SDGs研究所のSDGsユニバーシティ講演会に、JANPIA出資事業部長の小崎が登壇します。インパクト投資やSDGsの視点を取り入れた地方創生にご関心のある方々に参考にしていただきたく紹介します。
第21回 SDGs ユニバーシティ講演会:地方創生とSDGs
第21回SDGsユニバーシティ講演会を開催致します。
SDGsの視点を取り入れた地方創生をいかにして進めるか?
第1部では宇田川氏が地方自治体の課題解決のためのプラットフォーム構想、第2部では小崎氏が地方創生に特に必要とされるファイナンス問題、という2つの視点から現状をブレークスルーするソリューションについて講演いただきます。
また、第3部では講師と笹谷校長を交えたトークセッションを行います。
皆様のご参加をお待ちしております。
【イベント情報】
日時 | 2025年10月2日(木)15:30 – 17:00(受付開始:15:00) ※進行状況により終了時間が変わる場合がございます。 |
開催形式 | 会場+オンライン(YouTube配信)でのハイブリッド開催 |
会場 | 国連大学本部ビル1階アネックス・スペース (〒150-8925 東京都渋谷区神宮前5-53-70)【MAP】 |
参加費 | 無料 |
プログラム | <第1部>『地方創生SDGs ~経済・社会・環境の自律的好循環の形成に向けて~』 ・講師:宇田川 徹(うだがわ とおる) 内閣府地方創生推進事務局 参事官 (略歴) 1994年経済産業省入省、経済産業政策局産業資金課、企業行動課、福島復興推進グループ、 内閣府科学技術・イノベーション推進事務局などを経て、2025年4月より現職。 地方創生SDGs の推進を担当。 <第2部>『インパクト投資とJANPIAの取り組み』 ・講師:小崎 亜依子(こざき あいこ) 一般財団法人 日本民間公益活動連携機構(JANPIA) 出資事業部長 (略歴) 2024年1月より、JANPIAにおいて日本におけるインパクトファーストなインパクト投資市場の創造に取り組む。 サステナブルファイナンスの専門家として、2007年より日本総合研究所で企業のESG側面の分析手法を開発し、金融機関等のESG投資戦略や商品開発を支援。 2020年から2022年まで、金融庁においてサステナブルファイナンス専門チームの立ち上げや関連政策の策定支援に携わる。 ピッツバーグ大学公共政策国際関係大学院・修士課程修了、慶應義塾大学総合政策学部卒。 公益社団法人 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA) <第3部>講師と笹谷秀光校長を交えたトークセッション |
主催 | SDGs研究所 |
後援 | 経済産業省 外務省 渋谷区 |
お申込み | 会場参加、YouTubeライブどちらも以下のURLまたはQRコードよりお申し込みください。 https://sdgs-institute.com/report/seminar/21st-university.html ※応募〆切(会場希望者のみ):2025年9月29日(月) ※会場の席数が限られております。 先着順で承りますので予めご了承ください。 |
注意事項 | 応募フォームから申し込みをされると、自動返信で視聴用のURLが届きます。(会場参加で申し込まれた場合も、自動応答メールに視聴用URLが記載されています) 1分以内に自動応答メールが届かない場合、お使いのシステムなどから排除されている可能性がございますので、事務局までご連絡ください。視聴用のURLを事務局からお送りいたします。 |
お問い合わせ | SDGs研究所 [事務局連絡先]sdx_sdgs-institute@shidax.co.jp |
休眠預金活用事業に係るイベント・セミナー等をご案内するページです。今回は、公益財団法人ちばのWA地域づくり基金主催「若者の就労について考える地域円卓会議」を紹介します。
若者の就労について考える地域円卓会議
~働きたいけど働けない若者が自分に合った一歩を踏み出せる環境をつくるために、東葛・葛南地域でできることを考える~
ちばのWA地域づくり基金は、2023年度通常枠で「若年就労困難者のための包括的就労支援事業」を実施しています。
本事業では、働きづらさを抱える若者が自分に合った働き方や仕事を選択できる地域社会になることを目指し、市川市・柏市の3つの就労支援団体と連携して事業に取り組んでいます。
今回の円卓会議では、若年就労困難者を取り巻く課題や現状の施策について確認し、働きづらさを抱えた若者が自分に合った一歩を踏み出せる環境をつくるために、東葛・葛南地域でできることを考えます。
テーマに関心のある方はどなたでもご参加いただけます。ぜひお気軽にご参加ください!
【イベント情報】
日時 | 2025年9月2日(火)14:00 – 17:00(受付開始:13:40) |
開催形式 | 現地開催 |
会場 | アミュゼ柏プラザ (JR東武線「柏駅」東口より徒歩7分) (〒277-0005 千葉県柏市6-22-22)【MAP】 |
定員 | 50名(※定員になり次第締め切りとさせていただきます) |
対象 | テーマに関心のある方はどなたでもご参加いただけます |
参加費 | 無料 |
タイムテーブル(予定) | <テーマ> 働きたいけど働けない若者が自分に合った一歩を踏み出せる環境をつくるために、東葛・葛南地域でできることを考える 13:40 開場・受付開始 14:00 オープニング 地域円卓会議について 14:10 論点提供 14:30 セッション①(兼着席者紹介) 15:45 サブセッション兼休憩 (3-4人グループで意見交換を行います) 16:20 セッション② 16:50 ふりかえり・まとめ 17:00 円卓会議 終了 |
登壇者 | 【論点提供者】 ・塚田 輝 (公益財団法人ちばのWA地域づくり基金 プログラムオフィサー) 【着席者】 ・内山 和崇 氏 (千葉県商工労働部 雇用労働課 若年者雇用推進班 副主査) ・野村 聡 氏 (柏市 障害福祉課 副参事) ・藤沢 殊恵 氏 (いちかわ・うらやす若者サポートステーション 総括コーディネーター) ・知名 青子 氏 (独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター 障害者支援部門 上席研究員) ・五味 秀俊 氏 (一般社団法人千葉県中小企業家同友会 障がい者雇用と多様な働き方を考える委員会 委員長) ・小和田 尚子 氏 (NPO法人青少年就労支援ネットワーク静岡 共同代表理事) 【司会進行】 ・大村 みよ子 (公益財団法人ちばのWA地域づくり基金 プログラムオフィサー) |
主催 | 公益財団法人ちばのWA地域づくり基金 |
お申込み | 参加ご希望の方は、以下のQRコードを読み込み、必要事項をご記入の上お申し込みください 【申込締切】2025年9月1日(月)正午 (※締め切り前でも定員になり次第締め切りとさせていただきます) |
お問い合わせ | 公益財団法人ちばのWA地域づくり基金(担当:大村・塚田) [TEL]043-239-5335 [MAIL]info@chibanowafund.org |
事業完了にあたり、成果の取りまとめるために実施されるのが「事後評価」です。事後評価は、事業の結果を総括するとともに、取り組みを通じて得られた学びを今後に生かせるよう、提言や知見・教訓を整理するために行われます。今回は、2025年3月末に事業完了した2021年度通常枠【新たな災害における復興の担い手育成事業|RCF[21年度通常枠]】の事後評価報告書をご紹介します。ぜひご覧ください。
事業概要等
事業概要などは、以下のページからご覧ください。
事後評価報告
事後評価報告書は、以下の外部リンクからご覧ください。
・資金分配団体
・実行団体
【事業基礎情報】
資金分配団 | 一般社団法人 RCF |
事業名 | 新たな災害における復興の担い手育成事業 <2021年度通常枠> |
活動対象地域 | 令和4年3月福島県沖地震、令和4年8月3日からの大雨、令和4年台風8号・14号・15号およびそれ以前に発生した大雨、台風、地震等の災害による被災地域(青森県、静岡県、宮崎県) |
実行団体 | ・北彩漁業生産組合 ・特定非営利活動法人 atamista ・特定非営利活動法人 YNF |
事業完了にあたり、成果の取りまとめるために実施されるのが「事後評価」です。事後評価は、事業の結果を総括するとともに、取り組みを通じて得られた学びを今後に生かせるよう、提言や知見・教訓を整理するために行われます。今回は、2025年3月末に事業完了した2021年度通常枠【シングルマザーのデジタル就労支援|グラミン日本[21年度通常枠]】の事後評価報告書をご紹介します。ぜひご覧ください。
事業概要等
事業概要などは、以下のページからご覧ください。
事後評価報告
事後評価報告書は、以下の外部リンクからご覧ください。
・資金分配団体
・実行団体
【事業基礎情報】
資金分配団 | 一般社団法人 グラミン日本 |
事業名 | シングルマザーのデジタル就労支援 <2021年度通常枠> |
活動対象地域 | 東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県 |
実行団体 | ・株式会社 IKEZOE TRUST ・特定非営利活動法人 シングルマザーズシスターフッド ・一般社団法人 ハートフルファミリー ・Animo Plus株式会社 |
2025年7月3日に開催されました公益財団法人 パブリックリソース財団主催『若年⼥性の包括的⽀援の実践から⾒えた持続可能な⽀援モデルとは 〜⽀援の⽷をつむぐ、縦と横が重なる地域へ〜』の動画をご紹介します。
児童養護施設 旭児童ホーム施設長 田中 健 氏による「児童養護施設と居住⽀援団体の連携」、元横浜市社会福祉協議会会⻑・元横浜市副市⻑ 荒木田 百合 氏による「制度だけでは困り事は解決しない 〜⽀援を紡ぐのは地域⼒〜」、パネルディスカッションとして「ライフステージを通じた支援のつながりをどう実現するか」についての動画をご紹介します。
休眠預金活用事業に係るイベント・セミナー等をご案内するページです。今回は、特定非営利活動法人こどもたちのこどもたちのこどもたちのために、他共催「第22回日本うつ病学会総会 共催シンポジウム」を紹介します。
第22回日本うつ病学会総会 共催シンポジウム
第22回日本うつ病学会総会にて、共催シンポジウムを行います。
ご興味のある方はぜひお立ち寄りください。
【イベント情報】
日時 | 2025年7月12日(土)9:30~11:00 |
開催形式 | 現地開催 |
会場 | 浜松町コンベンションホール&Hybridスタジオ 第2会場(共催シンポジウム4 メインホールB) (〒105-0013 東京都港区浜松町2-3-1)【MAP】 |
プログラム | プログラム詳細は以下よりご確認ください。 学会共催プログラムページ ▶座長:中込和幸先生 (国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター) 柳沢正史先生 (株式会社S’UIMIN /筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構) ▶演者:弘中信治 (特定非営利活動法人こどもたちのこどもたちのこどもたち のために) 山口創生先生 (国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター) 吉田健一先生 (株式会社フェアワーク) 春日未歩子先生 (特定非営利活動法人森林セラピーソサエティ) 温間隆志先生 (特定非営利活動法人東京メンタルヘルス・スクエア) 柳沢正史先生 (株式会社S’UIMIN /筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構) |
共催 | 特定非営利活動法人こどもたちのこどもたちのこどもたちのために 他企業・団体 (共催企業・団体の詳細はこちらよりご確認ください) |
お問い合わせ | 特定非営利活動法人こどもたちのこどもたちのこどもたちのために [HP]https://www.kodokodo.or.jp/ |
休眠預金活用事業に係るイベント・セミナー等をご案内するページです。今回は、特定非営利活動法人ワーカーズコレクティブういず主催「ロジハブ学習会inちば」を紹介します。
ロジハブ学習会inちば
地域食堂、こども食堂、「食」のある居場所、会食会、配食など、地域の食支援活動を応援する寄付食品の流通ネットワークづくりに向けて、県や市町村を越える流通の役割と寄付された食品のトレーサビリティを確保する仕組みを学びます。
ご興味のある方はぜひご参加ください。
【イベント情報】
日時 | 2025年6月20日(金)14:00~16:00 |
開催形式 | 会場+オンラインでのハイブリッド開催 |
会場 | ラコルタ柏2階 多目的研修室1・2 (〒277-0005 千葉県柏市柏5丁目-8-12 教育福祉会館内)【MAP】 |
定員 | 会場参加は先着40名(オンライン参加も可) |
対象 | ◆企業:食品等の寄付、配送・保管の支援、資金的支援ほかの社会貢献に関心のある企業 ◆行政:子育て支援、生活支援、地域福祉、まちづくり、食品ロス削減等 ◆地域の活動を支援する団体:社協、中間支援組織フードバンク、地域のネットワーク など |
参加費 | 参加無料(要申込) |
プログラム | ◆地域の食支援活動を応援する仕組みづくり ・(一社)全国食支援活動協力会 ◆県域の配送拠点(ロジ拠点)の状況 ・(特非)ワーカーズコレクティブういず ◆地域の配送拠点(ハブ拠点)からの事例報告―寄付食品の活用と効果、今後の課題など ・さくらあったか食堂ネットワーク(佐倉市社会福祉協議会) ・印西フードバンクISS ・八千代こどもネットワーク ◆自治体と連携した寄付食品の活用 ・(特非)ワーカーズコレクティブういず、柏市こども福祉課 ◆連携企業からの事例報告 ・(株)伊藤ハム 米久プラント株式会社 ・(株)信濃運輸株式会社 ◆講 評:千葉大学人文科学研究院・教授・清水洋行さん ◆質疑応答・意見交換 ◆名刺交換タイム |
主催 | 特定非営利活動法人ワーカーズコレクティブういず |
共催 | 一般社団法人全国食支援活動協力会 |
お申込み | 以下のQRコードよりお申し込みください。![]() |
お問い合わせ | 特定非営利活動法人 ワーカーズコレクティブういず [携帯]090-2318-8949 [E-mail]withhappy0927@gmail.com |
フードバンク活動とは、品質には問題がないのに包装の破損や過剰在庫、印字ミスなどで流通に出すことができない食品を企業などが寄贈し、必要としている施設や団体、困窮世帯に無償で提供する取り組みのことです。生活困窮者への支援とともに食品ロス削減にもつながる活動として、ここ数年で注目が高まっています。今回は、2023年度緊急枠に採択された「フードバンクふじさわ等冷凍食品物流・保管機能の強化支援事業」の実行団体「認定NPO法人ぐるーぷ藤」をはじめとする関連団体・組織の方々に集まっていただき、これまでの取り組みや今後の展望について伺いました。
コロナ禍での困窮者支援に立ち上がった、地域福祉の草の根活動メンバーたち
フードバンクふじさわが設立されたのは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、生活困窮者の支援が急務となっていた2021年3月のことです。神奈川県藤沢市内の地域福祉に携わるNPO法人が集う「ふじさわ福祉NPO法人連絡会」では、地域のさまざまな課題を共有しながら支援の方向性が議論されていました。そこで浮き彫りになった喫緊の課題の1つが、ひとり親家庭など孤立しがちな生活困窮者への支援です。その解決策を模索する中で、食品ロスを減らしながら必要な人に食品を届けるフードバンクかながわの取り組みに関心が寄せられ、フードバンクの設立が検討されました。
こうした背景のもと、フードバンクふじさわ設立準備会が発足し、関係者が協力して準備を開始。当時の経緯について、フードバンクふじさわ代表の野副妙子さんに聞きました。
野副妙子さん(以下、野副)「食品支援の必要性について話し合っている時に、フードバンクかながわから『藤沢市にもフードバンクをつくらないか』という声かけがありました。そこで、フードバンクかながわに足繁く通って、現場を見て学び、フードバンクふじさわの構想が固まり始めたころ、折悪しくコロナ禍が始まりました。『状況が落ち着いてから立ち上げよう』という声もありましたが、困難な時期だからこそ『今立ち上げなくてどうする』という、ふじさわ福祉NPO法人連絡会代表の鷲尾さんの提言があり、設立準備を進めました。そして、藤沢市内のさまざまな福祉団体や賛同する市民の方、行政、社協、企業、フードバンクかながわの協力により、フードバンクふじさわを立ち上げることができたのです」

市民団体と一体となって活動する市や社会福祉協議会
フードバンクふじさわの発足に先駆け、藤沢市社会福祉協議会(以下、社協)は2018年からフードバンクかながわと連携し、支援を必要とする人々に食品の提供を行ってきました。フードバンクふじさわ発足以降は、フードドライブ(家庭で余っている食品を集める仕組み)を通じて集めた食品を、市役所や社協の職員が食品保管・仕分けの拠点へ配送するほか、拠点の借り上げや企業との窓口になるなど、幅広い支援を行っています。
社会福祉法人 藤沢市社会福祉協議会 事務局長・村上尚さん(以下、村上)「フードバンクふじさわは、さまざまな団体・組織が協力する共同体です。比較的珍しいケースだと思いますが、私たち社協もその一員として活動に参加しています。立ち上げ時から社協が加わり、共に活動してきました。『地域をよくしていこう』という共通の目標を見据えることが連携のカギだと思います。
そもそも市の社会福祉協議会という組織は地域福祉を推進する団体。地域の課題に対して、先駆的に柔軟に取り組むことが使命です。制度化された支援では対応しきれない部分をフードバンク活動が補い、市民団体と連携することで、ひとり親家庭などへの個別支援も可能になりました。フードバンク活動はすべてをバックアップできるわけではありませんが、困窮に陥っている方々が一息ついてもらうための支えになります。連携を通し、地域支援のために私たちができることの幅が大きく広がっていると思います」

コロナ禍以降も物価高騰の影響で利用者が急増し、ニーズに応えきれない状況に
フードバンクふじさわ設立翌月の4月には、市内3カ所に、食品支援を必要としている方が食品を受け取れる拠点としてフードパントリーを設置し、第1回の食品配布を実施。ひとり親世帯やひとり暮らしの大学生ら(※)に、米やカップ麺、缶詰、飲料などを無償で提供しました。
※ 大学生への提供は2023年10月まで
その後、2022年3月までの1年間でのべ2,195人の利用があり、翌22年度は2,805人と増加。23年度は最初の2カ月で利用者が500人を超えるなど、コロナ禍は落ち着いたものの物価高騰の影響で利用者が大幅に増えていました。しかし、利用者が増加する反面、物価高騰により缶詰やレトルト食品などの常温保存できる食品の寄付は減少しており、ニーズに応えきれない状況に陥っていました。
これは全国のフードバンク共通の課題でもありました。フードバンクかながわは、取り扱う食品を増やすため、神奈川県内に食品倉庫を持つマルハニチロ株式会社に寄付を依頼。その結果、ツナ缶などの常温食品は市場でのニーズが高く余剰がほとんどないものの、冷凍食品は外箱の破損などで廃棄されるものがあり、提供が可能だと回答を受けます。ただ、冷凍食品の寄付を受けるには、品質を保つためのコールドチェーン(冷蔵・冷凍といった所定の温度を維持したまま輸送・保管などの流通プロセスをつなげること)を作り上げることと、寄付した商品がどこに届けられたのかというトレーサビリティを実現することが条件でした。
野副「フードバンクかながわから冷凍食品の取り扱いについて打診があり、そのための準備を行いました。当時は少しだけの取り扱いしかできませんでしたが、冷凍食品は、電子レンジさえあればすぐに食べられるためとても人気がありました」
そんな時、フードバンクかながわが「神奈川県及びその周辺の食支援ネットワーク発展のために〜冷凍食品を活かした支援食品のレベル向上」という事業で、休眠預金活用事業の資金分配団体に採択されたことを知り、フードバンクふじさわも応募を考えましたが、法人格がないことから、一緒に活動を共にしてきた認定NPO法人ぐるーぷ藤を代表団体として申請し、採択されるに至りました。
休眠預金の活用で取り扱い食品量が大幅に増え、子ども食堂にも提供が可能に
フードバンクふじさわは助成金を活用して、冷凍車、冷凍庫、保冷ケースを購入し、コールドチェーンをつくり上げます。また、フードパントリー利用者にも保冷バッグによる持ち帰りを厳守とし、冷凍食品の品質管理を徹底しています。
村上「2024年9月には待望の冷凍車が購入され、冷凍食品の物流倉庫がある神奈川県川崎市の扇島まで直接受け取りにいくことができるようになりました。また、大型の冷凍庫4台も購入され、社協が福祉物流拠点として借り上げている湘南藤沢地方卸売市場の店舗内の一区画に設置しています。実は、冷凍車いっぱいに冷凍食品を積み込むと、ちょうどこの4台の冷凍庫に収まりきるようになっているんです。
集まった食品は、フードパントリー拠点で配布する分や子ども食堂で使ってもらう分へと仕分けします。本格的に冷凍食品を取り扱うことで、フードバンク活動だけでなく子ども食堂にも提供できるほどの量を調達できるようになったのは、本当にありがたいですね」


野副「休眠預金活用事業のおかげで、大きな課題であった利用者の増加に伴う食品ニーズの拡大に応えることができるようになりました。寄付でいただく冷凍食品には業務用のものもあるため、それらは子ども食堂で使っていただいています。冷凍食品は歓迎されていて、特にからあげなどの肉類は子どもたちに大人気です」
認定NPO法人ぐるーぷ藤 理事長・藤井美和さん(以下、藤井)「私たちのフードバンク活動でのおもな支援対象は、ひとり親世帯のため、誰でも簡単に調理ができる冷凍食品はニーズに合っているようです。取り扱い量が増えたことで、親子で好きなものを選んでもらうこともできるようになりました。嬉しそうに保冷バッグを持って帰る姿を見ると、本当にやりがいを感じます。また、冷凍食品はお弁当にも適しているので、子育て中の世帯にはそういった点でも非常に喜んでもらえているようです」
利用者に寄り添う「伴走型」の支援で、新たな窓口への橋渡しも
フードバンクふじさわの活動は、食品の支援にとどまりません。地域の居場所づくりや生活支援コーディネート業務等に携わってきたメンバーも数多く参加していることから、フードパントリーでも訪れた人に積極的に声をかけ、支援が必要な人には適切な窓口への橋渡しなども行っています。また、ひきこもりの当事者をフードバンク活動のボランティアとして受け入れ、その後の就業へと結びつけるなど、ひきこもり支援と連携した活動も展開しています。
藤井「ぐるーぷ藤の理念は『歳をとっても病気になっても障がいがあってもいつまでも自分らしく暮らせる街を創りたい』というもの。お互いさまの気持ちを大切に、地域住民同士の助け合いを目指しています。フードバンク活動においても『伴走型』が基本。相手に寄り添い、食品支援にとどまらないサポートを行っています」

村上「フードパントリーに来られる方の中には課題を抱えて困っている方も多くいます。そうした人と顔を合わすことで、社協の相談支援へつなげることができるのです。逆に、私たちが普段相談を受けている方の中で、ひとり親の方などフードバンク活動の対象となる方には、食品配布の紹介をすることもあります。いきなり社協や市の窓口に相談に来るのはハードルが高いと思う方もいると思いますが、フードバンクを通じて自然につながることができるのは、大きな意義があると感じています」
人と人とのつながりを、大切にすることが活動の基本
最後に、フードバンクふじさわの活動を支えるメンバーに、今後に向けた取り組みについて語ってもらいました。
野副「藤沢市の取り組みが、ほかの市にも広がっていくことを願っています。社協と自治体が連携しながら生活困窮者への支援に力を尽くしてくれていることが伝われば、地域の市民団体も一緒にがんばっていこうという気持ちになってくれると思いますから。また、フードバンクふじさわの報告会に、毎年市長をはじめ、社会福祉協議会の会長や、民生委員児童委員協議会の会長、企業の皆さんといった方々が参加してくれます。これが『藤沢型フードバンク』と私たちが称しているゆえんです」
フードバンクふじさわ事務局・小野淑子さん「フードバンクふじさわは、『小さく産んで大きく育てる』の合言葉のもと任意団体としてスタートし丸4年が経ちました。そして2025年4月には一般社団法人化を予定しています。これまで任意団体でありながらも多くの支援をいただいてきましたが、法人化によって、さらに信頼を得ることができ、活動が広がっていくのではないかと期待しています」
藤井「フードバンクふじさわの活動で生まれた人と人とのつながりがこの先も続いていくことを願っています。伴走型の活動によっていろいろな縁があり、ぐるーぷ藤で就労された方もいますし、障害のある方の就労のきっかけにもなっています。食品を提供するだけでなく、人のつながりを広げる場として活動していきたいです」
村上「地域の困窮者を支える方法やしくみづくりは、社会全体で考えていかないといけない問題ですが、すぐに解決できるものはありません。だから、フードバンクの活動はそういう人たちの『今』を支える大切な役割を果たしていると思います。また、フードドライブなど、みんなが地域福祉に関心を持つきっかけにもなってほしいですね。そして、今フードパントリーに来ている子どもたちが、将来『地域のために何かしよう』と思えるような循環が生まれる場であり続けてほしいです」
社会福祉法人 藤沢市社会福祉協議会 事務局参与・倉持泰雄さん「フードバンク活動は、困難を抱えた方を地域社会で支える大切なしくみです。助成金のおかげでコールドチェーンが整いましたが、今後は冷凍車の管理運営など新たな課題に取り組んでいく必要があります。引き続き、地域の支援のために尽力していきたいです」

■資金分配団体POからのメッセージ
フードバンク活動に対して社会の認知も少しずつ高まってきましたが、まだまだ具体的な活動について知らない団体、企業、行政担当者もいらっしゃいます。具体的にどんな活動ができるのか、1人でも多くの人に知ってほしいですね。また、フードバンク活動は食品ロスの削減にも貢献し、ゴミ処理費用の削減やCO2排出削減にもつながります。ぜひ小さな子どもさんから大人まで、多くの人に関心を持ってもらえたら嬉しいです。
(公益社団法人フードバンクかながわ/事務局長 藤田 誠さん)
フードバンクかながわには多くの冷凍食品が集まる中、私たちだけではなかなか輸送や保管、配布に回しきれない状況となっています。そのため、神奈川県の各自治体に1つはフードバンクが必要となっており、さらにハブとなる拠点を作ることが重要だと考えています。フードバンクふじさわのように活動ができる団体が今後もっと増えていくために、冷凍食品のフードバンク活動の価値を広め、全国で「うちのフードバンクでも冷凍食品を扱いたい」という声が自治体を動かすことを期待しています。
(公益社団法人フードバンクかながわ/理事 萩原妙子さん)
【事業基礎情報】
実行団体 | NPO法人ぐるーぷ藤 |
事業名 | フードバンクふじさわ等冷凍食品物流・保管機能の強化支援事業(2023年度緊急枠) |
活動対象地域 | 神奈川県藤沢市 |
資金分配団体 | 公益社団法人フードバンクかながわ |
採択助成事業 | 神奈川県及びその周辺の食支援ネットワーク発展のために |
今回のJANPIAスナップでは、PwC Japan×SMBCグループ共催、JANPIA・ETIC.協力で行われた第二回「ソーシャルな交流が広がる 1Dayプロボノワークショップ」』の様子をお届けします。
イベント概要
2025年2月22日(土)、PwC Japanグループ(以下、PwC Japan)と株式会社三井住友フィナンシャルグループ(以下、SMBCグループ)は、企業の垣根を越えたコレクティブインパクトの創出を目指し、第二回「ソーシャルな交流が広がる1Dayプロボノワークショップ」を共同で開催。今年度からJANPIAと資金分配団体でもあるETIC.が協力団体として参加しました。
本イベントは、2023年10月6日(金)にJANPIA主催で実施した 「ボランティア・プロボノマッチング会 第2回成果報告会」でご登壇いただいたPwCあらた有限責任監査法人、SMBC日興証券株式会社の方々が、その場で連携に向けた対話をされたことがきっかけで実施に繋がったものとなります。
【関連記事】「ボランティア・プロボノマッチング会 第2回成果報告会」を開催!
活動スナップ

当日は、「異なる組織による共創によって社会の持続的な変革の体現を目指す」という趣旨に賛同した企業43社から約130名が参加し、20の NPO等の団体が抱えるさまざまな課題に対する解決策の提案が行われました。
参加団体20団体のうち、休眠預金活用事業の採択団体からは、以下の13団体が参加しました。
・認定特定非営利活動法人 キャリアデザイン研究所
・特定非営利活動法人 ウイズアイ
・特定非営利活動法人 シングルマザーズシスターフッド
・特定非営利活動法人 ワーカーズコレクティブういず
・認定特定非営利活動法人 カタリバ
・特定非営利活動法人 みんなのコード
・認定特定非営利活動法人 3keys
・特定非営利活動法人 WHITE CANVAS
・一般社団法人 あわらテクノロジー協議会
・一般社団法人 ころん
・一般社団法人 merry attic
・一般社団法人 チョイふる
・一般社団法人 かけはし
当日の様子は、PwC Japan及びSMBCグループの公式サイトよりご覧いただけます。
コロナ禍による入国規制の解除後、日本で難民認定を申請する外国人が増えています。申請中で在留資格のない外国人は就労できず、公的支援も受けられないため、生活が困窮し、精神的にも追い詰められる傾向にあります。こうした難民認定申請者や非正規滞在者を支援するため、2023年度の休眠預金活用事業(緊急支援枠、資金分配団体:NPO法人青少年自立援助センター)による緊急人道支援を行っているのがNPO法人アクセプト・インターナショナルです。同団体は国内外で紛争や人道危機、社会的排除などの問題解決に取り組んでいます。今回は、団体の活動やその背景などについて、代表理事の永井陽右さん、国内事業局 局長の吉野京子さんを中心にお話を伺いました。
ソマリアから始まった「平和の担い手」を増やす取り組み
アクセプト・インターナショナルは「誰しもが平和の担い手となり、共に憎しみの連鎖をほどいていく」ことを目指し、世界の紛争地や日本で活動する団体です。2011年、大学1年生だった永井陽右さんは、世界で最も深刻な紛争国の一つとされていたソマリアの惨状を知り、「このまま見過ごしてはいけない」との思いから、仲間とともに活動を開始しました。
当時のソマリアは、頻発するテロや紛争によって貧困や飢餓が深刻化し、2年間で約26万人もの人々が命を落としていました。それにもかかわらず「危険すぎる」「解決策がない」からと、世界から見放されている状況に「そんな理由で支援が届かないのはおかしい」と強く感じた永井さん。「支援が必要とされているのに、難しさを理由に誰も手を差し伸べないのであれば、自分たちがやる」——その決意が活動の原点となっています。
永井さんたちはソマリアのテロや紛争を止めようと、若者が武装組織から抜け出し、社会復帰する支援を開始。2017年にはNPO法人アクセプト・インターナショナルを設立し、イエメンやケニア、インドネシア、コロンビア、パレスチナなど、世界の紛争地へと取り組みを広げていきました。
永井陽右さん(以下、永井)「テロリストの多くは、社会に居場所がないことや生活苦、脅迫などから武器を持たざるを得なかった若者たち。彼らを排除しても負の連鎖は終わりません。私たちが目指すのは、彼らが本来の若者らしく希望を持って生き、私たちと一緒に平和な世界をつくっていくことです」

海外での経験を活かし、日本でも「難しくて取り残されている問題」に着手
海外の経験を活かして日本でも「解決の担い手がいない難しい問題」に取り組もうと、2020年からは国内事業も開始。コロナ禍で海外事業の継続が困難になった時期とも重なり、国内の課題にあらためて目を向けるようになりました。現在は主に、非行少年の更生支援と、在日ムスリム(イスラム教徒)を中心とした在日外国人支援の2つの事業を展開しています。
非行少年の更生支援では、とくに社会の受け入れが難しい、重い犯罪に関与した若者の社会復帰を支援。相談支援をはじめ、社会復帰を後押しするための社会定着支援、居住支援、生活支援を実施し、さらに、啓発や教育の一環としてオンラインゼミも開講しています。
在日外国人支援では、日本社会におけるムスリムへの理解不足や文化の違いなどから、在日ムスリムが孤立しやすい現状をふまえ、とくにコロナ禍で生活が困窮している在日ムスリムを支援。現在もイスラム教徒が食べることができる「ハラル食品」の提供や生活相談、在日ムスリムによる共助ネットワークづくりなどを行っています。
「海外事業も日本事業も、つまるところは、課題を抱える当事者が社会の一員として主体的に生きていくための伴走支援。本質は変わりません」と永井さん。海外事業でテロの加害者だった若者と向き合ってきた経験が非行少年の更生事業に、多くのイスラム教徒と活動してきた経験が在日ムスリム支援に活かされるなど、これまでの知見が国内支援でも活かされています。
休眠預金を活用し、行き場のない難民認定申請者に緊急支援を実施
国内に活動を広げる中、コロナ禍が明けると、在日外国人からの相談にある変化が生じます。入国規制の解除にともない日本への入国者数が増え、それに比例して、難民認定申請者や非正規滞在者など在留資格が不安定な外国人からの食料や住居を求める相談が急増しました。それまでは定住している在日外国人からの相談が大半を占めていましたが、相談者も相談内容も大きく変わったのです。長年にわたり難民支援に携わってきた吉野さんは、その背景をこう説明します。
吉野京子さん(以下、吉野)「難民認定申請者は、紛争や迫害などさまざまな事情から逃れる中、たまたま日本の観光ビザを取得して日本へ来たという方がほとんど。入国後に難民申請するものの、その多くは難民認定がおりないまま、在留資格がない状態で日本に留まることになります。在留資格がなければ行政サービスを受けられず、国民健康保険にも加入できず、働くこともできないため、生活は困窮し、路上生活に追いこまれる人も……。収入がなく、行政の支援にもつなげられない彼らを、民間の支援団体や個人だけで支えるのには限界があり、支援から取り残されていたのです」

「これは自分たちがやるべき問題」と判断したアクセプト・インターナショナルは、 NPO法人 青少年自立援助センターが公募していた2023年度緊急支援枠の休眠預金活用事業に申請。これに採択され、難民認定申請者と非正規滞在者に向けた緊急人道支援事業を始めます。具体的には、食料物資の支援や、一時的に住む場所を確保する緊急居住支援、日本語教育、利用できる支援サービスへの橋渡しなどです。また、アウトリーチの手段として、世界で普及しているメッセージングアプリの「WhatsApp」を活用。これにより、支援情報が瞬く間に拡散し、短期間で多くの支援を必要とする外国人にリーチすることができました。
取材時点(2025年1月28日)で、相談登録者は約170名。フードパントリーやWhatsAppを通して相談者のニーズを聞き取り、それぞれが必要とする支援を届けています。イスラム教徒にはハラル食品を、フルーツが必要な人にはパイナップルやミカンなどの缶詰を、自分で料理をしたい人には小麦粉や豆、オイルなどの食材を提供するなど、個々の希望に寄り添った支援を実施。食料以外にも、子どもがいる家庭には成長に合わせた衣服を、女性には生理用品を配るなど、生活状況に応じたきめ細かなサポートを行っています。
吉野「こちらが良かれと思って送った食料でも、相手にとってはそうではないことが何度かありました。そんなときは、『何か別のものが必要だったのかな?』と考えるようにしています。可能な限りどんなものが必要かを聞き取ることで、本当に必要なものを知ることができ、相手も『受け止めてもらえた』と安心してもらえます。その安心感が、信頼につながりますから」

日本語を学びたいというニーズも高く、希望者には週1回、1人30分のオンライン日本語教室を実施。授業を担当するメルテンス甲斐さんは、単なる言語学習にとどまらず、コミュニケーションの場としての役割も大切にしています。
メルテンス甲斐さん「家族友人と遠く離れ、コミュニティから隔絶された生活を送る受講者にとって、授業は人とつながることのできる数少ない機会です。雑談を交えたり、生活相談を受けたりすることで、少しでも孤立感の解消につながればと思っています」
一方、「相談を待つだけでなく、こちらから能動的にアプローチすることも大切」と話すのは、食料物資支援を担当する冨山里桜さん。
冨山里桜さん「相談者の中には、特にムスリマ(イスラム教徒の女性)のように、宗教的な背景や文化的な要因、周囲に頼れる人が少ないことなどから、支援を必要としていても声をあげられないケースもあります。実際、WhatsAppで連絡がつかないので訪問してみると、電気もガスも止まっていたという母子家庭のケースがありました。そうした方たちも取り残さないよう、こちらからこまめにコンタクトを取ることでフォローし、支援につなげるようにしています」
社会参加を通じて未来を切り開く支援のかたち
日本では難民認定率が低く、多くの難民認定申請者が中長期の展望を持ちにくい状況にあります。そんな中、「今回の事業では、まずは緊急支援として、難民認定申請者が人間として最低限の尊厳を保てることを第一の目標にしています」と吉野さん。その上で、専門家と連携し、相談者自身も交えて中長期的なプランを話し合い、日本で安定した生活を送るための法的支援も行っているそうです。また、在留資格がない外国人の子どもでも学校に通える制度を活用し、自治体と交渉して就学機会を確保するなど、今できる支援を重ねながら希望をつなげています。
こうした相談者のニーズを満たす支援だけでなく、相談者の主体性を促すはたらきかけも大切にしています。例えば、ガーナ人の青年に「公園で寝て過ごしているなら、うちへ来たら?」と事務所に誘ったところ、メンバーと一緒に食料物資支援の整理や荷物運びをするように。最初はほとんど口をきかなかったのが、今やアクセプト・インターナショナルの頼もしいメンバーになっているのだそうです。
永井「ボランティアでも小さいことでも、社会に参加することに大きな意義があります。困難な状況にある彼らだからこそ、できることがたくさんあるはず。その可能性に光を当て、引き出していくことも私たちの役割です。彼らが参加できる場をたくさんつくって、新たなステップにつながる機会を少しでも多く提供していきたいですね」

休眠預金活用事業をきっかけに生まれた3団体の連携
アクセプト・インターナショナルがこの事業を通じて得られた大きな成果の一つが、団体同士の連携です。同時期に休眠預金活用事業の実行団体として採択されたのを機に、Mother’s Tree Japan、つくろい東京ファンドの2団体とつながり、思いがけない強力な支援ネットワークが生まれました。例えば、路上生活をしていたムスリマの妊婦のケースでは、Mother’s Tree Japanが出産可能な病院を探し、イスラム教の文化に配慮して女医を手配。つくろい東京ファンドが居所を確保し、アクセプト・インターナショナルがハラル食品の提供を実施しました。各団体の専門性を活かした支援が迅速に展開され、適切なサポートを提供することができたのです。
吉野「自分たちが不得意なところは、得意な団体にお任せする大切さを改めて学びました。今も3団体で情報を共有しながら、連携を深めています」
「後進の育成」も今回の事業を通じて得られた大きな成果です。日本では難民支援の経験者が少ない中、今回の事業を通して若手メンバーが多様なケースを経験し、実践を積む機会を得ました。
吉野「若手メンバーが現場での経験を重ねることで、知識やノウハウをしっかり継承できました。今では、自ら判断し行動できるまでに成長し、今後のさらなる支援につながると期待しています」
アクセプト・インターナショナルは事業終了後も、当事者が中長期の展望を持てるよう、可能な限りバックアップを継続。「平和の担い手を増やす」活動として、テロ・紛争に関わる若者を保護する活動に加え、在日ムスリムのネットワーク強化など、国内外の活動に引き続き力を入れていきます。
永井「私は、テロリストも非行少年も、在日ムスリムも難民もみんな、社会の担い手、平和の担い手になれると心から思っています。これからも彼らに伴走し、その可能性を探り続けていくとともに、まだアプローチできていない『解決の担い手がいない難しい問題』にもチャレンジしていきます」

■資金分配団体POからのメッセージ
アクセプト・インターナショナルの強みは、「難しい問題こそ自分たちがやる」という高いプロフェッショナル意識と、海外で培った独自のノウハウにあると考えています。今回その強みを活かし、既存の支援団体では対応が難しかった在留資格が不安定な在日外国人への支援が可能になりました。また、私たちが資金分配団体を務めるにあたり重視していたのが、団体同士のつながりです。実際に実行団体間の連携が生まれ、情報共有も進んだことは、大きな成果の一つです。今後さらに、さまざまな強みを持つ団体同士の連携が進み、支援の輪が広がることを願っています。
(NPO法人 青少年自立援助センター YSC Global School/浅倉みさきさん)
【事業基礎情報】
実行団体 | 特定非営利活動法人 Accept International |
事業名 | 難民認定申請者及び非正規滞在者への緊急人道支援事業(2023年度緊急支援枠) |
活動対象地域 | 東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県 |
資金分配団体 | 特定非営利活動法人 青少年自立援助センター |
採択助成事業 | 急増する「海外にルーツを持つ子育て家庭・若者・困窮者」緊急支援事業 |