【事後評価】地方における10代の居場所づくり支援事業|カタリバ[21年度通常枠]

事業完了にあたり、成果の取りまとめるために実施されるのが「事後評価」です。事後評価は、事業の結果を総括するとともに、取り組みを通じて得られた学びを今後に生かせるよう、提言や知見・教訓を整理するために行われます。今回は、2025年3月末に事業完了した2021年度通常枠【地方における10代の居場所づくり支援事業|カタリバ[21年度通常枠]】の事後評価報告書をご紹介します。ぜひご覧ください。

事業概要等

事業概要などは、以下のページからご覧ください。


事後評価報告

事後評価報告書は、以下の外部リンクからご覧ください。

・資金分配団体

・実行団体  

事後評価報告|石川県珠洲市における小中高生向けのメディア教育拠点づくり|ガクソー(カタリバ|実行団体)[外部リンク] button icon 事後評価報告|地域ネットワーク型ユースセンター金沢|YOUTH PACE(第3職員室)(カタリバ|実行団体)[外部リンク] button icon 事後評価報告|子どもたちの明日になないろの橋をかける包括的プロジェクト|OMUTA BRIDGE(カタリバ|実行団体)[外部リンク] button icon 事後評価報告|沖永良部島の10代に多様な機会と居場所を届ける、えらぶ未来教育事業|えらぶ手帖(カタリバ|実行団体)[外部リンク] button icon 事後評価報告|高校生の主体性を育むたまり場「ぜん」のインキュベーション事業|WeD(カタリバ|実行団体)[外部リンク] button icon 事後評価報告|総合支援型ユースセンター事業|こおりやま子ども若者ネットワーク(カタリバ|実行団体)[外部リンク] button icon 事後評価報告|放課後スペース INBase|f.saloon(カタリバ|実行団体)[外部リンク] button icon 事後評価報告|北海道砂川市「‘本当の社会で生きる力’を育む子どもの居場所」創造事業|みんなの(カタリバ|実行団体)[外部リンク] button icon 事後評価報告|持続可能なユースサードプレイス運営モデルづくり@岩手町|SET(カタリバ|実行団体)[外部リンク] button icon 事後評価報告|まちの縁側おのみちユースセンタープラットフォーム事業|むかいしまseeds(カタリバ|実行団体)[外部リンク] button icon 事後評価報告|子ども・若者の居場所づくりを中心とした包括的支援|もも(カタリバ|実行団体)[外部リンク] button icon 事後評価報告|高校生の居場所づくりプロジェクトSTUily|スタイリィ(カタリバ|実行団体)[外部リンク] button icon 事後評価報告|ごのへラーニングセンター ~「Z世代×地域」における価値共創を目指した場づくり~|わのまち(カタリバ|実行団体)[外部リンク] button icon 事後評価報告|中高生が自分たちで居場所を作る「ユースセンターづくり」プロジェクト|セブンシーズ(カタリバ|実行団体)[外部リンク] button icon


【事業基礎情報】

資金分配団認定特定非営利活動法人 カタリバ

[コンソーシアム構成団体]
特定非営利活動法人 エティック
事業名地方における10代の居場所づくり支援事業

<2021年度通常枠>
活動対象地域日本全国
実行団体・特定非営利活動法人 ガクソー

・一般社団法人 YOUTH PACE(一般社団法人 第3職員室)

・一般社団法人 OMUTA BRIDGE

・一般社団法人 えらぶ手帖

・特定非営利活動法人 WeD

・特定非営利活動法人 こおりやま子ども若者ネットワーク

・特定非営利活動法人 f.saloon

・特定非営利活動法人 みんなの

・特定非営利活動法人 SET

・特定非営利活動法人 むかいしまseeds

・一般社団法人 もも

・一般社団法人 スタイリィ

・一般社団法人 わのまち

・特定非営利活動法人 セブンシーズ

グラミン日本 2023年度休眠預金活用事業「デジタル・スキル研修&就労支援を通じたシングルマザーのエンパワーメントと地域格差の解消」に採択された実行団体キャリアマムの代表 堤 香苗さんのインタビュー動画をご紹介します。

事業完了にあたり、成果の取りまとめるために実施されるのが「事後評価」です。事後評価は、事業の結果を総括するとともに、取り組みを通じて得られた学びを今後に生かせるよう、提言や知見・教訓を整理するために行われます。今回は、2023年3月末に事業完了した2020年度通常枠【地域の中小企業の社会事業化を支援する若手支援者の育成事業|全国コミュニティ財団協会[20年度通常枠]】の事後評価報告書をご紹介します。ぜひご覧ください。

事業概要等

事業概要などは、以下のページからご覧ください。


事後評価報告

事後評価報告書は、以下の外部リンクからご覧ください。

・資金分配団体

・実行団体


【事業基礎情報】

資金分配団一般社団法人 全国コミュニティ財団協会
事業名地域の中小企業の社会事業化を支援する若手支援者の育成事業
<2020年度通常枠>
活動対象地域全国各地(特に北陸、山陰、四国地方)
実行団体・特定非営利活動法人 NPO高知市民会議
・一般社団法人 リズカーレ
・特定非営利活動法人 まちづくりスポット
・公益財団法人 あくるめ

中間支援組織として愛知県で活動するNPO法人ボランタリーネイバーズ。同団体は設立より20年間、地域をより良くするために奔走するNPO法人や市民団体の活動を支援してきました。漠然とした不安や課題に多くの活動団体が悩まされた未曾有のコロナ禍。そんな中ボランタリーネイバーズが2020年度緊急支援枠の実行団体(資金分配団体:READYFOR株式会社 )として実施したのは、活動団体の課題を言語化する勉強会の開催や、専門家や県外の中間支援組織と協働したチーム型の伴走支援でした。一体どんな取り組みだったのか? 理事長の中尾さゆりさん、理事・事務局長の遠山涼子さんにお話を伺いました。[コロナ枠の成果を探るNo.5]です。

“地域の活動団体”の課題を発見し、共有知を深める会を開催

「もっとこうなったらいいのに」という思いで地域のために活動する。そんな「ボランタリー(自発的)な市民の行動が身を結ぶ社会にしよう!」というミッションを掲げるNPO法人ボランタリーネイバーズ(以下、ボランタリーネイバーズ)。

2001年に愛知県で法人化した同団体は、NPO法人をはじめとする公益活動を行う人たちが活動しやすい土壌を耕してきました。

団体キャッチフレーズとイメージイラスト
団体キャッチフレーズとイメージイラスト

設立当初からNPO法人の設立や運営、まちづくりに関する相談や、助成金申請、組織基盤強化のための伴走支援、近年では活動の承継にかかわる個別支援など、活動者の個別ニーズに応じて相談対応していたボランタリーネイバーズ。コロナ禍になり個別相談の件数は急増するかと思いきや、対面での交流が激減したこともありほぼゼロに。その代わりに、別のニーズが見えてきたと言います。

中尾さゆりさん(以下、中尾)「未曾有のコロナ禍では、漠然と『困ってはいるけど、何が課題なのか、何をどう相談したらいいのか』と、自分たちの悩みを言語化するのが難しかったようです。だから『個別相談に来てくださいね』と呼びかけてもピンとこない。そこで、『〇〇をテーマに活動者同士で話してみませんか?』というセミナー+相談会の場を設けようと。他の人の話を聞く中で『自分が気にかかっていた問題はこれだったんだ』と課題を再認識する機会になればと思ったんです」

 
写真左:理事長の中尾さゆりさん、写真右:理事の遠山涼子さん
写真左:理事長の中尾さゆりさん、写真右:理事の遠山涼子さん

また、2021年3〜4月にかけて愛知県内の活動団体に実施したアンケート調査の結果も、テーマ型の相談会を企画する契機になりました。「コロナ禍で影響を受けましたか?」という設問に「受けた」と回答した団体のうち5つを対象に、コロナ禍発生当初からの活動の変遷についてヒアリングを実施しました。


遠山涼子さん(以下、遠山)「各支援団体が苦しい状況下でも、ITに詳しい身近な人材を頼って事業のオンライン化を進めるなど、試行錯誤をしながら活動を継続・発展させていました。不確実性の高いコロナ禍では、各団体が独自で工夫を続けるだけでなく、それらの工夫を共有した方が活動団体全体の底上げにつながるはず。だから複数の団体や専門家が集まり、各々の悩みを共有できる場を今こそ作るべきだと考えました」

休眠預金活用助成金セミナーの一幕(左) / 団体交流会での意見交換(右)
休眠預金活用助成金セミナーの一幕(左) / 団体交流会での意見交換(右)

他団体の事例から課題改善のヒントを見出す

2020年11月〜翌年10月までの事業期間のうち、オンラインで開催された相談会に参加した人数はのべ120人。「ビジネスコミュニケーションツールを活動継続に活かすには」「コロナ禍での労務問題の対応」「SNSの上手な活用方法」など、多様なテーマが設けられました。

テーマによって参加団体の分野もさまざまでしたが、総じて「市民活動センター」など中間支援の立場の方が積極的に参加していたと、二人は振り返ります。

中尾「愛知県は多くの市町村ごとに市民活動センターがあり、盛んに活動をしています。ところが、そのほとんどがコロナ禍で閉館を余儀なくされ『今、自分たちに何ができるのだろうか……』と悩んでいる様子でした。そうした方々がテーマ型の相談会で他の市町村の事例を聞いて再開のきっかけ探ったり、判断基準を参考にしたり、考える機会になっていたのかなと思います」

遠山「例えば、『介護施設でコロナ陽性者が発生したとき、どういう対応をすべきか』というテーマで話をする回があったのですが、関連情報が錯綜する中、自分たちで調べるだけでは『陽性者が出たら実際どうなるの?』のような疑問に答えが出なかった。それが、実際にコロナ陽性者が出た施設の方の事例を聞くことによって、今ある資源を活用して『うちだったらこんなことができそうだ』と対策や改善の糸口を掴んでいる様子でした」


実際、開催後のアンケートにて参加者からは「何から手をつけるべきか分からなかったが、まずは取り組むべきことが見え、一歩前進するきっかけになった」と前向きな回答が見受けられたと言います。

喜ばしいことに、相談会だけで終わらせず「この学びを他の人たちにも共有したい」という声をかけてもらったこともあったそうです。

中尾「最後にテーマ型の相談会の取り組みをまとめた報告書を作り、事例集として周りの関係者に配布した後に『市民活動センターのスタッフにも共有し、事例を学ぶことで相談対応に役立てたい』という声が寄せられました。支援センターの相談窓口は、経験や知識の差から代表クラスの方が一手に引き受けることが多くなりがちだと思います。ただ、他のスタッフもコロナ禍での事例を学べれば、支援先の困りごとを聞いて、類似の事例に関する情報をすぐに提供できる。団体と市民活動センタースタッフが共に育つ理想的なあり方だと思いました」

県を跨いだ連携により、支援策の幅が拡大

ボランタリーネイバーズの工夫は、相談会の実施だけに留まりません。東海地域で活動する団体が等しく機会を得られるよう岐阜県、三重県の中間支援組織であるNPO法人とつながり、月1でのミーティングを開催。それぞれの支援の経過や実績から得た学びを共有し合い、意見交換をしながら中間支援組織としてのナレッジを蓄積していきました。

ただ単に学び合うだけでなく、他県の事例を自分達の地域に応用できないか検討する議論を行ったり、会を重ねることでお互いの資源を必要な時に共有できる関係が構築できていた、と遠山さんは語ります。

遠山「例えば、三重県の個別支援の事例では、『コロナ禍で対面での販売機会を失った障がい福祉分野の事業所が、販売数をどう回復していくか』をテーマに情報共有会を実施。販売ルートの開拓はNPOに限らず一般の企業の仕組みを活かせる部分もあるという意見をもとに、愛知県の中小企業診断士・販売士をつなぐことで、専門家も交えた視点から意見交換の場を設けることができました」

「行政の政策の差」も県を跨いで話すからこそ見えたこと。他県の行政の対応を比較することで、行政への提言の方向性も含め「行政との関わり方の糸口が見えてきた」と言います。

中尾「毎月話し合う中で、県ごとのコロナ施策には違いがあり、NPOや地域の活動団体に対する政策も異なることを感じました。例えば、コロナ禍当初、岐阜県ではNPOが利用できる助成制度はありませんでしたが、県のNPOセンターが働きかけて使えるようになりました。また、三重県では早い段階でNPO向けの助成制度が用意され、活動を止めないような後押しがなされていました。こうした例から、「岐阜県のNPOセンターはどのように行政にかけあったのか」、「三重県はNPO向けの助成制度の財源をどこから捻出したのか」と話し合いを進め、自分たちの県では行政とどう連携していくべきかのヒントを見出せました」

休眠預金を活用する良さとは?

一般的に中間支援組織は行政と地域の間にいる影の立役者という性質上、助成金を受けづらいと言われることもしばしば。そんな中で、ボランタリーネイバーズが休眠預金活用事業に採択された背景裏にはどんな工夫があったのでしょうか?

中尾「『中間支援組織として助成金を受ける』というよりも、『その時々の社会のテーマやトピックに私たちがどう関与していけば、社会を良くできるか』という観点から応募するようにしています」

そもそも、休眠預金活用事業に申請した理由の一つは、他の助成金に比べて融通が効く点だったと話すのは、遠山さん。

遠山「助成金の中には『人件費は対象外』とするなど、経費の使い方に制約が大きいものもありますが、その点、休眠預金活用事業は経費使途に関して事業に必要な経費は認められるため柔軟だなと感じました。コロナ禍は特に不確実な要素も多かったので、調整コストがより多くかかります。そうした点でも比較的活用の幅がある助成金だなと思いました」

何より、資金分配団体であるREADYFOR株式会社が、事業期間中はペースメーカーになって伴走支援してくれたことが心強かったと話してくれました。


中尾「月1回の面談で話をする中で、自分たちはまだまだだと感じることがありましたが、READYFORさんが私たちの取り組みから見えてきた強みをフィードバックしてくださったので、活動のモチベーションを高めることができ、非常に助かりました。また、月次面談が先に進んでいる方の事例や、JANPIAへの報告を終えた方のお話を聞く機会を作っていただいたことも、大変参考になり良かったですね」

支援者も完璧じゃない。だから協働が大切になる

「支援者」と呼ばれる人たちも、自分たちだけで解決できないことがあれば、無理をせず信頼できる人たちの力を借りることも大切です。

中尾「“支援者”と呼ばれる人たちも100%何でもできるわけではありません。今回、岐阜や三重の団体と定期的に連絡を取って事業を進めるうちに、『自分のところで受けた案件でも、苦手な分野に関しては他者の声を聞くことがすごく大事』だと改めて実感したんです。それが結果的に支援先のためにもなると。

直接『〇〇を支援してください』と相談に来られた場合でも、話を聞くと違うアプローチにたどり着いた、なんてことも少なくありません。そうしたときには、そのアプローチに関して得意な人に繋げて支援先の真の課題を把握し、多様な繋がりを作ることで支援者自身もレベルアップすることが大切なんだと思います」

積極的に協働しようとするボランタリーネイバーズの影響もあってか、周囲にも「無理に自分たちだけで解決しようとせず、適切な相手に協力を求める」機会が増えてきました。

遠山「信頼のネットワークが構築され、活動者側も一歩前に進むためのルートや関係性ができたことは良かったと思います」

支援先団体の活動の様子(左)/ 支援先団体の事業所外観(右)
支援先団体の活動の様子(左)/ 支援先団体の事業所外観(右)

専門家や県外のNPO法人とも連携したチーム型の伴走支援は、行政の注目も得られた、と話す中尾さん。2022年度には名古屋市の事業として、チーム型での伴走支援事業の予算が設けられ、9団体を支援しました。

未曾有のコロナ禍だからこそ気づけた視点を味方に、ボランタリーネイバーズはこれからも活動者・支援者がともに一歩を踏み出しやすい社会を築いていきます。

中尾「コロナ禍でどう伴走支援をしていくのか。ひとつの形をやって見せられたことで、行政との新しい協働関係にも発展していきました。これからも県境にとらわれず、幅広い人たちや団体とつながり、お互いに連携することで、自発的なまちづくり活動をすすめてしていきたいと思います」

事業基礎情報

実行団体
特定非営利活動法人ボランタリーネイバーズ
事業名

Withコロナ時代の社会参加と雇用継続

活動対象地域
愛知県、岐阜県、三重県
資金分配団体
READYFOR株式会社

採択助成事業

2020年度コロナ枠