休眠預金活用事業の成果物として資金分配団体や実行団体で作成された報告書等をご紹介する「成果物レポート」。今回は、資金分配団体『中国5県休眠預金等活用コンソーシアム〈2020年度緊急支援枠〉』が作成した冊子『2021年度中国5県休眠預金等活用事業「緊急コロナ枠」報告書』をご紹介します。
2021年度中国5県休眠預金等活用事業「緊急コロナ枠」報告書
新型コロナウイルス感染拡大は、経済・社会にこれまでにない変化をもたらしています。生活上の困難を抱える人々や、行政が対応困難な社会課題が増えている一方で、課題解決に取り組む団体は、対面サービスやボランティアの確保、財源確保が困難になるほどの課題に直面しています。この報告書では、資金分配団体としての活動や取り組み、公募で募った活動団体(以下「実行団体」)の社会課題解決に向けた活動・取り組みをまとめています。ぜひご覧ください。
【事業基礎情報】
資金分配団 | 中国5県休眠預金等活用コンソーシアム ※幹事団体 ・特定非営利活動法人 ひろしまNPOセンター ※コンソーシアム構成団体 ・公益財団法人 とっとり県民活動活性化センター ・公益財団法人 ふるさと島根定住財団 ・特定非営利活動法人 岡山NPOセンター ・特定非営利活動法人 やまぐち県民ネット21 |
事業名 | 中国5県新型コロナ対応緊急支援助成 〈2020年度緊急支援枠〉 |
活動対象地域 | 中国地方の5県 (鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県) |
実行団体 | <子ども・若者・家庭支援&地域コミュニティ支援> 【鳥取】N.K.Cナーシングコアコーポレーション合同会社 【鳥取】NPO法人こども未来ネットワーク 【鳥取】NPO法人智頭の森こそだち舎 【鳥取】NPO法人トラベルフレンズ・とっとり 【山口】NPO法人山口せわやきネットワーク <障がい者等就労・居場所支援> 【鳥取】NPO法人大地 【島根】NPO法人あったかいいねっと 【島根】NPO法人YCスタジオ 【岡山】NPO法人ペアレント・サポートすてっぷ 【岡山】NPO法人まこと 【岡山】NPO法人未来へ 【山口】NPO法人NOBORDER <住居・居場所の確保支援> 【岡山】NPO法人オカヤマビューティサミット 【岡山】NPO法人オリーブの家 【岡山】社会福祉法人クムレ 【岡山】一般社団法人子どもソーシャルワークセンターつばさ <外国人就労・居場所支援> 【岡山】NPO法人メンターネット 【広島】NPO法人安芸高田市国際交流協会 【広島】一般社団法人グローカル人材ネットワーク 【広島】株式会社グローバルキャリア研究所 【山口】青年海外協力隊山口県OB会 <必要とされている方への食支援> 【広島】NPO法人環境保全創生委員会 【広島】社会福祉法人正仁会(あいあいねっと) 【広島】NPO法人フードバンク福山 【山口】NPO法人市民活動さぽーとねっと 【山口】NPO法人とりで |
https://youtu.be/WS89S3IVjuI
https://youtu.be/FyeSC12K8lA
休眠預金活用事業の成果物として資金分配団体や実行団体で作成された報告書等をご紹介する「成果物レポート」。今回は、実行団体『特定非営利活動法人岡山NPOセンター(資金分配団体:特定非営利活動法人 全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)〈2019年度通常枠〉)』から休眠預金活用事業の成果物として開設された、「災害支援用語集 サイガイペディア」をご紹介します。
災害支援用語集 サイガイペディア
全国初の災害支援に関する災害支援者による共同作業によって執筆されるフリー用語集「サイガイペディア」(ウェブサイト)を開設しました。ウィキペディアのように支援者が共同執筆して成長させる用語集です。
東日本大震災から10年。毎年、自然災害が続く中で、あらたに被災地となる地域の自治体職員の方や新たに民間で支援に取り組む方が災害支援特有の専門用語や業界用語について忙しい中でパッと見て理解できる、簡単な解説をすることに主眼を置いた用語集として作成しています。災害支援・減災防災活動に取り組む皆様に活用いただけるよう、ご周知をお願いいたします。
また、ウィキペディアのように共同執筆・共同編集のサイトとして、どんどん用語を足せるようにしております。ご覧いただくと共に、皆さんが悩まれた用語など、ぜひ登録をお願いします!
サイガイペディアサイト「投稿者ご登録フィーム」よりどうぞよろしくお願いいたします。
【事業基礎情報】
資金分配団 | 特定非営利活動法人 全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD) |
事業名 | 岡山県内市町村との連携体制と災害時支援スキームの確立事業 |
採択助成事業 | 中核的災害支援ネットワーク構築 〜大規模災害に備え、ネットワーキングから始まる地域の支援力強化〜 〈2019年通常枠・災害支援事業〉 |
活動対象地域 | 岡山県 |
実行団体 | 特定非営利活動法人岡山NPOセンター |
現在JANPIAでは「資金分配団体の公募〈通常枠〉」を実施中です。2021年度 資金分配団体の公募〈通常枠〉の申請をご検討中の皆さま向けに、19、20年度資金分配団体である特定非営利活動法人 ひろしまNPOセンター プロジェクトマネジャー 松村 渉さんにお話を伺いました。
「中国5県休眠預金等活用コンソーシアム」の休眠預金活用事業
【採択事業】
■2019年度 通常枠 草の根活動支援事業(地域) 【事業名】中国5県休眠預金等活用コンソーシアム休眠預金活用事業
■2020年度 通常枠 草の根活動支援事業(地域) 【事業名】中国5県休眠預金活用事業
■2020年度 緊急支援枠 【事業名】中国5県新型コロナ対応緊急支援助成-活動・団体支援でコロナ禍を乗り越える
■2020年度 緊急支援枠(随時募集第3次) 【事業名】中国5県コロナ対応緊急支援助成(第2期)-困窮者への食と住居・居住所支援事業
【「中国5県休眠預金等活用コンソーシアム」構成団体】
特定非営利活動法人 ひろしまNPOセンター/公益財団法人 とっとり県民活動活性化センター/公益財団法人 ふるさと島根定住財団/特定非営利活動法人 岡山NPOセンター/特定非営利活動法人 やまぐち県民ネット21
〈用語解説〉コンソーシアム 「中国5県休眠預金等活用コンソーシアム」はひろしまNPOセンター幹事団体、とっとり県民活動活性化センター・ふるさと島根定住財団・岡山NPOセンター・やまぐち県民ネット21が構成団体となり、全5団体で事業を実施しています。 |
休眠預金活用事業に申請した背景を自団体の活動と合わせて教えてください。
ひろしまNPOセンターは、広島県で中間支援組織として市民活動団体・NPO法人の支援を行っています。具体的には、各団体からの相談を受けたり、休眠預金活用事業とは別の助成事業を行ったり、勉強会やセミナーなどを開催するといった活動を行っています。
休眠預金活用事業に申請した背景・動機としては、まず休眠預金を活用した資金を、中国地方のNPO法人などの団体に届け、それぞれの地域が抱える社会課題を長期的な視点も持ちつつ解決していきたいという思いがあったことです。
もう一つは、はじまったばかりの事業に参画することへの懸念も、市民活動をしている皆さんと話し合う中では出てきたのですが、もちろん外から声を上げていくことも大事ですが、休眠預金活用事業の資金分配団体として活動するからこそわかること、伝えられることがあると考え、休眠預金等活用制度をよりよい制度にしていきたいという思いもあり申請することを決めました。
助成事業を開始して1年半が経ちました。自団体や支援先に起こった変化があれば教えてください。
支援する団体との距離感が近くなった、関係性が深くなったことが大きな変化だと感じています。
また今までは、何かが起きてからこういった問題があるという相談があり、どちらかというと受け身的な対応が多かったと感じていますが、助成事業を開始してからその場その場で起こった課題に対応するだけではなく、2-3年先を見た中・長期的な視点を持って、団体と一緒に活動できるようになりました。
助成事業を通じて、よかったこと、苦労していることはどんなことがありますか。
〈主にコンソーシアムとして〉
私たちは、ひろしまNPOセンター単独ではなく中国地方の5県の団体でコンソーシアムとして事業を行っています。休眠預金活用事業を通じて、各団体の強みは真似をし、弱点はお互いサポート・フォローしあう取り組みや知見・経験の共有がこれまで以上に進み、より関係が深まったことがよかった点です。
一方で苦労している点は、休眠預金活用事業は始まったばかりですので、まだ事業期間を完走した事例がなく、走りながらルールが作られている部分もあり、どうなるか明確ではない中で模索しながら事業に取り組んでいるところです。特に私たちはこの制度において一番初めにコンソーシアムとして採択された団体であり、同時期にコンソーシアムとして採択された団体がなかったため、他の団体とは違った独自の難しさもあります。JANPIAの担当の方と都度相談しながら事業を進めていますが、難しさを感じています。
〈事業実施において〉
具体的な事業を実施する中で苦労しているのは、社会的インパクト評価です。事業開始当初は特に、言葉として分かっていても、中身や組み立て方を分かっていなかったところもありました。JANPIAの担当の方と共に走りながら修正をし、今でもいろいろと悩みながら実施しています。
〈事務に関して〉
事務負担については、もちろんそれなりの労力はかかりましたが、ひろしまNPOセンターについてはちょうど世代交代の時期で、組織を見直すタイミングと重なっていました。休眠預金活用事業のための事務をやらされているというよりは、「自分たちの団体の基盤をさらに強化し、よりよくするために」という考えが大きかったため、やらされ感はありませんでした。そうは言っても、もし決まったやり方を押し付けられたらそのようには思わなかったかもしれませんが、JANPIAの担当の方と団体の状況も含めて相談し、向き合ってもらえたことも、大きかったと感じています。
〈ひろしまNPOセンターとして〉
ひろしまNPOセンターでは、事業単位ごとに担当者が決まっていて縦割りで、これまでお互いに何をやっているかが見えにくい状況がありました。しかし、休眠預金活用事業を複数採択いただいている関係もあって、それぞれが休眠預金活用事業に取り組んでおり、そこが共通軸になって、今まで以上にお互いの仕事の理解が進んだり、「この団体とこの団体を結び付けたらよいのではないか」という新しいアイディアも生まれ始めるなど良い変化が生まれています。
この事業で学んだ社会的インパクト評価を、この事業以外の活動に活かしている例などありますか。
ひろしまNPOセンターの話ですが、2021年6月の総会に向けて、新しい中・長期計画や新ビジョンを時間をかけてつくりあげており、ようやくかたちになってきました。その成果をどう測るか、評価するかという話になったときに、「社会的インパクト評価」がキーワードとしてよく出てきます。私以外の当センターのスタッフも資金分配団体向けの研修などで学んでいますので、団体として社会的インパクト評価を取り入れていけないかと話をしているところです。
団体で実施しているひとつひとつの事業となると、非常に数が多く多岐にわたるので、それぞれ事前評価からはじめるというのは、マンパワーや時間が足りずになかなかできていません。今は、できるところから取り組み始めています。例えば、アウトカムとしては数字が出ないかもしれませんが、上位の計画に対して社会的インパクト評価のイメージを入れてみようかなど、できるところから活用に向けて動いているところです。

休眠預金活用事業を経て、3年後・5年後にどのような社会にしていきたいですか。
私たち市民活動の強みは多様性だと考えています。小さなNPOや個人のボランティアも市民活動、一方公益財団法人なども市民セクターの一つです。また短期間で成果が出やすい活動を行うNPOもあれば、すぐには成果に結びつかない活動のNPOもあります。ガバナンスやコンプライアンスをしっかりつくることを選択するNPOもあれば、一方で既かっちりした組織ではないけれどもボランティアさんを中心に緩やかにでも成果を上げていきたい・活動を続けたいNPOもあります。そうした多様性が認められる社会を目指したいと思っています。
現状、休眠預金活用事業の実行団体の公募に申請するのは、ガバナンスやコンプライアンスなどルールの面で敷居が高いということはあり、多様性を広く受け止められる形にはなっていません。今後、申請された団体の活動や事業の内容をしっかり見たうえで、ケースバイケースにはなると思いますが、多様性を認めたり上手に受け止めたりできる社会、あるいは休眠預金活用制度を目指していければと思っています。
申請をご検討中の団体の皆さんに、メッセージをお願いします。
休眠預金活用制度は、始まって1年半くらいの制度ですので、まだまだ発展途上で多くの可能性を持っていると思います。徐々に私たちの中国地方5県のPOだけでなく、他の地域の資金分配団体やJANPIAのPOさんも含め、横のつながりが拡がっていると感じています。そのつながりは、たとえ制度がなくなっても残って続いていくものだと思います。資金分配団体向けの研修などの機会を通じて、今まで接点のなかった分野方と接点ができ、ネットワークが拡がり、さまざまな面で心強い味方が増えるという意味でも、この事業を実施することをお勧めしたいと思います。
また、この制度は成長過程だと感じています。よりよい制度にしていくためには、さまざまな立場の人の意見が必要だと思います。皆さんと一緒に向き合い、取り組んでいければと思います。
〈このインタビューは、YouTubeで視聴可能です! 〉
※動画では時間の関係でカットとなったお話も、記事に含んでいます。
※この動画は公募説明会で上映したものです。
(取材日:2021年5月10日)
【本記事に関する問い合わせ先】JANPIA 企画広報部 info@janpia.or.jp