• 公開情報
  • 2022年度

熊本県

【事後評価】支援から資源へ 障害者が支えるさつまいも産地のための農福連携(株式会社なかせ農園)

団体
株式会社なかせ農園
種別
実行団体
事業
支援から資源へ 障害者が支えるさつまいも産地のための農福連携
種別
通常枠(ソーシャルビジネス形成支援事業)

報告書要約


本事業は、一般財団法人日本民間公益活動連携機構(JANPIA)が公募する休眠預金等活用事業の一環として、株式会社クロスエイジを資金分配団体とする「九州のスター的な農家による農福連携事業」に採択され、株式会社なかせ農園が実施した「支援から資源へ 障害者が支えるさつまいも産地のための農福連携」である。
本報告書は、一般財団法人日本民間公益活動連携機構(JANPIA)が実施する休眠預金等活用事業において、株式会社クロスエイジを資金分配団体として、株式会社なかせ農園が実施した「支援から資源へ 障害者が支えるさつまいも産地のための農福連携」(実施期間:2023年4月28日〜2026年2月28日、実施地域:熊本県菊池郡大津町および近隣地域)の事後評価結果を取りまとめたものである。大津町では障がい者(手帳所持者)が1,880人、うち生産年齢(18〜65歳)が794人である一方、町内の就労継続支援A型事業所は2事業所(定員計30名)に限られ、利用者数は28名と受け皿が限定的である。加えて農業分野では高齢化と担い手不足が進行しており、さつまいも産地では出荷調整(選別・袋詰め等)を中心に慢性的な人材不足が課題となっていた。
本事業は、なかせ農園が中核となり、1就労継続支援A型事業所「ReZou」の開設(2026年1月)、2農業ICT・DX設備の導入とマニュアル整備による作業の標準化・省力化、3既存の就労支援事業所との連携による施設外就労の受入拡大、4SNSや視察・講演等による情報発信、を組み合わせて、農業の人手不足と障がい者の就労機会不足を同時に解決する基盤づくりを目的として実施した。
本事業が体現したのは、「社会性×事業性×革新性」を兼ね備えたソーシャルビジネスの創出である。従来の農福連携が「障がい者ができる簡単な作業」を探すアプローチをとってきたのに対し、本事業はそのパラダイムシフトを図り、「障がい者でもプロの仕事ができる工程」へと農作業そのものを作り変えることに挑んだ。具体的には、イノベーション1として農業DXによる作業の標準化と重労働からの解放を実現し、イノベーション2として科学的アプローチ(WAIS検査・産業カウンセラーによる面談等)で心理的安全性を担保する職場環境を整備した。これらのイノベーションが相まって、障がい者が「支援を受ける側」から地域農業を支える「資源」へと転換するモデルが生まれた。
事業期間中、標準化に資する設備5機の導入、作業マニュアル5項目の整備、連携就労支援事業所1箇所との協働体制の構築を達成した。施設外就労では常時6名程度が農作業・出荷調整等に従事し、農家側では出荷工程のボトルネック緩和と作業効率の向上に寄与した。また、講演・視察等による情報発信は延べ約300名に到達し、SNSでは月間閲覧数約3.5万人(最大値)を記録した。加えて、農林水産省「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」(第11回選定)特別賞の受賞等により、対外的な認知と信頼性の向上につながった。
短期アウトカムとして、(1)農福連携に特化したA型事業所の新設により就労の選択肢を拡大したこと、(2)施設外就労に参加した利用者の就労継続、(3)産地連携組織「イモセガレ」理事5軒の合計経営面積が25haから33haへ拡大したこと、(4)視察・講演等を通じた情報発信により関係者(当事者親・支援者・農業者等)が就労支援の見通しを持つ機会が増えたこと、を確認した。
一方、「ReZou」の利用者確保は開設直後であり計画10名に対して1名にとどまるなど、助成終了後の持続化に向けた重点課題が残る(2026年2月末時点)。今後は、支援学校・相談支援事業所との連携強化、職場体験の体系化、繁閑差を踏まえた通年タスク設計、成果の可視化(指標・根拠資料の整備)を通じて、モデルの定着と横展開を図ることが期待される。

引用資料

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