• 公開情報
  • 2021年度

長野県

【事後評価】社会的養護出身の若者サポートプロジェクト(社会福祉法人長野県社会福祉協議会)

団体
社会福祉法人長野県社会福祉協議会
種別
実行団体
事業
社会的養護出身の若者サポートプロジェクト
種別
通常枠(イノベーション企画支援事業)

報告書要約


児童養護施設や里親のもとで育ち、「社会的養護」を離れた若者は、親を頼れないことか
ら、生活の困窮や孤立に陥る傾向が強く「金銭面」「居住や食事」「保証人」等の困難を抱
えてしまう例が少なくありません。この事業では、このような若者からのニーズをキャッチ
し、「なんでも相談」に応じるとともに、児童福祉施設をはじめとする支援関係者や生活就
労支援センターまいさぽをはじめとする地域の相談機関、不動産事業者や就労支援に関わる
団体など、若者たちの自立支援に関わる多様な関係者間のネットワークづくりを促進しまし
た。

若者たちが頼る場所は在籍した児童養護施設であることが多く、多くの相談が児童養護施
設の職員から入ってきました。児童福祉法が改正され支援に関わる「18歳の壁」の撤廃に向
かってはいますが、施設における卒園生支援の体制は未だ貧弱と言わざるえない状況があり
ます。この点で、本事業が時機を得た実感があります。調査を実施したところ、県内15の児
童養護施設が、202人の卒園生とつながりを保っており、58.9%がなんらかの課題を変えて
いることが明らかになりました。このような県域での基礎的な状況自体が把握されていない
ことも課題として挙げられました。

在園生、卒園生の抱える課題は様々ですが、仕事と住まいを失った若者を支えることは施
設の相談員だけでは到底対応できないケースであり、本事業の相談員が中心となって多機関
連携チームを立ち上げて、住まいの確保、就労支援へのつなぎ、その間の生活を支える食料
支援をはじめとする生活支援などをコーディネートしたケースが少なくありません。特に、
市町村域に根を張る施設職員にとって、県内外に巣立っていく若者たちの課題に対応するこ
とは業務としてはイレギュラーなものになりがちで、県内全域、場合によっては近県まで通
常業務で動ける本事業の機能が大変頼りになったと評価されています。

また、本事業が社会福祉協議会のネットワークを基盤としており、どこの市町村にいって
も、「社協」のネットワークに相談できる強みを実感しました。逆に言えば、これまで在宅
福祉を中心とする社会福祉協議会と施設福祉を担う児童福祉施設がいかにつながっていなか
ったかが浮き彫りになりました。そこで、「どこでも実家宣言社協」を募集し、子ども若者
支援に積極的に取り組むとともに、児童養護施設職員等との顔の見える関係づくりを促進し
ました。

3年間の事業からは、支援のための社会資源が沢山生まれました。様々な生きづらさを抱
える在園生、卒園生に社会に出るきっかけと職業選択につながるきっかけを提供するプチバ
イトは、生活困窮者支援の現場から生まれたものですが、本事業の利用者が増える中で、福
祉と労働団体が共同で(仮)あんしん未来就労支援基金を設置することが決まっています。
フードバンクの活動は、長野県フードサポートセンターを中心に各地で取り組まれていま
すが、ケアリーバーが社会に出る際には、食料だけでなく家電購入に困難が伴うとの声が多
く、このほど家電バンクの取り組みがはじまっています。

また、同朋大学の宮地先生が開発されている「絆コネット」の研修会を開催し、安全なS
NSを活用したつながりづくりにも取り組んでいます。
住まいの支援については、これまで県内社協が共同で取り組んできた入居保証・身元保証
サービスに加えて、県営住宅のサブリース方式により一時的な支援住宅を提供する取り組み
を開始しました。人口減少のなかで、余剰のある県営住宅の有効活用の視点からも注目を集
めており、今後県内各地への広がりが期待されます。

特に、支援住宅を確保したことで、ケアリーバーだけでなく、虐待を経験して児童養護施設
で保護されてこなかった若者たちの支援要請が市町村の保健師から入るようになりました。よ
り継続的な見守りが必要なケースであり、住まいとプチバイト、食料支援等をフル動員して支
援モデルケースづくりに取り組みました。

本事業は、児童福祉施設等の関係者や長野県行政からも評価と感謝をいただきました。令
和7年度からは、児童福祉法に基づく社会的養護自立支援拠点事業の枠組みで、引き続き本
事業を継続・拡充していくこととなっています。

引用資料

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