【事後評価】地方における10代の居場所づくり支援事業|カタリバ[21年度通常枠]

事業完了にあたり、成果の取りまとめるために実施されるのが「事後評価」です。事後評価は、事業の結果を総括するとともに、取り組みを通じて得られた学びを今後に生かせるよう、提言や知見・教訓を整理するために行われます。今回は、2025年3月末に事業完了した2021年度通常枠【地方における10代の居場所づくり支援事業|カタリバ[21年度通常枠]】の事後評価報告書をご紹介します。ぜひご覧ください。

事業概要等

事業概要などは、以下のページからご覧ください。


事後評価報告

事後評価報告書は、以下の外部リンクからご覧ください。

・資金分配団体

・実行団体  

事後評価報告|石川県珠洲市における小中高生向けのメディア教育拠点づくり|ガクソー(カタリバ|実行団体)[外部リンク] button icon 事後評価報告|地域ネットワーク型ユースセンター金沢|YOUTH PACE(第3職員室)(カタリバ|実行団体)[外部リンク] button icon 事後評価報告|子どもたちの明日になないろの橋をかける包括的プロジェクト|OMUTA BRIDGE(カタリバ|実行団体)[外部リンク] button icon 事後評価報告|沖永良部島の10代に多様な機会と居場所を届ける、えらぶ未来教育事業|えらぶ手帖(カタリバ|実行団体)[外部リンク] button icon 事後評価報告|高校生の主体性を育むたまり場「ぜん」のインキュベーション事業|WeD(カタリバ|実行団体)[外部リンク] button icon 事後評価報告|総合支援型ユースセンター事業|こおりやま子ども若者ネットワーク(カタリバ|実行団体)[外部リンク] button icon 事後評価報告|放課後スペース INBase|f.saloon(カタリバ|実行団体)[外部リンク] button icon 事後評価報告|北海道砂川市「‘本当の社会で生きる力’を育む子どもの居場所」創造事業|みんなの(カタリバ|実行団体)[外部リンク] button icon 事後評価報告|持続可能なユースサードプレイス運営モデルづくり@岩手町|SET(カタリバ|実行団体)[外部リンク] button icon 事後評価報告|まちの縁側おのみちユースセンタープラットフォーム事業|むかいしまseeds(カタリバ|実行団体)[外部リンク] button icon 事後評価報告|子ども・若者の居場所づくりを中心とした包括的支援|もも(カタリバ|実行団体)[外部リンク] button icon 事後評価報告|高校生の居場所づくりプロジェクトSTUily|スタイリィ(カタリバ|実行団体)[外部リンク] button icon 事後評価報告|ごのへラーニングセンター ~「Z世代×地域」における価値共創を目指した場づくり~|わのまち(カタリバ|実行団体)[外部リンク] button icon 事後評価報告|中高生が自分たちで居場所を作る「ユースセンターづくり」プロジェクト|セブンシーズ(カタリバ|実行団体)[外部リンク] button icon


【事業基礎情報】

資金分配団認定特定非営利活動法人 カタリバ

[コンソーシアム構成団体]
特定非営利活動法人 エティック
事業名地方における10代の居場所づくり支援事業

<2021年度通常枠>
活動対象地域日本全国
実行団体・特定非営利活動法人 ガクソー

・一般社団法人 YOUTH PACE(一般社団法人 第3職員室)

・一般社団法人 OMUTA BRIDGE

・一般社団法人 えらぶ手帖

・特定非営利活動法人 WeD

・特定非営利活動法人 こおりやま子ども若者ネットワーク

・特定非営利活動法人 f.saloon

・特定非営利活動法人 みんなの

・特定非営利活動法人 SET

・特定非営利活動法人 むかいしまseeds

・一般社団法人 もも

・一般社団法人 スタイリィ

・一般社団法人 わのまち

・特定非営利活動法人 セブンシーズ

事業完了にあたり、成果の取りまとめるために実施されるのが「事後評価」です。事後評価は、事業の結果を総括するとともに、取り組みを通じて得られた学びを今後に生かせるよう、提言や知見・教訓を整理するために行われます。今回は、2025年3月末に事業完了した2021年度通常枠【地方における学習・能力向上機会の拡充による選択格差の解消|北海道NPOファンド[21年度通常枠]】の事後評価報告書をご紹介します。ぜひご覧ください。

事業概要等

事業概要などは、以下のページからご覧ください。


事後評価報告

事後評価報告書は、以下の外部リンクからご覧ください。

・資金分配団体

・実行団体  


【事業基礎情報】

資金分配団公特定非営利活動法人 北海道NPOファンド
事業名地方における学習・能力向上機会の拡充による選択格差の解消

<2021年度通常枠>
活動対象地域北海道全域
実行団体・新冠町商工会

・一般社団法人 かやぶきの家まねきや

・株式会社 コエルワ

事業完了にあたり、成果の取りまとめるために実施されるのが「事後評価」です。事後評価は、事業の結果を総括するとともに、取り組みを通じて得られた学びを今後に生かせるよう、提言や知見・教訓を整理するために行われます。今回は、2025年3月末に事業完了した2021年度通常枠【認知症の方々も安心・安全な外出を担保できるまちづくり|みらいファンド沖縄[21年度通常枠]】の事後評価報告書をご紹介します。ぜひご覧ください。

事業概要等

事業概要などは、以下のページからご覧ください。


事後評価報告

事後評価報告書は、以下の外部リンクからご覧ください。

・資金分配団体

・実行団体  


【事業基礎情報】

資金分配団公益財団法人 みらいファンド沖縄

[コンソーシアム構成団体]
公益社団法人 沖縄県地域振興協会
事業名認知症の方々も安心・安全な外出を担保できるまちづくり

<2021年度通常枠>
活動対象地域宜野湾市及びその周辺
実行団体・医療法人 アガぺ会

・合同会社 GreenStarOKINAWA

・特定非営利活動法人 グランアーク

・社会福祉法人 南風原町社会福祉協議会

・社会福祉法人 西原町社会福祉協議会

休眠預金活用事業の成果物として資金分配団体や実行団体で作成された報告書等をご紹介する「成果物レポート」。今回は、資金分配団体 公益財団法人みらいファンド沖縄が発行したレポート『尊厳を守る食支援を多様な連携で支える沖縄を目指して~誰もがフードセーフティーネットにアクセスできる社会とは~』を紹介します。

尊厳を守る食支援を多様な連携で支える沖縄を目指して
~誰もがフードセーフティーネットにアクセスできる社会とは~

この白書は、物価・原油価格の高騰によりコロナ禍よりも生活に余裕のない世帯が増えていることに対し、食支援が必要な世帯がどのくらいあり、地域や行政のサポートの仕組みのあり方などの実態を共有し、これからの沖縄の食支援について一緒に考えるために作りました。

この白書を手に取ったみなさんにとって「食支援」とはどのようなものですか?
または「食べること」とはどのようなものですか?
沖縄に暮らす私たちみんなが食のセーフティーネットに繋がることができ、自立に向けて自ら行動するエネルギーを得られる社会とは、どのような社会なのでしょうか。
2024年7月~25年2月に行った「多様な参画で実現する支援される側の尊厳を守る新たな食支援事業」の実行団体の活動をベースとした報告と、それに基づいた提案をまとめました。
この白書を通して一緒に考え、実現に向けたアクションにつなげたいと考えています。

 

【事業基礎情報】

資金分配団体特定公益財団法人 みらいファンド沖縄
事業名

多様な参画で実現する支援される側の尊厳を守る新たな食支援事業

~グレーゾーンにもリーチし、被支援者から担い手にもなり得る有償型パントリー~
活動対象地域沖縄県
実行団体沖縄アレルギーゆいまーるの会
特定非営利活動法人  フードバンクセカンドハーベスト沖縄
呼吸子ども無料食堂
一般社団法人 まちづくりうらそえ
社会福祉法人 沖縄市社会福祉協議会
一般社団法人 宮古島こどもこそだてワクワク未来会議

休眠預金活用事業の成果物として資金分配団体や実行団体で作成された報告書等をご紹介する「成果物レポート」。今回は、資金分配団体『公益財団法人南砺幸せ未来基金、公益財団法人東近江三方よし基金、公益財団法人うんなんコミュニティ財団 ローカルコミュニティファンド連合(以下、「HUN」)〈21年度通常枠〉』が作成したレポート『Consortium HUN 社会的困難者を支えるローカルアクション 事業報告書 2021ー2024年度』を紹介します。

Consortium HUN 社会的困難者を支えるローカルアクション 事業報告書 2021ー2024年度

公益財団法人南砺幸せ未来基金(富山県南砺市)は、公益財団法人東近江三方よし基金(滋賀県東近江市)、公益財団法人うんなんコミュニティ財団(島根県雲南市)とコンソーシアムを組み、2021年度通常枠(草の根活動支援事業)の資金分配団体(『東近江・雲南・南砺ローカルコミュニティファンド連合(HUN)』)として、「社会的困難者を支えるローカルアクション」事業を実施し、この度、同事業の富山県南砺市・滋賀県東近江市・島根県雲南市における活動をまとめた報告書を公開しました。

地方市域では、人口減少や超高齢化が進む中、自助、互助、共助、公助の仕組みが脆弱化し、地域全体の課題解決力が問われています。
3市では、小学校区や旧町域を基盤とした地域自治組織が立ち上がり、地域課題に取り組み一定の成果を挙げている一方で、行政や地域自治組織だけでは社会的困難者の実態把握や対応に限界があるのが現状です。
また、地域には社会的困難者を応援する意欲ある団体が存在しますが、人的・資金的な基盤が脆弱であり、さらなる応援が求められています。

こうした課題を解決するため、「複雑化・複合化した社会課題はローカルアクションでしか解決できない。」を合言葉に、東近江三方よし基金、うんなんコミュニティ財団、南砺幸せ未来基金の3つのコミュニティ財団が連携しました。
それぞれが持つ地域資源を活かし、多様な主体が協働して地域課題の解決に取り組むとともに、市民自らが応援する仕組みを構築することで、「未来資本」を創出する取り組みを進めています。
本事業は、これらの取り組みを全国に広げていく挑戦でもあります。

本報告書では、「休眠預金活用事業・2021年度通常枠・草の根活動応援事業・全国ブロック」の資金分配団体として、私たちが取り組んだ活動や成果、目標達成の状況をまとめています。

【事業基礎情報】

資金分配団体公益財団法人南砺幸せ未来基金(コンソーシアム幹事団体)

〈コンソーシアム名〉
  東近江・雲南・南砺 ローカルコミュニティファンド連合

【構成団体】
・公益財団法人南砺幸せ未来基金 (幹事団体)
・公益財団法人東近江三方よし基金
・公益財団法人うんなんコミュニティ財団
事業名社会的困難者を支えるローカルアクション
〈2021年度通常枠〉
活動対象地域富山県南砺市・滋賀県東近江市・島根県雲南市
実行団体・躍動と安らぎの里づくり鍋山
・株式会社CNC
・特定非営利活動法人まちづくりネット東近江
・一般社団法人ぐるり
・特定非営利活動法人喜里
・あそびばキッチン実行委員会
・東近江FCレジリエンス
・お産&子育てを支える会
・一般社団法人umi
・一般社団法人福野アソシエイツ
・特定非営利活動法人よってカフェ
・農事組合法人大鋸屋営農組合

事業完了にあたり、成果の取りまとめるために実施されるのが「事後評価」です。事後評価は、事業の結果を総括するとともに、取り組みを通じて得られた学びを今後に生かせるよう、提言や知見・教訓を整理するために行われます。今回は、2023年3月末に事業完了した2020年度通常枠【被災者の心の健康とコミュニティを守る事業|ふくしま百年基金[20年度通常枠]】の事後評価報告書をご紹介します。ぜひご覧ください。

事業概要等

事業概要などは、以下のページからご覧ください。


事後評価報告

事後評価報告書は、以下の外部リンクからご覧ください。

・資金分配団体

・実行団体


【事業基礎情報】

資金分配団一般財団法人ふくしま百年基金
事業名被災者の心の健康とコミュニティを守る事業
<2020年度通常枠>
活動対象地域福島県
実行団体・特定非営利活動法人 コースター
・ふくしまこども食堂ネットワーク
・一般社団法人 Teco
・認定特定非営利活動法人 いわき放射能市民測定室

事業完了にあたり、成果の取りまとめるために実施されるのが「事後評価」です。事後評価は、事業の結果を総括するとともに、取り組みを通じて得られた学びを今後に生かせるよう、提言や知見・教訓を整理するために行われます。今回は、2023年3月末に事業完了した2020年度通常枠【居場所の包括連携によるモデル地域づくり|全国こども食堂支援センター・むすびえ[20年度通常枠]】の事後評価報告書をご紹介します。ぜひご覧ください。

事業概要等

事業概要などは、以下のページからご覧ください。


事後評価報告

事後評価報告書は、以下の外部リンクからご覧ください。

・資金分配団体

・実行団体


【事業基礎情報】

資金分配団特定非営利活動法人全国こども食堂支援センター・むすびえ
事業名居場所の包括連携によるモデル地域づくり
<2020年度通常枠>
活動対象地域全国
実行団体・特定非営利活動法人新座子育てネットワーク
・社会福祉法人堺市社会福祉協議会
・一般社団法人タウンスペースWAKWAK
・社会福祉法人坂井市社会福祉協議会

東京都足立区で、地域から孤立している生活困窮子育て家庭に対し、食糧支援や「子ども食堂」の運営などを行っている一般社団法人チョイふる。“生まれ育った環境に関わらず、全ての子ども達が将来に希望を持てるchoice-fulな社会を実現する”ことを目的に、活動しています。2022年に採択された休眠預金活用事業(緊急支援枠、資金分配団体:特定非営利活動法人Learning for All)では、居場所事業「あだちキッズカフェ」の拡充に取り組んできました。今回は、代表理事の栗野泰成さんと、居場所事業を担当している井野瀬優子さんに、団体の活動についてお話を伺いました。”

代表理事の原体験が、チョイふるを立ち上げるきっかけに

一般社団法人チョイふる(以下、チョイふる)は、社会経済的に困難を抱える子どもたちが「チョイス」(選択肢)を「ふる」(たくさん)に感じられる社会をつくりたい、という思いを込めて設立されました。立ち上げのきっかけとなったのは、代表理事の栗野さんの原体験です。栗野さんが育ったのは、鹿児島県の田舎の市営団地。大学進学に悩んでいた頃、新聞配達をすると学費が免除される新聞奨学金制度の存在を知りますが、知ったときにはすでに申し込みの期限を過ぎていて申し込みができなかったと言います。

栗野泰成さん(以下、栗野)「あのとき、『もっと早くに知っていれば』と思ったことが今の活動に結び付いています。困窮者世帯への支援制度はたくさんあるのですが、本当に困難を抱える人ほど必要な支援が届いていないのではないかと考えています。この『選択格差』を解消することが貧困問題を解決する一つの手段ではないかと考えるようになりました」

オンラインの取材でお話される栗野泰成さん

当時の思いを胸に、大学卒業後、小学校教員・JICA海外協力隊での教育現場を経て、栗野さんは2018年に任意団体を立ち上げます。当初は英語塾を運営していましたが、それでは支援を必要としている人に届かないと気づきます。

そこで、2020年に、食糧を家庭に届けるアウトリーチ(訪問支援)型の活動「あだち・わくわく便」と、親子に第3の居場所を提供する活動「あだちキッズカフェ」をスタート。その後、コロナ禍に入ってしまったため、「あだちキッズカフェ」は一時休止しますが、「あだち・わくわく便」の需要は高まっていきます。

そして、2021年に法人化し、一般社団法人チョイふるを設立。現在は、宅食事業「あだち・わくわく便」、居場所事業「あだちキッズカフェ」に加え、困窮者世帯を支援制度へと繋げる相談支援事業「繋ぎケア」の主に3つの事業を行っています。

孤立しがちな困窮子育て世帯とつながる 宅食事業

現在、チョイふるの活動の軸となっているのが、宅食事業「あだち・わくわく便」です。対象となっているのは0〜18歳の子どもがいる家庭で、食品配達をツールに地域から孤立しがちな困窮子育て家庭と繋がる活動をしています。

栗野「宅食事業を始めた頃は、シングルマザーの支援団体に情報を流してもらったり、都営団地にポスティングしたりと地道に活動していました。最初、LINEの登録は10世帯ほどでしたが、口コミで広がったことに加え、コロナ禍になったこともあり、登録世帯数が一気に増加。今では足立区からも信頼を得ることができ、区からもチョイふるの案内をしてもらっています」

現在のLINEの登録数は約400世帯。食品配達は月に1回か2ヶ月に1回、各家庭に配達するか、フードパントリーに取りに来てもらう場合もあります。また、配達をする際は「見守りボランティア」と呼ばれる人が、それぞれの子育て家庭に直接お届けし、会話をすることで信頼関係を築いています。

栗野「食品の紹介や雑談などから始まり、子どもの学校での様子を聞いたり、困りごとがなさそうかなど確認したりしています。次回の配達時にも継続的に話ができるよう、訪問時の様子は記録もしています」

つながりづくりから居場所づくりへ

コロナ禍では「あだち・わくわく便」をメインに活動してきたチョイふる。貧困家庭と繋がることはできましたが、そこから適切な支援に繋げるための関係構築を難しく感じていました。そこで、新型コロナウイルスの流行が少し落ち着いてきたタイミングで、居場所事業「あだちキッズカフェ」を再開します。

「あだちキッズカフェ」は、子ども食堂に遊びの体験をプラスした、家でも学校(職場)でもないサードプレイスをつくり、困窮子育て家庭を支える活動。こうした「コミュニティとしての繋がり」が作れる活動は、民間団体ならではの強みだと栗野さんは話します。

栗野「足立区は、東京都の中でも生活保護を受けている世帯数が多い地域です。区としても様々な施策に取り組んでいますが、行政ならではの制約もあります。たとえば、イベントを開いたとしても、時間は平日の日中に設定されることが多いですし、開催場所も公民館など公共の場が基本になります。一方で、僕たち民間団体は、家庭に合わせて時間や場所を設定することができます。行政と民間はできることが違うからこそ、僕たちの活動に意味があると思うんです」

あだちキッズカフェの様子

「あだちキッズカフェ」の取り組みに力を入れ始めたチョイふるは、2022年度の休眠預金活用事業に申請。これに無事採択されると、これまで「あだちキッズカフェ」があった伊興本町と中央本町の2か所の運営体制を強化するとともに、千住仲町にも新設しました。

実際の「あだちキッズカフェ」では、お弁当やコスメセットの配布などを行い、子どもたちの居場所利用を促進。月2回実施している子ども食堂と遊びの居場所支援のほか、イベントも含めると67 人の子どもが参加しました。特に伊興本町の居場所にはリピーターが多く、子どもたちの利用が定着してきています。

栗野「とはいえ、『あだち・わくわく便』は400世帯が登録してくれているのに対し、『あだちキッズカフェ』の利用者は67人とまだまだ少ない。子どもだけで『あだちキッズカフェ』に来るのが難しかったり、交通費がかかったりするなど、様々な課題があると感じています」

休眠預金を活用し、社会福祉士を新たに採用

「あだちキッズカフェ」拡充のため、さまざまなところで休眠預金を活用してきましたが、なかでも一番助かったポイントは「人件費として使えたこと」だと井野瀬さんは話します。

井野瀬優子さん(以下、井野瀬)「『あだちキッズカフェ』常勤のスタッフを数人と、社会福祉士を4人採用しました。助成金の多くは人件費として活用できないので、本当にありがたかったです。常勤のスタッフがいると『いつもの人がいる』という安心感にも繋がりますし、社会福祉士にはLINEを通じて相談者とやり取り してもらうことで距離が近づき、『あだちキッズカフェ』の利用促進につながりました」

「あだち・わくわく便」の利用者には「あだちキッズカフェ」に行くのを迷っている人が多く、社会福祉士とのやり取りが利用を迷う人の背中を押しました。そのやり取りも、「『あだち・わくわく便』はどうでしたか?」といった会話からスタートし、他愛もない会話をするなかで困りごとを聞いたり、無理のないように「あだちキッズカフェ」に誘ったりしています。

オンライン取材で現場の様子を伝えてくださった井野瀬優子さん

また、DV被害に遭ったという母子が来た際には、スタッフに同じような経験をした当事者がいたため、経験者ならではの寄り添った対応ができました。

井野瀬「これまでであれば、ボランティアとして限られた時間しか関われなかったかもしれません。今回はそこに、きちんとお金を割くことができたので、居場所をより充実させることができました。来てくれる子どもたちが増えるのはもちろん、何度も来てくれる子の小さな成長が見られる瞬間もとてもうれしいですね」

伴走者がいることで、課題を把握できた

チョイふるは、2023年8月に休眠預金活用事業を開始し、2024年2月末に事業を完了しました。休眠預金活用事業では資金面以外に、資金分配団体のプログラム・オフィサー が伴走してくれる点も、事業を運営していくうえで助けになったと話します。

栗野「普段は日々の活動でいっぱいいっぱいなので、月1で振り返る機会を設けてもらったのがよかったですね。一緒にアクションプランを立てたり、“報連相”が課題になっていると気づいたりすることができました。第三者の目があることの大切さを痛感しました」

事業は終了しましたが、その後も取り組みの内容は変わらずに、「あだち・わくわく便」の提供量を増やしたり、「あだちキッズカフェ」の数を増やしたりといったことに注力しており、そのために、ほかの団体との連携も広げています。

栗野「10代の可能性を広げる支援を行っているNPO法人カタリバと月1回の定例会議を行い、情報交換をしています。ほかにも、医療的ケア児や発達の特性の強い子どもを支援している団体などと組んで、ワンストップの総合相談窓口を作ろうと動いているところです。資金確保は今後も課題になると思うので、寄付やクラウドファンディング、企業との連携などにも挑戦していきたいですね」


「選択肢の格差」が貧困を作り出し、抜け出せない状況を作っていると考える栗野さん。チョイふるはこれからも、その格差を少しでもなくすために貧困家庭への支援を続けていきます。

【事業基礎情報】

実行団体
一般社団法人チョイふる
事業名

子育て世帯版包括支援センター事業

活動対象地域
東京都足立区 ①伊興本町(居場所1拠点目) ②中央本町(居場所2拠点目) ③千住仲町(居場所3拠点目)
資金分配団体
特定非営利活動法人Learning for All

採択助成事業

2022年度緊急支援枠

2023年3月よりJANPIAで活動を始めたインターン生の「活動日誌」を発信していきます。第3回は、22年度通常枠の実行団体である一般社団法人にじいろほっかいどう(資金分配団体:認定NPO法人北海道NPOファンド)の取り組みについてのリポートです!

JANPIAインターン生のSです。
今回は北海道で活動する一般社団法人にじいろほっかいどうさんを取材させて頂きました。
インタビューに応じて下さったのは、理事長の国見亮佑(くにみ りょうすけ)さん、副理事長のたかしさん、事務局長の真田陽(さなだ あさひ)さんの3名です。
取材を通じて、団体設立のきっかけや、現在の活動内容まで詳しくお聞きしてきました!

1. 一般社団法人にじいろほっかいどうとは

1-a 団体概要、活動内容について

一般社団法人にじいろほっかいどうは、北海道に暮らすLGBTQ+当事者への差別や偏見、社会的孤立をなくす活動を行っている団体です。
交流会や居場所づくりを通じたLGBTQ+当事者の孤立の解消、講演会などのイベントによる啓発活動を主軸として活動する団体であり、休眠預金支援事業2022年度の通常枠に実行団体として採択されています。(資金分配団体:認定NPO法人北海道NPOファンド)

1-b 団体立ち上げのきっかけ

にじいろほっかいどうは2015年に、現在の理事長である国見さんによって立ち上げられました。国見さんご自身がゲイの当事者であることから、団体設立前からLGBTQ+当事者の孤立解消を目的とした交流イベントや学校現場での講演などの活動を展開されていた経緯があり、講演依頼を受ける団体としてにじいろほっかいどうを設立するに至ったそうです。

現在団体で事務局長を務める真田さんは、にじいろほっかいどうとしての最初の講演会イベントの参加者。その出会いがきっかけで現在の活動に参画されたそうで、「あれからもう10年か!」と国見さんと顔を見合わせる姿がとても印象的でした。

2. ついにオープン!「はこにじ」とは?

2-a はこにじをオープンするに至った経緯

これまでの活動の中で、性的マイノリティの方々が安心して過ごすことのできる居場所の必要性は感じられていたと言う国見さん。しかし、人件費や家賃のコスト面での懸念から居場所づくりは諦めていた所に休眠預金事業の話を聞き、「はこにじ」をオープンすることを決められたそうです。

「はこにじ」とは、LGBTQ+や障がいを持った方が自由に訪れることのできる居場所です。 はこにじでは、入場料300円を払うことで飲み物やお菓子を食べてくつろぐことができます。

「はこにじ」とは、LGBTQ+や障がいを持った方が自由に訪れることのできる居場所です。 はこにじでは、入場料300円を払うことで飲み物やお菓子を食べてくつろぐことができます。

また、はこにじでは飲食メニューも充実しており、長時間ゆったりと過ごすことができます。 2024年5/13にオープンして間もなくですが、連日多くの方が訪れているようです。

また、はこにじでは飲食メニューも充実しており、長時間ゆったりと過ごすことができます。 2024年5/13にオープンして間もなくですが、連日多くの方が訪れているようです。

2-b オープンするまでの苦労

はこにじのオープンにあたって、部屋のリフォームや事務作業を一手に担われていたのが副理事長のたかしさん。慣れない事務作業や内装などに手探りで挑戦し、オープン日を迎えることができたそうです。

元々民家だった場所を改装して、完成したはこにじ。 リフォーム前は、この写真のように「どこから手を付けたら、、、」という状態だったよう。 そこからリフォームを行って出来上がったのが、こちら。

元々民家だった場所を改装して、完成したはこにじ。 リフォーム前は、この写真のように「どこから手を付けたら、、、」という状態だったよう。 そこからリフォームを行って出来上がったのが、こちら。

水色を基調とした内装へと生まれ変わったはこにじ。 壁側には、階段状の足場を設けることで講演会なども実施できるようになったと満足そうに語って下さいました。

水色を基調とした内装へと生まれ変わったはこにじ。 壁側には、階段状の足場を設けることで講演会なども実施できるようになったと満足そうに語って下さいました。

2-c 内装で意識されたこと

にじいろほっかいどうの皆さんが共通して持っていたのが、「はこにじをアットホームな空間にしたい」という思いです。
レトロな雰囲気を残し、ショールームのような綺麗な内装にならないようにデザインされた空間は、絶妙なバランスで調和が取られており、皆さんの思いが反映された居心地の良い空間がそこにありました。

はこにじの室内で、特に目を引く内装の工夫がもう一点あります。 それは、あえて不揃いに用意された形の異なる椅子の数々です。 たかしさんが札幌の劇場で目にしたHIVを題材に扱った劇から着想を得て、あえて様々な種類の椅子を内装に取り入れられたそうです。

はこにじの室内で、特に目を引く内装の工夫がもう一点あります。 それは、あえて不揃いに用意された形の異なる椅子の数々です。 たかしさんが札幌の劇場で目にしたHIVを題材に扱った劇から着想を得て、あえて様々な種類の椅子を内装に取り入れられたそうです。


余談ですが、副理事長のたかしさんは芸術家としての一面もお持ちで、はこにじと同じ長屋の2階のギャラリー「home coming」にてたかしさんの作品が展示されていました。
このギャラリーも、はこにじと一緒ににじいろほっかいどうが運営していて、今後は様々なアーティストの展覧会を予定しているとのこと。
どれも素晴らしい作品なので、はこにじを訪れた際には是非足を運んでみて下さい!

3. にじいろほっかいどうの活動

にじいろほっかいどうは、「はこにじ」の活動以外にも、交流会や居場所づくりを通じたLGBTQ+当事者の孤立の解消、講演会などのイベントによる啓発活動に取り組まれています。活動の中で感じる性的マイノリティを巡る社会環境や、活動に込めた想いについて伺いました。

3-a 北海道における自治体の取組について

LGBTQという言葉の認知が近年で拡大したこともあり、パートナーシップ制度などを導入する自治体が北海道内でも出てきたと国見さん。
国見さんは実際に、長年居住していた帯広市の職員さんと共にパートナーシップ制度の創設を行い、パートナーであるたかしさんと共にパートナーシップ制度認定を受けられたそうです。
しかし、道内全体ではまだ制度的に充実しているとは言えず、今後も政治や司法に働きかけていく必要性があると仰られていました。

3-b当事者同士の交流機会の重要性

次に、活動の軸として挙げられている交流の機会の重要性について国見さんにお聞きしました。
やはり、日々の生活の中で同じLGBTの人と会うことが難しく、性的マイノリティの方々は孤立しやすい現状がまだ日本社会には存在しています。
そういった方々が、安心して集まれる場所を作り、カミングアウトや家族・パートナーについての悩みを共有できるような相手を見つけられる交流の機会が大事との思いから、長年交流イベントを企画・開催されているそうです。

取材の様子
取材の様子

3-c 講演会の活動から見える実態

実は、理事長の国見さん、事務局長の真田さんは共に教職員。そのお二人の背景を活かし、北海道の教職員を対象とした講演会活動に取り組まれています。
お二人のお話を聞く中で、印象に残ったのは講演会の内容がより実践的な内容であるという点です。
近年、教育現場にて実際に性的マイノリティの児童から相談を受ける機会が増えてきており、「児童との接し方」についての質問が多いそうです。それに伴い、講演会の中でも「カミングアウトを児童から受けたとしても、児童の同意なしに他の教職員に内容を共有しない」等のケースバイケースに対応した講演が行われていると聞き、とても驚きました。

4. まとめ・感想

今回は、函館で活動されているにじいろほっかいどう様へ取材をさせて頂きました。
取材を通じて、社会全体として性的マイノリティの方々が安心して過ごすことができる居場所の必要性を痛感したと共に、教職現場での実態など目から鱗のお話を沢山お聞きすることができました。
「休眠預金事業を始めてから、忙しくなり喧嘩が増えた」と笑いながら話す国見さんとたかしさん。そして、それを微笑ましく見守る真田さん。
御三方の素敵な関係性によって運営されるはこにじは、暖かく、優しい雰囲気に包まれた空間
でした。
この記事を読んでにじいろほっかいどう様の活動に興味を持たれた方は、是非HPやはこにじを訪れてみてください!

にじいろほっかいどう

■ 事業基礎情報

実行団体一般社団法人にじいろほっかいどう
事業名社会的居場所を核とした働き方と暮らし方の共生の実現〜地域コミュニティにおける障がいのあるLGBTQの受容を目指して
活動対象地域北海道函館市及び道南地域
資金分配団体認定NPO法人 北海道NPOファンド
採択助成事業2022年度通常枠

休眠預金活用事業の成果物として資金分配団体や実行団体で作成された報告書等をご紹介する「成果物レポート」。今回は、資金分配団体『認定特定非営利活動法人 育て上げネット〈22年度緊急支援枠〉』(※コンソーシアム申請(構成団体:READYFOR株式会社)が発行した報告書『若者の「望まない孤独」支援モデル形成事業 調査報告書』を紹介します。

若者の「望まない孤独」支援モデル形成事業 調査報告書

認定特定非営利活動法人 育て上げネット(東京都立川市)は、READYFOR株式会社(東京都千代田区)とコンソーシアムを組み、2022年度緊急支援枠(2次)の資金分配団体として、「若者の「望まない孤独」支援モデル形成事業」事業を実施し、この度、同事業の全国 9 都府県(東京都、埼玉県、千葉県、京都府、大阪府、福岡県、熊本県、鹿児島県、沖縄県)における調査をまとめた報告書を公開しました。

本レポートでは、育て上げネットが助成を行った各団体の運営する居場所の利用者に対し、「孤独・孤立感」が利用前後でどのように変わっていったのかをアンケートを通じて調査し、その結果やどのような成果が得られたかが掲載されています。ぜひ、ご覧ください。

【事業基礎情報】

資金分配団体認定特定非営利活動法人 育て上げネット
(コンソーシアム幹事団体)

【構成団体】
・READYFOR 株式会社
事業名若者の「望まない孤独」支援モデル形成事業
~「時間・距離・敷居」の壁を超える~

〈2022年度緊急支援枠〉
活動対象地域全国
実行団体・特定非営利活動法人 サンカクシャ
・特定非営利活動法人 Learning for All
・一般社団法人 パーソナルサービス支援機構
・一般社団法人 YOU MAKE IT
・特定非営利活動法人 キャリアbase
・学校法人 代々木学園
・認定特定非営利活動法人 D×P
・特定非営利活動法人 沖縄青少年自立援助センターちゅらゆい