【事後評価】多発する豪雨災害から地域住民の命を守るための防災力向上事業(ひろしま防災減災支援協会)
報告書要約
本事業は、多発する豪雨災害から地域住民の命を守ることを目的に、「子どもを起点とした防災教育」
と「地域連携による防災力向上」に取り組んだものであり、総合的に見て中核的な成果である防災意識
の向上と行動変容の促進について、高い達成度を示したと結論づける。
最大の成果は、防災を「自分事」として捉える住民の増加である。キッズ防災士養成講座には延べ
4,000 名以上が参加し、子どもが家庭に学びを持ち帰ることで、保護者や家族の意識変容が促され
た。実際に、保護者が防災士資格を取得するなど具体的な行動変化も確認されており、子どもを起点と
したアプローチが家庭内に波及する有効な手法であることが明らかとなった。
また、防災イベントでは参加者の 96%以上が「防災対策に取り組もうと思った」と回答しており、短時
間の働きかけであっても高い意識変容を生み出している。回答数の少なさという課題はあるものの、
参加者一人ひとりへの影響は大きく、質的な成果は極めて高い。
さらに、自治会役員や防災士向けの講座・訓練では、主体的に行動しようとする意識の向上が確認さ
れ、地域防災力の底上げにつながった。特に体験型訓練や子どもの参加は、従来の訓練に新たな価値
をもたらし、世代を超えた参加促進と地域全体の意識向上を実現した。これにより、防災訓練の再開や
新規実施といった具体的な地域の動きも生まれている。
加えて、若年層による防災活動の自発的な展開や、外国人向けイベント、県外への事業波及など、本事
業の効果は地域外にも広がりを見せている。これは本モデルの有効性と展開可能性を示す重要な成果
である。
一方で、家庭向けアンケートの未実施などにより、成果の定量的把握が不十分であった点や、組織基盤
の強化・中長期計画の策定が進まなかった点は課題として残った。すなわち、現場での実践力は高い一
方で、それを支える評価体制と運営基盤の整備に改善の余地がある。
以上より、本事業は「防災意識の向上と行動変容」という目的に対し高い成果を達成した。特に子ども
を起点とした手法は、家庭・地域へと連鎖的に影響を広げる有効なモデルであり、今後の展開が期待さ
れる。今後は、評価手法と組織基盤の強化を進めることで、成果の可視化と持続性を高め、地域防災力
のさらなる向上に寄与していくことが求められる。
引用資料
RELATED
同じプロセスの関連ナレッジ
【事後評価】難民の背景を持つ移住女性の社会統合促進事業(社会福祉法人日本国際社会事業団)
【事後評価】生活困窮に陥る若年女性の総合支援事業及び支援者育成事業(POSSE)
【事後評価】原子力災害を契機として、孤立感・孤独感を抱えている女性に、安全・安心な居場所を提供する重層的支援事業(株式会社はま福)
【事後評価】ひとりひとりの困りごとを地域で解決するホゴちゃんHUB(京都わかくさねっと)
【事後評価】みんなの居場所事業(西本願寺白光荘)
MORE
他のプロセスの関連ナレッジ
『歩きにくさ体験』|特定非営利活動法人 U.grandmaJapan
- #防災減災