【事後評価】新たな災害における復興の担い手育成事業|RCF[21年度通常枠]

事業完了にあたり、成果の取りまとめるために実施されるのが「事後評価」です。事後評価は、事業の結果を総括するとともに、取り組みを通じて得られた学びを今後に生かせるよう、提言や知見・教訓を整理するために行われます。今回は、2025年3月末に事業完了した2021年度通常枠【新たな災害における復興の担い手育成事業|RCF[21年度通常枠]】の事後評価報告書をご紹介します。ぜひご覧ください。

事業概要等

事業概要などは、以下のページからご覧ください。


事後評価報告

事後評価報告書は、以下の外部リンクからご覧ください。

・資金分配団体

・実行団体  


【事業基礎情報】

資金分配団一般社団法人 RCF
事業名新たな災害における復興の担い手育成事業

<2021年度通常枠>
活動対象地域令和4年3月福島県沖地震、令和4年8月3日からの大雨、令和4年台風8号・14号・15号およびそれ以前に発生した大雨、台風、地震等の災害による被災地域(青森県、静岡県、宮崎県)
実行団体・北彩漁業生産組合

・特定非営利活動法人 atamista

・特定非営利活動法人 YNF

2025年7月3日に開催されました公益財団法人 パブリックリソース財団主催『若年⼥性の包括的⽀援の実践から⾒えた持続可能な⽀援モデルとは 〜⽀援の⽷をつむぐ、縦と横が重なる地域へ〜』の動画をご紹介します。
児童養護施設 旭児童ホーム施設長 田中 健 氏による「児童養護施設と居住⽀援団体の連携」、元横浜市社会福祉協議会会⻑・元横浜市副市⻑ 荒木田 百合 氏による「制度だけでは困り事は解決しない 〜⽀援を紡ぐのは地域⼒〜」、パネルディスカッションとして「ライフステージを通じた支援のつながりをどう実現するか」についての動画をご紹介します。

休眠預金活用事業に係るイベント・セミナー等をご案内するページです。今回は、公益財団法人パブリックリソース財団主催「様々な困難を抱えて困窮する女性の経済的自立支援事業『若年女性の包括的支援の実践から見えた、持続可能な支援モデルとは~支援の糸をつむぐ、縦と横が重なる地域へ~』」を紹介します。

様々な困難を抱えて困窮する女性の経済的自立支援事業
「若年女性の包括的支援の実践から見えた、持続可能な支援モデルとは~支援の糸をつむぐ、縦と横が重なる地域へ~」

休眠預金活用事業「様々な困難を抱えて困窮する女性の経済的自立支援事業」に関する行政と民間の協同モデル例や、政策として、または民間として取り組むべき事例について発表いたします。

従前より、女性の非正規雇用比率は、半数を超えており、単身世帯で勤労世帯(20歳~64歳)の女性の約4分の1,65歳以上の女性の約半数が相対的貧困状態にあります。(内閣府ホームページより)さらに、コロナ禍により、不安定な職につく単身女性やシングルマザーが失業や収入減に陥る、虐待やDV被害などを受けている若年女性が家庭に居づらくなり居場所を失うなど、脆弱な環境下にある女性ほど、深刻な経済的困窮状態に陥る悪循環が生じています。

そうした中、パブリックリソース財団では、2022年度休眠預金活用事業「様々な困難で困窮する女性の経済的自立支援事業」に採択され、実行団体(助成先団体)6団体を選定、2023年11月からこの課題解決を目指すため、プロジェクトを実施しています。

「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律(令和6年4月1日施行)」では、公的な女性支援機関と民間団体の協働が謡われていますが、その役割と位置づけについては不透明です。そこで本事業では、緊急期から就労・自立までの切れ目のない包括的な事業を支援することで、行政と民間の協働モデル例を示し、政策としてまた民間として取り組むべき事例を提起します。

今回、以下のとおり、実行団体による活動報告、および分野の専門家をお呼びしてのディスカッションを行う予定です。ぜひ多くの方にご参加いただき、困難な状況にある女性たちの現状を知っていただき、解決に向けての後押しをしていただければ幸いです。

 

【イベント情報】

日時2025年7月3日(木)14:00~16:00
開催形式

オンライン開催(ZOOMウェビナー)※アーカイブ配信有

参加費無料
当日の流れ1. 開催のご挨拶
  公益財団法人パブリックリソース財団
2. 実行団体より活動報告
  坂本 左織 氏(NPO法人さくらんぼ 理事)
 └ 保育・学童・子育て・若者支援を通じて見えてきた「支援のつながり」のかたち
 └ 居住支援・食支援における実践と、途切れがちな部分を支える試み
3. 特別登壇
  田中 健 氏(児童養護施設 旭児童ホーム 施設長) 
 └ 社会的養護を離れる若者たちの現状と支援の必要性
 └ 施設とさくらんぼの連携により生まれた支援の可能性と期待
4. 基調講演
  荒木田 百合 氏(横浜市社会福祉協議会・元会長)
 └ 困窮女性支援における制度の背景と地域課題
 └ 支援を“つむぐ”役割を果たす地域の担い手とは
5. パネルディスカッション 
テーマ「ライフステージを通じた支援のつながりをどう実現するか」
<登壇者>
  ①坂本 左織 氏(NPO法人さくらんぼ 理事)
  ②荒木田 百合 氏(横浜市社会福祉協議会・元会長)
  ③田中 健 氏(児童養護施設 旭児童ホーム 施設長) 
<モデレーター> 
  ・山本 恵子 氏(ジャーナリスト、元NHK解説委員)

※団体情報等の詳細はこちらよりご確認ください
※本会は休眠預金活用事業による助成金によって開催いたします
主催(資金分配団体)公益財団法人パブリックリソース財団
共催(実行団体)NPO法人さくらんぼ
お申込み以下参加申込フォームよりお申し込みください。
https://forms.gle/veQexyMZf4tBLACH8
※申込締め切り:2025年7月2日(水)中
※オンライン参加orアーカイブ配信希望、どちらかにチェックを入れてください。
お問い合わせ公益財団法人パブリックリソース財団
様々な困難で困窮する女性の経済的自立支援事業
事務局:渡邊、小澤
[E-mail]women.kyumin@public.or.jp
[電話]03-5540-6256[FAX]03-5540-1030

 

休眠預金活用事業の成果物として資金分配団体や実行団体で作成された報告書等をご紹介する「成果物レポート」。今回は、資金分配団体 公益財団法人みらいファンド沖縄が発行したレポート『尊厳を守る食支援を多様な連携で支える沖縄を目指して~誰もがフードセーフティーネットにアクセスできる社会とは~』を紹介します。

尊厳を守る食支援を多様な連携で支える沖縄を目指して
~誰もがフードセーフティーネットにアクセスできる社会とは~

この白書は、物価・原油価格の高騰によりコロナ禍よりも生活に余裕のない世帯が増えていることに対し、食支援が必要な世帯がどのくらいあり、地域や行政のサポートの仕組みのあり方などの実態を共有し、これからの沖縄の食支援について一緒に考えるために作りました。

この白書を手に取ったみなさんにとって「食支援」とはどのようなものですか?
または「食べること」とはどのようなものですか?
沖縄に暮らす私たちみんなが食のセーフティーネットに繋がることができ、自立に向けて自ら行動するエネルギーを得られる社会とは、どのような社会なのでしょうか。
2024年7月~25年2月に行った「多様な参画で実現する支援される側の尊厳を守る新たな食支援事業」の実行団体の活動をベースとした報告と、それに基づいた提案をまとめました。
この白書を通して一緒に考え、実現に向けたアクションにつなげたいと考えています。

 

【事業基礎情報】

資金分配団体特定公益財団法人 みらいファンド沖縄
事業名

多様な参画で実現する支援される側の尊厳を守る新たな食支援事業

~グレーゾーンにもリーチし、被支援者から担い手にもなり得る有償型パントリー~
活動対象地域沖縄県
実行団体沖縄アレルギーゆいまーるの会
特定非営利活動法人  フードバンクセカンドハーベスト沖縄
呼吸子ども無料食堂
一般社団法人 まちづくりうらそえ
社会福祉法人 沖縄市社会福祉協議会
一般社団法人 宮古島こどもこそだてワクワク未来会議

休眠預金活用事業に係るイベント・セミナー等をご案内するページです。今回は、特定非営利活動法人ワーカーズコレクティブういず主催「ロジハブ学習会inちば」を紹介します。

ロジハブ学習会inちば

地域食堂、こども食堂、「食」のある居場所、会食会、配食など、地域の食支援活動を応援する寄付食品の流通ネットワークづくりに向けて、県や市町村を越える流通の役割と寄付された食品のトレーサビリティを確保する仕組みを学びます。
ご興味のある方はぜひご参加ください。

 

【イベント情報】

日時2025年6月20日(金)14:00~16:00
開催形式

会場+オンラインでのハイブリッド開催

会場ラコルタ柏2階 多目的研修室1・2

(〒277-0005 千葉県柏市柏5丁目-8-12 教育福祉会館内)【MAP】
定員会場参加は先着40名(オンライン参加も可)
対象◆企業:食品等の寄付、配送・保管の支援、資金的支援ほかの社会貢献に関心のある企業
◆行政:子育て支援、生活支援、地域福祉、まちづくり、食品ロス削減等
◆地域の活動を支援する団体:社協、中間支援組織フードバンク、地域のネットワーク など
参加費参加無料(要申込)
プログラム◆地域の食支援活動を応援する仕組みづくり
 ・(一社)全国食支援活動協力会
◆県域の配送拠点(ロジ拠点)の状況
 ・(特非)ワーカーズコレクティブういず
◆地域の配送拠点(ハブ拠点)からの事例報告―寄付食品の活用と効果、今後の課題など
 ・さくらあったか食堂ネットワーク(佐倉市社会福祉協議会)
 ・印西フードバンクISS
 ・八千代こどもネットワーク
◆自治体と連携した寄付食品の活用
 ・(特非)ワーカーズコレクティブういず、柏市こども福祉課
◆連携企業からの事例報告
 ・(株)伊藤ハム 米久プラント株式会社
 ・(株)信濃運輸株式会社
◆講 評:千葉大学人文科学研究院・教授・清水洋行さん
◆質疑応答・意見交換
◆名刺交換タイム
主催特定非営利活動法人ワーカーズコレクティブういず
共催一般社団法人全国食支援活動協力会
お申込み以下のQRコードよりお申し込みください。
お問い合わせ特定非営利活動法人 ワーカーズコレクティブういず
[携帯]090-2318-8949
[E-mail]withhappy0927@gmail.com

 

フードバンク活動とは、品質には問題がないのに包装の破損や過剰在庫、印字ミスなどで流通に出すことができない食品を企業などが寄贈し、必要としている施設や団体、困窮世帯に無償で提供する取り組みのことです。生活困窮者への支援とともに食品ロス削減にもつながる活動として、ここ数年で注目が高まっています。今回は、2023年度緊急枠に採択された「フードバンクふじさわ等冷凍食品物流・保管機能の強化支援事業」の実行団体「認定NPO法人ぐるーぷ藤」をはじめとする関連団体・組織の方々に集まっていただき、これまでの取り組みや今後の展望について伺いました。

コロナ禍での困窮者支援に立ち上がった、地域福祉の草の根活動メンバーたち

フードバンクふじさわが設立されたのは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、生活困窮者の支援が急務となっていた2021年3月のことです。神奈川県藤沢市内の地域福祉に携わるNPO法人が集う「ふじさわ福祉NPO法人連絡会」では、地域のさまざまな課題を共有しながら支援の方向性が議論されていました。そこで浮き彫りになった喫緊の課題の1つが、ひとり親家庭など孤立しがちな生活困窮者への支援です。その解決策を模索する中で、食品ロスを減らしながら必要な人に食品を届けるフードバンクかながわの取り組みに関心が寄せられ、フードバンクの設立が検討されました。

こうした背景のもと、フードバンクふじさわ設立準備会が発足し、関係者が協力して準備を開始。当時の経緯について、フードバンクふじさわ代表の野副妙子さんに聞きました。

野副妙子さん(以下、野副)「食品支援の必要性について話し合っている時に、フードバンクかながわから『藤沢市にもフードバンクをつくらないか』という声かけがありました。そこで、フードバンクかながわに足繁く通って、現場を見て学び、フードバンクふじさわの構想が固まり始めたころ、折悪しくコロナ禍が始まりました。『状況が落ち着いてから立ち上げよう』という声もありましたが、困難な時期だからこそ『今立ち上げなくてどうする』という、ふじさわ福祉NPO法人連絡会代表の鷲尾さんの提言があり、設立準備を進めました。そして、藤沢市内のさまざまな福祉団体や賛同する市民の方、行政、社協、企業、フードバンクかながわの協力により、フードバンクふじさわを立ち上げることができたのです」

フードバンクふじさわ 代表 野副妙子さん

市民団体と一体となって活動する市や社会福祉協議会

フードバンクふじさわの発足に先駆け、藤沢市社会福祉協議会(以下、社協)は2018年からフードバンクかながわと連携し、支援を必要とする人々に食品の提供を行ってきました。フードバンクふじさわ発足以降は、フードドライブ(家庭で余っている食品を集める仕組み)を通じて集めた食品を、市役所や社協の職員が食品保管・仕分けの拠点へ配送するほか、拠点の借り上げや企業との窓口になるなど、幅広い支援を行っています。

社会福祉法人 藤沢市社会福祉協議会 事務局長・村上尚さん(以下、村上)「フードバンクふじさわは、さまざまな団体・組織が協力する共同体です。比較的珍しいケースだと思いますが、私たち社協もその一員として活動に参加しています。立ち上げ時から社協が加わり、共に活動してきました。『地域をよくしていこう』という共通の目標を見据えることが連携のカギだと思います。

そもそも市の社会福祉協議会という組織は地域福祉を推進する団体。地域の課題に対して、先駆的に柔軟に取り組むことが使命です。制度化された支援では対応しきれない部分をフードバンク活動が補い、市民団体と連携することで、ひとり親家庭などへの個別支援も可能になりました。フードバンク活動はすべてをバックアップできるわけではありませんが、困窮に陥っている方々が一息ついてもらうための支えになります。連携を通し、地域支援のために私たちができることの幅が大きく広がっていると思います」

藤沢市社会福祉協議会 事務局長 村上尚さん

コロナ禍以降も物価高騰の影響で利用者が急増し、ニーズに応えきれない状況に

フードバンクふじさわ設立翌月の4月には、市内3カ所に、食品支援を必要としている方が食品を受け取れる拠点としてフードパントリーを設置し、第1回の食品配布を実施。ひとり親世帯やひとり暮らしの大学生ら(※)に、米やカップ麺、缶詰、飲料などを無償で提供しました。

※ 大学生への提供は2023年10月まで

その後、2022年3月までの1年間でのべ2,195人の利用があり、翌22年度は2,805人と増加。23年度は最初の2カ月で利用者が500人を超えるなど、コロナ禍は落ち着いたものの物価高騰の影響で利用者が大幅に増えていました。しかし、利用者が増加する反面、物価高騰により缶詰やレトルト食品などの常温保存できる食品の寄付は減少しており、ニーズに応えきれない状況に陥っていました。

これは全国のフードバンク共通の課題でもありました。フードバンクかながわは、取り扱う食品を増やすため、神奈川県内に食品倉庫を持つマルハニチロ株式会社に寄付を依頼。その結果、ツナ缶などの常温食品は市場でのニーズが高く余剰がほとんどないものの、冷凍食品は外箱の破損などで廃棄されるものがあり、提供が可能だと回答を受けます。ただ、冷凍食品の寄付を受けるには、品質を保つためのコールドチェーン(冷蔵・冷凍といった所定の温度を維持したまま輸送・保管などの流通プロセスをつなげること)を作り上げることと、寄付した商品がどこに届けられたのかというトレーサビリティを実現することが条件でした。

野副「フードバンクかながわから冷凍食品の取り扱いについて打診があり、そのための準備を行いました。当時は少しだけの取り扱いしかできませんでしたが、冷凍食品は、電子レンジさえあればすぐに食べられるためとても人気がありました」

そんな時、フードバンクかながわが「神奈川県及びその周辺の食支援ネットワーク発展のために〜冷凍食品を活かした支援食品のレベル向上」という事業で、休眠預金活用事業の資金分配団体に採択されたことを知り、フードバンクふじさわも応募を考えましたが、法人格がないことから、一緒に活動を共にしてきた認定NPO法人ぐるーぷ藤を代表団体として申請し、採択されるに至りました。

休眠預金の活用で取り扱い食品量が大幅に増え、子ども食堂にも提供が可能に

フードバンクふじさわは助成金を活用して、冷凍車、冷凍庫、保冷ケースを購入し、コールドチェーンをつくり上げます。また、フードパントリー利用者にも保冷バッグによる持ち帰りを厳守とし、冷凍食品の品質管理を徹底しています。

村上「2024年9月には待望の冷凍車が購入され、冷凍食品の物流倉庫がある神奈川県川崎市の扇島まで直接受け取りにいくことができるようになりました。また、大型の冷凍庫4台も購入され、社協が福祉物流拠点として借り上げている湘南藤沢地方卸売市場の店舗内の一区画に設置しています。実は、冷凍車いっぱいに冷凍食品を積み込むと、ちょうどこの4台の冷凍庫に収まりきるようになっているんです。
集まった食品は、フードパントリー拠点で配布する分や子ども食堂で使ってもらう分へと仕分けします。本格的に冷凍食品を取り扱うことで、フードバンク活動だけでなく子ども食堂にも提供できるほどの量を調達できるようになったのは、本当にありがたいですね」

冷凍食品の保管と輸送体制を強化するため導入された冷凍庫と冷凍車

野副「休眠預金活用事業のおかげで、大きな課題であった利用者の増加に伴う食品ニーズの拡大に応えることができるようになりました。寄付でいただく冷凍食品には業務用のものもあるため、それらは子ども食堂で使っていただいています。冷凍食品は歓迎されていて、特にからあげなどの肉類は子どもたちに大人気です」

認定NPO法人ぐるーぷ藤 理事長・藤井美和さん(以下、藤井)「私たちのフードバンク活動でのおもな支援対象は、ひとり親世帯のため、誰でも簡単に調理ができる冷凍食品はニーズに合っているようです。取り扱い量が増えたことで、親子で好きなものを選んでもらうこともできるようになりました。嬉しそうに保冷バッグを持って帰る姿を見ると、本当にやりがいを感じます。また、冷凍食品はお弁当にも適しているので、子育て中の世帯にはそういった点でも非常に喜んでもらえているようです」

利用者に寄り添う「伴走型」の支援で、新たな窓口への橋渡しも

フードバンクふじさわの活動は、食品の支援にとどまりません。地域の居場所づくりや生活支援コーディネート業務等に携わってきたメンバーも数多く参加していることから、フードパントリーでも訪れた人に積極的に声をかけ、支援が必要な人には適切な窓口への橋渡しなども行っています。また、ひきこもりの当事者をフードバンク活動のボランティアとして受け入れ、その後の就業へと結びつけるなど、ひきこもり支援と連携した活動も展開しています。

藤井「ぐるーぷ藤の理念は『歳をとっても病気になっても障がいがあってもいつまでも自分らしく暮らせる街を創りたい』というもの。お互いさまの気持ちを大切に、地域住民同士の助け合いを目指しています。フードバンク活動においても『伴走型』が基本。相手に寄り添い、食品支援にとどまらないサポートを行っています」

ぐるーぷ藤 理事長 藤井美和さん

村上「フードパントリーに来られる方の中には課題を抱えて困っている方も多くいます。そうした人と顔を合わすことで、社協の相談支援へつなげることができるのです。逆に、私たちが普段相談を受けている方の中で、ひとり親の方などフードバンク活動の対象となる方には、食品配布の紹介をすることもあります。いきなり社協や市の窓口に相談に来るのはハードルが高いと思う方もいると思いますが、フードバンクを通じて自然につながることができるのは、大きな意義があると感じています」


人と人とのつながりを、大切にすることが活動の基本

最後に、フードバンクふじさわの活動を支えるメンバーに、今後に向けた取り組みについて語ってもらいました。

野副「藤沢市の取り組みが、ほかの市にも広がっていくことを願っています。社協と自治体が連携しながら生活困窮者への支援に力を尽くしてくれていることが伝われば、地域の市民団体も一緒にがんばっていこうという気持ちになってくれると思いますから。また、フードバンクふじさわの報告会に、毎年市長をはじめ、社会福祉協議会の会長や、民生委員児童委員協議会の会長、企業の皆さんといった方々が参加してくれます。これが『藤沢型フードバンク』と私たちが称しているゆえんです」

フードバンクふじさわ事務局・小野淑子さん「フードバンクふじさわは、『小さく産んで大きく育てる』の合言葉のもと任意団体としてスタートし丸4年が経ちました。そして2025年4月には一般社団法人化を予定しています。これまで任意団体でありながらも多くの支援をいただいてきましたが、法人化によって、さらに信頼を得ることができ、活動が広がっていくのではないかと期待しています」

藤井「フードバンクふじさわの活動で生まれた人と人とのつながりがこの先も続いていくことを願っています。伴走型の活動によっていろいろな縁があり、ぐるーぷ藤で就労された方もいますし、障害のある方の就労のきっかけにもなっています。食品を提供するだけでなく、人のつながりを広げる場として活動していきたいです」

村上「地域の困窮者を支える方法やしくみづくりは、社会全体で考えていかないといけない問題ですが、すぐに解決できるものはありません。だから、フードバンクの活動はそういう人たちの『今』を支える大切な役割を果たしていると思います。また、フードドライブなど、みんなが地域福祉に関心を持つきっかけにもなってほしいですね。そして、今フードパントリーに来ている子どもたちが、将来『地域のために何かしよう』と思えるような循環が生まれる場であり続けてほしいです」

社会福祉法人 藤沢市社会福祉協議会 事務局参与・倉持泰雄さん「フードバンク活動は、困難を抱えた方を地域社会で支える大切なしくみです。助成金のおかげでコールドチェーンが整いましたが、今後は冷凍車の管理運営など新たな課題に取り組んでいく必要があります。引き続き、地域の支援のために尽力していきたいです」

取材に対応してくださった方々。左からフードバンクかながわの萩原妙子さん、フードバンクふじさわの小野淑子さん・野副妙子さん、ぐるーぷ藤の藤井美和さん、藤沢市社会福祉協議会の倉持泰雄さん・村上尚さん、フードバンクかながわの藤田誠さん
 



■資金分配団体POからのメッセージ

フードバンク活動に対して社会の認知も少しずつ高まってきましたが、まだまだ具体的な活動について知らない団体、企業、行政担当者もいらっしゃいます。具体的にどんな活動ができるのか、1人でも多くの人に知ってほしいですね。また、フードバンク活動は食品ロスの削減にも貢献し、ゴミ処理費用の削減やCO2排出削減にもつながります。ぜひ小さな子どもさんから大人まで、多くの人に関心を持ってもらえたら嬉しいです。

(公益社団法人フードバンクかながわ/事務局長 藤田 誠さん)

フードバンクかながわには多くの冷凍食品が集まる中、私たちだけではなかなか輸送や保管、配布に回しきれない状況となっています。そのため、神奈川県の各自治体に1つはフードバンクが必要となっており、さらにハブとなる拠点を作ることが重要だと考えています。フードバンクふじさわのように活動ができる団体が今後もっと増えていくために、冷凍食品のフードバンク活動の価値を広め、全国で「うちのフードバンクでも冷凍食品を扱いたい」という声が自治体を動かすことを期待しています。

(公益社団法人フードバンクかながわ/理事 萩原妙子さん)

【事業基礎情報】

実行団体
NPO法人ぐるーぷ藤
事業名

フードバンクふじさわ等冷凍食品物流・保管機能の強化支援事業(2023年度緊急枠)

活動対象地域
神奈川県藤沢市
資金分配団体
公益社団法人フードバンクかながわ

採択助成事業

神奈川県及びその周辺の食支援ネットワーク発展のために

休眠預金活用事業の成果物として資金分配団体や実行団体で作成された報告書等をご紹介する「成果物レポート」。今回は、資金分配団体 公益財団法人みらいファンド沖縄が発行したレポート『「認知症と共生する これからの地域づくり白書」わたしが認知症になっても、自分らしく生き続ける社会を目指して』を紹介します。

認知症と共生する これからの地域づくり白書~わたしが認知症になっても、自分らしく生き続ける社会を目指して~

我が国では、65歳以上の10人に約1人が認知症、3人に約1人が認知機能に関わる症状があると推定されています。
この白書は認知症の方々に対して「地域」でできることを、当事者の「外出支援」と「居場所づくり」という視点から調査と実証に取り組んだ5団体とともに作成した報告と提案です。

この事業に至った馴れ初めは、2007年に愛知で起こった、認知症の方が起こしてしまった踏切事故に対して、鉄道会社がその家族に高額賠償請求を起こした訴訟が、メディアをにぎわせていた2016年初頭(同年3月に最高裁が逆転判決無罪に!)のことでした。

この訴訟は、「家族が責任を問われるなら、認知症患者は家に閉じ込めておくしかないということか」という問いを世に投げかけました。

ちょうどそのころ(公財)みらいファンド沖縄に持ち込まれた、自動販売機を通して社会貢献ができないかという相談案件があり、前段の問いへのソリューションとして、自販機の特徴を活かした捜索システムを事業開発しようということで、徘徊時(当時は道迷いを徘徊という言葉を使っていた)に、早期に認知症の方を見つける「ミマモライド」というシステムを開発し、その事業会社を起こすこととなります。ミマモライドが沖縄県宜野湾市に採択され、一定の手応えが出てくる中で、道迷いになってしまう方々の自治体のエリアを超えて見守る必要性から、その広域化と認知症の方々の行ける場所の開発を目論んだ「認知症の方々も安心・安全な外出を担保できるまちづくり事業」を企画し、休眠預金活用事業に採択される運びとなったのです。

公募により、5つの団体を採択し、2022年から事業はスタートします。コロナの余波も色濃く残る時期、事業自体は様々な理由で進捗が遅れ、決して順風満帆といえる足取りとはいえないものでした。これらの固難に対して、事業担当のプログラムオフィサーは奮闘し、課題を共有し、一緒に乗り越える伴走をしてもらったことに敬意を表します。

この道程で我々は多くの気付きがあり、何度かの路線変更を経て事業を遂行し、この白書発行にたどり着きました。
この事業はこれまでの地域での「見守り」という活動のあり方に一石を投じるのもとなったと確信しております。私どもの提案を、これから示す報告とともに味わっていただければ幸いです。

 

【事業基礎情報】

資金分配団体特定公益財団法人 みらいファンド沖縄
公益社団法人 沖縄県地域振興協会
事業名

認知症の方々も安心・安全な外出を担保できるまちづくり

活動対象地域宜野湾市及びその周辺
実行団体認定特定非営医療法人 アガぺ会
合同会社 GreenStarOKINAWA
特定非営利活動法人 グランアーク
南風原町社会福祉協議会
西原町社会福祉協議会

休眠預金活用事業の成果物として資金分配団体や実行団体で作成された報告書等をご紹介する「成果物レポート」。今回は、実行団体 宝塚NPOセンター作成したレポート『「With」事業報告書2022.3-2025.2』を紹介します。

「With」事業報告書2022.3-2025.2

認定NPO法人宝塚NPOセンター(兵庫県宝塚市)は、一般社団法人 全国古民家再生協会(東京都千代田区)の2021年度「空き家・古民家を活用した母子家庭向けハウス設立事業」で実行団体として「孤立孤独/生活苦を抱える若者への緊急支援事業」事業を実施しました。

宝塚市内在住、あるいは宝塚市に転居を希望する“非正規雇用で働く母親とその子どもで構成されているひとり親世帯”を対象にしたシングルマザーハウス「With」での活動をまとめた事業報告書を公開します。

 

【事業基礎情報】

実行団体認定特定非営利活動法人 宝塚NPOセンター
事業名

地域で支える母子ハウス事業

活動対象地域兵庫県宝塚市
資金分配団体一般社団法人 全国古民家再生協会

 

2025年4月17日に開催された公益財団法人 パブリックリソース財団主催『全国の母子ハウスネットワークを活用した伴走自立支援プログラム ~住まいと心と就労の伴走支援~』の動画をご紹介します。
女性の経済的困窮は非正規雇用の多さや高齢女性の貧困率の高さに加え、コロナ禍による失業やDV被害の影響で深刻化しています。2024年4月施行の新法では行政と民間の連携が謳われていますが、本事業ではそのモデルとなる取り組みとして、緊急期から自立までを支える包括的支援プログラムを紹介しています。 第2回となる今回のセミナーでは、住まいを起点とした母子の自立支援について、子ども家庭庁による基調講演、実行団体「NPO法人全国ひとり親居住支援機構」による実践報告の他、母子ハウス運営団体や支援の専門家を交えてパネルディスカッションを実施した際の動画をご紹介します。

公益財団法人 長野県みらい基金・一般社団法人 長野県経営者協会・一般社団法人 長野県労働者福祉協議会の3団体から構成された長野県休眠預金等活用コンソーシアムによる取り組み『誰もが活躍できる信州「働き」「学び」「暮らし」づくり事業』をご紹介します。
7つの実行団体のうち社会福祉法人 長野県社会福祉協議会による「社会的養護出身の若者サポートプロジェクト」の動画をご紹介します。