事業の「社会の諸課題の解決を図る」という成果の観点について、外部の分野専門家により調査研究を実施しています。今回は、2022年3月末に事業完了した2019年度通常枠【安全・安心な地域社会づくり支援事業|日本更生保護協会】の調査研究報告書をご紹介します。ぜひご覧ください。
調査研究とは
事業の「社会の諸課題の解決を図る」という成果の観点で、外部の分野専門家により調査研究を実施しています。事業規模、重要性、国民的関心度、革新性の高さ、発展性等の観点よりJANPIAで対象事業を選定し、資金分配団体および実行団体とあらかじめ合意した上で行われます。
2019年度通常枠では以下の事業を選定し、調査研究を実施しました。
【調査対象】
<資金分配団体>更生保護法人 日本更生保護協会
<実行団体>特定非営利活動法人 ジャパンマック福岡
<実行団体>特定非営利活動法人 TFG
<実行団体>更生保護法人 滋賀県更生保護事業協会
【調査実施者】
・津富宏(静岡県立大学)
・竹中祐二(摂南大学(前北陸学院大学))
・松川杏寧(兵庫県立大学(前国立研究開発法人防災科学技術研究所))
・中村秀郷(西南学院大学)
・大澤望(一般社団法人インパクト・マネジメント・ラボ)
「安全・安心な地域社会づくり支援事業」調査研究報告書
調査研究報告書は、以下の外部リンクからご覧ください。
事業情報
【事業基礎情報】
資金分配団体 | 更生保護法人 日本更生保護協会 |
資金分配団体事業名 | 安全・安心な地域社会づくり支援事業 <2019年度通常枠> |
実行団体 【実行団体事業名】 | ・特定非営利活動法人 ジャパンマック福岡 【犯罪を犯した依存症者の支援拠点づくり】 ・特定非営利活動法人 TFG 【パープルエイド・ブルークロス運動】 ・更生保護法人 滋賀県更生保護事業協会 【息の長い支援基盤整備事業】 |
事業の「社会の諸課題の解決を図る」という成果の観点について、評価の信頼性及び客観性を確保するため、外部の第三者により評価を実施しています。今回は、2022年3月末に事業完了した2019年度通常枠【こども食堂サポート機能設置事業|一般社団法人 全国食支援活動協力会】の第三者評価報告書をご紹介します。ぜひご覧ください。
第三者評価・外部評価とは
事業の「社会の諸課題の解決を図る」という成果の観点について、評価の信頼性及び客観性を確保するため、外部の第三者により評価を実施しています。事業規模、重要性、国民的関心度、革新性の高さ、発展性等の観点よりJANPIAで対象事業を選定し、資金分配団体および実行団体とあらかじめ合意した上で、自己評価とは独立した形で評価が行われます。
2019年度通常枠では以下の2つの事業を選定し、第三者評価を実施しました。このページでは(1)の報告書を紹介します。
★(1) こども食堂サポート機能設置事業
〈資金分配団体〉一般社団法人 全国食支援活動協力会
〈実行団体1〉一般社団法人コミュニティシンクタンク北九州
〈実行団体2〉社会福祉法人那覇市社会福祉協議会
〈評価実施者〉 株式会社国際開発センター(IDCJ)
(2)子どもの未来のための協働促進助成事業
~不条理の連鎖を癒し、皆が共に生きるエコシステムの共創~
〈資金分配団体〉特定非営利活動法人 エティック
〈実行団体〉特定非営利活動法人岡山NPOセンター
〈評価実施者〉 チームやまびこ(浅井美絵、中谷美南子)
「こども食堂サポート機能設置事業」第三者評価報告書
第三者報告書は、以下の外部リンクからご覧ください。
事業情報
【事業基礎情報】
資金分配団体 | 一般社団法人 全国食支援活動協力会 |
資金分配団体事業名 | こども食堂サポート機能設置事業(2019年度通常枠) |
実行団体1 <事業名> | 一般社団法人 コミュニティシンクタンク北九州 <⼦ども食堂ネットワーク北九州機能強化事業> |
実行団体2 <事業名> | 社会福祉法人那覇市社会福祉協議会 <こども食堂等支援事業> |
事業の「社会の諸課題の解決を図る」という成果の観点について、評価の信頼性及び客観性を確保するため、外部の第三者により評価を実施しています。今回は、2021年3月末に事業完了した2020年度コロナ枠【社会的脆弱性の高い子どもの支援強化事業|セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン】の外部評価報告書をご紹介します。ぜひご覧ください。
第三者評価・外部評価とは
事業の「社会の諸課題の解決を図る」という成果の観点について、評価の信頼性及び客観性を確保するため、外部の第三者により評価を実施しています。事業規模、重要性、国民的関心度、革新性の高さ、発展性等の観点よりJANPIAで対象事業を選定し、資金分配団体および実行団体とあらかじめ合意した上で、自己評価とは独立した形で評価が行われます。
2020年度コロナ枠では以下の事業を選定し、外部評価を実施しました。このページではその報告をご紹介します。
■社会的脆弱性の高い子どもの支援強化事業
〈資金分配団体〉公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン
〈実行団体〉特定非営利活動法人SOS子どもの村JAPAN
〈評価実施者〉NPO組織基盤強化コンサルタントoffice musubime 河合将生
休眠預金等活用事業におけるコロナ緊急助成事業における外部評価 (特定非営利活動法人SOS子どもの村JAPAN)外部評価報告書
外部報告書は、以下の外部リンクからご覧ください。
事業情報
【事業基礎情報】
資金分配団体 | 公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン |
資金分配団体事業名 | 社会的脆弱性の高い子どもの支援強化事業 <2020年度新型コロナウイルス対応緊急支援助成> |
実行団体 | 特定非営利活動法人SOS子どもの村JAPAN |
実行団体事業名 | コロナ禍における虐待防止と家族の分離予防事業 |
2013年に福岡県初のフードバンク団体として設立された、NPO法人フードバンク北九州ライフアゲインは、「すべての子どもたちが大切とされる社会」を目指し、子育て世帯を中心とした食料支援に取り組んでいます。コロナ禍で急増した「食料支援の需要」と「食品ロス」の問題を受けて、同団体は食料を配布するだけでなく、サプライチェーンの効率化やステークホルダーの連携促進にも尽力しています。食料品店、中間支援組織、行政等と協力して22年度に集まった食料品は136t以上。月35世帯ほどだった支援規模は月100〜150世帯にまで増加しました。こうした功績の背景にはどんな工夫があったのか。理事の陶山惠子さんにお話を伺いました。[コロナ枠の成果を探るNo.3]です。
「食料支援の需要」と「食品ロス」の問題に向き合い、延べ4,000世帯を支援
子どもの通う学校が休校になり、働きに出られず、職を失った。自宅にこもる時間が増え、ストレスが蓄積されたことで家庭が崩壊した。2020年、新型コロナウイルスがもたらしたこのような問題は北九州市でも深刻を極めていた、と陶山さんは振り返ります。
「コロナが原因で失職や離婚した家庭が増え、食料支援を求める世帯が急増。2019年度末には月30〜40世帯だったのが、2020年度にはゆうに100世帯を超えるほどに。同時に人の流れや物流が滞った影響で、土産品が売れ残ったり、給食用の食材も廃棄になったりと、食品ロスの問題も深刻化する一方でした」

この問題に立ち上がったのが、陶山さんが理事を務める、NPO法人フードバンク北九州ライフアゲイン(以下、ライフアゲイン)です。同団体は、2013年の設立時より、食品ロスを食料支援につなげる環境活動と、経済的に厳しい子育て家庭への支援という福祉活動の両方に取り組んできました。
コロナ禍において、ライフアゲインがLINE公式アカウントコミュニティ463名に対して実施したアンケートによると、257件あった回答のうち約7割が「家計の中で最も『食費』を充実させたい」と回答。こうした現場のニーズを出発点に、食料支援の体制を強化し、食品ロスの増加を食い止めるため、ライフアゲインによる休眠預金活用事業ははじまりました。

事務所の近くに食品を保管するための倉庫を借り、スタッフを雇用したり、食品棚や搬入用の機材を購入したり。休眠預金を主に食品の管理環境や体制を整えるために活用することで、より幅広い層へのスムーズな食料支援につながったと言います。
「主な支援の対象は子育て世帯ですが、生活困窮者の方たちにも、必要に応じて行政やケースワーカーさんを通じて食料支援をすることがあります。北九州市が積極的に取り組んでいる『子ども食堂』や連携先の大学で自主的なフードパントリー(※)を実施しました」
※日々の食品や日用品の入手が困難な方に対して、企業や団体などからの提供を受け、身近な地域で無料で配付する活動のこと

2022年末までの事業期間を経て、ライフアゲインが食品提供先として連携する福祉施設、および支援する団体の数は145団体(自治体福祉課・社会福祉協議会を除く)にのぼり、食品を提供した企業は188団体へ。
食料支援件数は延べ4,000世帯を超え、寄贈された食品の受け入れ重量は2021年は110t、2022年度は130t以上と、一般的なフードバンク事業と比較し、圧倒的な規模での支援実績を記録しました。
100を超える団体や行政と連携し、支援のアウトリーチを強化
なぜ、これだけの規模で各所から食品が集まり、支援が可能になったのか。取材を通じて見えてきたのは、ステークホルダーとの連携力の強さ。それを証明した取り組みの一つが、食料配布のサプライチェーンの効率化です。
2019年、ライフアゲインは福岡県リサイクル総合研究事業化センターが主催する「食品ロス」をテーマとした研究事業にチームリーダーとして参画し、複数の団体と協力して、食品ロスの削減に向けた取り組みを進めることに。 結果、福岡県内でフードバンク活動の機運を高めるために新設されたのが、「福岡県フードバンク協議会」です。

「現在、県内には8つのフードバンク団体が活動していますが、個別に食品を提供してくれる企業を開拓するのは大変ですし、企業にとっても一つひとつの団体と合意書を結ぶなどの対応をするのは相当な手間になります。逆に言えば、それらが解消されたなら、より多くの食品が効率的に集まるはず。そう考え、フードバンク団体と食品を提供する企業をつなぐ窓口の機能を一箇所にまとめるために協議会を設置しました」
食品寄贈企業の開拓を始め、寄贈された食品の受付や管理、フードバンク団体への支援を呼びかける啓蒙活動や行政への政策提言を含む広報活動…。こうした役割を福岡県フードバンク協議会が積極的に担う体制が実現したことで、以前よりも集まってくる食品の数は格段に増えたと言います。

そして、なにより重要なのは、集まった食品をいかに必要としている人に届けるか。北九州市内における相対的貧困世帯は母子世帯だけでも7,000にのぼると推測される一方、2019年度末時点で、ライフアゲインが支援する子育て世帯は50にとどまっていました。 当事者からの支援要請を待つのではなく、こちらから積極的に当事者とつながっていく「アウトリーチ」を強化する。その必要性を実感したライフアゲインは、支援希望者とつながるLINE公式アカウントを開設し、行政と連携して団体の活動を広く告知。これが支援者の拡大に大きく貢献したと、陶山さんは話します。
「市内の各区役所に案内を設置し、2021年の冬休み前には行政からの提案で、児童扶養手当の受給者を対象とした配布物の中にチラシを同封してもらいました。送付先は約1万人。当初は300世帯だった支援対象の幅を、思い切って1,000世帯にまで広げました。支援希望者にはLINE公式アカウントへの登録を促したところ、新たに1,200名とつながることができたんです」

口コミの力も相まって活動の認知はさらに広がり、取材時点でLINE公式アカウントに登録している支援希望者は1,800名にまで増加しました。現在も学校の長期休み前には、LINEを通じて食料支援の希望を聞いています。
「共に助け合う心」の強さ。未来の孤立を防ぐために
ステークホルダーとの連携により、これまで以上に幅広い世代への食料支援が実現したころ、ライフアゲインの事務所には支援を利用した方からのお礼のメッセージが続々と届き始めました。
「孤独じゃないと実感して勇気づけられた」「私たち家族のことを想ってくれる人がいると実感して元気が出た」ーーそんな感謝の声が溢れる中、とりわけ胸を打たれたメッセージについて、陶山さんは話してくれました。
「中学生の女の子から、こんな手紙が届いたのです。『ありがとうございます。これでお母さんと一緒にご飯が食べられます。お母さんはいつも私達がお腹いっぱい食べられるようにと、余りものばかりを食べて、まともな食事をしていません。食料を届けてくれたおかげで、家族みんなでご飯を食べられることが何より嬉しいです』と。食料支援を希望する人の生活は、私たちが想像するよりもはるかに厳しいのだと思い知らされると同時に、必要な人に支援が届くことの意義を実感できた瞬間でした」

「私は決して独りじゃなかった」。食料支援を受け取った多くの人がそう感じたように、ライフアゲインもまた、支援を実施する中でステークホルダーによるサポートの心強さを実感していました。
「1,000世帯に食料支援のボックスを届ける際、梱包作業がとにかく大変だったんです。そこで食料を寄贈してくださった企業にお声がけをしたら、多くの方が箱詰めのボランティアに参加してくれました。また、送料を賄うためにクラウドファンディングで支援を募ったら、目標金額を超える120万円の寄付が集まりましたし、資金分配団体の一般社団法人全国フードバンク推進協議会さんも他団体の参考になる情報を共有してくださるなど、常に相談しやすい関係性を築いてくださいました。
あとは何より、活動を続ける中で行政との関係性が変化してきたなと実感しています。最近では市が主催するフードバンクの事業に対して提言を求められることもあり、相互に頼り、頼られる関係性が醸成されてきたなと感じています」

つながり続ける関係の中で、助けを求めることは決して恥ずかしいことじゃないーー「家計は苦しいけれど、食料支援を受けるのは抵抗がある」という人も少なからずいる中、ライフアゲインはそんなメッセージを発信し続けてきたと言います。
困っている人には手を差し伸べ、自分が困っているなら周りに助けを求める。ライフアゲインの“共助”の姿勢は周囲にも伝播し、大きな力となって、誰一人孤立しない未来を引き寄せ続けるに違いありません。
最後に陶山さんは、団体の今後についてこう語ってくれました。
「昨今は物価高騰の問題もあり、子育て世代はもちろん、さまざまな事情から困窮し、孤立している人が増え続けています。私たちとしては、フードバンク事業を着実に続けながら、これまで以上に福祉活動にも力を入れたいなと。取り組みの一つとして、2022年からは家庭訪問型の子育て支援の準備も進めており、新しく借りた事業所ではさまざまな困りごとに耳を傾ける相談室を開こうと考えています。今後は食料支援を入口に、支援を必要としている一人でも多くの人とつながり、安心できる関係性を築くことで、困ったときには気軽に頼ってもらえる存在になりたいです」
【事業基礎情報】
実行団体 | 認定特定非営利活動法人フードバンク北九州 ライフアゲイン |
事業名 | コロナ禍でも届く持続可能な食支援強化事業 |
活動対象地域 | 北九州市及び近郊地域 |
資金分配団体 | 一般社団法人 全国フードバンク推進協議会 |
採択助成事業 | 2020年度新型コロナウイルス対応支援助成 |
事業完了にあたり、成果の取りまとめるために実施されるのが「事後評価」です。事後評価は、事業の結果を総括するとともに、取り組みを通じて得られた学びを今後に生かせるよう、提言や知見・教訓を整理するために行われます。今回は、2022年3月末に事業完了した2019年度通常枠【障害児等の体験格差解消事業|公益財団法人ブルーシー・アンド・グリーンランド財団】の事後評価報告書をご紹介します。ぜひご覧ください。
事業概要等
事業概要などは、以下のページからご覧ください。
事後評価報告
事後評価報告書は、以下の外部リンクからご覧ください。
・資金分配団体
・実行団体
【事業基礎情報】
資金分配団 | 公益財団法人 ブルーシー・アンド・グリーンランド財団 |
事業名 | 障害児等の体験格差解消事業 〜水辺の自然体験を通じて障害児や養護施設の子供の人間形成を図る〜 <2019年度通常枠> |
活動対象地域 | 全国 |
実行団体 | ・有限会社 SHIPMAN ・株式会社 FEEL ・宮城県障がい者カヌー協会 ・公益財団法人 身体教育医学研究所 ・龍ケ崎市B&G海洋クラブ ・認定特定非営利活動法 オーシャンファミリー ・認定特定非営利活動法人 Ocean’s Love ・特定非営利活動法人 海の達人 ・特定非営利活動法人 あそびとまなび研究所 ・特定非営利活動法人 コバルトブルー 下関ライフセービングクラブ |
事業完了にあたり、成果の取りまとめるために実施されるのが「事後評価」です。事後評価は、事業の結果を総括するとともに、取り組みを通じて得られた学びを今後に生かせるよう、提言や知見・教訓を整理するために行われます。今回は、2022年3月末に事業完了した2019年度通常枠【こども食堂サポート機能設置事業|全国食支援活動協力会】の事後評価報告書をご紹介します。ぜひご覧ください。
事業概要等
事業概要などは、以下のページからご覧ください。
事後評価報告
事後評価報告書は、以下の外部リンクからご覧ください。
・資金分配団体
・実行団体
【事業基礎情報】
資金分配団 | 一般社団法人 全国食支援活動協力会 |
事業名 | こども食堂サポート機能設置事業 <2019年度通常枠> |
活動対象地域 | 全国 |
実行団体 | ・一般社団法人 こどもの居場所サポートおおさか ・特定⾮営利活動法人 寺⼦屋⽅丈舎 ・社会福祉法人 那覇市社会福祉協議会 ・一般社団法人 コミュニティシンクタンク北九州 |
事業完了にあたり、成果の取りまとめるために実施されるのが「事後評価」です。事後評価は、事業の結果を総括するとともに、取り組みを通じて得られた学びを今後に生かせるよう、提言や知見・教訓を整理するために行われます。今回は、2022年3月末に事業完了した2019年度通常枠【安全・安心な地域社会づくり支援事業|日本更生保護協会】の事後評価報告書をご紹介します。ぜひご覧ください。
事業概要等
事業概要などは、以下のページからご覧ください。
事後評価報告
事後評価報告書は、以下の外部リンクからご覧ください。
・資金分配団体
・実行団体
【事業基礎情報】
資金分配団 | 更生保護法人 日本更生保護協会 |
事業名 | 安全・安心な地域社会づくり支援事業 <2019年度通常枠> |
活動対象地域 | 全国 |
実行団体 | ・更生保護法人 ウィズ広島 ・更生保護法人 滋賀県更生保護事業協会 ・更生保護法人 清心寮 ・全国再非行防止ネットワーク協議会 ・特定非営利活動法人 愛知県就労支援事業者機構 ・特定非営利活動法人 神奈川県就労支援事業者機構 ・特定非営利活動法人 ジャパンマック ・特定非営利活動法人 TFG ・特定非営利活動法人 のわみサポートセンター ・特定非営利活動法人 両全トウネサーレ |
福岡県・北九州市に拠点を置くNPO法人抱樸(以下、抱樸)は、ホームレスや生活困窮者を始め、さまざまな生きづらさを抱えた人たちの人生に伴走する活動を、30年以上にわたって続けてきました。2021年1月より、公益財団法人パブリックリソース財団(2019年度通常枠資金分配団体)の採択を受け、単に身を置くだけの場所ではなく、人とのつながりを持ち、心の拠りどころにもなる住居として「プラザ抱樸」の拡充に勤しんでいます。この取り組みの背景に見えるのは、持続可能な「伴走型支援」のあり方を模索する姿勢。そもそも伴走型支援とは何か、なぜ必要なのか。その持続性をどう担保していくのか。抱樸の常務理事を務める山田耕司さんにお話を聞きました。”
「家族と制度の間」を担い続けて広がった支援
抱樸が活動開始発足したのは、1988年12月。当時は「北九州日雇越冬実行委員会」という名称でした。始まりは路上生活者の現状調査を行ったことからと言います。

「福岡の日雇労働組合と共同し、路上生活者にヒアリングをすることになったんです。仕事が終わった夜に会いに行って、『話を聞かせてもらうのに手ぶらだと申し訳ないから』と、手土産におにぎりを握っていった。調査が進み路上生活者の実態が明るみになると、当然、自分たちにできることを考えますよね。そこから、炊き出しが始まったと聞いています」
大学時代は社会運動系のサークルに入っていた山田さんが、抱樸に出会ったのは1997年。友人の誘いで炊き出しやパトロールのボランティアに参加するようになり、2004年に抱樸が北九州市からの委託で「ホームレス自立支援センター」を始めると同時に入職しました。

以来、20年近くにわたって抱樸が出会うさまざまな障害や生きづらさを抱えた人たちの声に耳を傾け、現在は常務理事として休眠預金活用事業を含め、多岐にわたる取り組みを統括しています。
日雇労働者やホームレスのための炊き出しから始まった抱樸の支援。入口こそ「労働問題」でしたが、山田さんは「支援を続けるうちに『労働問題以外の課題』も見えてきた」と振り返ります。
「私自身、最初は『就労支援をして、ホームレスの方が自立すれば万事解決』と思っていました。ところが、実際は軽度の知的障害や精神障害を含め、さまざまな障害が原因で就労や独居が難しかったり、社会的に家族や企業の機能が衰えたことから周りに頼れる人がおらず孤独に陥ってしまったり。リーマンショック以降は若年困窮者も増え、その多くは高校中退以下で十分な学習の機会を得られていなかったり。一筋縄には解決できない問題が山積みだったんです」
困窮者・ホームレス支援に始まり、子ども・家族支援、居住支援、就労支援、障害福祉、高齢福祉に更生支援(刑務所出所者への支援)――人の属性に囚われず、さまざまな生きづらさを抱えた人たちを対象にした抱樸の支援は、現在27の事業まで広がっています。
なぜ、ここまで広がり得たのでしょうか?
「ホームレス支援から始まった、というのが大きな理由だと感じています。ホームレスになる人は、社会的な制度や福祉から排除されてきた方々なんです。障害の問題もスルーされ続け、雇用保険も受けられず、生活保護すら申請できない。結果、住まいを失い、就職活動もできなくなる。そうした方々への支援を考えるうえで、活用できる制度があるならもちろん活用します。一方で、既存の枠組みに過度な期待は寄せず、『必要だと思うのにないものがあるなら自分たちで作っていこう』という発想が、もともとすごく大きいんだと思います」
誰ひとり取り残されない社会を創るため、家族と制度の間を担い続けた抱樸。手土産におにぎりを握り始めた日々から34年。これまでに約3,700人以上が、ホームレス状態から生活を取り戻したと報告されています。
入居者の人生に“伴走”する居住支援を目指して
2019年度、パブリックリソース財団による公募で採択を受けたのは、抱樸が2001年から実施していた「居住支援」における取り組み。当初は大家さんから物件を一括で借り上げて入居者に転貸するサブリースの形式を活用し、その後、生活困窮者に無料または低額な料金で宿泊所を提供する「無料定額宿泊所(以下、無低)」としての居住支援を行っていました。

一方、世間では「無低は利用者の無知や弱みにつけこみ、入居者の生活保護費を搾取する貧困ビジネスの温床になっている」と問題視され始めます。入居したものの、ソフト面での支援は十分になく、再び路上生活に戻ってしまうケースも少なくありませんでした。 こうした背景を受け、山田さんは「単に住まいを提供するだけでなく、入居後も見守り続ける居住支援を広げていきたい思いがあった」と話します。
「居住支援を始めた頃から、アフターケアは行っていました。入居者の多くが高齢者だったことも理由の一つですが、障害や依存症の問題から金銭管理や衛生面でのトラブルが生じることも少なくなかったんです。家族のように困ったときに頼れる人が側にいないと、安定的に暮らしていくのは難しいのだと、この頃から、実感していました」
入居後もつながり続け、一人ひとりの人生に伴走する。そんな居住支援を持続可能なものにするためには、見守り続ける人材の確保や育成のためにも、ある程度、安定した資金繰りが必要になります。しかし、実状は北九州市の住宅扶助の基準額(当時)である 3万1,500円で物件を借り、同額で貸していたため収益はゼロ。
理想とする居住支援のあり方を広げるために、何か打てる手はないだろうか?
模索し続ける中で見つけたのが、休眠預金活用事業の公募として、パブリックリソース財団が打ち出した「支援付き住宅建設・人材育成事業」でした。
2020年4月に無低の規制が強化されるのと並行して、単独での居住が困難な人への日常生活を支援する制度(日常生活支援住居施設)が創設。同事業は、その流れを受けて新基準に対応した無低の改築・建替え費用を助成するとともに、入居者を見守る人材の育成を推進。「住まい」と「生活支援」をセットで提供するソーシャルビジネスのビジネスモデルの構築を目指すものでした。
「これまでも多くの助成金や補助金を活用しましたが、基本的に物件の“所有”は認められず、借りるしかありませんでした。そのうえ単年度の助成が大半ですが、単年度では成果や実績が上がらないこともあり、資金が途絶えれば物件を借りられなくなるリスクも大きかったんです。その点、今回は物件の購入も認められ、複数年度の支援だったことが魅力的でしたね。パブリックリソース財団さんとも月一でミーティングを実施し、情報共有はもちろん、手続きの面でも手厚くサポートしてくださったので、大変心強かったです」
審査を経て採択された抱樸は、2018年より借りていたマンション一棟を購入。見守り支援つき住宅「プラザ抱樸」として再出発し、入居者の相談に乗る支援員の人件費や研修費にも充てながら、日々施設の拡充に取り組んでいます。

審査を経て採択された抱樸は、2018年より借りていたマンション一棟を購入。見守り支援つき住宅「プラザ抱樸」として再出発し、入居者の相談に乗る支援員の人件費や研修費にも充てながら、日々施設の拡充に取り組んでいます。 ここでは相談支援員による生活サポートがあり、いつでも「困りごと」を相談できるように常駐する管理人を配置。障害者向けのグループホームも併設されています。取材時(2022年10月)には、入居可能な88室がほぼ満室。10〜80代まで、老若男女を問わずに幅広い世代が暮らしています。
中には中学生で妊娠し、シングルマザーになるも、さまざまな事情で家族と同居が難しくなった入居者も。彼女は現在、生活保護を受け、アルバイトをしながら抱樸のサポートにより通信制の高校に通っていると言います。
「ホームレスの方だけでなく、さまざまな事情で家が借りられない、行き場がない、生活全般に困難を抱えた方々が地域にこんなにもおられるのかと。『プラザ抱樸』を始めて、よりその事実を痛感しました」

“つながり”を対等なものにする
住まいの提供だけでなく、入居後も見守り続けるスタイルは、抱樸が20年以上にわたって住居支援を行う中で理想の形を模索し続けてきた結果でもあります。同時に、このスタイルから浮き彫りになるのは、抱樸の「支援」に対する考え方。
抱樸は、支援には「問題解決型支援」と「伴走型支援」があると定義しています。住居支援を例に考えれば、行き場のない人に住まいを提供するのが「問題解決型支援」であり、入居後も見守り続けるのが「伴走型支援」です。
これらは「支援の両輪」として実施されるべきだと、抱樸の代表を務める奥田知志さんの著書に記されています。
私は「諦念」の中にたたずむ路上の人を大勢見てきました。そういう人がもう一度立ち上がるためには、居住や就労の支援に加え「私はあなたを応援している。一緒に頑張ろう」と呼びかける他者の存在が必要だったのです。「誰のために働くか」という問いとその答えをもつこと。「あの人が応援してくれるから」「愛する人のためだから」、これら「外発的な動機」をもつ人は踏ん張ることができます。(『伴走型支援 新しい支援と社会のカタチ』より)

コロナ禍の炊き出しでは、お弁当に添えるお手紙をボランティアから募ったことも。
山田さんも「伴走型支援が必要なのは、ホームレスや生活困窮者、障害がある人など一部の人に限られた話ではない」と主張します。 「家族や親戚、友人や企業に制度。私たちも多様な人に支えられて日々生きています。人が生きていくためには、誰かしらに支えられる……伴走される必要があるのだろうと。抱樸が支援をしている方達は、たまたま伴走相手が私たちだった。ただ、それだけのことだと思うんです」

すべての「いのち」は等しく尊い。だから、ひとりにさせないために「つながり」続ける。そして、その「つながり」を平等にしていくために、抱樸は今日もあらゆる人の生きづらさに向き合っています。
「伴走型支援」を持続可能にするために
支援つき住宅を持続的に提供していくため、2020年には初のクラウドファンディングを実施した抱樸。1万人を超える支援者から集まった寄附額は、約1億2,000万円。これを機に拠点の北九州だけでなく、北海道や大阪、愛知、岡山など、10地域の困窮者支援団体と連携を取り、全国に支援を拡大しています。

noteやYouTubeなどのSNSを活用した積極的な発信も相まり、団体の思いに共感する人の輪は広がり、スタッフの数も増加。仲間が増えるのは心強い反面、組織の規模が大きくなるがゆえの難しさも痛感していると、山田さんは話します。
「スタッフの人数が増えると、部署ごとの縦割りが起こりがちになります。今は社会福祉法人化への準備も進んでおり、団体としての過渡期でもあります。そんな中で抱樸がこれまで大切にしてきた思いをどのように共有しながら、連携を強めていくのかが直近の課題です」

「抱樸」とは、「原木・荒木(樸)を抱きとめること」。ささくれ立ち、棘のある荒木を抱けば、ときに傷を負うこともあります。生半可な気持ちでは続けられない。
だからこそ、働きに見合った対価が得られる組織でありたい。それが、生きづらさを抱えた一人でも多くの人とつながり続ける、伴走型支援を持続可能にする鍵になるだろうから。
山田さんの力強い言葉からは、走り続けることを決めた抱樸の“覚悟”が滲むようでした。
「2010年頃から増え始めた新卒採用の初期メンバーは、30代に突入しました。結婚や出産といったライフプランもある中、やりがいや思いだけで仕事を続けるのは難しいと思います。だから、事業の収益性にもこだわり、職員の待遇を向上していく必要がある。休眠預金活用事業を通じて取得した「プラザ抱樸」では利益が生まれ始めています。その事実も踏まえ、持続可能な団体として今後どうあるべきか、しっかり考えていきたいです」
■資金分配団体POからのメッセージ
今回のプラザ抱樸というプロジェクトは、休眠預金活用事業の中でもかなり大きなインパクトのある事業です。まず、マンション1棟をまるごと買い上げ、様々な福祉制度を組み合わせた「ごちゃまぜ型」の支援付き住宅群としたこと。次に一般向けの賃貸には古く、空室の多くなったマンションを福祉用途に全面転換することで、未活用の住宅ストックを地域課題の解決に役立てていること。これらは地域リソースを最大限に活かした先駆的事例であり、全国の高齢化や空き家問題対策のロールモデルともなりうるので、しっかりとこの事業の成果評価を発信していきたいと思っています。(公益財団法人 パブリックリソース財団 プログラムオフィサー)
【事業基礎情報】
実行団体 | 特定非営利活動法人 抱樸 |
事業名 | 支援付き住宅の複合モデル「プラザ抱樸」の拡充と整備事業・抱樸 |
活動対象地域 | 北九州市 |
資金分配団体 | 公益財団法人 パブリックリソース財団 |
採択助成事業 | 2019年度通常枠・実行団体・ソーシャルビジネス形成支援事業 |
事業完了にあたり、成果の取りまとめるために実施されるのが「事後評価」です。事後評価は、事業の結果を総括するとともに、取り組みを通じて得られた学びを今後に生かせるよう、提言や知見・教訓を整理するために行われます。今回は、2022年3月末に事業完了した2019年度通常枠【支援付住宅建設・人材育成事業|パブリックリソース財団】の事後評価報告書をご紹介します。ぜひご覧ください。
事業概要等
事業概要などは、以下のページからご覧ください。
事後評価報告
事後評価報告書は、以下の外部リンクからご覧ください。
・資金分配団体
・実行団体
【事業基礎情報】
資金分配団 | 公益財団法人 パブリックリソース財団 |
事業名 | 支援付住宅建設・人材育成事業 〜生活困窮者のための安心できる支援付住宅の建設と支援人材の育成〜 <2019年度通常枠・ソーシャルビジネス形成支援事業> |
活動対象地域 | 全国 |
実行団体 | ・特定非営利活動法人 抱樸 ・特定非営利活動法人 自立支援センターふるさとの会 ・特定非営利活動法人 ワンファミリー仙台 |
一般社団法人Kids Code Clubは、「子どもへのテクノロジー学習の支援を通じて、子どもたちが笑顔で希望を持って生きていける社会をつくる」というビジョンを掲げて活動しています。コロナ禍で、子どもたちが遊び・学び・交流する機会が激減する中、2020年度新型コロナウイルス対応緊急支援助成(資金分配団体:一般社団法人SINKa)を活用し、「生きる力を育む子どもの居場所づくり事業」に取り組まれた同団体の代表理事・石川麻衣子さんに話を伺いました。
自身の経験から「全ての子が学べる環境づくり」を志す
Kids Code Clubは、2016年から福岡を拠点として、プログラミング学習の機会を小中学生の子どもたちに無料で提供する活動を行っています。
「私たちの目的は、プログラミングのスキルをただ身につけてもらうことではありません。あくまでもプログラミング学習は手段であって、それを通して子どもの生きる力を育み、居場所をつくりたいと思っているのです」と石川さん。その思いは、ご自身の原体験から生まれています。

石川さんはいわゆる貧困世帯で生まれ育ち、学費を払えずに九州大学を中退。「ひとり暮らしで日雇いバイトを続ける毎日。月給の仕事に就きたくても数日先のお金に困る状態で、生活はどん底でした」と当時を振り返ります。そんな中、友人から古いパソコンをもらい、ウェブサイトを作る方法を独学で懸命にマスターし、2008年に28歳でウェブの制作会社を立ち上げました。
2015年、貧困であるがゆえに子どもが命を落とすという悲惨な事件が千葉で起こり、連日報道されました。この事件に、母親になっていた石川さんは大きなショックを受けたといいます。
「私は生きる力を身につけて、貧困からどうにか生活を立て直しました。自分にできることがないかと考え、ちょうどその頃に注目され始めたプログラミング教育に着目して、どんな子でもプログラミングを学べる環境をつくろうと決意しました。」
海外とつなぐイベントやクラブを無料で開催
2016年、小中学生を対象として、プログラミングを体験できる無料のイベントをスタート。本業の傍ら、石川さんの思いに賛同したボランティアの人たちと一緒に、できる範囲で活動していました。
そのうち、シアトルのNPOから声がかかり、日本とシアトルをネット中継でつなぎ、現地の名だたるIT企業に勤める日本人エンジニアなどから学ぶ「英語で学ぶコンピュータ・サイエンス」プロジェクトも開始。当時、インターネットを介して授業を受けるスタイルは珍しく、先進的でした。
そして2020年、日本でコロナ感染症が拡大し、4月に全国一斉休校になりました。子どもが学ぶ機会や交流する場、居場所がなくなり、孤立してしまうことに危機感を抱いた石川さんは、「放課後プログラミングクラブ」を立ち上げました。毎週火曜と金曜の17:00~18:00、小中学生がオンラインで集まってプログラミングで作品づくりに取り組むクラブです。
「コロナ禍で休校が増えて、『子どもがずっと家にいて友達と遊べないので、どうにかしたい』と登録する親子がどんどん増えていきました」。
2020年11月からこれまで128回開催し、会員311人、参加者はのべ2307人にのぼります(2022年1月末現在)。

放課後プログラミングクラブでは、子どもたちがゲームやアニメなどの作品づくりに、自分のペースで取り組んでいます。バーチャル空間を会場として、分からないことはスタッフや子ども同士でサポート。活動を通して、子どもに変化も生まれてきたそうです。
「クラブに参加するのは元気な子やシャイな子、不登校や病気の子など、たくさんいます。最初はパソコンのカメラもマイクもオフにして、人がいない端っこにいた子が、何度か参加するうちに人の輪に近づいて、マイクをオンにして話し出すこともあります。いろんな背景を持つ子どもたちが、自分のペースで成長していると実感しています。子どもの居場所づくりは一朝一夕にはできなくて、継続していることで確実に変化が生まれています。」
他にもLINEでメッセージを送っても最初は無反応だった保護者から返信が来て「ありがとう。」と言われたり、ITは分からないと拒絶していた保護者が興味を持つケースもありました。
「オンラインでも、人と人がコミュニケーションを取り続けることは、すごく力があるんですよね。」と手応えを語ってくださいました。
コロナ禍でも、オンラインで成長できる居場所に
2021年には、SINKaが資金分配団体となって実施した新型コロナウイルス対応緊急支援助成に実行団体として採択されて、「生きる力を育む子どもの居場所づくり事業」として活動を実施しました。
「Kids Code Clubの活動は全て無料で、講師やスタッフは全員プロボノ。大学や企業、行政、NPOの皆さんから会場や設備を提供いただき、支えてもらっています。本業の傍ら手弁当でやってきて、ファンドレイジングに力を入れる余裕がありませんでした。でも、背中を押してくれる人たちがいて、今回、SINKaさんの公募にチャレンジして、本当に良かったと思っています。」
応募に際しては、自分たちの強みを知るため、活動に参加する保護者など40人にヒアリングを行い、事業計画を練り上げました。
「話を聞いてみると『クラブが毎回楽しみで、パソコンの前で正座して待っている』とか、子どもたちの居場所になっていること、いきいきと楽しく成長するきっかけになっていることがよく分かりました。私たちは子どもが楽しむことを第一にして、おまけとして21世紀型スキルや自己肯定感、創造力、ITリテラシーなどがついてくると考えています。その思いが少しずつ形になっていると思えました」

たくさんの方にご支援頂きながら、親子に多様でグローバルなIT体験・プログラミング学習の機会と、孤立を防ぐ居場所を展開。事業期間を通じて、福岡エリアで約300世帯、全国で約600世帯、のべ2,500名以上に提供し、コロナ禍の孤立と心の貧困の解消に尽力してきました。
主な活動と参加者数の実績は以下のとおりです。
主な活動と参加者数の実績
- 放課後プログラミングクラブ 78回開催 のべ1850名参加
- 英語でまなぶコンピュータ・サイエンス 13回開催 のべ370名参加
- 親子で1分間プログラミング 21回開催 のべ300名参加
- プログラミング学習サイトの運営 利用者数22万人(UU)
- 子ども作品サイトの構築(会員のみ利用可)
- PC操作やプログラミング学習に関するチャット相談受付 やりとり数1,000件以上
子どもの力を信じ、みんなで社会を変えていきたい
そして、Kids Code Clubは、次に向けて動き出しています。
「もともとパソコン環境がない子どもにも参加してほしいという思いがありました。今回の事業で自分たちの活動は意義があると自信を持てたので、次に2021年度新型コロナウイルス対応緊急支援助成(資金分配団体:READYFOR株式会社・特定非営利活動法人 キッズドア)の実行団体へ採択いただき、パソコンとWi-Fi30セットを無料貸与できました。他の団体さんと連携して、丁寧に研修した上で貸し出し、放課後クラブに入ってもらってサポートしています。」
石川さんには、さらなる夢があります。それは「お金がなくても子どもたちが学べる仕組みをつくる」こと。
「今はお金を払って大人に教えてもらうことが基本になっていて、お金がなければ教育を受けられません。子どもが支援を受けるだけでなく、子どもが誰かに教えられる仕組みができれば、少し光が見えてくると思っています。」
そこで、放課後クラブに「キッズTA(ティーチング・アシスタント)」制度を導入。プログラミング初心者をサポートしてくれる小中学生を募集したところ、予想以上に18人が集まりました。

「放課後クラブは大人がつきっきりで教えるのではなく、子ども同士でも教え合うコミュニティになっています。それが世界に広がれば、どんな家庭環境の子でも学べる社会になるはず。そんな夢に向けて、小さな一歩を踏み出したところです。支援や参加をしてくださる皆さんのおかげでチャレンジできることに深く感謝していますし、必ず成果をあげたいと思っています。
子どもが子どもに教えられるのか疑問に思われるかもしれません。でも、きっとできると大人が信じて任せることで、今まで変わらなかったものが少しずつ変わっていくのではないでしょうか。私たちは子どもたちの力を信じて、子どもの力を原動力に、みんなで社会を変えていきたいと考えています。」と力強く語ってくださいました。
■休眠預金活用事業に参画しての感想は?
コロナの影響で本業の仕事が減る中、ボランティアで続けていくことは精神的にも厳しい状況になっていました。応募するにあたって自分たち団体の強みを徹底的に洗い出せたこと、採択という形で活動を認めてもらえたことをとてもうれしく思っています。そして、SINKaさんには先を見据えた伴走支援をしていただき、感謝しています。この実績をきっかけとして活動を広げていきたいです。(石川さん)
■資金分配団体POからのメッセージ
Kids Code Clubさんは「お金がなくても教育が受けられる社会をつくる」という壮大なビジョンに向かわれていて、私たちも一緒に向かっていきたいと思っています。いい成功事例として、ぜひどんどん表に出てほしいです。(SINKa 濱砂さん)
石川さんとは棚卸と評価についてよく話をしました。とても努力家で、しっかり考えて行動されています。大きく羽ばたかれるように応援していきたいです。(SINKa 外山さん)
【事業基礎情報I】
実行団体 | 一般社団法人Kids Code Club |
事業名 | 生きる力を育む子どもの居場所づくり事業 |
活動対象地域 | 福岡県 |
資金分配団体 | 一般社団法人 SINKa |
採択助成事業 | 福岡子ども若者、困窮者応援笑顔創造事業 |
【事業基礎情報II】
実行団体 | 一般社団法人Kids Code Club |
事業名 | 生きる力を育む子どもの居場所・体験事業 |
活動対象地域 | 福岡県・全国 |
資金分配団体 | READYFOR株式会社 (コンソーシアム構成団体:特定非営利活動法人 キッズドア) |
採択助成事業 | 深刻化する「コロナ学習格差」緊急支援事業 |