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  • 2021年度

富山県

【事後評価】中山間地の地域コミュニティーを維持し、誰もが安心して暮らせる地域共生社会を目指す(農事組合法人 大鋸屋営農組合)

報告書要約


実行団体は富山県南砺市の海抜約200mの中山間地に位置する大鋸屋集落で、耕地面積約40haを有し稲作を中心に生産している集落営農組合である。少子化と若者の流出で超高齢化と人口減少が急速に進み、独居・老老世帯と共に空き家も増加している。集落は72戸220名で構成され大部分が営農組合員であるが、農作業に従事する組合員の多くが70代半ばで、定年延長や農業収入の減少等で継承する次世代は減少している。実行団体は現在も営農や経営に課題が多いが、数年以内に離農する高齢農業者の増加で運営や経営が困難となり、耕作放棄地の増加、農景観や自然環境の保全が困難となり、コミュニティの存続も懸念される。今回の事業は後継者が無く農作業が困難となった高齢者の農地を経営改善した実行団体が引き継ぎ、若手農業者が希望を持って営農や環境保全を行い、住民自治組織と共に生活を支え幸せに暮らす地域共生社会を目指している。
実行団体は事業開始時に高齢者や若手住民へのアンケート調査等を行い、集落営農やコミュニティの現状と課題と合わせ、今回の事業目的や計画を営農組合や住民自治組織に説明した。事業開始にあたり、対象者の高齢農業者や若手農業者だけでなく地域住民へ事業内容を周知し、事業期間中も休眠預金事業レポートを集落全戸に年3~4回配布し、事業の進捗等の周知に努めた。
実行団体にとって高齢農業者の農業継承のため若手農業者の確保と育成が必要であった。事業開始時の説明会や事業の周知で若手人材18名中8名が営農に参加し、その後若手人材に事業の説明会と懇親会等を行い3名の新規の参加が得られた。農業の学びを若手農業者育成塾で支援し、農業技術等は高齢農業者から指導し、ドローン・トラクター等の免許取得も支援した。高齢農業者は若手農業者からの営農支援と共に草刈り機や防草シートの導入で農作業負担が軽減した。後継者のいない高齢農業者は若手農業者の参入で実行団体へ田畑を委託できる目途が立ち安心感が高まった。高齢農業者は若手農業者や地域住民と共に草刈りや江浚いを行い自然環境や農景観を守り、地区の収穫祭への参加で住民同士の絆づくりに寄与した。実行団体は地代や管理費、労賃の見直しを行い、ドローンや農機具活用で省力化と他組合からの業務請け負い等を行った。一連の取組で若手農業者の手取りが増え農業人材の確保と共に営農組合の経営基盤が強化された。
若手農業者の育成を目的に「農業を考え、農業を作り、農村に暮らす」を学ぶ育成塾を企画し、塾長を農業に精通した市議会議員に要請した。運営には土壌医の資格を持つ農業経営者や市農政課などの協力も得て、2022年6月若手農業者育成塾を開校し、若手農業者の学びの環境を整えた。育成塾は実行団体メンバーも農業を学ぶ機会となり慣行農業を見直し、専門家の支援のもと土壌診断や栽培指導及び農薬や化学肥料の減量と有機堆肥の追加など営農改善と費用の削減に繋がった。後継者である若手住民が農業の必要性と可能性を感じ営農に参入し、実行団体の組織基盤強化にも寄与した。
南砺市内には約130の集落営農組織があり、今回の事業で取組んだ課題は他の営農組織でも多く見られた。実行団体が取組んだ知見等を生かし、南砺市全体の営農組織の再生に向け南砺市農政課は2023年度から集落営農再生塾を立ち上げ、集落営農組織や新規就農者の支援体制を整備した。
今回の大鋸屋集落での事業を切っ掛けに、大鋸屋地域全体で農業再生とコミュニティ機能維持を目的に農水省の農村RMO事業が2023年度から開始された。南砺市に多い中山間地の農業とコミュニティ機能の維持向上への確かな一歩となった。2022年度休眠預金活用事業に採択された(株)ツチカラによる若手農業者支援事業と協力し、中山間地で大規模畑作へのモデル事業も行われ、農業再生と若手農業者の参入に寄与する事が期待される。これら一連の波及効果で実行団体に将来必要な若手専従農業者の参入への期待も高まった。

引用資料

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