【事後評価】若年困窮女性の経済的自立のための住まい確保支援事業(特定非営利活動法人ワンファミリー仙台)
報告書要約
コロナ禍を機に、当法人の支援を求める若年女性からの相談やシェルター利用の数は大幅に増
加し、家族との断絶、日常的虐待や暴力の体験、対人コミュニケーションが苦手、といった複合
的な困難を抱える若年女性からの相談増により、若年困窮女性に特化した支援の必要性は日々高
まっていく感があった。
一方、当法人では若年女性への支援に関して 3 つの課題認識があった。
一つは、女性専用の居住環境の不足である。DV や虐待被害を受けたトラウマへの懸念もあり、
女性が安心して生活できる物理的環境の整備が若年女性の支援においては必要であるが、当時そ
うした支援施設は所有していなかった。
次に、若年層との信頼関係構築に関するスキル不足である。若年女性は課題内容が多様で他者
に心を開きにくい面があるが、こうした当事者との信頼関係を構築する知見や経験、情報、支援
スキル不足が顕在化していた。
さらに、若年層に届きやすい相談導線の整備が不十分であった。LINE や X(旧 Twitter)とい
った SNS が情報収集の主要ツールである若者に対し、アクセスしやすい相談ルートが確立されて
いないことにより、悩みを抱えた若年女性に対し支援を提供する機会を構築できていないという
問題が明確となった。
こうした状況を踏まえ、本事業は、若年困窮女性が安心して相談できる体制と、一時的に居住
しながら生活を立て直すことができる環境を整備することを目的として本事業を実施した。
本事業実施の結果、事業申請時に想定していた規模と同程度の若年困窮女性からの相談および
入居支援ニーズが存在することを確認。また、若年困窮女性本人からの入居相談に加え、行政や
関係支援機関からも本事業を活用した支援要請や対応依頼が寄せられ、事業の支援スキームが地
域のニーズに合致し、実務上も有効に機能することが明らかとなった。
住宅整備完了後は支援を必要とする若年困窮女性の入居が着実に進み、最終的に整備した住宅
の入居率は 85%に達した。これは、若年困窮女性の住まい確保ニーズの高さを示すとともに、本
事業が対象者にとって実効性のある支援であったことを示している。
さらに、本事業では住まいの提供に加え生活支援を実施した。入居者 5 名へのアンケートでは、
全員が「相談できる人が増えた」「生活スキルが向上した」と回答し、総合評価として全員が「支
援を受けてよかった」と回答した。安心して生活再建に取り組める基盤が形成され、支援スタッ
フや他の入居者との日常的な関わりを通じて孤立解消や精神的安定につながったことが確認され
ている。
こうした成果は、若年困窮女性が自立に向かう過程において重要な中間成果であり、本事業の
社会的意義を裏付けるものである。
事業申請時に想定していたのと同程度の相談件数があった点と、整備した住宅の入居状況から、
設定した課題およびニーズは適切であったと評価できる。また、住居支援と生活支援の両輪によ
るサポートが、社会的にも孤立した若年困窮女性の生活再建に十分寄与することが確認されたこ
とは、事業設計の整合性の高さと、地域における支援資源として一定の役割を果たしたことを示
している。
これらから、本事業はコロナ禍以降に顕在化・拡大した若年困窮女性の支援ニーズに対し、適
切な課題設定のもと一定の成果をあげた事業であったと結論づけることができる。
助成金を活用した住宅の確保・整備および受け入れ体制の構築に想定以上の時間を要し、最終
年度に支援を開始し直後に助成期間が終了した。若年困窮女性が安定した自立に至るまでには、
一定期間の継続的な支援が不可欠であることから、助成期間内に事業物件を卒業するまでの成果
を示すことができなかった点は課題として認識している。
今後は、住宅確保・整備を含む事業準備段階を計画的に進めるとともに、支援期間を十分に確
保できる事業設計とすることで、若年困窮女性の自立に向けたさらなる成果創出が期待できる。
(1)実行団体名 特定非営利活動法人ワンファミリー仙台
(2)実行団体事業名 若年困窮女性の経済的自立のための住まい確保支援事業
(3)資金分配団体名 公益財団法人 地域創造基金さなぶり
(4)資金分配団体事業名 若年困窮女性の孤立防止と経済的自立支援
(5)実施期間 2023 年 10 月 1 日~2026 年 2 月 28 日
(6)事業対象地域 宮城県
引用資料
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