• 公開情報
  • 2023年度

福岡県

【事後評価】久留米市を中心とした令和5年豪雨被害による被災者支援事業(特定非営利活動法人 YNF)

団体
特定非営利活動法人 YNF
種別
実行団体
事業
久留米市を中心とした令和5年豪雨被害による被災者支援事業
種別
通常枠(災害支援事業)

報告書要約


本事業は、令和 5 年 7 月豪雨により被災した久留米市の在宅被災者および公営住宅等への
避難者を主な対象として、個別訪問を軸とした伴走型の生活再建支援を行うとともに、土
砂災害被災地域においては地域主体の復興および防災に向けた対話の場づくりを実践した
ものである。事後評価の結果、本事業は、被災者一人ひとりの状況に即した支援を着実に
積み上げるとともに、地域および行政との関係性を再構築し、災害対応と平時の福祉・防
災を接続する実践的なモデルを構築した点において、高い成果を上げたと結論づけられる。
在宅被災者支援においては、本事業では 223 世帯の床上浸水世帯を対象として個別訪問を
実施し、そのうち 23 世帯について住まいに関する具体的な課題を把握した。被災から時間
が経過する中で、制度利用の遅れや情報不足、経済的制約などが複合的に重なり、支援に
至っていない世帯が一定数存在していたが、本事業では丁寧なアウトリーチを通じて実態
を可視化した。最終的に 43 世帯1で支援を終結させることができた。また、住まいの再建
に向けた行動が見られなかった世帯数は、当初把握した 79 世帯中 58 世帯減少しており、
個別支援が再建行動を後押しした成果が数値として確認されている。

さらに、公的支援制度だけでは解決が難しい「支援困難世帯」についても、21 世帯を特定
し、延べ 129 回に及ぶ面談を実施した。これらの世帯は、複合的な生活課題や合意形成の
困難さを抱えており、行政単独では対応が難しいケースであったが、本事業では関係機関
と連携しながら継続的な関わりを行い、課題整理や次の支援への橋渡しを行った点に大き
な意義がある。なお、公営住宅等への避難者支援においては、所在確認が可能であった 44
世帯すべてに対して支援を実施し、終の棲家に関する見通しを立てる支援を行った。住宅
再建の選択肢が多様化する中で、被災者自身が状況を整理し、今後の生活設計について主
体的に判断できるよう支援を行ったことにより、支援の長期化や停滞を防ぐ効果が確認さ
れた。

また、久留米市竹野校区三明寺地区においては、土砂災害という地域特性を踏まえ、当初
想定していた住宅再建をめぐる集団的合意形成ではなく、住民の実情に即した交流会「三
明寺・富本地区 復興応援ランチ会」(以下ランチ会)を中心とする取り組みへと柔軟に転
換した。10 回にわたる交流会の実施を通じて避難行動や生活再建、地域の将来像について
語り合う場が形成された。これは、防災と生活再建を一体的に捉え、平時から継続的に関
係性を育むという新たな地域支援のあり方を示す成果である。加えて、本事業を通じて久
留米市役所各課、社会福祉協議会、アカデミア、民間企業との多層的な連携が深化し、個
別支援で得られた知見が制度運用や政策提言へと波及した。市営住宅の入居期限延長や、
り災認定の再調査による支援内容の見直しなど、現場の実態に基づく具体的な制度改善が
実現したことは、被災者個人の生活再建にとどまらず、行政施策全体の質の向上にも寄与
している。

以上より、本事業は、局所災害において見過ごされがちな在宅被災者や支援困難世帯に焦
点を当て、個別支援と地域支援を往還させながら生活再建を後押しする実践的なモデルを
確立したと評価できる。一方で、災害規模による支援制度の限界や福祉資源の地域間格差
といった構造的課題も明らかとなった。本事業で得られた成果と知見は、今後の被災者支
援の高度化および「誰も取り残さない」支援体制の構築に向けた重要な基盤となるもので
ある。

引用資料

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