【事後評価】生活困窮に陥る若年女性の総合支援事業及び支援者育成事業(POSSE)
報告書要約
本事業は、生活困窮に陥る若年女性を対象に、労働相談・生活相談という相談支援、住居支援、人材育成を一体的に実施し、就労継続と生活安定を支える支援モデルの構築を目的として実施された。特に、就労しているが支援制度につながりにくい「ワーキングプア」状態の若年女性に焦点を当て、DV 被害者などの属性を問わず相談できる支援体制の構築と、支援の担い手となる相談員の育成を中核的な目標とした点に本事業の特徴である。
この報告書の作成時点までの事業期間中、相談件数は 83 件、うち 71 件が継続支援となり、そのうち就労継続支援としては 9 件が成功といえる事例となった。また、住居支援としてシェルター運営を行い、4 名の利用者に対して安全な居住環境を提供し、生活保護制度の利用や転居支援を通じて生活再建につなげることができた。これらの支援を通じて、若年女性が労働問題や生活困窮に直面した際に孤立せず、権利行使と回復のプロセスに入るための実践的支援を行ってきた。
本事業の最大の成果は、人材育成における成果である。女性相談員の育成に重点的に取り組んだ結果、労働相談・生活相談の双方に対応できる相談支援スタッフが育成され、支援体制の量的・質的拡大が実現した。OJT や研修を通じて、労働法の活用、行政制度への接続、専門機関との連携、伴走型支援の実践力を備えた人材が地域に蓄積されたことは、事業終了後も継続的な社会的インパクトを生み出す基盤となっている。これにより、支援の属人化を超えた持続可能な支援体制の構築に寄与した点は、本事業の構造的成果といえる。
また、外部団体との連携体制の強化も重要な成果である。社会福祉法人、教会、支援団体等との協働を通じて、住居支援・就労支援・生活支援を分担する包括的支援ネットワークが形成され、単独団体では対応困難な複合課題への対応力が向上した。これにより、地域における若年女性支援の社会資源としての機能が強化された。
一方、シェルター事業については、稼働率の低さや資金確保・物件確保の困難性といった課題が明確になり、独自運営の継続は断念する判断に至った。しかし、これは事業の失敗ではなく、地域資源との連携型住居支援モデルへの転換という現実的な出口戦略の形成につながっている。今後は、既存の住居支援団体との接続・協働を通じて、住居支援ニーズへの対応を図りつつ、当団体は労働問題の支援を軸とした専門性の高い伴走支援に注力する体制へと移行していく。
総合的に見て、本事業は、若年女性の生活困窮リスクに対する早期介入型支援モデルの構築、人材育成を基盤とした持続可能な支援体制の形成、地域支援ネットワークの拡充という点において明確な成果を上げたと評価できる。とりわけ、人材育成による支援基盤の強化は、事業終了後も波及的効果を持続的に生み出す構造的成果であり、本事業の最も重要な社会的インパクトである。
引用資料
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