• 公開情報
  • 2022年度

大阪府・東京都

【事後評価】多角的福祉サービスにより、LGBTQの支援/啓発センターを全国に(特定非営利活動法人ReBit)

団体
特定非営利活動法人ReBit
種別
実行団体
事業
多角的福祉サービスにより、LGBTQの支援/啓発センターを全国に
種別
通常枠(草の根活動支援事業)

報告書要約


本事業は、失業、生活困窮、障害、ひきこもり等の複合的な困難を抱えるLGBTQが、安心して福祉制度や社会資源にアクセスできる地域環境の構築を目的として、2023年2月から2026年1月まで実施したものである。LGBTQは、行政・福祉・就労支援の現場において不適切対応やSOGIハラスメントを経験する割合が高く、既存制度を安全に利用できない構造的課題を抱えてきた。その結果、支援から孤立し、困窮やメンタルヘルス悪化、自死リスクの高まりにつながる事例も少なくなかった。

本事業では、こうした課題に対応するため、就労移行支援事業等の障害福祉サービスと、相談支援・居場所事業・啓発事業等の制度外支援を組み合わせた多角的福祉モデルを構築した。東京・大阪を中心に、1当事者への伴走型支援、2対人援助職・行政職員への研修・啓発、3行政・関係機関との連携・アドボカシーを三本柱として事業を展開した。
事業期間中には、相談・就労支援・居場所事業を通じて多数の当事者を支援するとともに、全国の行政機関、福祉事業者、医療機関、企業、大学、市民団体等との連携を拡大した。その結果、地域関係者のネットワーク構築においては、目標 50 団体に対してのべ 180団体との連携を実現し、達成度 360%となった。支援者への啓発においても、年間目標2400 人に対して 3176 人に到達し、達成度 132%を記録した。さらに、行政計画等へのLGBTQ 記載自治体数は、目標 43 自治体に対し 258 自治体以上へと拡大し、制度的包摂の大幅な進展が確認された。
これらの成果は、当事者性と専門性を併せ持つ支援体制、制度内外を接続する柔軟な支援設計、行政・民間・市民社会との継続的な関係構築によって支えられてきた。一方で、就労移行支援事業において定員を十分に充足できない状況や、地域間格差なども明らかとなった。これらは、制度要件と現場ニーズの間に存在する構造的ギャップに起因する部分も大きく、今後の改善が求められる。

また、本事業は当初想定を超える波及効果も生み出した。他団体において福祉制度を活用した LGBTQ 支援が広がり、大阪では計画相談支援、愛知では地域活動支援センターの運営が開始されるなど、モデルの横展開が進んだ。さらに、厚生労働省主催研修での講師登壇やハンドブックへの事例提供、継続的なアドボカシーを通じて、福祉分野での SOGI ハラスメント防止の重要性が国の施策レベルでも認識されるようになった。

出口戦略および持続化の観点では、制度収入、寄付金、自主事業収入、委託事業等を組み合わせた複線的財源構造を構築し、助成金依存度の低減を実現した。支援者向け研修事業の拡充により自主財源も拡大し、助成終了後も事業を継続・発展させる体制が整備された。加えて、既存拠点や人的資源の活用、役割分担の明確化により、高い費用対効果を維持した運営を実現した。

本事業を通じて得られた知見は、複合的困難を抱える LGBTQ への支援には、現行の法制度の枠組みの中で制度内支援と制度外支援を接続した伴走型モデルにより支援の網目を細かくするとともに、制度の枠組みによって取りこぼされないよう、現場実践と政策提言を往還させるアドボカシーの両輪が不可欠であるという点である。今後は、本事業で得られた知見をさらに整理・発信し、国および自治体との連携を深化させながら、誰もが必要な支援を安心して利用できる制度環境の構築を目指していく。

引用資料

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