• 公開情報
  • 2022年度

全国

【事後評価】全国の母子ハウスネットワークを活用した伴走自立支援プログラム(全国ひとり親居住支援機構)

団体
全国ひとり親居住支援機構
種別
実行団体
事業
全国の母子ハウスネットワークを活用した伴走自立支援プログラム
種別
通常枠(草の根活動支援事業)

報告書要約


事業の背景と目的
日本のひとり親家庭、特にシングルマザーが直面する「居住の不安定さ」と「経済的困窮」は、単なる金銭的援助だけでは解決できない根深い構造的課題である。本事業は、休眠預金を活用し、2022 年度より全国の母子ハウスネットワークを基盤とした自立支援プログラム「SWIP(Supporting Women’s IndependencePrograms)」を実施した。住まいという物理的な安全網の上に、心理的ケア(コーチング)と経済的ケア(FP・キャリコン)を統合することで、ひとり親が「支援の受益者」から「人生の主体者」へと変容するモデルの構築を目的とした。
事業の構成と成功要因
本プログラムの成功は、以下の 2 つの柱に集約される。
1. 「心」へのフォーカス: 従来の就労支援に先立ち、コーチングによって損なわれていた自己効力感を回復させた。目先の生存に追われる「生存モード」から脱却し、未来を設計するための心理的余白を創出したことが、行動変容の鍵となった。
2. 住まいを基軸とした多職種連携: 最長 6 ヶ月の家賃補助という「猶予期間」をプラットフォームとし、ハウス運営者、コーチ、FP がチームで伴走した。支援者側の負担を分散しつつ、各専門領域から多角的にアプローチする設計が、支援の質を飛躍的に高めた。
主な成果(アウトカム)
• 定量的成果: 参加者の多くが就労形態の改善(無職から就業、パートから正社員等)や、NISA 活用等の具体的な資産形成に着手した。また、経済的 DV 環境からの脱却と離婚成立を同時に実現するなど、生活再建のスピードが劇的に向上した。
• 定性的成果: 「自分は何もできない」という呪縛からの脱却、および困難に直面した際に適切に助けを求める「受援力」の獲得が確認された。これはプログラム終了後の持続的な自立を支える精神的基盤となっている。
事業の効率性(費用対効果)
本プログラムの実施コストは一人当たり 815,000 円であるが、参加者が納税者(年収 300 万円世帯)として自立した場合、世帯が支払う税・社会保険料等により約 13 ヶ月で投資額が社会的に回収される。児童扶養手当の支給抑制額まで加味すると、回収期間は約 8.3 ヶ月に短縮される。本事業は、一時的な扶助ではなく、極めて投資効率の高い「社会投資モデル」であることが実証された。
結論と今後の提言
SWIP は、居住支援と専門的伴走を一体化させることで、ひとり親家庭の自立を加速させる実効性の高いモデルであることを証明した。今後は、以下の 3 点を軸に社会実装を推進すべきである。
• こども家庭庁の「一体的支援強化事業」等への本モデルの標準組み込みと自治体予算化の促進。
• 個別の草の根団体を支え、専門家ネットワークを統括する「中間支援組織」への公的支援の確立。
• プラットフォーム「マザーポート」を通じたエビデンス蓄積と、それに基づく政策提言の継続。

引用資料

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