• 公開情報
  • 2022年度

北海道

【事後評価】プログラミングLAB美唄(株式会社イトナブ)

団体
株式会社イトナブ
種別
実行団体
事業
プログラミングLAB美唄
種別
通常枠(イノベーション企画支援事業)

報告書要約


本事業「プログラミングLAB美唄 循環型教育モデルを活用した育成・関係構築」は、地方都市の子どもたちに対し、デジタル技術と心理的安全性が融合した学習環境の構築を試みたものである。3年間デジタル創作体験を提供した結果、子どもたちの姿勢が「用意された遊びを楽しむ段階」から「自ら楽しみを創り出す段階」へと変化する兆しが見られた。
利用者アンケートにおいて、自己肯定感に関連する設問(「自分にはよいところがある」)に肯定的に回答した利用者が96.6%(文部科学省「全国学力・学習状況調査(令和5年度)」全国平均比+13.1pt)という高い数値を示したのは、MITメディアラボが提唱する「4P(Projects:プロジェクト、Peers:仲間、Passion:情熱、Play:遊び)」という創造的学習の環境に倣った点が有効だったと考えられる。また、生成AIを子どもの「つくりたい」を支える「伴走のインフラ」として積極的に活用したことが、優れた相乗効果を生んだ。具体的には、AIが曖昧なアイデアを可視化したり、エラー解決のヒントを提示したりすることで、子どもたちの技術的な挫折を回避できた。その結果、「子どもたちの興味関心」を自然な流れで「創作体験」へと昇華させるに至った。さらに、運営面においても、AIを業務の「たたき台作成」や「情報整理」に活用し、業務効率を大幅に向上させた。
定量的な事業成果としては、実利用者数が420名(目標75名に対し560%達成)、延べ利用者数が4,176名(目標250名に対し大幅増)と、当初計画を大きく上回る利用があった。特筆すべきは、前述の自己肯定感の高さに加え、心理的不安スコアがゼロであった点である。本拠点が子どもたちにとって安心安全な居場所として機能していたことが実証された。成果を上げた要因には、拠点運営において「場づくり」と「IT」の専門知識が高度に融合したことが挙げられる。本事業の統括責任者は、大学でコミュニティデザインを指導し、「伴走支援」のメソッドを有している。スタッフの多くは当初居場所づくりの専門家ではなかったが、専門書籍を用いた「定例の読み合わせ」や、日々の振り返り(good/motto)を通じ、「学習と対話の文化」を根付かせることで、未経験をチームの知恵へと転換できた。これらに、イトナブ各部門の業務を通じて各メンバーが培った「ITの専門性」が掛け合わされたことで、子どもが自発的に「何かを創ってみたい」と思える空間の整備につながった。
事業の持続可能性と出口戦略については、行政・地域との連携による「ハイブリッドな財源構成」への移行が進んでおり、育成した人材やノウハウが地域に還元される循環が生まれつつある。行政との連携においては、美唄市より通年のデジタル人材育成事業「未来クライム」を受託した。さらに、市内中学校教員へのAI講習会の開催、美唄警察署からのサイバーセキュリティ啓発イベントの相談を受けるなど、ITの専門性を軸とした協働が進んでいる。地域企業・団体とも、地域の祭り(びばい歌舞裸まつり)でのeスポーツ大会共催や、他団体とのドローンワークショップ開催など、年間平均3件以上のコラボレーションを実施しており、当初の想定以上に外部からの連携打診が増加する傾向が見られた。
以上のことから、本事業は「デジタル×居場所」というアプローチにより、地方の子どもたちの自己肯定感を高め、主体的な創造性を育むための有効なモデルを構築できたと考える。機材やAIはあくまで道具である。そこに適切な「伴走」があって初めて、一人ひとりの「つくりたい」に深く寄り添うことができる。

引用資料

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