】地域循環再生経済を支える『みみず』的人材の育成事業(株式会社みみずや)
報告書要約
本事業は、地域に根付く伝統的な価値観や同調圧力が、特に若者や子どもたちの生きづらさを
生み出しているという課題に取り組んだ。
この問題が、地域全体の活力低下や担い手不足を引き起こしていることを踏まえ、事業では次の
3 つの柱を掲げ、従来の縦割り支援の隙間を埋める新たな支援モデルを構築した。
1社会的課題の解決を担う若者の能力開発支援
2日常生活や成長に困難を抱える子どもや若者の育成支援
3地域の働く場づくりの支援
このモデルの特徴は、単なるスキル習得ではなく、内省と対話を重視し、地域に強固に残る暗黙
知が妨げる個々の成長について地域社会全体の活性化につながるよう設計されている点にある。
事業の成果として、地域の若者が新たな働き方や起業に意欲を持つようになり、実際に地域で
起業するケースも生まれた。
例えば、地域資源を活用した事業を立ち上げた若者や、地域課題の解決に向けたプロジェクト
を主導する人材が増えている。また、地域の子どもたちにおいても、大人との対話やワークショップ
を通じて主体的な学びの姿勢が養われ、地域に対する関心が高まったことが確認された。
さらに、世代や立場を超えた対話の場が広がり、地域内での相互理解や協力関係の深化が進
んだ点も、重要な成果の一つである。
地域資源の活用については、建設残土や空き家の再定義が行われ、資源循環型社会への具
体的な取り組みが進んだ。
また、行政や企業との連携が強化され、行政職員の意識改革や大手企業との共創プロジェクト
が実施されるなど、地域を超えた柔軟な連携体制が構築された。
本事業の特色は、スキルの習得を第一の目的とせず、まず「自己を取り戻す」こと、すなわち内省
と問いの発見によって自己の本質を確認することを重視している点にある。このプロセスは、あたか
も土壌の中で根を張るような成長過程に例えられる。
参加者は、自らの強みや課題を深く理解し、それを基盤に新たな価値を生み出す方法を探求す
る。これにより、従来の表面的なスキル獲得を超えた、本質的な自己成長が促進される。
例えば、DIY ワークショップや地域ファシリテーター養成プログラムなどの実践的な場を通じて、
参加者は自らの学びを深め、地域課題の解決に向けた実践を積み重ねた。こうした内面的な成長
が、結果として、地域資源の活用や新たな価値創造、外部との連携強化といった目に見える成果
へとつながっている。
一方で、本事業を通じていくつかの課題も明らかになった。特に、行政とのさらなる連携の強化、
外部リソースの導入、定量的な評価の強化が求められる。これまでの成果を踏まえ、育成された人
材が継続的に地域課題に関わり続けるための環境整備が不可欠である。
今後の取り組みとしては、改修施設の運営マニュアル整備や成功事例の体系化、定期的な自己
評価会議の開催、ファシリテーター養成プログラムの継続的実施が必要となる。また、行政・企業・
教育機関との合同会議やオンラインプラットフォームの活用による情報共有を強化し、地域内外の
連携を深めることが求められる。
加えて、助成金終了後も持続可能な事業運営を実現するため、業務受託、自主事業、行政補
助金、企業スポンサー、クラウドファンディングなど、多角的な資金調達の方法を検討することが重
要である。
本事業の成功をさらに発展させるためには、改修施設の運用ノウハウを体系化し、他地域へ展
開する情報発信基盤を確立することが不可欠である。また、内省と問いの発見を重視したプロセス
を維持しながら、価値創造と課題解決の実践事例を広く共有し、他地域や他分野の取り組みとも連
携を図ることが求められる。
さらに、行政・企業・地域住民・教育機関との定例会議や合同ワークショップを実施し、都市と地
方の価値交換を促進することで、人的リソースの提供と地域全体の活性化を進めることが重要とな
る。こうした取り組みにより、地域循環再生経済の実現に向けた新たな展開が期待される。
総じて、本事業は、経済的にも地理的にも厳しい地域において、内省と対話を通じた「みみず」
的人材の育成と地域資源の再活用により、持続可能な地域活性化モデルを構築することに成功し
た。
しかし、定量データの可視化、行政との連携強化、外部リソースの導入、ICT 活用の強化など、
今後の改善が必要な課題も明らかとなった。
伴走支援体制は非常に効果的であったが、さらなる連携の深化と評価指標の充実により、持続
可能な地域循環再生経済の実現に向けた基盤をさらに強固にしていく必要がある。今後は、これら
の課題に対応しながら、事業の成果を発展させ、持続的な地域活性化の実現に向けた次のステッ
プを踏み出していきたい。
引用資料
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