• 公開情報
  • 2021年度

石川県

【事後評価】当事者のエンパワーメントとコレクティブインパクトで作る課題解決モデル事業(公益財団法人ほくりくみらい基金)

報告書要約


本事業は、地域社会における社会課題解決の仕組みの硬直化と当事者の不在という課題に取り組むことを目指した。特に、石川県が持つ保
守的な社会風土の中で、弱者支援における行政支援や支援される側からの従来の枠組みが固定化し、当事者・市民の活動が活性化しにくい、
潜在的な課題が可視化されにくいという問題意識があった。
財団の設立にあたっては、「『地域課題解決に挑戦する人』と『応援する人』をつなぐ地域課題解決の仕組み」としてコミュニティ財団の
役割を訴えて寄付を募り、264の個人・団体からの賛同を得て事業開始から9ヶ月後に一般財団法人として登記を完了した。また、同年12月に
は公益認定とPST認証を受けることができた。
その直後に起きた令和6年能登半島地震に際し、災害支援基金の設立と緊急助成プログラムの企画・運営を行うこととなり、予定していた
活動の実施が難しくなったことから、また石川県内の市民活動にも大きな変化が起きたことから事後評価前(2024年5月〜8月)に評価計画と
ロジックモデルを見直し、新たにアウトプットとアウトカムの追加・修正等を行った。
【事業で達成されたこと、地域社会への影響】
1.「地域課題解決のハブ」としての役割確立と災害対応の実績
• 事業期間中に二度の災害を経験し、迅速に災害支援基金を立ち上げたことで、地域における「信頼できる資金仲介組織」としての地位を
確立した。
• 寄付者アンケートでは、寄付者の38.3%が「寄付の使い道がわかりやすかった」と回答し、災害時のコミュニティ財団の役割に意義を感
じていることが示されている。
• 「令和6年能登半島地震災害支援基金」として6回のプログラムで14,666,650円を80件の団体に助成し、「令和6年9月能登半島豪雨災害支
援基金」として3回のプログラムで6,978,396円を37件の団体に助成できた。
• 助成先団体の活動により、被災地におけるニーズに合わせた支援活動が展開され、「つながる支援活動助成」では設定したアウトカム
「被災地内でニーズに合った支援活動を展開できている」について100%の達成度を示した。従来の活動実績がない団体でも支援を受けら
れたことで、地域で一定の評価を得られた。

2.市民の行動変容と市民活動団体への理解の促進
• 寄付者アンケートでは、28.9%の人がボランティア活動や社会貢献活動への関心が高まったと回答し、目標の10%を大きく上回った。また、18%がリ
ピート寄付を行ったと回答し、目標を上回った。
• 市民活動に関する情報発信も行い、ウェブサイトに17本のインタビュー記事を掲載した。これにより災害時に市民活動団体がどのような信念・考
えのもとどのような活動を行っているのか、市民や寄付者への理解につながった。
3.資金循環サイクルの構築と多様な助成プログラムの実現
• 特に災害基金の設立・緊急助成プログラムの企画・運営により、コミュニティ財団として課題の可視化から資金集め、助成というサイクルを作り
出すことができた。
• 事業期間中に計12の助成プログラムを企画・運営し、地域ニーズに合わせて多様なパターンを提供できるようになった。
• 助成先の選考プロセスでは、内部・外部審査員による審査や、緊急助成における迅速な承認(24時間以内)など複数の選考パターンを経験した。
4.非資金的支援の提供
• 助成金だけでなく、ヒアリング、情報提供、ネットワーキングなどの非資金的支援も提供した。特に助成プログラムと連携した研修プログラム
「ほくみの学校」は団体の基盤強化のための団体分析やステークホルダー分析、ビジョン・ミッションの作成などについてノウハウを提供すると
ともに、県内の活動団体同士が知り合い、つながる機会を提供する場として好評であった。
5.外部連携
• ダイドードリンコやサントリー、LINEヤフーなどの企業との連携も実現し、寄付付き自動販売機の設置や冠基金の設立、寄付、プロボノ協力など、
多様な形態での企業連携が行われたほか、行政、全国組織NPOとの連携もはかられている。
6.若手POの育成
• 事業期間中に多数の助成プログラムを経験しながら、助成プログラムの制度の向上や地域・市民活動団体との関係構築が行われており、若手PO
(2名)の育成が進んだ。 4

【事業で未達成だったこと・今後の課題】
1.汎用的な資金循環サイクルの確立と可視化の経験の不足
• コミュニティ財団が、課題の可視化から資金集め、助成のサイクルを効果的に作り出すという点において設定したアウトカム「コミュニティ
財団ができ、課題の可視化→資金集め→助成のサイクルをつくることができる」について設定した指標、「ふりかえりチェックリスト」の充
足度が目標値(80%)に達しなかった(次のステップ助成で74%、緊急助成で71%)。
• 特に、災害支援以外の地域課題や可視化されにくい課題に対する資金集めや課題の構造分析・可視化のプロセスについてはほとんど実施でき
ておらず、今後速やかに取り組むべき課題である。
2.県内寄付の獲得目標未達成
• 地元の市民や企業からの支援という目標において設定したアウトカム指標「個人の寄付件数・金額」、「企業の寄付件数・金額」がともに目
標値を下回った。
• これは、能登半島地震以降、災害支援基金に活動が集中し、財団運営のための寄付の呼びかけや県内寄付者とのコミュニケーションや寄付依頼
をほとんど行えなかったことが大きな要因であり今後の改善を計画している。
3. 市民参加の促進における一部未達成
• 市民が地域課題を掘り下げる対話の場づくりに関する目標において、指標の1つ(参加人数)が未達成であった。今後、対話の場づくりの継続
的な開催とともに、各回の参加人数も引き続き指標として捉えていきたい。
• 指標で見ると寄付者の社会貢献活動への関心は高まったと言えるものの、実際に当財団の呼びかけによりボランティア活動など行動につながっ
た人の割合は正確に把握しきれていない。災害が寄付やボランティアへの関心を高めた側面もあり、持続的な参加を促すための施策が今後も必
要と考えている。

引用資料

RELATED

同じプロセスの関連ナレッジ

MORE

他のプロセスの関連ナレッジ