「令和7年度 さんいん若者サポートネットワーク ニーズ調査報告書ー 社会的養護の若者と支援現場の声からー」
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事業終了から一定期間経過後JANPIAにて対象となる実行団体事業を選定し、あらかじめ対象者と合意の上、評価対象事業の中長期的な目標の達成や波及効果などの確認、事業の価値の再発見のため外部評価者とJANPIAおよび資金分配団体による「協働型評価」である追跡評価を実施しています。今回は、2019年度通常枠【空き家等の築古物件を活用した住宅困難者への住宅供給事業|Rennovater 株式会社】の追跡評価報告書をご紹介します。
【対象事業の概要】
〈事業名〉 空き家等の築古物件を活用した住宅困難者への住宅供給事業
〈実行団体〉 Rennovater株式会社
〈事業実施期間〉 2020年10月~2023年2月
〈外部評価者〉 株式会社アルメック 金子 素子・大野 奈津
2018 年に創業した Rennovater 株式会社(以下、Rennovater)は、物件を安く取得し、低価格でのリノベーションを行い、住宅確保困難者に低価格で住居を提供している。創業当初は資金調達に苦労していたが、2020年10月から休眠預金等活用事業の助成事業を実施し、同時に融資や出資による資金調達にも成功し、提供物件数を増やしていった。実績ができたことからRennovater の知名度も高まり、現在は従来のビジネスモデルに加えて、賃貸物件の管理事業
等の新たなビジネスモデルも展開している。
【追跡評価の概要】
本業務は、「空き家等の築古物件を活用した住宅困難者への住宅供給事業」(以下、本事業)を対象とした追跡評価であり、事業終了から一定期間経過後の中長期アウトカムの達成度や社会的インパクト波及効果の把握を主たる目的とする。実施期間は2024年12月~2025年6月であり、文献調査、現地調査、関係者へのインタビュー(現地およびオンライン)を実施し、関係者との意見交換を経て報告書を作成した。
【追跡評価の調査結果】
中長期アウトカムの達成状況: 中期アウトカムは概ね達成しており、長期アウトカムについては社会課題の改善に資するインパクト創出に繋がる兆しが見られる。
短期間で複数の中期アウトカムを達成した要因は、ロジックモデルによる定性的な目標設定に加え、定量的なKPI設定・管理を行い、その達成に向けた粘り強い取り組みを継続してきた点にある。この姿勢が、入居者・資金提供者・物件オーナーなどの支援者との信頼関係を構築する基盤となり、地域や行政との連携にも繋がった。本事業中の広報活動により社会的露出をもたらしたことも、中期アウトカム達成に繋がる実績創出の後押しとなった。
中長期アウトカムの達成に向けた戦略の妥当性:
戦略における重要なポイントは、①新たなビジネスモデルの柔軟な創出と収益源の確保、②資金調達と信頼の獲得による財務的自立の達成、③理念共感型の人材確保と利益還元による組織の安定の3点である。ビジネスモデル、資金調達、人材確保における戦略が相互に補完し合い、中期アウトカム実現に向けた成果創出に繋がった。
社会的インパクトの把握:
Rennovater を通じて、急に退去が必要になった人に対して迅速に住まいを提供できる仕組みと、心ある物件オーナーや支援者が住宅確保を通じた社会貢献ができる仕組みができあがったことは、本事業の社会的インパクトの一つと定義できる。
波及効果の価値:
①他の居住支援法人では住宅確保困難者への支援が中間支援に留まる中、空き家を活用した独自の不動産モデルおよび居住支援サービスを提供するRennovater事業のユニークな点が注目され、アカデミアとの連携に繋がった。②Rennovater による入居者への居住支援が入ることで、その地域の民生委員の見守り強化に繋がった。
未来に向けての戦略: 居住支援の分野では、他の福祉組織等との連携を深めることで、より手
厚いサービスの提供が期待できる。
【学び・教訓】
他の社会起業家への学び・教訓:
①スタートアップ企業の資金調達は、大きく分けて助成金、出資、融資があり、事業フェーズに応じて適切に選択することが重要である。助成金は返済不要でシード期の実験的資金に有効、出資は成長加速に資するが経営自由度低下の懸念があり、融資は経営権を維持しながらの事業拡大に適する。適切な資金選びが成功の鍵となる。②ソーシャルビジネスが社会的インパクトを創出する過程には事業性と社会性がリンクしており、いずれにも偏重しない戦略が重要である。Rennovater の発想は社会的な事業に取り組む団体が収益化を検討する際にヒントになるであろう。③本事業では、社会的な信頼を構築することがステークホルダーの多層的な広がりを生み、事業基盤の強化と新たな事業展開を可能にしている。社会的信頼の蓄積とその発信をすることが、資金や人材、人的支援の獲得に繋がる。
ソーシャルビジネス伴走の学び・教訓:
本事業が短期間で中期アウトカムの多くを達成した要因として、伴走支援者によるスピード感のある的確で柔軟な支援の重要性が挙げられる。具体的は、アウトカムへの志向性が挙げられる。ソーシャルビジネス事業社は、事業計画や事業成果目標の設定には慣れていても、社会的な変化を示すアウトカム指標の設定には不慣れな場合がある。事業者が管理するマイルストーンのその先への意識を高める存在として、事業設計時に伴走支援者が討議に加わることの重要性が示唆された。また、必要とされる伴走支援内容は、実行団体の事業フェーズや組織体制により異なるため、実行団体の支援ニーズと資金分配団体の支援メニューのマッチングが重要となる。
休眠預金等活用制度への学び:
①支援対象とする事業の「事業フェーズ」に着目した評価・採択が重要である。助成事業においては、従来の資金調達では支援が届きにくい未成熟な領域における挑戦を許容できる財源であるため、社会起業家のチャレンジを促進する役割が期待される。
また、出資事業は、助成による実験後の価値検証~収益モデル化の段階での活用が期待される。
②本事業では、休眠預金制度の助成資金と伴走支援を活用し、実行団体が社会課題への理解と
事業経験をもとに事業を実施し、資金分配団体がアウトカムの言語化やインパクト評価を支援したことが成果に繋がった。社会的インパクトの可視化や次の資金獲得に寄与したことも特徴的だった。実行団体と資金分配団体のパートナーシップにより、課題を特定し事業を実施したことが成果を生んだと確認できた。
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