【事後評価】支援につながりにくい若年シングルマザーに向けた、 ITを活用した総合的トレーニングとピアサポートプログラムの実践(NPO法人シングルマザーズシスターフッド)
報告書要約
休眠預金事業の実行団体として、2023年から5つのプログラムを実施した。2023年には6ヶ月間のインテンシブ
コース1期生、3ヶ月間のプチコース1期生、2024年には6ヶ月間のインテンシブコース2期生、3ヶ月間のプチ
コース2期生3期生を実施。合計参加人数は79名(そのうち一都三県在住者は59名)で、終了率は97%。当初、
対象者を「支援につながりにくい若年シングルマザー」としていたが、40代以上のシングルマザーからの参加希
望の問い合わせが多く、一方で若年層のシングルマザーは絶対数が少ないこともあり、募集の段階で、年齢制
限を撤廃した。
事業によって解決を目指す社会課題1
ひとり親の貧困率と不安定な就労
二人親世帯の相対的貧困率は6.6%に対し、ひとり親世帯の貧困率は47.7%。日本のひとり親の就業率は
86.3%と高いが非正規雇用、低賃金など就労状態は不安定である。生活困窮リスクを抱えるシングルマザー
は、責任の少ない低賃金の仕事についており、そこからステップアップしていけるかがその後のキャリアの明暗
を分ける。
事業によって解決を目指す社会課題2
ひとり親の心身の健康と社会的孤立
ひとり親への差別・偏見や過去の傷つき体験から、多くのひとり親は他者や社会を信頼できず、社会的に孤立し
やすい状態にある。また、3人に1人のひとり親は心身の健康の問題を抱えているが、そのケアは自己責任とさ
れている。
従来の就労支援を補うプログラム
本事業は、従来の職業訓練・職業紹介の「土台」となる部分(心身の健康、自己探求、ピアサポート)をサポートす
ることで、キャリアアップへの取り組みをよりサステナブルなものにできるのではないかという仮説を持って始め
たものである。自己責任とされている心身の健康のケアについても介入をおこなうことで、心身の健康だけでなく
セルフマネジメントの力が身に付くといった効果も期待した。また、自分が何者であり、どんな強みがあって、どん
な貢献ができるのかを自分で把握し、適切に表現できるようになるための「自己探求」を、キャリアコンサルタント
などの専門家の力も借りておこなうとともに、グループリフレクションという手法を使って「仲間」とともに切磋琢磨
できる環境も整えた。
事業のアウトカム
就労支援のアウトカムとして、シングルマザーの経済的自立、シングルマザーの社会的・精神的自立の2点を設
定した。経済的自立については、事業期間中に達成した人は4割程度。数字としての成果が出るにはもう少し時
間がかかるが、その時間をかけるに値する目標を持って努力を始めたという段階の人もいたため、達成値は低
めの結果となった。一方、社会的・精神的自立については、90%を超える参加者がポジティブな変化を遂げてお
り、これからのキャリアアップの土台をこの機会にしっかり作ることができたといえる。
成果を生み出すための様々な工夫
参加するシングルマザーが高い志を持ってキャリアに向き合えるよう、プログラムの構成を緻密にデザインした。
受入面談による離脱予防、受講生の特性に合わせた伴走チームの対応、受講生の進捗管理、キャリア面談の
準備/振り返りシートの活用、受講生同士で閲覧できる自己紹介シート、発声練習、もくもく会などのインフォーマ
ルな会、セルフケアを意識する頻度を増やす工夫などを組み合わせて、モチベーションが続く仕組みを整えた。
今後に向けて
プログラムの効果検証をしながら、改良を重ね、次年度に向けての助成金獲得や寄付集めに奔走した結果、本
事業終了後は企業からの助成を受け、同様のプログラムを改良して2期分開催することになった。また、海外の
財団による助成を受け、AIを活用したひとり親支援も開始する。
引用資料
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