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東海・長野県

追跡評価|台風19号による被害を受けた子どもとその保護者への支援事業

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追跡評価とは

事業終了から一定期間経過後、JANPIAにて対象となる実行団体事業を選定し、あらかじめ対象者と合意の上で行われます。外部評価者とJANPIAおよび資金分配団体による「協働型評価」を実施することにより、評価対象事業の中長期的な目標の達成や波及効果などの確認、事業の価値の再発見などに取り組みます。2019年度通常枠では以下の実行団体事業を選定し、2024年度から2025年度にかけて実施しました。

実行団体事業名:台風19号による被害を受けた子どもとその保護者への支援事業(2019年度 通常枠)
実行団体名:特定非営利活動法人ながのこどもの城いきいきプロジェクト
事業実施期間 :2020年6月~2023年3月
外部評価者:株式会社国際開発センター

【追跡評価の概要】
本業務は、「台風 19 号による被害を受けた子どもとその保護者への支援事業」(以下、本事業)を対象とした追跡評価であり、中長期アウトカムの達成度や社会的インパクト、波及効果の再確認を主たる目的とする。JANPIAのガイドラインに基づき、(1)中長期アウトカムの達成状況、(2)戦略の妥当性、(3)社会的インパクト、(4)波及効果の価値、(5)未来に向けた戦略の5つの評価の視点で実施した。実施期間は、2024年11月~2025年3月であり、文献レビュー、リモートを含む現地調査、評価分析報告会を実施し、関係者との意見交換を経て報告書を作成した。実施期間中は、実行団体や資金分配団体と緊密に連携し、外部評価者が必要な情報の収集・分析を行った。

【調査結果のまとめ】
中長期アウトカムの達成状況 本事業の中長期アウトカムは、「事業終了後も子どもや保護者が継続的に支援を受けられる環境を整え、自立的な復興を促すこと」を目指していた。子どもたちは、リフレッシュ・プログラムや居場所活動を通じて元気を取り戻し、現在では社会参加や防災活動に貢献する事例も報告されている。保護者にとっても、発災後から復旧・復興期にかけて子どもを安心して預けられる場があったことで、家庭の雰囲気が改善し、心の余裕を持つことができた。一方で、避難所での傾聴活動や交流の場の提供など、保護者支援の取り組みは行われたものの、対象者は限定的であり、支援のあり方には課題が残った。地域連携という観点では、行政、社協、地元企業や団体とのつなが
りが強まり、事業終了後も支援を継続できる体制が整った。以上より、地域と連携した子ども支援の環境が強化され、本事業の中長期アウトカムは着実に進捗していると判断できる。
中長期アウトカム達成に向けた戦略の妥当性 本事業では、台風 19 号の被災者支援を続けるため、常設の居場所を設置することが出口戦略として計画され、事業完了直後に実現した。この居場所の設立により、子どもや保護者だけでなく、地域の支援者ともつながる場ができ、平時からの支援体制が整った点で、出口戦略は適切だったと言える。特に重要なのは、居場所の設置そのものよりも、避難所での支援活動から現在に至るまで、支援が途切れることなく続いてきたことである。その背景には、実行団体による、長野市内の支援組織や個人とのネットワークの強化、子どもや保護者のニーズに応じた柔軟な対応、継続的な資金調達や外部支援の確保がある。今後もこれらの要素が連携し合うこ
とで、居場所の活動が維持・発展していくと考えられる。
波及効果の発現プロセス 本事業の波及効果の一つとして、「長野市災害時の子ども支援ネットワーク」の設立が挙げられる。これは、被災者支援に関わった行政、社協、NPO などが、災害時における子ども支援の課題を共有し、関係者間の協力体制の必要性を認識した結果、より効果的な支援の枠組みが確立されたものである。この波及効果は、次の3つのプロセスを経て発現した。まず、台風19号を契機に、行政・NPO・学校などの関係者が、災害時の子ども支援に関する課題を認識し、課題解決のためのネットワーク形成を呼びかけた。次に、学習会や交流会を通じて、各機関の役割や支援の方向性について共通認識を深め、信頼関係を構築した。こうした積み重ねを経て、2022 年には検討委員
会が発足し、2023 年には「長野市緊急時の子ども支援ガイドライン」が策定されるなど、正式なネットワークとしての運営体制が確立された。
波及効果の成功要因 このネットワークの成功要因は、次のように集約できる。まず、課題の共有とビジョンの明確化により、共通の目標を設定し、協力体制が円滑に構築された。次に、継続的な学習会と交流を通じて、各機関が相互理解を深め、信頼関係が強化された。また、行政や社会福祉協議会との連携を強化することで、支援の安定性が確保された。支援活動の振り返りを行い、成果を評価して改善を繰り返すことで、支援の質が向上した。さらに、外部組織との協力によって、リソースや新たな知見を活用し、ネットワーク参画のメリットを参加者に明確に示すことで、積極的な関与を促しました。これらの要因が相互に作用し、単発的な支援活動にとどまらず、長期的な支援体制の構築へとつながった。本事業は、地域全体の防災力向上にも貢献し、今後の災害対応における重要なモデルとなることが期待される。
未来に向けた戦略 本事業で得た緊急時の子ども支援ネットワーク構築のノウハウを長野市外に広げるため、実行団体は新規事業1 を進めており、今後強化すべき取り組みとして次の点が挙げられた。まず、長野市外への活動の拡大という点から、地域ごとにキーパーソンを早期に発掘し、支援体制を整えるための研修プログラムを通じて、地域ごとの担い手を増やすことである。同時に長野市内でも、平時から関係者の顔の見える関係を築き、災害時に円滑な支援ができるよう、連携を深めるための活動も引き続き重要である。また、地域住民への認知度向上と信頼関係の構築のために、例えば、地域の避難訓練や防災ワークショップなどを活用してネットワークの存在を広め、子ども支援の重要性
を啓発することも有効である。

【提言と教訓】
本事業の意義 本事業の意義は、地元の子ども支援団体が被災時の課題を明確化し、官民連携による支援体制を市レベルで構築した点だと言える。具体的には、実行団体が避難所での子どもの居場所を設置し、避難所閉鎖後も継続的な支援を行うことで、災害時から復旧・復興期、さらには平時に至るまで切れ目のない支援の重要性を示した。その過程において、行政・社協・NPO は互いの強みを補完しながら協力し、支援体制を強化するには民間団体との連携が不可欠であることを再認識し、三者をつなぐネットワークを設立した。
本事業の成果を継続するための提言 保護者支援の再検討という観点から、保護者支援の位置づけやニーズ把握が重要であり、地域や学校と連携して保護者が参加しやすい仕組みを整える必要がある。また、ネットワークに持続性の観点からは、財源確保と事務局体制の維持が不可欠であり、他団体の助成金・寄付金を活用した事業運営や、ネットワーク間の役割分担の見直しが求められる。さらに、地域住民との信頼関係を築くためには、学校や自治会と連携し、定期的に支援ネットワークの重要性を周知することが望ましい。
本事業を通じて得られた教訓 本事業を通じて、地元団体を中心とした地域密着型の支援は災害時に迅速な対応を可能にし、復興過程から平時まで継続的な支援が実現することが明確になった。また、本事業のネットワーク形成の成功要因はコレクティブ・インパクトに必要な5つの要素(共通のアジェンダ、相互に補完し合う仕組み、継続的なコミュニケーション、活動をサポートするバックボーン組織、共通の測定システム )と概ね合致した。類似事業を実施する団体において、これらの要素と具体例を参考に、戦略的に各要素の達成を目指していくことの有効性が示された。

引用資料

お問い合わせ先

  • 特定非営利活動法人 ながのこどもの城いきいきプロジェクト

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