[休眠預金活用事業サイト]全国女性シェルターネット 北仲千里さん×浜田敬子さん

特定非営利活動法人 全国女性シェルターネット・北仲千里さんに、ジャーナリストの浜田敬子さんが伺いました。

コロナ禍の外出自粛により、女性に対するドメスティック・バイオレンスをはじめ、性暴力被害などの被害の深刻化が懸念されています。こうした被害に対する日本の法制度は、諸外国に比べて大幅に遅れている状況です。加えて、支援側の活動資金、専門知識を持つ人材不足が大きな課題となっています。今回は、資金分配団体「特定非営利活動法人 まちぽっと(2019年度通常枠)」の実行団体として活動する『特定非営利活動法人 全国女性シェルターネット』の北仲千里さんに、ジャーナリストの浜田敬子さんがDV被害者への支援活動や現状、そして休眠預金を活用した今後の展望をインタビューした様子をお届けします。”

▼インタビューは、動画と記事でご覧いただけます▼

DV被害者支援の世界へ。直面する活動継続の難しさ

浜田 敬子さん(以下、浜田):全国女性シェルターネットは、1998年(平成10年)に活動を始められたそうですね。

北仲 千里さん(以下、北仲):女性に対するドメスティック・バイオレンス(以下、DV)や虐待被害といった問題が、世界的に大きく注目を集めたのが1990年代後半。95年に開催された「第4回世界女性会議(北京女性会議)」をきっかけに世界各国でこの問題に対するシェルター運動が活発になり、日本でも各地で手づくりのDVシェルターを始める方が増えていきました。97年には現団体の前身となる「女性への暴力駆け込みシェルターネットワーキング」がシェルターを運営する人の情報交換を目的として活動をスタート。翌年には各関係者が北海道札幌市に集まり、第一回のシェルターシンポジウムを開催しました。

フリージャーナリスト・浜田敬子さん(左)と全国女性シェルターネット・北仲千里さん(右)。
フリージャーナリスト・浜田敬子さん(左)と全国女性シェルターネット・北仲千里さん(右)。

浜田:北仲さんはいつ頃から、全国女性シェルターネットの活動に入られたのでしょうか。

北仲:2000年か、もう少し後からの参加です。90年代半ば頃は、大学院生として、ジェンダーに関する問題をテーマに研究をしていました。そんな時、私たちの周囲で偶然にもセクシャルハラスメント(以下、セクハラ)に関する問題が浮上し、大学キャンパスでこれらに対する運動を始めたのです。
そこで大学におけるセクハラについての情報を発信するホームページを制作したところ、日本中から相談などが殺到。その後、少し上の世代の専門家の方々から性暴力やDV被害者の支援をするNPOを立ち上げるから一緒にやらないかと声を掛けられ、DVシェルターにも関わりだしたのがきっかけとなりました。


浜田:北京女性会議をきっかけとして、日本でも草の根的にシェルターが増え始めたとのことでしたが、そういった団体のネットワーク組織として「全国女性シェルターネット」があるのですね。

北仲:はい。正確な数は分かりませんが、全国に100か所以上のシェルターがあると言われています。その中で、私たち「全国女性シェルターネット」に加盟している団体は現在60団体。90年代に活動をはじめた方々に団塊の世代が多いこともあり、最近は減少傾向という現状です。

浜田:必要とされているのに、活動の継続が難しいということでしょうか?

北仲:海外では、90年代に支援をはじめた志がありノウハウも備えている民間団体に、国や自治体が事業を委託するという形の支援がスタンダードです。一方日本は2001年に“公的な相談センター”という形で支援がスタートしたので、民間と国や自治体との連携が生まれにくく、我々は勝手に支援をしているという状態です。活動をしている人たちには人件費はほとんど払われておらず、施設の家賃などをなんとか寄付や助成金でまかない、この数十年やってきました。そのような活動の継続にはやはり限界があり、ひとつ、またひとつと閉鎖しています。しかし、新しく団体を作りたいというグループからの問い合わせもそれなりにくるので、DVや虐待被害に対する関心は高まっていると感じていますが、自分たちで資金を生み出せる活動では決してないので、そうした面でも継続していくのは難しく、苦しいですね。

閉ざされた世界からステップアップできるまで。DV被害者を取り巻く現状

浜田:支援活動をはじめて約20年間、DVや性暴力を巡る状況の変化について、北仲さんは今、どのようにご覧になっていますか?

北仲:「セクハラ」もそうですが、「DV」という名称がつくまでの方が恐らく酷かったと思います。

浜田:そうした事象がたくさんあっても、皆さん声をあげなかったわけですね。

<b>北仲:</b>把握もできていなかったと思います。例えば、90年代や2000年代くらいに役所や自治体が市民を対象に行ったある調査では、人生経験豊富な60代以上の女性は、DVに関する問いにだけ「無回答」する確率が高かった。声に出してはいけない風潮があったということだと思います。恐らくセクハラなども昔の職場の方がずっと酷かった。その一方で、若者たちはこうした問題に関心があって「これは怒っていいんだ」という認識があり、きちんと回答していました。とても興味深い結果でした。

北仲:把握もできていなかったと思います。例えば、90年代や2000年代くらいに役所や自治体が市民を対象に行ったある調査では、人生経験豊富な60代以上の女性は、DVに関する問いにだけ「無回答」する確率が高かった。声に出してはいけない風潮があったということだと思います。恐らくセクハラなども昔の職場の方がずっと酷かった。その一方で、若者たちはこうした問題に関心があって「これは怒っていいんだ」という認識があり、きちんと回答していました。とても興味深い結果でした。

それから10年が経過し、私がいくつか見た調査結果では60代の方々が無回答になっていることは少ないよう感じています。つまり、女性たちはDVなどに対して怒ってもいいと感じ、声をあげやすい環境になってきていると言えます。
とはいえ、アジア圏のDVシェルター関係者と情報交換をしたり、各国の統計などを調査・比較したりすると、香港やシンガポール、台湾などに比べて日本の被害率が高いように感じます。それは圧倒的な法制度の遅れが原因。海外では、大学で福祉などを学んだ若者が性暴力や性虐待、DVや児童虐待を救うソーシャルワーカーを目指し、公的な施設はもちろん、民間団体は人気の就職先となっていて、きちんと職業として成り立っています。自分たちで資金を調達する私たちとはまるで異なる状況です。

<参照>
国際ジェンダー学会ウェブサイト
http://www.isgsjapan.org/journal/files/15_kitanaka_chisato.pdf

徹底的に向きあって寄り添う。国境を越えて共通する大事にしていること

<b>浜田:</b>こうした支援には段階があると思いますが、全国女性シェルターネットが日常の支援活動の中で大事にしているポイント、そして財政的な問題も踏まえて、困難だなと感じている点を教えてください。

浜田:こうした支援には段階があると思いますが、全国女性シェルターネットが日常の支援活動の中で大事にしているポイント、そして財政的な問題も踏まえて、困難だなと感じている点を教えてください。

北仲:世界中の関係者と話すと、実は大事にしていることが一緒だということが分かります。
DV被害者の方々は「お前なんかどうしようもない奴だ」といった具合に、相手にコントロールされてしまっていて、「ここから逃げられない」とパワーが落ちてしまっている状況です。そこで、私たちはその状態の方たちとなんとか繋がりを持ち、とにかく話を聞き、自分は本当に何がしたかったのか、どんな気持ちだったのか、自分自身で決めてもらうように促します。「あなたはこうすべきだ」などというと、再び誰かに支配されてしまうので、なりたかった自分を決めるのにじっくり付き合うというのが、民間でも公的なセンターでもすごく大事で一番難しいことなんです。

自身が元被害者という支援者も非常に多く、自らの経験から被害者の恐怖心や辛かった出来事を理解できます。被害者本人が今じゃないところに進むことを考え、決めてもらう。そして、その気持ちを整理し、作戦を一緒に立て、作戦を実行するためには「逃げてくる部屋があるよ」「シェルターもあるよ」など、こまごまとしたお手伝いをする。「世の中にはなかなか伝わらなくても、私たちには分かるよ」と時間をかけてじっくり話しをしています。

もう一つ、私たち民間支援者が大事にしているのは「同行支援」です。なぜなら、まだまだ社会的にはこうした問題に対する理解が低い状況だからです。解決に向けて、「警察に行ったらいいよ」「弁護士に行ったらいいよ」と、ただ対処法を助言するだけの中途半端な寄り添い方をすると、行った先で分かってもらえるとは限らないので、また傷ついてしまう。そこで私たちも一緒に行くことで、例えば警察で聞かれることを学んだり、時には「いやいや、そうではないですよ」と説明したりします。理解のある弁護士さん、不動産屋さん、本当によく協力してくれる病院など、社会の様々な方たちとの繋がっていくためには、やはり被害者の方と一緒に行動することがとても大事です。それによって社会の壁も見えるし、道も拓けてくると思います。


浜田: 新型コロナウイルス感染症のパンデミックによってこれまでとは暮らし方が異なり、家にいる時間が長くなる、失業したストレスなどによるDVや性暴力の被害が世界中で増えたと言われています。その状況は日本でも深刻でしたか?

北仲: そうですね。新型コロナ関連の給付金が国民に配られるという話を聞き、かなりの関係者が「震災の時と同じことが起きる」と考えたんです。世の中が非常時となり一気に何かが動くときに、DVで家を出ているというような特殊な事情を持った人たちは、置き去りにされていってしまう可能性があると感じたのです。
10万円の給付金が配られましたが、それが世帯主に配られるということでしたから、一番欲しい被害者(母子)が受け取れないのではないかと考えました。また外出自粛などを受け、相談に来ていた人はこれなくなる。加えて女性の雇用もかなり厳しくなり、家を出ようとしていた人も出られなくなる。そうした懸念から、国に要望書を提出しました。

浜田:普段、行政から見えない、もしくは、見えづらい課題を抱える方たちは、何かがあったときに一番先に救わなければならない方たちだ思いますが、救えていないということでしょうか。

北仲:そうですね。外国人の方もそうだと思います。情報も届きにくく、そのような方たちにはオーダーメイド的な配慮をしなければいけないのですが、できていないと感じています。さらには、支援したいと考えても、資金面と人材の確保が大きなハードルとなっています。

休眠預金を活用して学びの場を。慢性的な課題を今、乗り越える

浜田:休眠預金活用事業ですすめておられる活動の一つに専門の相談支援員の育成がありますが、どのような育成研修となっていますか?

北仲:日本では、こうした相談支援が専門的な仕事だと思われていません。外国ではソーシャルワーカーやDVアドボケット(被害者の声を代弁して支援する人)と呼ばれているのですが、日本の相談員はただ悩みを聞くだけの誰でもできる仕事だと考えられているのです。しかし実際の被害者支援は、心理系の知識はもとより、行政の制度、法的な知識など様々なことを知っていないとできません。相談員は「誰でもできる仕事」ではなく、専門的な知識が必要な職業なのです。
近年、DVの相談窓口があることが大事だと、各県に「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター」が設置されました。このような窓口をもっと増やしていくという時に、誰でもいいからと相談員を集めると、とんでもないことになります。知識のない人に相談した人は、本当に気の毒です。

官民ともにそろそろ世代交代というのもあるので、若い世代で相談員になりたい、支援をしたいと思っている人たちがちゃんと知識を習得して、OJTでトレーニングを受けられる育成の場をつくる必要があると考えています。とはいえ、国に要望しているだけでは実現は遠い。何を学ぶ必要があり、どんな知識が必要か、どんな人が相談員になるべきなのかを一番知っているのは、私たち民間の支援者です。世界の支援者ともつながっているので、世界的な基準の情報を得ることができます。だからこそ、私たちがまず「これが専門職」と定義し、人材を育てられるテキストやカリキュラムをつくることが急務だと思っています。

休眠預金を活用して3年間の事業を実施しています。1年目は、どんなカリキュラムにするかをとことん検討したり、海外の情報を収集したりしました。2年目となる今年は、最終的なカリキュラムを詰めています。コロナ禍でオンライン化が急速に進み、e-ラーニングについても学び、全国の希望者が自分のペースで学べるようなオンライン学習システムづくりにも取り組んでいます。今年の冬には試験的な運用を始め、来年には受講者を募集する予定です。その後は、新たに立ち上げた一般社団法人で資格認定を行う仕組みを計画しています。

DV被害・性暴力に関する認定資格で、専門家を育成。より手厚い支援を目指す

浜田:e-ラーニングを受けて認定資格を得た人が、どんな形で活動することを思い描いていますか?
例えば、専業でなければいけないのか、副業として自分ができる範囲でも活動できるのか。学んだ方がたくさん育ってきたときの将来像をお聞かせください。

北仲:民間もそうですし公的にもDVや性暴力の相談施設を増やそうとしているので、相談員を育て増やしたい。だからこそ、相談員をやりたいと考えている方々にまず学習してもらい、同じレベルで支援活動に取り組める人たちを育て、最終的にはきちんとした職業として確立したいというのが一つの想いです。
もう一つは、講座にいくつかのコースや段階を設定していくことを計画しています。役所の方、裁判所の職員、警察関係者など、すでにDVや性暴力の被害者と向き合う仕事をしている方もいますし、これから新たに関わる人もいます。また、NPOやボランティアで関わりたい人もいます。入門コースからより専門的トレーニングを受けられるコースなど、受講内容を検討しています。そうして「私も専門家だ!」と自信を持って言える人材を育てたいですね。

浜田:役所の方や警察関係者が受講できるというのはすごく大事ですね。先ほどのお話のように、被害者が二次的に傷ついたり、また傷つくのが嫌だから相談に行かないという方もいらっしゃるので、最初の段階できちんとした対応ができれば、相談しやすくなりますよね。加えて、ボランティア活動などで関わりたいけれども何ができるのか、どう関わればよいかわからない方もいらっしゃると思います。そのような方のためのコースもあるとのことで、視野が広がりやすく、支援者を増やすことにも繋がりそうですね。

北仲:そうですね。実はDVだけではなくて、性暴力の相談を受けられる人が少ない。私は、セクハラに関する仕事に長く携わっていますが、セクハラへの正しい対応を判断できる仕組みを持っている組織も本当に少ない。二次被害、三次被害の嵐なんです。被害者が相談窓口を訪れたり、会社に訴えたり、行動を起こした後で「何でそんな対応をしたの?」というような事例が多く、結局、窓口ができても本当の支援まで辿り着けません。
今回の取り組みを通じて、各組織や役所や警察の対応の仕方など、社会全体をもう少しグレードアップすることにつながればと考えています。

浜田:そういう意味で相談員、そして支援員の育成・養成事業というのはすごく意味があり、価値がありますね。休眠預金を活用してみていかがですか?

北仲:自治体がNPOや民間シェルターに対して多少は支援してくださるんですが、事務所・シェルターの家賃補助などを対象に年間で数十万円ほど。基盤となる人件費や光熱費などは支援の対象外です。
「民間にまったく支援がいかないのは問題」ということで、内閣府がパイロット事業をやってくださっていますが、それは通常の事業に加えて新しく先進的な試みをしたところに対しての助成となっています。普通の活動が回せるような強い団体でなければ、助成対象になりにくい点が難しいところです。

実行団体として2019年度にまちぽっとの事業に採択いただき研修制度の立ち上げに取り組んでいますが、2020年度には新型コロナウイルス対応緊急支援助成の2019年度採択団体向けの追加助成も活用させていただきました。全国の関係者にこの8、9月、どんな支援活動をどのくらいの時間したのか活動報告をしてもらい、各自が働いた分の人件費を、緊急支援助成を活用して支払いました。現場の人からは「(この活動で)初めて給料をもらった」という声も多く届きました。

また、活動報告からは、何月何日に被害者Aさんの病院や裁判所に付き添った、今後への作戦会議をした、シェルターに入ってくる人の荷物運びを手伝ったなど、支援活動の実態がよく見えました。これまでは、なかなか支援活動の全容をつかむことができていなかったので、私たち民間シェルターの支援活動、イコール、被害者支援とはこういう活動なのだ、ということを描き、多くの方に伝えていくことにも活用させていただこうと思っています。そういう意味でも今回の助成はとてもありがたかったです。

浜田:助成をきっかけに活動が見える化したわけですね。今後の活動の発展が期待されます。今日はお話を伺い、本当に勉強になりました。ありがとうございました。

北仲:ありがとうございました。


■北仲千里さん プロフィール■

NPO法人 全国女性シェルターネット共同代表を務める傍ら、広島大学ハラスメント相談室准教授としても活躍中。1967 年和歌山県新宮市に生まれ、ジェンダー論を中心に社会学を専門に研究。名古屋大学大学院文学研究科博士後期課程修了後、1997 年頃より「キャンパス・ セクシュアル・ハラスメント全国ネットワーク」設立にかかわる。以後、DVや性暴力などに関する被害者支援にも積極的に携わる。


■浜田敬子さん プロフィール■

フリージャーナリスト。1989年に朝日新聞社に入社。「週刊朝日」「AERA」編集部を経て、2014年に「AERA」初の女性編集長に就任。2017年同社退社後はオンライン経済メディア「Business Insider Japan」日本版統括編集長を2020年12月まで務める。各種メディアにコメンテーターとして出演する傍ら、講演活動や執筆も行う。1996年山口県生まれ、上智大学法学部国際関係法学科卒業。

■事業基礎情報

実行団体
特定非営利活動法人 全国女性シェルターネット
事業名「女性に対する暴力」専門相談支援者育成事業
活動対象地域全国
資金分配団体特定非営利活動法人 まちぽっと
採択助成事業市民社会強化活動支援事業
〈2019年度通常枠・草の根活動支援事業・全国ブロック〉

現在JANPIAでは「2021年度 新型コロナウイルス対応支援助成〈随時募集〉」を実施中です。申請をご検討中の皆さま向けに、20年度コロナ対応緊急支援枠の資金分配団体である特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォーム(JPF)地域事業部の藤原 航さんに、主にコロナ対応緊急支援枠〈3次〉のコンソーシアム申請についてのお話を伺いました。

コロナ対応緊急支援枠に申請した背景を、自団体の活動と合わせて教えてください。

私たちジャパン・プラットフォーム(JPF)は、海外支援を中心に、災害時における人道支援を行っています。今回、民間外交や在留外国人問題に取り組む「公益財団法人日本国際交流センター(JCIE)」とコンソーシアムを組成し、20年度コロナ対応緊急支援枠〈3次〉に申請しました。

JPFでは、コロナ禍に突入した昨年の4月から、寄付を原資とした法人独自のプログラムを実施しています。しかし、「コロナ禍」から「コロナ経済禍」となるような状況で、経済的に困難な方の増加にいただいた寄付だけでは対応が難しくなりました。 
そこでまず、コロナ対応緊急支援枠〈1次〉に申請。そして1次の事業を行っている中で、さらに手が届かない方々として、在留外国人の皆さんがおられることが分かってきました。これは何か行動を起こさなければいけないと考え、2020年度のコロナ対応緊急支援枠の公募がまだ実施されていたので申請の検討を始めました。

コンソーシアム構成団体のJCIEにおいては、2019年度通常枠の事業である「外国ルーツ青少年未来創造事業」の中で、同様にコロナ禍における課題を強く感じておられ、支援の必要性を感じておられたとのことです。

〈用語解説〉コンソーシアム
コンソーシアムとは、申請事業の意思決定および実施を2団体以上で共同して行うこと。コンソーシアムを構成する団体から幹事団体を選び、申請は幹事団体が行います。

今回のコンソーシアムはJPFが幹事団体、JCIEが構成団体となり、2団体で事業を実施しています。

既存事業により、これまで支援の行き届かなかった“在留外国人”の存在に気付きました。
既存事業により、これまで支援の行き届かなかった“在留外国人”の存在に気付きました。

コンソーシアムとして申請された理由を教えてください。

コロナ対応緊急支援枠〈1次〉の事業を通じて把握した課題に対して調査を実施したところ、コロナ禍において国内のセーフティネットでは支援ができない、あるいはできにくい“在留外国人等”の生活支援の必要性があることがわかりました。しかし、自団体のノウハウだけでは対応が十分ではないことも考えられ、JANPIAに事前相談をしたところ在留外国人支援のノウハウのある団体とのコンソーシアムを勧められたのです。

そこで、以前PO研修(プログラム・オフィサー研修)で一緒だったJCIEの方にお会いし、同じ課題意識で、異なるノウハウを持っており、それぞれの強みによる相乗効果が期待できました。また、両団体とも休眠預金活用事業のしくみを理解していたというのも大きかったと思います。お互いに相談しながらプログラムを進めていけるという点から、コンソーシアムでの申請を行うこととなりました。

2団体それぞれの強みと弱みを理解して、お互いに補完しあう協力体制を作りました。
2団体それぞれの強みと弱みを理解して、お互いに補完しあう協力体制を作りました。

コロナ対応緊急支援枠と通常枠の事業の違いなど、実施してみて感じたことはありますか?

総論としては、私たちJPFもJCIEも申請させていただいてよかった、と捉えています。
何が良かったのかといいますと、「支援に必要な資金規模があったこと」や、「コロナ対応緊急支援枠は通常枠と比較して運用ルールが緩和されている部分があったので、より多くの実行団体を採択できたこと」、さらに「伴走支援も実施できていること」などが挙げられます。新型コロナウイルスという突発的な課題に対応できる、このような資金があって、本当に良かったと思っています。

また今回の事業で取り組んだ課題は、これまで支援が届きにくかった新たな領域のため、今回の助成を通じて団体間での協力関係や、新しい支援の手法が生まれています。またこれまで支援されていなかったということもあり、多様なエビデンス・結果が出てきており今後につなげられるのではないかと期待しています。

事務面においては、通常枠と比較して事務量が相対的に少なく、可能な限り事業に集中できると感じています。しかし、事業期間が通常枠よりも限られるので、時間的にはタイトな部分は難しい部分でもあると感じています。

また実行団体の多くは、通常の助成金事業の延長に捉えている傾向を感じています。
しかし休眠預金活用事業の特徴は、通常枠であっても緊急支援枠であってもアウトカムを目指すというところがあると考えています。今回は緊急性の高い事業ということで、団体によっては当初の目途と違うところもありました。私たち資金分配団体の力量次第で今後のアウトカムの質が変わってくるかなと考えています。

助成事業を通じて、良かったこと、苦労していることはどんなことがありますか。

コンソーシアムについて良かった点は、困難な課題に対して、お互いの強みを生かした協働と役割分担ができ、課題解決にアプローチできていることです。一方、緊急支援助成であるという背景もありますが、違う文化の団体同士なので、団体間の会計などの処理方法や審査方法等について、苦労というか調整を要していると思います。

事業面においては、資金分配団体間、実行団体間において、単独でプログラムを実施するよりも非常に多くの視点を持つことができ、多くの学びや発見がありました。この課題の輪郭もよりはっきりと見えるようになったと感じています。残念だったのは、コロナ禍のために実行団体との面談がオンライン中心となり、現場の確認を思うようにできない側面があったことでした。

コロナ対応支援枠へ申請をご検討中の団体の皆さんにメッセージをお願いします。

コロナ禍で苦しんでいる方々へ大規模な事業として支援できる点で、極めて意義のある制度であると考えます。
申請を悩まれている場合は、アイディア段階でも、私たちがしたように、JANPIAさんにまずは相談してみるのが良いと思います。それで発見することもあると思います。

その際には、コロナ対応支援枠の申請書類がシンプルで書きやすくできているので、下書きをしてみると良いでしょう。そうすると、論理的な矛盾などを早期に発見できたりすると思います。
また、今回の私たちのように、コンソーシアムを組むという方法もあります。新たな分野への支援の開拓とともに、多くの学びや発見も得られます。もし独力で難しい場合は、既に休眠預金活用事業に参画している近い領域で事業を展開している団体と連携を組まれるとよいのではないかと考えています。

〈このインタビューは、YouTubeで視聴可能です! 〉

※この動画は公募説明会で上映したものです。

(取材日:2021年10月21日)

▽ジャパン・プラットフォームの採択事業はこちらからご確認いただけます。

今回の活動スナップは、全国再非行防止ネットワーク協議会​(資金分配団体:日本更生保護協会)が設立した、「日本自立準備ホーム協議会(仮称)設立準備会」にJANPIAスタッフが参加した際の様子をお伝えをご案内します。

活動の概要

全国再非行防止ネットワーク協議会は、更生保護法人日本更生保護協会(19年度通常枠資金分配団体)の実行団体として、2019年度より「罪を犯した青少年の社会的居場所全国連携 拡充事業」に取り組んでいます。
2021年7月には、「日本自立準備ホーム協議会(仮称)設立準備会」を設立し、協議会設立準備を進めています。日本自立準備ホーム協議会(仮称)は、以下3つをミッションに掲げて活動する予定です。
 1 罪を犯した人の住まいの選択肢を増やす
 2 自立準備ホームと関係機関との連携
 3 自立準備ホームの質の向上

活動スナップ

9月9日に開催されたオンラインの会合では、東京、愛知、大阪、広島から設立準備会のメンバーが参加され、新しく設立する中間支援団体のホームページ案や、10月末に開催する自立準備ホーム運営事業者向けの勉強会、また、2022年3月21日に開催予定の設立シンポジウムなどについて、進捗の共有や意見交換が行われました。 勉強会や設立シンポジウムなどのイベントは開催時点での新型コロナウイルスの感染拡大の状況にもよりますが、オンラインの併用を検討しています。オンライン開催にあたっては、休眠預金活用事業を実施中であることがご縁となり、企業からのプロボノ支援を受ける予定となっています。

9月9日に開催されたオンラインの会合では、東京、愛知、大阪、広島から設立準備会のメンバーが参加され、新しく設立する中間支援団体のホームページ案や、10月末に開催する自立準備ホーム運営事業者向けの勉強会、また、2022年3月21日に開催予定の設立シンポジウムなどについて、進捗の共有や意見交換が行われました。 勉強会や設立シンポジウムなどのイベントは開催時点での新型コロナウイルスの感染拡大の状況にもよりますが、オンラインの併用を検討しています。オンライン開催にあたっては、休眠預金活用事業を実施中であることがご縁となり、企業からのプロボノ支援を受ける予定となっています。


【休眠預金活用事業サイトよりお知らせ】

今回の事業の背景や目的などについては、別途、全国再非行防止ネットワーク協議会代表の高坂朝人さんにお話を伺えることになりましたので、記事公開を楽しみにしていただければと思います。 【2022年1月28日編集部追記】 記事を公開しました!ぜひご覧ください。 ▷ https://kyuminyokin.info/articles/566

今回の事業の背景や目的などについては、別途、全国再非行防止ネットワーク協議会代表の高坂朝人さんにお話を伺えることになりましたので、記事公開を楽しみにしていただければと思います。

【2022年1月28日編集部追記】 記事を公開しました!ぜひご覧ください。

https://www.kyuplat.com/media-channel/566/

実行団体
全国再非行防止ネットワーク協議会
事業名
罪を犯した青少年の社会的居場所全国連携 拡充事業
活動対象地域
全国
資金分配団体
更生保護法人 日本更生保護協会
採択助成事業
安全・安心な地域社会づくり支援事業2019通常枠 


グッド・エイジング・エールズ代表・松中権さんに、元アナウンサーでエッセイストの小島慶子さんが伺いました。

2020年秋、東京都新宿区にオープンした『プライドハウス東京レガシー』は、日本初となる常設の大型総合LGBTQセンターです。「プライドハウス東京」コンソーシアムの事務局であり、本施設の運営を担うのは『特定非営利活動法人 グッド・エイジング・エールズ』。2つの資金分配団体「特定非営利活動法人 エティック(2019年度通常枠)」「READYFOR株式会社(2020年度緊急支援枠)」の実行団体として休眠預金を活用し ています。今回は、グッド・エイジング・エールズ代表の松中権さんに、元アナウンサーでエッセイストの小島慶子さんがLGBTQを取り巻く環境や休眠預金を活用した事業の取り組みなどについてお話を伺った様子をレポートします。

▼インタビューは動画と記事でご覧いただけます▼

「自分らしさ」を体現できる場づくりを。留学体験で抱いた松中さんの思い

小島 慶子さん(以下、小島):はじめに、グッド・エイジング・エールズはどのような活動をされているのでしょうか?

松中 権さん(以下、松中):グッド・エイジング・エールズは2010年に立ち上げた団体です。僕らはNPO団体として、LGBTQ+(※1)の方々が社会生活を送る中で、それぞれのセクシュアリティを超えて交流できる「場づくり」をしています。

※1:LGBTQ+…レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランジェンダー、クエスチョニング(自分の性別や性的指向に疑問を持ったり迷ったりしている人)/ クィア(規範的な性のあり方に違和を感じている人や性的少数者を包摂する言葉)の英語表記の頭文字を並べ、LGBTQだけではない性の多様性を「+」で表現している。以下、本文では「LGBTQ」と表示。

小島:活動のきっかけはどんなことだったのでしょう?

松中:僕自身がLGBTQの当事者で、子どもの頃はずっと自分のことを受け止めづらい心境でした。
日本の大学を卒業してオーストラリアの大学に留学をしたときに、はじめてカミングアウト。「自分らしく暮らすことって、こんなに心地いいんだ!」という体験をしました。そこで抱いた「こんな社会になったらいいな」という思いを胸に日本へ戻り、広告代理店に就職したんです。ところがその後、自分らしさをクローゼットの奥深くにしまうように、ヘテロセクシュアル(異性愛者)のふりをした暮らしが8年間続きました。

それでも「自分が自分である部分」を大切にしたいと考えて、再び海外へ。ニューヨークのイベント会社でゲイであることをカミングアウトして働きました。ちょうどオバマ大統領が就任した頃です。社会自体を変えていこうとする動きに刺激を受けて、自分自身もこれだけ心地よく暮らし、働いていけるのだったら、そういう社会が日本にもできて欲しいと思ったことがきっかけとなって、帰国した後にグッド・エイジング・エールズを設立しました。

グッド・エイジング・エールズの松中さん(右)に、ご自身もさまざまな社会課題に対する支援活動をされている小島慶子さん(左)がインタビュー。
グッド・エイジング・エールズの松中さん(右)に、ご自身もさまざまな社会課題に対する支援活動をされている小島慶子さん(左)がインタビュー。

LGBTQにとっていつでも頼れる居場所、それが『プライドハウス東京レガシー』

小島:オーストラリアやアメリカなど海外では同性婚が可能になっている昨今、LGBTQを取り巻く日本の環境はどうなのでしょうか?

松中:まだまだ厳しい状況だと感じています。例えば、LGBTやLGBTQという言葉に関して、電通ダイバーシティ・ラボ(※2)の調査によると約8割の人が知っているという結果でした。同じく、その調査でLGBTQの当事者に「自分がLGBTQであることをカミングアウトできる社会ですか?」と質問すると、「まだまだそんな社会ではない」という回答が7割強もあり、日本社会では差別や偏見などが根強いことを改めて感じました。

※2:ダイバーシティ&インクルージョン領域の調査や分析、ソリューションの開発を専門とする組織。これまで2012年、2015年、2018年、2020年に「LGBT調査」を実施。

小島:日本でのLGBTQに対する差別や偏見の背景には何があると思われますか?


松中:日本カルチャーには、異質なものを締め出そうとしたり、同質であることを評価する風潮があると思います。人とちょっと違うこと自体が揶揄の対象になってしまう傾向が根底にあり、性的指向や性自認が多くの方々とたまたま違う人を排除しようと考えることが背景にあるのではないでしょうか。

小島:そうした状況の中で、なぜ『プライドハウス東京レガシー』をオープンしようと思ったのですか?


松中:海外には「LGBTコミュニティセンター」という常設の総合センターがありますが、日本にはそのような「何かあったらそこに行けばいい」という、安心・安全な居場所がありませんでした。日本のLGBTQコミュニティはずっとそのような居場所が欲しいと願ってきたのですが、なかなかそういう場所をつくるきっかけやサポートもない状態でした。

そのような中、今回の東京2020オリンピック・パラリンピック大会の開催は、社会を変えていく一つの大きな節目になるんじゃないかと思い、『プライドハウス東京』プロジェクトを立ち上げました。

『プライドハウス東京レガシー』のロゴは東京2020オリンピック・パラリンピックのエンブレムを手掛けた、野老朝雄氏によるもの。
『プライドハウス東京レガシー』のロゴは東京2020オリンピック・パラリンピックのエンブレムを手掛けた、野老朝雄氏によるもの。

小島:実際に活動をはじめて、さまざまな方が訪れているかと思いますが、実感としてはいかがですか?

松中:来場者だけでなく、スタッフの皆さんも、「こういう場所があって本当によかった」とおっしゃっていただいています。僕たちはグッド・エイジング・エールズとして2010年から活動を続けてきましたが、例えばこれまでのイベントなどではお会いしたことがないような方々がたくさんいらっしゃっています。実はイベントに参加することすらハードルが高いと感じる方もいらっしゃるんだということを、ここをオープンして感じています。ご年配の方から親御さんと一緒にいらした保育園・小学校くらいの方まで、幅広い年齢層が『プライドハウス東京レガシー』を訪れています。当事者の方も、そうではない方も、例えばLGBTQのことを勉強している大学生の方なども卒業論文制作のために、蔵書を見に来たりしています。

新宿御苑駅から徒歩約3分ビルの2階が『プライドハウス東京レガシー』。LGBTQの方だけでなく、誰でも利用可能な施設です。
新宿御苑駅から徒歩約3分ビルの2階が『プライドハウス東京レガシー』。LGBTQの方だけでなく、誰でも利用可能な施設です。

小島:LGBTQに関する蔵書が約1,800冊もあるそうですね。

松中:この施設の立ち上げとともに「LGBTQコミュニティ・アーカイブ」というプロジェクトをはじめたんです。蔵書は、クラウドファンディングによるご支援を中心にして集めました。大人向けのものからユース向けのコミックやLGBTQをテーマにした絵本なども、世界中の大使館の協力も得て集めています。

窓際にはユース向けのコミックや絵本がズラリ(左)。書籍などの紹介をしながら、これまでのLGBTQカルチャーについて語る松中さん。(右)
窓際にはユース向けのコミックや絵本がズラリ(左)。書籍などの紹介をしながら、これまでのLGBTQカルチャーについて語る松中さん。(右)

大切なのは「自分のなりたい自分」。未来を担う若者や中高齢者をラップアラウンド

小島:LGBTQの方々に対する支援も世代別で課題が異なると思いますが、中高齢者向けの支援ではどんなことに取り組んでいますか?

松中:実施している事業の中では、35歳以上を中高齢者と定義しています。その世代の方の一番の悩みは「仕事」です。仕事は人間関係で成り立つことが多いので、カミングアウトできずに自分を隠して人と距離をとってしまっている中、コロナ禍ではよりその距離がとりづらくなり、仕事を休んだり、辞めることになってしまったりしています。

例えばそうした方々には、この『プライドハウス東京レガシー』を一緒につくることに協力していただいています。LGBTQコミュニティ・アーカイブを整理する作業をそうした方々にお願いしているなどがその例で、これも休眠預金を活用した事業で実施しています

小島:特に性的少数者の高齢者にとっては、法律の後ろ盾もなく、誰とどうやって生きていけばいいのかという悩みもあるのではないでしょうか?

松中:そうなんです。そうした問題を受けて、生活支援の相談もはじめています。例えば、同性のパートナーと一緒に暮らす際にLGBTQフレンドリーな不動産屋を紹介したり、自身の性的マイノリティーについて周囲に語ることができない状況で病気を患い、誰にも相談できずに困っている方を行政と繋いだり、多岐にわたってサポートしたいと思っています。

小島:それは心強いですね。では、若者世代の課題はどんなことが挙げられますか?

松中:若者世代は自分が「LGBTQの当事者かもしれない」と気づくタイミングであり、同時に自分自身を受け止めることが難しい年齢でもあるので、そこをサポートすることも課題のひとつです。

「ラップアラウンド・サポート(ラップアラウンド=包み込む)」と呼んでいますが、通常「支援」というと、支援する側がアドバイスするのですが、私たちのラップアラウンド・サポートは、当事者である若者が真ん中にいて「自分がなりたい自分」を会話から引き出し、その想いに近づける手助けをしています。例えば「親御さんへカミングアウトしたい」「女の子として学校に入学したけれど、ずっと違和感を持っていて男の子の制服を着たい」といった個々の悩みに、それぞれどんな方法がよいか、必要であれば学校の先生方や親御さんなどにも入っていただいて一緒に考えます。当事者である若者自身がどうしたいかという点を中心においてサポートをしています。

小島:それはとても心強いでしょうね。全部自分で決めて、誰に言おうかと悩むのは辛いですものね。

松中:インターネットが発達してLGBTQの情報は多くなってきているとはいえ、正しい情報をきちんと届けていかなければいけないと考えています。若者世代は近しい友達からいじめを受けやすい世代でもあるので、ラップアラウンド・サポートを通じて、当事者もしくは当事者かもしれないという方だけではなく、色々な人に知っていただくことも大切だと思っています。実際、高校生と先生が総合学習の中でここにいらっしゃって、LGBTQのことを学ぶということも行われています。

小島:これまでお話を伺ってきて、「プライドハウス東京」コンソーシアムの活動にかなり手ごたえを感じている印象を受けました。

松中:そうですね、手ごたえを感じています。でも、まだこのような施設は東京にしかないので、ゆくゆくは日本全国に届けていきたいと考えています。現在はコロナ禍なのでオンラインでの企画なども検討しています。

インタビューの様子。
インタビューの様子。

休眠預金を活用してLGBTQの「若者」と「中高齢者」向けに2つの助成事業を実施中。

小島:『プライドハウス東京レガシー』のオープンにあたって休眠預金を活用されていますが、このような制度があって本当に良かったですね。

松中:本当に良かったです。この仕組みがあったからこそ、『プライドハウス東京レガシー』ができたと思っています。現在、グッド・エイジング・エールズが事務局となって、2つの休眠預金活用事業を実施させていただいています。

ひとつは2019年度通常枠で、『特定非営利活動法人 エティック』という資金分配団体から3年間の助成を受け、LGBTQユース(子どもや若者)を中心とした支援を行っています。普通の助成は1年間で終わってしまうものが多いのですが、『プライドハウス東京レガシー』は期間限定の取り組みではなく常設の場所にしていきたいので、3年間の助成で『プライドハウス東京レガシー』がどうやったら持続可能になっていくかについて私たちと一緒に考えてもらっています。

実は『プライドハウス東京レガシー』はコンソーシアム型の取り組みで、LGBTQの支援を行う33のNPO団体や専門家と一緒のチームで動いているのですが、エティックの方々にそのチームの中の打ち合わせに入ってもらったり、また組織自体をどのように持続可能にしていくかということを、もともとエティックが持っていらっしゃるノウハウに基づいて支援をいただいたり、資金だけではなく人的なサポートもいただいています。

もうひとつは2020年度新型コロナウイルス対応緊急支援助成です。資金分配団体である『READYFOR株式会社』から、LGBTQの中高齢者に向けた支援として1年間の助成を受けています。

コロナ禍で失職して仕事ができず精神的に辛い思いをしている方、さまざまな事情で一時的に仕事をすることが難しい方などを対象に、緊急的に色々な働き方が提供できるようにサポートができており、すごく助かっています。


施設内ではドリンクも提供。ゆったりとくつろいで過ごすことができる空間となっています。新型コロナウイルス感染症の拡大防止のための対策もきちんと行なっています。
施設内ではドリンクも提供。ゆったりとくつろいで過ごすことができる空間となっています。新型コロナウイルス感染症の拡大防止のための対策もきちんと行なっています。

東京2020オリンピック・パラリンピックを日本中にメッセージを届ける機会に!

小島:最後に、これから取り組んでいきたいことなどを教えてください。

松中:東京2020オリンピック・パラリンピックの機会をうまく活かしていきたいと考えています。この大会が、一人ひとりが「自分はこれを変えたい」「自分こうなりたい」ということを考えるきっかけになればと。

僕たちの「プライドハウス東京」は、2010年のバンクーバーオリンピック・パラリンピック開催時に誕生した「プラウドハウス」のコンセプトを元にしているので、もともとスポーツとLGBTQがテーマだったんです。ですから大会期間中のタイミングを上手く活かして情報発信していきたいと考えています。日本ではLGBTQをカミングアウトしているアスリートはまだ少ないですが、世界中から応援メッセージが届いており、若者を含めてLGBTQだけではなく日本中の皆さんにメッセージを届けたいと考えています。

(取材日:2021年7月22日)

2021年4月には、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の会長、橋本聖子さんも来訪。
2021年4月には、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の会長、橋本聖子さんも来訪。

■松中権さん プロフィール■
NPO法人グッド・エイジング・エールズ代表。「LGBTと、いろんな人と、いっしょに」をコンセプトに、インクルーシブな場づくりを行うなど、多数のプロジェクトを手掛ける。東京2020組織委員会内での、LGBT勉強会や多様性リーフレット作成監修も担当している。

■小島慶子さん プロフィール■
TBSでアナウンサーとしてテレビ、ラジオで活躍。2010年に退社後は各種メディア出演のほか、執筆・講演活動を精力的に行っている。東京大学大学院情報学客員研究員。呼びかけ人の一人となっている「ひとりじゃないよプロジェクト」では、コロナ禍で打撃を受けている120万世帯を超える母子世帯を応援する活動を精力的に行っている。

■事業基礎情報【1】

実行団体
特定非営利活動法人グッド・エイジング・エールズ
事業名

日本初の大型総合LGBTQセンター「プライドハウス東京」設立プロジェクト

-情報・支援を全国へ届ける仕組みを創り、LGBTQの子ども/若者も安心して

暮らせる未来へ-

活動対象地域東京都、及び全国
資金分配団体特定非営利活動法人エティック
採択助成事業

『子どもの未来のための協働促進助成事業

~不条理の連鎖を癒し、皆が共に生きる地域エコシステムの共創』

〈2019年度通常枠〉

■事業基礎情報【2】

実行団体
特定非営利活動法人グッド・エイジング・エールズ
事業名

LGBTQ中高齢者の働きがい・生きがい創出

活動対象地域全国
資金分配団体READYFOR株式会社
採択助成事業

『新型コロナウィルス対応緊急支援事業

 ~子ども・社会的弱者向け包括支援プログラム』

〈2020年度新型コロナウィルス対応緊急支援助成〉

休眠預金活用事業の成果物として資金分配団体や実行団体で作成された報告書等をご紹介する「成果物レポート」。今回は、実行団体『特定非営利活動法人岡山NPOセンター(資金分配団体:特定非営利活動法人 全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)〈2019年度通常枠〉)』から休眠預金活用事業の成果物として開設された、「災害支援用語集 サイガイペディア」をご紹介します。

災害支援用語集 サイガイペディア

全国初の災害支援に関する災害支援者による共同作業によって執筆されるフリー用語集「サイガイペディア」(ウェブサイト)を開設しました。ウィキペディアのように支援者が共同執筆して成長させる用語集です。

東日本大震災から10年。毎年、自然災害が続く中で、あらたに被災地となる地域の自治体職員の方や新たに民間で支援に取り組む方が災害支援特有の専門用語や業界用語について忙しい中でパッと見て理解できる、簡単な解説をすることに主眼を置いた用語集として作成しています。災害支援・減災防災活動に取り組む皆様に活用いただけるよう、ご周知をお願いいたします。

また、ウィキペディアのように共同執筆・共同編集のサイトとして、どんどん用語を足せるようにしております。ご覧いただくと共に、皆さんが悩まれた用語など、ぜひ登録をお願いします!
サイガイペディアサイト「投稿者ご登録フィーム」よりどうぞよろしくお願いいたします。




【事業基礎情報】

資金分配団特定非営利活動法人 全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)
事業名岡山県内市町村との連携体制と災害時支援スキームの確立事業
採択助成事業中核的災害支援ネットワーク構築
〜大規模災害に備え、ネットワーキングから始まる地域の支援力強化〜
〈2019年通常枠・災害支援事業〉
活動対象地域岡山県
実行団体特定非営利活動法人岡山NPOセンター

2021年3月13日(土)、東京都江戸川区立船堀小学校の6年生を対象に「出前授業」を実施しました。出前授業とは、社会人講師が小中学校へ出向き、それぞれが得意とする分野などについて特別授業を行うこと。今回は私たちJANPIAがワークショップを織り交ぜながら、「休眠預金活用」についての授業を行いました。

中庭から見た出前授業の様子。みんな集中しています。
中庭から見た出前授業の様子。みんな集中しています。

身近なところから考えよう。誰ひとり取り残さない、持続可能な社会づくり

講師の熊谷香菜子先生。
講師の熊谷香菜子先生。

広々と明るい印象の校舎に、元気な声が響きわたります。中庭の見える開放的な教室にちょっぴり緊張した表情の6年生が集まりました。始業の鐘とともに挨拶を終えると、講師の熊谷先生が話はじめました。

「JANPIAは、“誰ひとり取り残さない、持続可能な社会づくり”を目指す団体です。それは、困った人を放っておかないこと、そして、その状態がずっと続く社会の仕組みがあることを指しています。では、どうやったらそれを実現できるのでしょうか?」

社会の授業では東日本大震災の復興について学んだという船堀小学校の子どもたち。被災から約10年を経た今、その状況を例に取り上げ、モニターに映る資料を見ながら先生が分かりやすく説明していきます。

「震災で被災した人たちは突然の出来事に困っていました。そこで復興に向けて、国が法律をつくり、予算を決め、県や市町村といった行政が仮設住宅の建設や日々の暮らしを支援しています。その費用は、皆さんから集めた税金です。こうして困っている人たちを助けることにも役立てられているんですね」

「震災で被災した人たちは突然の出来事に困っていました。そこで復興に向けて、国が法律をつくり、予算を決め、県や市町村といった行政が仮設住宅の建設や日々の暮らしを支援しています。その費用は、皆さんから集めた税金です。こうして困っている人たちを助けることにも役立てられているんですね」

「あれ?でも、仮設住宅に住むこの人は、住む場所があるのに困った顔ですね。ほかにも困っている人がいるようです」

被災した人ばかりではなく、今、私たちが暮らしている社会を見回してみると、実はいろいろなところで困っている人がたくさんいます。今日は「困っている4人」を例に、どうしたら現状の問題を解決できるのかをみんなで一緒に考えていきます。

困っていることを見つけて、たくさんの「友達」を助けよう!

年齢はもちろん、異なった環境で困っている4人の人たちを例にワークに取り組みます。
年齢はもちろん、異なった環境で困っている4人の人たちを例にワークに取り組みます。

熊谷先生からお話のあった「困っている4人」が、どのようなことに悩み、自分たちはどんなことをしてあげられるのかを、ワークを通して学びます。

困りごとを抱えている例の4人は、被災者で高齢のAさん、介護事業所を経営するBさん、刑務所を出所したCさん、ひきこもりのDさん。それぞれの状況、困りごとが書かれた資料を見ながら、まずは5名ほどの班に分かれて「どんなことに困っているか」を話し合ってもらいました。

子どもたちにアドバイスしながら、JANPIAスタッフも一緒に考えました。
子どもたちにアドバイスしながら、JANPIAスタッフも一緒に考えました。

「皆さんは、この4人のことを『友達』だと思ってください。え?大人の友達?しかも犯罪者?!と思うかもしれませんが、親戚の人、近所の人、習い事の先生など、皆さんの周りにも大人の知り合いがたくさんいますよね。その人たちの困っていることを解決してあげようという気持ちで考えてみてください」

文章を読みながら、どんなことに困っているかを懸命に考える様子が印象的でした。
文章を読みながら、どんなことに困っているかを懸命に考える様子が印象的でした。

先生と一緒に4人がどんな困りごとを抱えているのか確認をしたら、Aさん、Bさん、Cさん、Dさんを各班に振り分け、A3用紙にプリントされた文章を読みながら、それぞれが困っていると思われる部分を丸で囲みます。真剣なまなざしで話を聞き入っていた子どもたち。開始の合図とともに、一斉に話し合いをはじめました。

「お助けカード」で探してみよう。身近にある困りごと解決のヒント

困りごとを丸で囲んだことで、具体的にどんなことに困っているのかを理解し、さらに「こんなことにも困っているかも!」といった新たな問題にも気づくことができました。次のワークでは、困りごとの解決方法を考えていきます。

今回使用した「お助けカード」。このカードは、実際に休眠預金を活用して行われている活動をもとに作られています。

ここで登場するのが11枚の「お助けカード」です。はがきよりやや小さなサイズの紙には、福祉に関わる取り組み・職業が書かれています。使い方は簡単。例えば、被災したAさんを助けるために1番のお助けカードの人にこんな困りごとを解決してもらおう!といった具合です。苦しい思いをしている人が少しでも楽になると思ったアイデア、小学生の自分では難しいけれど、あの人に相談したら解決しそう!など、思いつく限りの意見を各班で交換し、解決への糸口を模索します。

「この人たちにはきっと音楽プログラムを使った方がいいと思うな!」
「リハビリが必要で働けない人にはタブレットで内職ができるようにしてみよう」
「募金をするのもいいのかな?」

わずか15分ほどの話し合いながら、教室は熱気に溢れていました。笑顔で意見を交わす子、何度も文章を読み返す子、小学生ながらしっかりとした意見を述べる様子は大人も顔負けです。

相手を思いやる豊かな想像力が、大きな支援に繋がります

話し合いを終えたところで、各班みんなで見つけた「困りごと」と「解決方法」について発表をしてもらいました。ここでは、その一部をご紹介します。

▼被災者で仮設住宅に一人で暮らすAさん
・LINE通話やZOOMで子どもや孫と会話ができるようにお助けカード(タブレット教室)を使います。
・いつでも誰かと話せる「居場所カフェ」を開いてみたい。

▼リハビリ施設を運営する介護事業者のBさん
・コロナウイルス感染症を気にして通所しなくなってしまったお年寄りには、タブレットやDVDを使って動画でリハビリの方法を教えてあげる!
・クラウドファンディングをはじめて内職するのはどうだろう?

▼刑務所を出たばかりのCさん
・就職先が無くて困っているので、お助けカード4番(罪を犯した人の立ち直り支援)の人に相談して紹介してもらいます。
・友達がいなくて辛いという悩みは、心理カウンセラーさんに話すのもよいかな。

▼仕事がつらくてひきこもりになってしまったDさん
・10番のカード(就職支援)を使って、お試しで挑戦できる仕事を紹介してもらってみては?
・「孤独の会」を作って、同じ境遇の人が集まって気持ちを分かち合うとよいと思う。
「もし友達が困っていたら?」そんな視点で考えることで、親近感が沸き、より具体的なイメージができたようです。誰かを思いやり、共感する力が困っている人たちを支える発想へと結びつきます。

困ったら「助けて」といえる社会へ。休眠預金で困った人を助ける活動をサポートしています

小学生ならではの柔軟なアイデアが次々に飛び出し、短時間でたくさんの意見が飛び交った出前授業。最後は、講師の熊谷先生からJANPIAのスタッフにバトンタッチし、「誰ひとり取り残さない、持続可能な社会づくり」のために大切なことを改めて子どもたちに伝えます。

「皆さんは『休眠預金』を知っていますか? 休眠預金とは、銀行にある預金を10年間預けたり引き出したりしていなかった預金のことです。これまでは、休眠預金になると銀行の持ち物になっていましたが、法律が変わり、困っている人たちのために役立てることができるようになりました」

現代社会では、本当に困っている人ほど、自分からSOSの声をあげられない場合が多く見受けられます。こうした人と出会ったとき、私たちはどのようなことを心掛けておけばよいのでしょうか。

「もし東京に大地震がきたり、巨大な台風がきて江戸川が氾濫したり、突然、災害が起こったら自分が困った人になります。また、溺れている人がいれば浮き輪を投げてあげる、警察や消防署に連絡をするなど、小学生の皆さんでも、困っている人を助けるためにできることはたくさんあります。大切なことは自分たちが困ったら「助けて!」と声を上げること、そして「助けて!」といいやすい社会であること、さらにそうしたSOSを見つけたらできるだけ早く助けてあげられる活動を増やしていくことです」

今日のワークショップで配られたお助けカードに登場していた人たちは、自分たちで団体を作ったり、会社を興したり、さまざまな困りごとを助ける活動をしている「民間」の実在する人たち。休眠預金は、こうした人たちの活動資金として活用されています。それをサポートするのが私たちJANPIAのお仕事です。

「僕は今日はじめて休眠預金について知りました。明日、自分が困った人になるかもしれないと考えたら、お助けカードの人たちと同じように、まず自分に何ができるのかを考えて助けられるようにしていこうと思います!」 未来を担う子どもたちの柔軟な思考と、誰かを思いやる心、そして心強い感想に刺激を受けた出前授業でした。

「僕は今日はじめて休眠預金について知りました。明日、自分が困った人になるかもしれないと考えたら、お助けカードの人たちと同じように、まず自分に何ができるのかを考えて助けられるようにしていこうと思います!」 未来を担う子どもたちの柔軟な思考と、誰かを思いやる心、そして心強い感想に刺激を受けた出前授業でした。

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【本記事に関する問い合わせ先】JANPIA 企画広報部 info@janpia.or.jp

「コロナ禍であっても地域のつながりを途絶えさせないために、何かできないか」と考え、発案したキッチンカー事業。資金分配団体であるちばのWA地域づくり基金 『地域連携型アフターコロナ事業構築』で採択された「キッチンカーでGO!」事業を実施する「特定非営利活動法人ワーカーズコレクティブういず」理事長 北田恵子さんにお話を伺いました。

コロナ禍のしわ寄せが、弱い立場の人たちを直撃

特定非営利活動法人ワーカーズコレクティブういず(千葉県柏市)

2004年に協同組合形式で女性6人で立ち上あがった「特定非営利活動法人ワーカーズコレクティブういず(千葉県柏市)」は、これまで子育て支援事業や居場所づくり事業など地域からのニーズに合わせて、様々な事業を展開してきました。現在の事務所に移転したのは2008年。古民家風の素敵な一軒家を借りることができたおかげで、居場所づくり事業から助け合い事業に発展し、最近では自治体から生活総合支援事業実施の相談をいただくなど、活動は順調に拡大していました。

しかし2020年に入ってのコロナ禍。2020年3月から6月まで居場所は閉鎖となり、活動は事実上ストップせざるを得ない状況になりました。そして聞こえてきたのは、これまで居場所に来てくれていた人たちが苦しむ声――「高齢の利用者の要介護度が上がってしまった」「外に出られず、鬱状態だ」「常連のお子さんのネグレクトが疑われる」・・・。コロナ禍のしわ寄せが、弱い立場の人たちを直撃していました。

コロナ禍の中でも人のつながりを。「キッチンカーでGO!」が生まれるまで

そのような中、他の団体に教えてもらって休眠預金を活用した「新型コロナウイルス対応支援助成」を知りました。
「コロナ禍によって貧困や孤独が加速している状況の中、それを解消していくためには、やっぱり人だと考えました。助成を活用しながら、人が集まる居場所ではなくても、人とのつながりを保ちながら社会の分断を抑える‘居場所の機能’が展開できないかと考え始めたんです。」(北田さん)

そして人に集まってもらうのではなくて自らが外に飛び出していく「キッチンカー事業」の発想が生まれました。

お話を伺った北田恵子さん

そして人に集まってもらうのではなくて自らが外に飛び出していく「キッチンカー事業」の発想が生まれました。

「移動できるキッチンカーを多目的に活用することで、こども食堂やあおぞらカフェを開催できます。地域の皆さまにご利用いただけるし、キッチンカーによってスタッフにも活躍の場を提供することができます。そして、なによりキッチンカーを購入するってワクワクしませんか?コロナ禍で社会全体が落ち込んでいる中、そのようなみんなでワクワクできることが、大切だと思ったんです。」(北田さん)

その後、「キッチンカーでGO!〜どこでもこども食堂&暮らしのサポート〜」という計画を資金分配団体であるちばのWA地域づくり基金 『地域連携型アフターコロナ事業構築』に申請し、2020年9月に採択されました。

キッチンカーをきっかけに、地域に必要なサポートを届けたい

採択後、諸手続きを経てキッチンカーを購入し11月13日には念願の事業がスタート。当面は2か所に拠点を絞って「あおぞらカフェ」や「子ども食堂」を実施しています。柏市の子供福祉課とも連携し、地域のひとり親世帯に実施日をメールで連絡してもらうことで、参加者にも広がりが出ています。

また地域包括との連携で、介護度の高い方や単身高齢者世帯にランチの無料配達も実施中です。最近では、「子ども食堂を支援したい」と近所の農家さんなどから野菜の寄付も受けています。キッチンカーが街を走ることで取り組みの認知度向上にもつながっているとのことです。 しかし北田さんたちの思いは、キッチンカーでの食事提供にとどまりません。
キッチンカーの様子

また地域包括との連携で、介護度の高い方や単身高齢者世帯にランチの無料配達も実施中です。最近では、「子ども食堂を支援したい」と近所の農家さんなどから野菜の寄付も受けています。キッチンカーが街を走ることで取り組みの認知度向上にもつながっているとのことです。 しかし北田さんたちの思いは、キッチンカーでの食事提供にとどまりません。

「キッチンカーで華やかに見えるのは、食事作りや食事の提供です。もちろんそれは大切なことですが、私たちが本当にやりたいことは、キッチンカーをきっかけにして地域のお困りごとを聞き、地域に必要なサポートをお届けしていく仕組みづくりです。そのために利用者にアンケートにもご協力いただいています。 小さな活動ではありますが、キッチンカーを核とした活動を継続していくことで地域に連携を生み、地域のみんなが輝く場・みんなが集まることで他の人も輝ける場をお互いに作りあっていけるのではないかと考えています。そして孤立・孤独によって生まれる地域課題に素早く気づき、解決につなげられるようにしていきたいです。」(北田さん)
お一人お一人に温かいお弁当を手渡し

「キッチンカーで華やかに見えるのは、食事作りや食事の提供です。もちろんそれは大切なことですが、私たちが本当にやりたいことは、キッチンカーをきっかけにして地域のお困りごとを聞き、地域に必要なサポートをお届けしていく仕組みづくりです。そのために利用者にアンケートにもご協力いただいています。 小さな活動ではありますが、キッチンカーを核とした活動を継続していくことで地域に連携を生み、地域のみんなが輝く場・みんなが集まることで他の人も輝ける場をお互いに作りあっていけるのではないかと考えています。そして孤立・孤独によって生まれる地域課題に素早く気づき、解決につなげられるようにしていきたいです。」(北田さん)

スタッフの皆さん


■休眠預金活用事業に参画しての感想は?

これまで色々な助成を活用して活動してきましたが、休眠預金活用事業のように団体の運営費(家賃や人件費など)まで経費が下りる助成は初めてで、大変ありがたかったです。(北田さん)




■資金分配団体POからのメッセージ

休眠預金等活用事業ならではの大規模な助成を活用してキッチンカーを投入したことでインパクトのある活動が実践できています。ういずさんが拠点を2か所に絞って、じっくりと地域の方と向き合い、関係を築き継続・定着できてきており、担い手のみなさんも生き生きと活動しており、本事業がもたらす効果を実感しています。(公益財団法人 ちばのWA地域づくり基金)

【事業基礎情報】

実行団体
特定非営利活動法人ワーカーズコレクティブういず(千葉県柏市)
事業名
キッチンカーでGO!〜どこでもこども食堂&暮らしのサポート〜
活動対象地域千葉県柏市
資金分配団体公益財団法人 ちばのWA地域づくり基金
採択助成事業

『地域連携型アフターコロナ事業構築』(対象地域:千葉県)

〈2020年新型コロナウイルス対応緊急支援助成〉