• 公開情報
  • 2022年度

熊本県

【事後評価】有機農業日本一の町で持続可能な農福連携(株式会社 山都でしか)

団体
株式会社 山都でしか
種別
実行団体
事業
有機農業日本一の町で持続可能な農福連携
種別
通常枠(ソーシャルビジネス形成支援事業)

報告書要約


本報告書は、一般財団法人日本民間公益活動連携機構(JANPIA)が実施する休眠預金等活用事業において、株式会社クロスエイジを資金分配団体として、株式会社山都でしかが実施した「有機農業日本一の町で持続可能な農福連携」(実施期間:2023 年 4 月 28 日〜2026 年 2 月 28 日、実施地:熊本県上益城郡山都町)の事後評価結果を取りまとめたものである。
山都町は人口 11,531 人(2026 年 1 月 1 日時点)、前年比▲412 人(▲3.45%)と人口減少が進行する一方、有機 JAS 認証事業者数 54 と全国最多を誇り、有機農業者 128 人が集積する国内有数の有機農業産地である。しかし、収穫後工程(選別・袋詰め・出荷調整等)を担う人材は慢性的に不足しており、中山間地域ではアルバイトの募集をかけても人材が集まりにくい実情がある。加えて有機 JAS 認証の作物は有機 JAS 認証施設でなければ袋詰めができないという有機 JAS認証制度の制約があることから、農家が生産に専念できる環境の整備が急務となっていた。
本事業は、山都でしかが中核となり、1就労継続支援 A 型事業所の開設に向けた別法人(株式会社山都でしか農福連携)の設立準備、2有機 JAS 認証の要件に対応したパッケージセンター(選果場・加工場等)の整備、3連携農家 5 軒の年間作業の切り出し・可視化とマニュアル整備、4加工品開発(ピクルス・ジャム・甘酒等)による付加価値創出、を組み合わせて、有機農業の収穫後工程におけるボトルネックの解消と障がい者の就労機会創出を同時に実現する基盤づくりを目的として実施した。
事業期間中、パッケージセンター(選果場 1+パッケージ場 1+加工場 1+事務所・相談室・休憩所)の整備を完了した。なお、施設については当初廃校の活用を計画していたが、先行事例の視察や地域との協議、費用面の検討を経て活用を断念し、古民家を改修する形に計画を変更した。このほか、5 農家の年間作業切り出し、作業マニュアル 5 件の整備、先行事例 4 箇所の視察を達成した。人員体制ではサービス管理責任者 1 名および支援員 3 名を確保し、A 型事業所の開所に必要な体制を構築した。また、組織規程・役員規程・倫理規程・文書管理規程・賃金規定等の規程類を事業期間中に整備し、ガバナンス基盤の構築を図った。
短期アウトカムとして設定した 8 項目のうち、基盤整備に関する成果が確認できた領域と、A型事業所が事業期間内に開所に至らなかったことにより今後の取組と測定・評価に委ねられる領域に分かれる。農家側では、5 軒の中核農家の年間作業切り出し・可視化を完了し、有機 JAS 認証の要件に対応した共同パッケージセンターを整備したことで、規模拡大に向けた環境整備の基盤が構築された。障がい者側では、A 型事業所の開所に必要な人員・施設・規程類の一式を事業期間内に整え、利用者が挑戦・活躍できる作業メニューの基盤を構築したが、開所前のため就労実績は未発現である。地域側では、加工品開発(丸菱 OEM ピクルス・ジャム・甘酒等)を通じて有機野菜の販売体制の基盤を整えた(道の駅・ふるさと納税を販売拠点として確保するとともに、商品化を実現)ほか、選果場の作業体制構築に向けた準備を進めた。一方、障がい者に対する理解促進については、農福連携の取組内容と事業所情報を発信することを目的としたウェブサイトの制作により情報発信基盤を構築したものの、成果の本格的な発現は開所後に委ねられる。一方、A 型事業所の開所は当初 2025 年 4 月を予定していたが、サービス管理責任者の採用に時間を要し、2026 年 4 月 1 日へと約 12 ヶ月の遅延が生じた。利用者確保についても計画 10 名に対して希望者 2 名にとどまり、助成終了後の持続化に向けた重点課題が残る(2026 年 2 月末時点)。今後は、地域の相談支援事業所や特別支援学校との連携強化、職場体験の実施による利用者開拓、農業の繁閑期を含む通年タスクの設計、および既存の農泊・SDGs・食育事業との連携による「地域エコシステム」への統合を通じて、事業の定着と持続的な運営を図ることが期待される。

引用資料

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