【事後評価】災害等の外的要因に対応可能な漁業地域の創出事業(北彩漁業生産組合)
報告書要約
本事業は、2021年に大雨災害によって被災した北彩漁業生産組合(以下、当組合という)が生産す
るむつ市の代表的な水産ブランドである「海峡サーモン」の失われた販路の開拓を推進し、利益率の
高い製品開発を行うと共に、外的要因に強い漁業地域をむつ市にて創出することを目指す取り組み
である。
課題と取り組み内容
実施前、むつ市の水産業は2021年の大雨災害により深刻な打撃を受け、「海峡サーモン」の稚魚
の養魚場が壊滅的な被害を受けた。その結果、顧客との取引が途絶え、販路を失う事態となり、新
たな販路の開拓による経営再建が必要となった。この状況に伴い、当組合は都市部での販路開拓
を推進するために展示会に出展し、新たな販路の開拓をすると共に、6次産業化を進め、高付加価
値製品の開発に取り組み、収益性の改善を目指した。また、当組合が表立って地域事業者を巻き込
み、地域事業者共同のフライヤーの配布や、地域事業者による都市部での販売体験、オンラインで
の報告会等により、本事業によって培ったノウハウを浸透させ、水産業を地域で維持するために
BCPの動機付けを図った。
実施結果
本事業の実施結果として、販路開拓の結果当組合の売上は2021年度比で120%以上の伸長(被
災前と同程度)を達成した。また、新たに開発された高利益率の製品を3点開発し、通信販売やカタ
ログギフト商品としてテスト販売を始めており、販売に伴う収益構造の改善を予期している。災害前
の売上水準に回復し、販路開拓が継続的に可能となったため、事業終了後も安定した経営基盤が
確保される見込みである。また、本事業に関わった地域の水産事業者についても、「新たな製品開
発と都市部への販路開拓の意欲が高まった。今後通販に力を入れたい。」等の声を頂いている。
課題解決と目標達成
2
それぞれ設定したアウトプットの目標については全体として達成することができた。特に、都市部で
の展示会出展や商談会を通じて新たな販路を開拓し、収益性向上を実現した。また、地域の水産業
者との連携強化を進め、地域全体での販路開拓意欲を高めることができた。当初想定していた地域
内の水産事業者全体での連携や体制作りに関しては、地域や事業者毎の漁法の違いや魚種の違
い等で事業形態及び課題が大きくことなり、全体的な波及効果を拡大するには限界がみられた。
成果に結びついた要因と課題
本事業の成功要因は、都市部での販路開拓における積極的な展開、地域事業者との連携強化、
そして6次産業化による収益改善であった。特に、むつ市の製品が都内で好評を博したことにより、
地域の水産業者の意欲が喚起され、新たな販路開拓へのモチベーションが高まった。一方、地域事
業者間での意欲に差があり、全ての事業者が同様に活動に参加することが難しく、これが成果の波
及に制約を与えるに至った。
学びと今後の展望
本事業を通じて得られた教訓は、外的要因に柔軟に対応した販売計画の重要性と、高利益率製品
の販売強化が経営において有効であることだった。また、地域事業者間の協力を促進するために
は、意欲を喚起する積極的な働きかけが必要であることが明らかとなった。今後は、地域全体での
水産業の持続可能な発展を目指し、個別のニーズに対応した支援及びニーズにあった支援が求め
られる。総じて、本事業はむつ市の水産業の復興と発展に寄与し、地域経済の活性化へ向けた一
歩を踏み出すことができた。今後は、さらに地域全体での連携を深め、持続可能な水産業モデルを
確立していくことが重要である。
2.基本情報
引用資料
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