「盲ろう者」とは目(視覚)と耳(聴覚)の両方に障害を併せ持つ人のこと。厚生労働省の調査によると、その人数は全国に1万4千人ほどと推定されています。視覚と聴覚に障害があると、日常生活においてさまざまな困難が生じますが、そうした盲ろう者の自立と社会参加を目指して活動しているのが全国各地の「盲ろう者友の会」です。今回は、2021年度通常枠に採択された「NPO法人千葉盲ろう者友の会」(資金分配団体:社会福祉法人全国盲ろう者協会)を訪問。同会の活動や課題、今後の展望についてお話をうかがいました。インタビューに答えていただいたのは、ご自身も盲ろう者である理事長の加藤清道さん、事務局の田中幾子さん、奥村由貴子さん、秦綾子さん、時松周子さんです。
交流会からスタートし、さまざまな支援事業へと活動範囲を広げる
1991年に東京都で「東京盲ろう者友の会」が誕生したことをきっかけに、全国各地で盲ろう者友の会設立に向けての動きが活発になりました。千葉県では、かねてから県内の盲ろう者が交流会を開いており、そこから友の会設立に向けての動きが始まったそう。そんな中、2004年11月に任意団体として「千葉盲ろう者友の会」が設立され、2009年に NPO 法人化。現在に至っています。
加藤清道さん(以下、加藤)「任意団体の頃は、会員である盲ろう者の交流が活動の中心で、そのほかはPR活動くらいでした。NPO法人になった2009年からは千葉県の委託事業として盲ろう者向けの通訳・介助者の派遣事業や育成事業を行ったり、当事者に向けて生活訓練事業や相談支援事業も始めたりと、活動の幅を広げていきました」
NPO 化した当初から取り組んでいる活動の一つが、通訳・介助者を育成し、求めている人の元へ派遣することです。盲ろう者は、周りの人と会話することが難しく、情報が入りにくい。また、移動するのにも困難があり、一人では安心して外出することができない人もいます。そのため、盲ろう者が安全・快適な生活を送るには、通訳・介助者の存在は非常に重要です。
しかし、一言で盲ろう者といっても、人によって必要な支援は異なります。例えば、少し聴力が残っている方であれば、耳元や補聴器のマイクに向かって話しかけることができますし、視力が残っている場合は、紙や筆談ボードで見えやすい大きさの文字を書いて伝えることができます。まったく見えず聞こえない「全盲ろう」の場合は、手のひらに文字を書いたり(手のひら書き)、手話を手で触って読み取ってもらったり(触手話)して伝えることができます。そのため、通訳・介助者は、こうしたさまざまなコミュニケーション手段を身につけ、相手に応じたやり方でサポートしなければなりません。こうした専門的な知識や技術を持つ、通訳・介助者を世に送り出すことは、大切な活動です。

盲ろう者自身が声を上げることで、伝えられるものがある
最近は、支援を求めている盲ろう者を探す“掘り起こし”や、社会に向けた啓発活動にも力を入れています。今、千葉県内には視覚と聴覚両方の障害者手帳を持っている人は約300人と推計されていますが、千葉盲ろう者友の会で把握している人数は40人ほどにすぎません。つまり、県内でもまだ出会えていない盲ろう者がたくさんいるということ。その中には、必要な支援を受けられていない人や、孤独な状況に置かれている人もいるかもしれません。盲ろう者本人やその家族なども、周囲との交流がなく、ほかの盲ろう者がどのような生活をしているかを知らないことも多いのが現状です。
そこで、県内の全市町村を訪問し、盲ろう者についての説明やパンフレットを配布。「身近に目と耳の両方が不自由な方がいらっしゃったら教えてください」と呼びかけることで、盲ろう者とのつながりを広げていこうとしています。
また、多くの人に盲ろう者のことを正しく知ってもらうための啓発活動として、福祉関連イベント等に積極的に参加。当事者による講演会や、触手話や指点字といったコミュニケーションの体験会によって、盲ろう者への理解を深めてもらうことと、千葉盲ろう者友の会の認知向上を図っています。

加藤「適切なサポートを受けるためには、まずは知ってもらうこと。ですが、多くの人は、盲ろう者のことをあまり知りません。目も耳も不自由だとどんな生活をしているのだろうか、家にずっと引きこもっているのだろうか、などと思われがちです。盲ろう者はコミュニケーションに困難を抱えていますが、それでも自分の言葉で一生懸命に伝えることが、周囲の人の心を動かし、支援につながるのではないかと考えています。」
実際に、多くの人が想像している以上に、盲ろう者にはさまざまなことができるそう。加藤さんは自身の経験もまじえながら語ります。
加藤「私自身、40代半ばに盲ろう者になり、仕事を辞めようかと考えたこともあったのですが、会社に相談して拡大読書器や視覚障害者向けのソフトを購入してもらい、それらを使いこなすことで、60歳の定年退職の年まで勤め上げることができました。毎朝、千葉から東京まで1時間かけて通勤もしていましたね。こうした私自身の経験から、盲ろう者であっても本人の努力と周囲のサポートがあれば、できることがたくさんあると感じています。そのことを盲ろう者やその家族、そして盲ろう者のことを知らない人にも伝えたいんです」
資金不足の解消によって、新たな盲ろう者支援へと踏み出す
千葉盲ろう者友の会は、2021年度に社会福祉法人全国盲ろう者協会(資金分配団体)によって、「盲ろう者の地域団体の創業支援事業」の実行団体として採択され、その資金を活用して盲ろう者向け同行援護事業をスタート。盲ろう者の同行援護事業とは、盲ろう者の外出時における移動やコミュニケーションの支援を指します。

奥村由貴子さん(以下、奥村)「以前から同行援護事業に興味はあったのですが、資金が十分ではなく、現実的ではありませんでした。ですが、2018年に全国で、盲ろう者向けの同行援護事業が始まり、機運が高まったことで、私たちの会でもやってみたいという思いが高まりました。また、そもそも私たちの活動全般において、資金不足は長年の課題でした。予算に限りがあるために、通訳・介助者を思うように派遣できないというケースも。そこで、助成金を得ることができれば、同行援護事業にチャレンジできるのと同時に、会を運営する費用もまかなえるのではないかと考えたんです」
早速準備会を立ち上げ、実現のために動き出した友の会メンバー。まずは、同行援護事業のサービス提供責任者の資格を取得。これまでの盲ろう者向け通訳・介助員の皆さんに声をかけて、同行援護従業者のための研修会なども行い、人員を確保しました。その後、実行団体として無事に採択され、晴れて2023年1月に「同行援護事業所かがやき」を開所することができました。
秦綾子さん(以下、秦):「全国盲ろう者協会の方々には、書類の作成など、事務的な面でさまざまな相談に乗ってもらいました。経理のこともふくめて、基礎的なことから専門的なことまで、迷ったら相談できる存在がある点は、本当に助かりました」
助成金の用途としては、「同行援護事業所かがやき」の開所だけではなく、同行援護従業者の養成研修会をはじめとした人材育成、友の会のさまざまな活動について発信するホームページの制作などにも活用。さらに、盲ろう者の掘り起こしや社会啓発活動もさらに拡大していきました。今までも各市町村役場訪問や地域の福祉イベントなどには積極的に参加していましたが、千葉県は広いため、資金不足でなかなか訪問しづらい市町村もありました。それが解消されたことで範囲を広げることができました。2024年度中には千葉県内すべての市町村役場に足を運ぶことができる見込みです。
田中幾子さん(以下、田中):「市町村を直接訪問することは、私たちにとって大切な活動だと感じています。そもそも市町村では、管轄内の盲ろう者の数を正確に把握していないことがほとんどでした。なぜかというと、視覚障害者や聴覚障害者であれば、それぞれ視覚障害者手帳・聴覚障害者手帳を発行するので、その手続きを通じて人数を把握することができるのですが、両方の手帳を持っている人については、確認をしていなかったからです。今回、盲ろう者の数の把握や社会啓発活動のための訪問をしたいと、各市町村に事前に伝えてしておくことで、担当者の方が訪問時までに数を調べておいてくださるなどして、より正確な状況を把握することができました」
奥村:「ただ、個人情報のため私たちが行政を通じて対象者と直接つながることはできません。ですから、直接訪問した先の福祉イベントなどでパンフレットなどを配布し、『もしお近くに盲ろう者と思われる方がいたら、NPO法人千葉盲ろう者友の会のことを伝えていただけませんか』とお願いをしています」
時松周子さん(以下、時松):「そうした活動の甲斐があって、今年は新たに1名の盲ろう者の方と繋がることができました。数だけでみるとたった1名とも思えるかもしれませんが、その方には友の会のいろいろな活動に参加していただけるようになり、非常に大きな意義があったと思っています。
また、掘り起こしをしていく中で、国や県の基準からは外れていて、サポートを求めている人がたくさんいることも実感しました。例えば、千葉県の盲ろう者向け派遣事業では、原則として視覚障害者手帳と聴覚障害者手帳、両方を持つ人のみが、支援の対象となっています。でも実際には、どちらか一つの手帳しか持っていなくても、病気や加齢によって少しずつ視覚や聴覚が低下していき、生活に困難を抱えている人もいます。なので、私たちの同行援護事業は、そうした人にも利用してもらえるようにしています」
千葉盲ろう者友の会の活動の大きな特色となっているのは、こうした「支援を必要とする人のところに、可能な限り支援の手を伸ばす」という姿勢。盲ろう者といっても、その状況はさまざまです。大きく分けるだけでも、まったく見えず聞こえない「全盲ろう」、全く見えないが少し聞こえる「全盲難聴」、少し見えるが聞こえない「弱視ろう」、少し見えて少し聞こえる「弱視難聴」の4つのタイプがあり、それぞれの障害が生まれつきのものなのか、成年になってから徐々に進行したものなのかによっても、必要なサポートは異なるでしょう。そのため、同会では、公のルールにおける「盲ろう者」に限らず、視覚・聴覚が不自由な人を探し、何に困っているかを聞き、一人一人に寄り添った支援を提供しているのです。

盲ろうという障害がある人もない人も、共に生きる社会を実現したい
最後に、事務局の皆さんに、今後、どのような活動をしていきたいかを伺いました。盲ろう者といっても、障害の程度や状況もさまざまで、コミュニケーション方法も多様であり、だからこそ通訳・介助員といった支援者の育成が難しいという課題があるそうです。それでも、そうした課題を一つ一つ乗り越えて、盲ろう者にとってもっと社会参加がしやすい方向に進めていきたいとお話しくださいました。
加藤さんにも今後の活動や、その先にどのような社会を望んでいるのかを伺いました。
加藤「盲ろう者が社会から取り残されないような活動を目指していきたいですね。盲ろうという障害がある人とない人の間にあるバリアがなくなり、共に生きる社会を実現していきたいと思っています。そのためには、例えば情報機器の発達なども大きな力になると思います。盲ろう者の視覚や聴覚の代わりとなるような機器がどんどん発達していってほしいと思います。盲ろう者は障害によって一般的な会社で働くことが難しいという現状があります。ですが、これからは障害者だから福祉作業所という一択ではなく、もっと普通に働き、自分で稼ぎ、そのお金で旅行をしたりスポーツをしたり、芸術を楽しんだりできる社会になってほしい。人間らしく生きることができる社会ですね。私たちの会ができることは小さなことかもしれませんが、その小さな力を集めることで、大きなことが実現できると信じています」
【事業基礎情報】
実行団体 | NPO法人 千葉盲ろう者友の会 |
事業名 | 盲ろう者の地域団体の創業支援事業 |
活動対象地域 | 千葉県内 |
資金分配団体 | 社会福祉法人 全国盲ろう者協会 |
採択助成事業 | 2021年度通常枠 |
中間支援組織として愛知県で活動するNPO法人ボランタリーネイバーズ。同団体は設立より20年間、地域をより良くするために奔走するNPO法人や市民団体の活動を支援してきました。漠然とした不安や課題に多くの活動団体が悩まされた未曾有のコロナ禍。そんな中ボランタリーネイバーズが2020年度緊急支援枠の実行団体(資金分配団体:READYFOR株式会社 )として実施したのは、活動団体の課題を言語化する勉強会の開催や、専門家や県外の中間支援組織と協働したチーム型の伴走支援でした。一体どんな取り組みだったのか? 理事長の中尾さゆりさん、理事・事務局長の遠山涼子さんにお話を伺いました。
“地域の活動団体”の課題を発見し、共有知を深める会を開催
「もっとこうなったらいいのに」という思いで地域のために活動する。そんな「ボランタリー(自発的)な市民の行動が身を結ぶ社会にしよう!」というミッションを掲げるNPO法人ボランタリーネイバーズ(以下、ボランタリーネイバーズ)。
2001年に愛知県で法人化した同団体は、NPO法人をはじめとする公益活動を行う人たちが活動しやすい土壌を耕してきました。

設立当初からNPO法人の設立や運営、まちづくりに関する相談や、助成金申請、組織基盤強化のための伴走支援、近年では活動の承継にかかわる個別支援など、活動者の個別ニーズに応じて相談対応していたボランタリーネイバーズ。コロナ禍になり個別相談の件数は急増するかと思いきや、対面での交流が激減したこともありほぼゼロに。その代わりに、別のニーズが見えてきたと言います。
中尾さゆりさん(以下、中尾)「未曾有のコロナ禍では、漠然と『困ってはいるけど、何が課題なのか、何をどう相談したらいいのか』と、自分たちの悩みを言語化するのが難しかったようです。だから『個別相談に来てくださいね』と呼びかけてもピンとこない。そこで、『〇〇をテーマに活動者同士で話してみませんか?』というセミナー+相談会の場を設けようと。他の人の話を聞く中で『自分が気にかかっていた問題はこれだったんだ』と課題を再認識する機会になればと思ったんです」

また、2021年3〜4月にかけて愛知県内の活動団体に実施したアンケート調査の結果も、テーマ型の相談会を企画する契機になりました。「コロナ禍で影響を受けましたか?」という設問に「受けた」と回答した団体のうち5つを対象に、コロナ禍発生当初からの活動の変遷についてヒアリングを実施しました。
遠山涼子さん(以下、遠山)「各支援団体が苦しい状況下でも、ITに詳しい身近な人材を頼って事業のオンライン化を進めるなど、試行錯誤をしながら活動を継続・発展させていました。不確実性の高いコロナ禍では、各団体が独自で工夫を続けるだけでなく、それらの工夫を共有した方が活動団体全体の底上げにつながるはず。だから複数の団体や専門家が集まり、各々の悩みを共有できる場を今こそ作るべきだと考えました」

他団体の事例から課題改善のヒントを見出す
2020年11月〜翌年10月までの事業期間のうち、オンラインで開催された相談会に参加した人数はのべ120人。「ビジネスコミュニケーションツールを活動継続に活かすには」「コロナ禍での労務問題の対応」「SNSの上手な活用方法」など、多様なテーマが設けられました。
テーマによって参加団体の分野もさまざまでしたが、総じて「市民活動センター」など中間支援の立場の方が積極的に参加していたと、二人は振り返ります。
中尾「愛知県は多くの市町村ごとに市民活動センターがあり、盛んに活動をしています。ところが、そのほとんどがコロナ禍で閉館を余儀なくされ『今、自分たちに何ができるのだろうか……』と悩んでいる様子でした。そうした方々がテーマ型の相談会で他の市町村の事例を聞いて再開のきっかけ探ったり、判断基準を参考にしたり、考える機会になっていたのかなと思います」
遠山「例えば、『介護施設でコロナ陽性者が発生したとき、どういう対応をすべきか』というテーマで話をする回があったのですが、関連情報が錯綜する中、自分たちで調べるだけでは『陽性者が出たら実際どうなるの?』のような疑問に答えが出なかった。それが、実際にコロナ陽性者が出た施設の方の事例を聞くことによって、今ある資源を活用して『うちだったらこんなことができそうだ』と対策や改善の糸口を掴んでいる様子でした」
実際、開催後のアンケートにて参加者からは「何から手をつけるべきか分からなかったが、まずは取り組むべきことが見え、一歩前進するきっかけになった」と前向きな回答が見受けられたと言います。
喜ばしいことに、相談会だけで終わらせず「この学びを他の人たちにも共有したい」という声をかけてもらったこともあったそうです。
中尾「最後にテーマ型の相談会の取り組みをまとめた報告書を作り、事例集として周りの関係者に配布した後に『市民活動センターのスタッフにも共有し、事例を学ぶことで相談対応に役立てたい』という声が寄せられました。支援センターの相談窓口は、経験や知識の差から代表クラスの方が一手に引き受けることが多くなりがちだと思います。ただ、他のスタッフもコロナ禍での事例を学べれば、支援先の困りごとを聞いて、類似の事例に関する情報をすぐに提供できる。団体と市民活動センタースタッフが共に育つ理想的なあり方だと思いました」
県を跨いだ連携により、支援策の幅が拡大
ボランタリーネイバーズの工夫は、相談会の実施だけに留まりません。東海地域で活動する団体が等しく機会を得られるよう岐阜県、三重県の中間支援組織であるNPO法人とつながり、月1でのミーティングを開催。それぞれの支援の経過や実績から得た学びを共有し合い、意見交換をしながら中間支援組織としてのナレッジを蓄積していきました。
ただ単に学び合うだけでなく、他県の事例を自分達の地域に応用できないか検討する議論を行ったり、会を重ねることでお互いの資源を必要な時に共有できる関係が構築できていた、と遠山さんは語ります。
遠山「例えば、三重県の個別支援の事例では、『コロナ禍で対面での販売機会を失った障がい福祉分野の事業所が、販売数をどう回復していくか』をテーマに情報共有会を実施。販売ルートの開拓はNPOに限らず一般の企業の仕組みを活かせる部分もあるという意見をもとに、愛知県の中小企業診断士・販売士をつなぐことで、専門家も交えた視点から意見交換の場を設けることができました」
「行政の政策の差」も県を跨いで話すからこそ見えたこと。他県の行政の対応を比較することで、行政への提言の方向性も含め「行政との関わり方の糸口が見えてきた」と言います。
中尾「毎月話し合う中で、県ごとのコロナ施策には違いがあり、NPOや地域の活動団体に対する政策も異なることを感じました。例えば、コロナ禍当初、岐阜県ではNPOが利用できる助成制度はありませんでしたが、県のNPOセンターが働きかけて使えるようになりました。また、三重県では早い段階でNPO向けの助成制度が用意され、活動を止めないような後押しがなされていました。こうした例から、「岐阜県のNPOセンターはどのように行政にかけあったのか」、「三重県はNPO向けの助成制度の財源をどこから捻出したのか」と話し合いを進め、自分たちの県では行政とどう連携していくべきかのヒントを見出せました」
休眠預金を活用する良さとは?
一般的に中間支援組織は行政と地域の間にいる影の立役者という性質上、助成金を受けづらいと言われることもしばしば。そんな中で、ボランタリーネイバーズが休眠預金活用事業に採択された背景裏にはどんな工夫があったのでしょうか?
中尾「『中間支援組織として助成金を受ける』というよりも、『その時々の社会のテーマやトピックに私たちがどう関与していけば、社会を良くできるか』という観点から応募するようにしています」
そもそも、休眠預金活用事業に申請した理由の一つは、他の助成金に比べて融通が効く点だったと話すのは、遠山さん。
遠山「助成金の中には『人件費は対象外』とするなど、経費の使い方に制約が大きいものもありますが、その点、休眠預金活用事業は経費使途に関して事業に必要な経費は認められるため柔軟だなと感じました。コロナ禍は特に不確実な要素も多かったので、調整コストがより多くかかります。そうした点でも比較的活用の幅がある助成金だなと思いました」
何より、資金分配団体であるREADYFOR株式会社が、事業期間中はペースメーカーになって伴走支援してくれたことが心強かったと話してくれました。
中尾「月1回の面談で話をする中で、自分たちはまだまだだと感じることがありましたが、READYFORさんが私たちの取り組みから見えてきた強みをフィードバックしてくださったので、活動のモチベーションを高めることができ、非常に助かりました。また、月次面談が先に進んでいる方の事例や、JANPIAへの報告を終えた方のお話を聞く機会を作っていただいたことも、大変参考になり良かったですね」
支援者も完璧じゃない。だから協働が大切になる
「支援者」と呼ばれる人たちも、自分たちだけで解決できないことがあれば、無理をせず信頼できる人たちの力を借りることも大切です。
中尾「“支援者”と呼ばれる人たちも100%何でもできるわけではありません。今回、岐阜や三重の団体と定期的に連絡を取って事業を進めるうちに、『自分のところで受けた案件でも、苦手な分野に関しては他者の声を聞くことがすごく大事』だと改めて実感したんです。それが結果的に支援先のためにもなると。
直接『〇〇を支援してください』と相談に来られた場合でも、話を聞くと違うアプローチにたどり着いた、なんてことも少なくありません。そうしたときには、そのアプローチに関して得意な人に繋げて支援先の真の課題を把握し、多様な繋がりを作ることで支援者自身もレベルアップすることが大切なんだと思います」
積極的に協働しようとするボランタリーネイバーズの影響もあってか、周囲にも「無理に自分たちだけで解決しようとせず、適切な相手に協力を求める」機会が増えてきました。
遠山「信頼のネットワークが構築され、活動者側も一歩前に進むためのルートや関係性ができたことは良かったと思います」

専門家や県外のNPO法人とも連携したチーム型の伴走支援は、行政の注目も得られた、と話す中尾さん。2022年度には名古屋市の事業として、チーム型での伴走支援事業の予算が設けられ、9団体を支援しました。
未曾有のコロナ禍だからこそ気づけた視点を味方に、ボランタリーネイバーズはこれからも活動者・支援者がともに一歩を踏み出しやすい社会を築いていきます。
中尾「コロナ禍でどう伴走支援をしていくのか。ひとつの形をやって見せられたことで、行政との新しい協働関係にも発展していきました。これからも県境にとらわれず、幅広い人たちや団体とつながり、お互いに連携することで、自発的なまちづくり活動をすすめてしていきたいと思います」
事業基礎情報
実行団体 | 特定非営利活動法人ボランタリーネイバーズ |
事業名 | Withコロナ時代の社会参加と雇用継続 |
活動対象地域 | 愛知県、岐阜県、三重県 |
資金分配団体 | READYFOR株式会社 |
採択助成事業 | 2020年度コロナ枠 |
今回の活動スナップは、休眠預金活用事業が取り上げられた論文「コロナ禍におけるキャッシュ・フォー・ワーク」が、2022年度 地域安全学会技術賞を受賞した際の授賞式の様子をお伝えします。
活動の概要
一般財団法人 リープ共創基金は、休眠預金活用事業(新型コロナウイルス対応緊急支援助成)の資金分配団体として、「キャッシュ・フォー・ワーク」(※1)の手法を用い、2020年度より「地域課題の解決を目指した中間的就労支援事業」、2021年度より「コロナ後社会の働き方づくりのための助成」に取り組んでいます。
その2つの事業の概要と成果がまとめられた論文、「コロナ禍におけるキャッシュ・フォー・ワーク」が、この度、地域安全学会の2022年度 技術賞(「キャッシュ・フォー・ワーク:災害レジリエンスを高める社会技術」)を受賞しました。
コロナ禍におけるキャッシュ・フォー・ワーク|地域安全学会梗概集 No.50, 2022.5
※1「キャッシュ・フォー・ワーク」(Cash for Work)とは、災害復旧・復興事業に被災者を雇用し、賃金を支払うことによって、被災者の自立を促すと同時に、よりよい災害対応や復興を促進する手法のこと。(地域安全学会梗概集(NO.50、2022.5)「1.キャシュ・フォー・ワークとは何か」より引用)。
震災・復興時に実践された手法として、永松 伸吾教授(関西大学・防災科学技術研究所)が提唱。
活動スナップ
2023年5月27日、神奈川大学 みなとみらいキャンパスにて、論文の表彰式が行われました。地域安全学会 村尾 修会長より、永松 伸吾教授(関西大学・防災科学技術研究所)、加藤 徹生 代表理事(リープ共創基金)、竹之下倫志 プログラム・オフィサー(JANPIA)に対し、表彰状と記念品が手渡されました。
※共同受賞者は、永松 伸吾教授のほか、加藤 徹生・新宅 圭峰・細田 幸恵(リープ共創基金)、竹之下倫志(JANPIA)の4名です。

△左から 村尾会長(地域安全学会)、加藤代表理事(リープ共創基金)、永松教授(関西大学・防災科学技術研究所)、竹之下 プログラム・オフィサー(JANPIA)と、同席した鈴木 均 シニア・プロジェクト・コーディネーター(JANPIA)

授与式終了後、永松教授による基調講演が行われました。講演では、リープ共創基金が実施した休眠預金活用事業の実行団体として、延べ24団体が採択され、コロナ禍で発生した64件の地域課題解決の試みが行われたことや、421人の若者の雇用が生まれたことなど、事業の成果が紹介されました。 永松教授からは、「今回の受賞は大変励みになる」として、JANPIAをはじめ、プロジェクトに携わった方々への感謝の意が述べられました。
■事業基礎情報【1】
資金分配団体 | 一般財団法人 リープ共創基金 |
事業名 | 地域課題の解決を目指した中間的就労支援事業〈2020年度緊急支援枠〉 |
活動対象地域 | 全国 |
実行団体 | ・特定非営利活動法人 北海道エンブリッジ ・認定特定非営利活動法人 Switch ・特定非営利活動法人 農スクール ・認定特定非営利活動法人 コロンブスアカデミー ・特定非営利活動法人 G-net ・一般社団法人 サステイナブル・サポート ・一般社団法人 フミダス ・特定非営利活動法人 LAMP ・株式会社キズキ ・一般社団法人 グラミン日本 ・特定非営利活動法人 全国福祉理美容師養成協会 ・特定非営利活動法人 学生人材バンク ・一般社団法人 YOU MAKE IT |
■事業基礎情報【2】
資金分配団体 | 一般財団法人 リープ共創基金 |
事業名 | コロナ後社会の働き方づくりのための助成〈2021年度緊急支援枠〉 |
活動対象地域 | 全国 |
実行団体 | ・特定非営利活動法人 学生人材バンク ・一般社団法人 ステップフォワード ・特定非営利活動法人 WELgee ・特定非営利活動法人 全国福祉理美容師養成協会 ・特定非営利活動法人 なんとかなる ・ディースタンダード株式会社/特定非営利活動法人 み・らいず2 ・一般社団法人 グラミン日本/特定非営利活動法人 北海道エンブリッジ ・特定非営利活動法人 どりぃむスイッチ ・認定特定非営利活動法人 キドックス ・特定非営利活動法人 G-net |
今回の活動スナップは、株式会社よしもとラフ&ピース(資金分配団体:公益財団法人 九州経済調査協会)。BSよしもとで放映された『島ぜんぶでうむさんラブ「沖縄をソーシャルビジネスアイランドに!」』の動画が5本公開されましたので紹介します!
活動の概要
沖縄県41 市町村におけるソーシャルビジネスの起業支援・普及啓発を目的としたインキュベーション事業。那覇市に開設するインキュベーションセンターを拠点に、県内41 市町村でソーシャルビジネスの講習ワークショップ「出張インキュベーション(起業支援)」を実施。同時に、 2021 年12 月開局予定のBS 放送局「よしもとBS チャンネル」と連動し、支援対象ビジネスを同局にて番組化することで、事業を展開するモデルを生み出す。
活動スナップ
第1回
ソーシャルビジネスって何だろう?
「沖縄をソーシャルビジネスアイランドに!」をコンセプトに沖縄県内でソーシャルビジネスの普及活動を行っている『島ぜんぶでうむさんラブ』の取り組みを、番組ナビゲーターのハイビスカスパーティーちあきが紹介します!
ソーシャルビジネスとはどういうものか?を九州大学の教授であり、一般社団法人ユヌスジャパン代表理事の岡田昌治先生に教えていただきました!
※YouTubeの概要より転載
第2回
4月に行われた『島ラブ祭』の様子をお届けします。
前回に引き続きムハマド・ユヌス博士よりメッセージも頂きました!
※YouTubeの概要より転載
第3回
#3では、地元沖縄で長年人材育成に取り組み、今回の事業でもソーシャルビジネスの創出に共に活動している、株式会社うむさんラボの比屋根隆さんにお話をお聞きしています。また、島ラブアカデミー参加者のそれぞれの想いもお伝えしています。
第4回
#4からは島ラブ祭2022で発表されたそれぞれの事業を紹介します。今回は沖縄住みます芸人のありんくりんの比嘉竜太さんが登場しています。小学生を対象とした「漫才ワークショップ」を通して伝えたい想いとは?
第5回
さし草の魅力を発信しているさし草屋さんの活動を紹介します!
※YouTubeの概要より転載
休眠預金活用事業として実施されている「甲信地域支援と地域資源連携事業」。資金分配団体である「認定NPO法人 富士山クラブ」「公益財団法人長野県みらい基金」のコンソーシアムと、山梨県・長野県で子どもや若者たちを含む、困り事を抱えた人々が自ら課題解決できる力を持てる環境づくりに挑む5つの実行団体でこの事業を進めています。山梨県域で活動している3つの実行団体に、資金分配団体のプログラムオフィサー(以下、PO)とJANPIAのPOが視察もかねて訪問した様子を、レポートします。
NPO×自分の生業でゼロからイチを生む!〈河原部社〉
はじめの訪問先は山梨県韮崎市で活動する「NPO法人河原部社」。
河原部社は「やって、みせる」というポリシーのもと2016年に活動をスタートさせました。団体メンバーの平均年齢は30歳。代表理事を務める西田遥さんを中心に、地域おこし協力隊として参加するメンバーを加え、地元の有志8名で韮崎市を盛り上げようと取り組んでいます。

設立当時からビジネスとして「収益をきちんと得られる仕組みづくり」を視野に、「NPO×自分の生業」という働き方のスタンスを保ちながら活動。参加する若者たちがそれぞれのスキルを持ち寄り、活かしながら、社会に対して面白いことを仕掛けていこうと考えています。
既に行政の委託事業として、いくつかの実績を持つ河原部社。JR韮崎駅前にある青少年育成プラザ「Miacis(ミアキス)」の運営は5年目を迎え、立ち上げ当時から利用していた中高生が同社に入社したり、また韮崎市役所に就職したりするなど、後進の育成にも成功。同時にローカルメディア「にらレバ」を運営し、若者向けに地元に特化した情報を発信することで、就職や結婚なども含め、今後の人生の選択肢に「地元」を入れてもらえるようにと継続的に取り組んでいます。
「街のために何かチャレンジしたいという、僕らと同世代の若者がとても多いんです。若者のチャレンジをぜひ現実化したい、さらに自立できるようにビジネスとしても確立させてほしい。そこでまずは私たち自身の団体の組織基盤を強化するために休眠預金活用事業に申請させていただきました。」そう話す西田さん。

彼らが休眠預金活用事業として取り組むのは、「ニラサキサラニ 実践型若者プレイヤーズ育成プロジェクト」。
廃業をしたガソリンスタンドを拠点とし、「ゼロからイチを生み出す経験ができる場づくり」を目標にしています。「プレイヤー」と呼ばれる賛同者と共に活動をはじめるために、現在は本プロジェクトの一つとして「WORKSPACE TUM」の立ち上げと、これらに付随したイベントの企画を急ピッチで進めています。今後はSNSなどを利用し、オンラインでも参加者(TUM MATE)を増やす予定だと本プロジェクトのリーダー・本田美月さんはいいます。


「TUMという名前には、経験や知識を積む場所、そして掛け算を意味する積から『アイデアが掛け合わさる場所』という意味を込めています。TUM MATEの皆さんと共に、さまざまな職域の方達との交流を経て、社会に対する思いを実現へと導くコミュニティを運営していく予定です。」

今回の訪問では、資金分配団体とJANPIAのPOと共に活動進捗を話しながら、どのように収益を上げるかで終わらず、一つ先の視点を継続して持ち、さらにこのプロジェクトを通じて力をつけてソーシャルビジネスなどへのステップアップを目指していくことを改めて共有できた皆さん。何もないところからスタートアップして、大きな団体として行政も巻き込み活動していくというサクセスストリーを描き、「韮崎モデル」として他県域にも広がることを願っています。
「社会的処方+学習支援」で地域課題に挑む〈ボンドプレイス〉

次に訪れたのは、同県南アルプス市の古民家を活動の拠点とするNPO法人bond place(ボンドプレイス)。「接着剤のボンド」と「場所を意味するプレイス」という意味を持つ同団体。現在、行政からの委託事業の一つとして南アルプス市、山梨市と辛い思いを抱えた子どもや若者たちに向けた「居場所づくりの事業」を中心に、孤独や孤立といった問題を抱える人に対してどのようなアプローチができるかを検討し、学習支援や子ども食堂などの利用を促す取り組みをおこなっています。そんな彼らが活動を通じて体感しているのは、こうした支援活動が各市町村単位での対応であること、また福祉など特定の分野に限られた課題設定となりがちであることでした。

「これまで公的な支援においてキャッチできなかった人や物事も多くあります。私たちは、いろいろなセーフティネットに助けられる機会を「学習支援」という入口から取り組んでいこうと考えました。個々が強くなるためではなく、その人たちの環境自体が変わっていくことに対してのアプローチを重要視し、山梨県から社会や環境を変えていきたい。そこで辿り着いたのが『社会的処方』というテーマでした」
そう話すのは理事を務める芦澤郁哉さん。「社会的処方」とは医療機関の取り組みの一つで、薬などの処方だけでなく、社会的な繋がりも処方するというもの。例えば、郵便局に隣接した場所で年金受給日に看護師さんが高齢者の健康相談に乗ったり、地域の資源を最大限に活用して、悩みを抱える人々と触れ合うことなどが挙げられます。こうした考えを実社会に置き換え、1つの分野だけでは解決し難い社会課題においてファシリテーターという役割を担い、「学び」という部分からさまざまな領域の人々を繋ぎ、地域の困りごとを解決する。法的な窓口ばかりに頼るのではなく、自分達から困っている人に出会いに行こうというのが今回の事業、「社会的処方を目指した生態系構築モデル」です。休眠預金を活用し、委託事業としてではなく、自主的な事業として確立できるようチャレンジすることになりました。

2020年度にスタートした「社会的処方の学校」の講座では、分野を問わず参加者自身が自然と行動に移せる仲間づくりを目指し、3〜4人のチームに分かれて課題に取り組んできました。。相手の困りごとをこちら側が勝手に判断をしないことを念頭に、悩みを持つ本人との関係性を深め、向き合い方を捉え直して解決へと導く。さらに「(人が)力を持てる地域、環境づくり」を目指し、対象者が自らの力で歩き出せる環境を作るためにできることを考え、実践へと落とし込んでいく流れです。
同時に社会的処方を実践する上で、当事者に必要な人、物事、環境などを繋ぐ役割「リンクワーカー」の育成を目指します。
開講以来、全5回の講座を終えた今、同様の意味合いを持ちながらも異なる表現ですれ違いを起こしていた事柄も丁寧に言葉を紡ぐことで、専門領域を超え新たな視点からサポートを実現するという強い意識が芽生えているそうです。問題意識を持ちながら、今ある行政制度を底上げする。より良い効果が出る道の模索が続いています。

本プロジェクトのゴールである3年後を目指し、今後はより視点を広げた環境づくりに取り組み、純粋に社会的処方という考えや、リンクワーカーとして担うべきことを定義づけることに注力していくとのこと。課題解決に向けて、幅広い世代のスタッフと分野を超えた参加者の皆さんが力強く歩みを進めている様子が印象的でした。
リユースお弁当箱で子育てママの孤立を救おう!〈スペースふう〉
最後は、子育て中のママさんたちを「食」を通じて応援する認定NPO法人スペースふうを訪れました。1999年に小さなリサイクルショップをオープンさせ、以来、南巨摩郡富士川町を拠点に地域活性や女性の自立支援などを中心に活動をしています。これまでの活動はもちろん、昨今の取り組みの中でスペースふうのメンバーが強く感じ取っていたのは、やはり「孤独」、「孤立」という問題。それらは、コロナ禍を受けて加速傾向にあります。自分が本当に必要とされているのか…、そんな不安を払拭しつつ、自分を大切にできる場所づくりにチャレンジすることにしました。そこで誕生したのが、休眠預金を活用した「リユースお弁当箱がつなぐ地域デザイン事業」です。産後のママさんをはじめ、子育て家庭に向けて「hottos(ホットス)プロジェクト」を立ち上げ、リユース食器などを使用した宅配お弁当サービスをスタートさせました。

特筆すべきは、リユースのお弁当箱(食器類)のメンテナンス、そしてお弁当を包む可愛らしい手ぬぐいをはじめ、hottosのロゴ、LINEの運用など、活動の中枢を子育て中のママさんたちが担っていること。長時間の労働が難しいママさんたちに、それぞれの強みを活かした新しい仕事、居場所を提供することで社会との繋がりや会話が生まれているのだそうです。

事務局の長池伸子さんはいいます。 「活動するための準備や特別な知識がない状態でも、社会課題と向き合うチャンスと思いを受け入れ、実践しながら活動に取り組めるのは休眠預金だからこそ。担当POのアドバイスを受けながら、近隣県域のNPO仲間等とも連携して一緒にゴールを目指せる環境が活動の支えになっています。 これからも誰に頼れば良いか分からないなど、気持ちや環境に余裕がない人をそっと見守る存在として、いい意味で新しい形のお節介をしていきたいですね」
美味しいと評判のお弁当は、南アルプス市で活動する「Public House モモ」によるもの。注文は予約制で、祝日を除く毎週木曜日と金曜日にスタッフが手渡しでお届けしています。利用費用は、なんと一食100円。各種アレルギーなどにも対応し、肉や野菜など、種類豊富で彩りも豊かなおかず類は食べるのはもちろん、見た目にも楽しい気持ちになります。現在の利用者は富士川町に住む11名の新米ママさんや子育て家庭。まだまだ少数ではあるものの、「産後の大変な時に本当に助かったし、優しい言葉もかけてもらえてホッとした」といった声が届いています。連絡手段には、利用者世代のママさんが使いやすいLINEを導入し、繋がりやすさも工夫。利用者さんからの口コミで広がることの重要性を体感しているそうです。


現在は子育て世代を中心としているものの、今後はその枠を広げ、お弁当を通じたコミュニケーションから子どもたちや若者が社会課題を解決する力を持てる地域づくり、さらには次世代への橋渡しにも挑みたいという長池さん。本プロジェクトを遂行する上で、こうした活動の過程を開示しながら持続可能な組織として自立し、新たなビジネスモデルとしての確立が目下の課題であることを改めて担当POとの対話で再確認しました。
キーワードは「お弁当を開けた時のホッとする瞬間」。「孤独」や「孤立」から多くの人を見守る事業モデルに今後も注目していきたいと思います。
【事業基礎情報】
資金分配団体 | 認定特定非営利活動法人 富士山クラブコンソーシアム構成団体:公益財団法人長野県みらい基金 |
助成事業 | 甲信地域支援と地域資源連携事業 ~こども若者が自ら課題を解決する力を持てる地域づくり事業~ |
活動対象地域 | 甲信地域(山梨県・長野県) |
実行団体 | ★特定非営利活動法人 河原部社 ★特定非営利活動法人 bond place ★認定特定非営利活動法人 スペースふう 特定非営利活動法人 こどもの未来をかんがえる会 一般社団法人 信州上田里山文化推進協会(旧:杜の風舎) ★印の団体が今回の訪問先です。 |
https://youtu.be/MgpL5cfJQuU
https://youtu.be/D3iYli3fryQ
https://youtu.be/xuWh0PGJwG0
https://youtu.be/QdI2xAGTF28
https://youtu.be/NZkSyVRFzMs
https://youtu.be/nG7_1aYNxtE
https://youtu.be/P_xF_0FHOEY
https://youtu.be/TfMu06OPhgo
https://youtu.be/-cD7yX6cr_8
https://youtu.be/t67mn-Z_od4
https://youtu.be/2CWXOo-NTCI
https://youtu.be/3cJcU6JrVtc
https://youtu.be/DtDrq8onets
https://youtu.be/IskasYXdo4U
https://youtu.be/iJS77RimQfE
https://youtu.be/QAQCwKrtBG0
https://youtu.be/hilch1u2ntI
https://youtu.be/wVLxAUN221M
https://youtu.be/Zqi0ZatKAVY
https://youtu.be/Dowdasi4ORM
https://youtu.be/rp710OEBRSA
https://youtu.be/BCzJKHP5H2Q
https://youtu.be/EuIxRJUw5Ms
https://youtu.be/p7xFxTVvscc
https://youtu.be/p4XjqNGo3TQ
https://youtu.be/BBikeftb2qI