事業完了にあたり、成果の取りまとめるために実施されるのが「事後評価」です。事後評価は、事業の結果を総括するとともに、取り組みを通じて得られた学びを今後に生かせるよう、提言や知見・教訓を整理するために行われます。今回は、2025年3月末に事業完了した2021年度通常枠【誰もが活躍できる信州「働き」「学び」「暮らし」づくり事業|長野県みらい基金[21年度通常枠]】の事後評価報告書をご紹介します。ぜひご覧ください。
事業概要等
事業概要などは、以下のページからご覧ください。
事後評価報告
事後評価報告書は、以下の外部リンクからご覧ください。
・資金分配団体
・実行団体
【事業基礎情報】
資金分配団 | 公益財団法人 長野県みらい基金 |
事業名 | 誰もが活躍できる信州「働き」「学び」「暮らし」づくり事業 <2021年度通常枠> |
活動対象地域 | 長野県内 |
実行団体 | ・長野県農業協同組合中央会 ・社会福祉法人 長野県社会福祉協議会 ・般社団法人 佐久産業支援センター ・特定非営利活動法人 長野県PS・ふくしネットセンターやさしなの ・一般社団法人 South-Heart ・株式会社 みみずや ・株式会社 イーエムアイ・ラボ |
休眠預金活用事業に係るイベント・セミナー等をご案内するページです。今回は、特定非営利活動法人地球市民の会主催「防災×ネットワーク~食べて、語って、学ぼう!~」を紹介します。
防災×ネットワーク
~食べて、語って、学ぼう!~
私たちは、地域で日本人も外国人も隔てなく安心して暮らすことができ、平時にも有事にも互いに助け合うことのできる地域社会づくりを目指しています。
そのような社会を実現するために、私たちが一体何を考えているのか?!をまず知ってもらうための説明会を開催します!
佐賀市での第一回目の説明会は交流会と同時開催いたします。
(県内他エリアでも随時開催していきますので今回参加できなくても大丈夫!)
パキスタン料理を囲んで、災害のこと、防災のこと、私たちにできること…お互いのことについて話してみませんか?
【イベント情報】
日時 | 2025年6月29日(日)10:00~13:00 |
開催形式 | 現地開催 |
会場 | 佐賀県国際交流プラザ研修室 (〒840-0826 佐賀県佐賀市白山2行目1番12号 佐賀商工ビル1階)] 【MAP】 |
定員 | 先着約20人 |
対象 | 「どんな活動をしますか?」「私にもできますか?」など、 防災や災害について知りたい人、活動したい人、 いろんな人と繋がりたい人、ぜひご参加ください。 |
参加費 | 入場無料 |
プログラム(予定) | ※やさしい日本語使用 ①今までの佐賀での災害について ➁防災×ネットワークの活動について ③美味しい料理が食べられます 10:10~ パキスタン料理づくり 11:30~ 料理を食べながら説明を聞いてOK! ①今までの佐賀での災害について ②防災×ネットワークの活動について ③ディスカッションなど 12:30~ 片付け 13:00 終了 ▶ぜひ活動ページもチェック! ※休眠預金を活用した事業です |
主催 | 特定非営利活動法人地球市民の会 |
お申込み | 以下参加申込フォームまたは以下QRコードよりお申し込みください。※先着約20人 https://forms.gle/wSB45VChRwJKrZdA8 ※申込締め切り:2025年6月26日(木)まで (ご不明点があれば、「特定非営利活動法人地球市民の会」へ お問合せください) |
お問い合わせ | 特定非営利活動法人地球市民の会 [Mail]office@terrapeople.or.jp [TEL]0952-24-3334 |
休眠預金活用事業に係るイベント・セミナー等をご案内するページです。今回は、NPO法人青少年自立支援センター、公益財団法人日本国際交流センター共催「初めて外国ルーツ当事者と出会う支援者に知ってほしい―外国ルーツ支援・基本のき― 」を紹介します。
初めて外国ルーツ当事者と出会う支援者に知ってほしい
―外国ルーツ支援・基本のき―
近年、在留外国人が増加しているのはご存じですか?生活の中で外国ルーツの方を目にする機会も増えているのではないでしょうか。もしかしたら既に皆様の支援現場にも外国籍、外国ルーツの方々がつながり始めているかもしれません。その際、どのように対応したらよいのだろうと悩むことはありませんか?
例えば、子ども食堂にイスラム教徒のお子さんがつながってきたり、生活相談の現場に日本語が話せない方々が来たりすることもあるのではないでしょうか。
本セミナーでは、2010年度より外国にルーツを持つ子供・若者を対象に日本語教育、教科学習支援、進学・就労支援などを実施してきたYSC・グローバルスクールが、外国ルーツ支援の現状や課題を整理しつつ、支援を考える上での基本となるポイントをお伝えいたします。
また、今夏から公募を始める予定の休眠預金活事業の支援対象団体向け「外国ルーツ支援における地域的・分野的広がり応援事業」のプレ説明会も実施いたします。
【イベント情報】
日時 | 2025年6月11日(水)13:00~14:30(※途中入退室可) |
開催形式 | オンライン配信(Zoom) ※開催日前日にZOOMのURLをご連絡いたします。※希望者には、後日配信をいたします。 |
参加費 | 無料 |
内容 | ①ソーシャルセクターにおける外国ルーツの現状と課題の整理 ➁休眠預金活用事業 支援対象団体向け「外国ルーツ支援における地域的・分野的ひろがり応援事業」(研修、基盤整備等)の説明 |
登壇者 | NPO法人青少年自立援助センター 定住外国人支援事業部責任者 田中 宝紀(たなか いき) |
共催 | NPO法人青少年自立支援センター 公益財団法人日本国際交流センター |
お申込み | 事前申し込み制 ※希望者のみ後日配信有 参加・後日配信希望の申し込みはこちら(2025年6月10日午後12時まで) https://forms.gle/sxUkmPfPgYse2AHc8 ![]() |
お問い合わせ | NPO法人青少年自立支援センター [E-mail]activity-support-24@npo-ysc.jp |
コロナ禍による入国規制の解除後、日本で難民認定を申請する外国人が増えています。申請中で在留資格のない外国人は就労できず、公的支援も受けられないため、生活が困窮し、精神的にも追い詰められる傾向にあります。こうした難民認定申請者や非正規滞在者を支援するため、2023年度の休眠預金活用事業(緊急支援枠、資金分配団体:NPO法人青少年自立援助センター)による緊急人道支援を行っているのがNPO法人アクセプト・インターナショナルです。同団体は国内外で紛争や人道危機、社会的排除などの問題解決に取り組んでいます。今回は、団体の活動やその背景などについて、代表理事の永井陽右さん、国内事業局 局長の吉野京子さんを中心にお話を伺いました。
ソマリアから始まった「平和の担い手」を増やす取り組み
アクセプト・インターナショナルは「誰しもが平和の担い手となり、共に憎しみの連鎖をほどいていく」ことを目指し、世界の紛争地や日本で活動する団体です。2011年、大学1年生だった永井陽右さんは、世界で最も深刻な紛争国の一つとされていたソマリアの惨状を知り、「このまま見過ごしてはいけない」との思いから、仲間とともに活動を開始しました。
当時のソマリアは、頻発するテロや紛争によって貧困や飢餓が深刻化し、2年間で約26万人もの人々が命を落としていました。それにもかかわらず「危険すぎる」「解決策がない」からと、世界から見放されている状況に「そんな理由で支援が届かないのはおかしい」と強く感じた永井さん。「支援が必要とされているのに、難しさを理由に誰も手を差し伸べないのであれば、自分たちがやる」——その決意が活動の原点となっています。
永井さんたちはソマリアのテロや紛争を止めようと、若者が武装組織から抜け出し、社会復帰する支援を開始。2017年にはNPO法人アクセプト・インターナショナルを設立し、イエメンやケニア、インドネシア、コロンビア、パレスチナなど、世界の紛争地へと取り組みを広げていきました。
永井陽右さん(以下、永井)「テロリストの多くは、社会に居場所がないことや生活苦、脅迫などから武器を持たざるを得なかった若者たち。彼らを排除しても負の連鎖は終わりません。私たちが目指すのは、彼らが本来の若者らしく希望を持って生き、私たちと一緒に平和な世界をつくっていくことです」

海外での経験を活かし、日本でも「難しくて取り残されている問題」に着手
海外の経験を活かして日本でも「解決の担い手がいない難しい問題」に取り組もうと、2020年からは国内事業も開始。コロナ禍で海外事業の継続が困難になった時期とも重なり、国内の課題にあらためて目を向けるようになりました。現在は主に、非行少年の更生支援と、在日ムスリム(イスラム教徒)を中心とした在日外国人支援の2つの事業を展開しています。
非行少年の更生支援では、とくに社会の受け入れが難しい、重い犯罪に関与した若者の社会復帰を支援。相談支援をはじめ、社会復帰を後押しするための社会定着支援、居住支援、生活支援を実施し、さらに、啓発や教育の一環としてオンラインゼミも開講しています。
在日外国人支援では、日本社会におけるムスリムへの理解不足や文化の違いなどから、在日ムスリムが孤立しやすい現状をふまえ、とくにコロナ禍で生活が困窮している在日ムスリムを支援。現在もイスラム教徒が食べることができる「ハラル食品」の提供や生活相談、在日ムスリムによる共助ネットワークづくりなどを行っています。
「海外事業も日本事業も、つまるところは、課題を抱える当事者が社会の一員として主体的に生きていくための伴走支援。本質は変わりません」と永井さん。海外事業でテロの加害者だった若者と向き合ってきた経験が非行少年の更生事業に、多くのイスラム教徒と活動してきた経験が在日ムスリム支援に活かされるなど、これまでの知見が国内支援でも活かされています。
休眠預金を活用し、行き場のない難民認定申請者に緊急支援を実施
国内に活動を広げる中、コロナ禍が明けると、在日外国人からの相談にある変化が生じます。入国規制の解除にともない日本への入国者数が増え、それに比例して、難民認定申請者や非正規滞在者など在留資格が不安定な外国人からの食料や住居を求める相談が急増しました。それまでは定住している在日外国人からの相談が大半を占めていましたが、相談者も相談内容も大きく変わったのです。長年にわたり難民支援に携わってきた吉野さんは、その背景をこう説明します。
吉野京子さん(以下、吉野)「難民認定申請者は、紛争や迫害などさまざまな事情から逃れる中、たまたま日本の観光ビザを取得して日本へ来たという方がほとんど。入国後に難民申請するものの、その多くは難民認定がおりないまま、在留資格がない状態で日本に留まることになります。在留資格がなければ行政サービスを受けられず、国民健康保険にも加入できず、働くこともできないため、生活は困窮し、路上生活に追いこまれる人も……。収入がなく、行政の支援にもつなげられない彼らを、民間の支援団体や個人だけで支えるのには限界があり、支援から取り残されていたのです」

「これは自分たちがやるべき問題」と判断したアクセプト・インターナショナルは、 NPO法人 青少年自立援助センターが公募していた2023年度緊急支援枠の休眠預金活用事業に申請。これに採択され、難民認定申請者と非正規滞在者に向けた緊急人道支援事業を始めます。具体的には、食料物資の支援や、一時的に住む場所を確保する緊急居住支援、日本語教育、利用できる支援サービスへの橋渡しなどです。また、アウトリーチの手段として、世界で普及しているメッセージングアプリの「WhatsApp」を活用。これにより、支援情報が瞬く間に拡散し、短期間で多くの支援を必要とする外国人にリーチすることができました。
取材時点(2025年1月28日)で、相談登録者は約170名。フードパントリーやWhatsAppを通して相談者のニーズを聞き取り、それぞれが必要とする支援を届けています。イスラム教徒にはハラル食品を、フルーツが必要な人にはパイナップルやミカンなどの缶詰を、自分で料理をしたい人には小麦粉や豆、オイルなどの食材を提供するなど、個々の希望に寄り添った支援を実施。食料以外にも、子どもがいる家庭には成長に合わせた衣服を、女性には生理用品を配るなど、生活状況に応じたきめ細かなサポートを行っています。
吉野「こちらが良かれと思って送った食料でも、相手にとってはそうではないことが何度かありました。そんなときは、『何か別のものが必要だったのかな?』と考えるようにしています。可能な限りどんなものが必要かを聞き取ることで、本当に必要なものを知ることができ、相手も『受け止めてもらえた』と安心してもらえます。その安心感が、信頼につながりますから」

日本語を学びたいというニーズも高く、希望者には週1回、1人30分のオンライン日本語教室を実施。授業を担当するメルテンス甲斐さんは、単なる言語学習にとどまらず、コミュニケーションの場としての役割も大切にしています。
メルテンス甲斐さん「家族友人と遠く離れ、コミュニティから隔絶された生活を送る受講者にとって、授業は人とつながることのできる数少ない機会です。雑談を交えたり、生活相談を受けたりすることで、少しでも孤立感の解消につながればと思っています」
一方、「相談を待つだけでなく、こちらから能動的にアプローチすることも大切」と話すのは、食料物資支援を担当する冨山里桜さん。
冨山里桜さん「相談者の中には、特にムスリマ(イスラム教徒の女性)のように、宗教的な背景や文化的な要因、周囲に頼れる人が少ないことなどから、支援を必要としていても声をあげられないケースもあります。実際、WhatsAppで連絡がつかないので訪問してみると、電気もガスも止まっていたという母子家庭のケースがありました。そうした方たちも取り残さないよう、こちらからこまめにコンタクトを取ることでフォローし、支援につなげるようにしています」
社会参加を通じて未来を切り開く支援のかたち
日本では難民認定率が低く、多くの難民認定申請者が中長期の展望を持ちにくい状況にあります。そんな中、「今回の事業では、まずは緊急支援として、難民認定申請者が人間として最低限の尊厳を保てることを第一の目標にしています」と吉野さん。その上で、専門家と連携し、相談者自身も交えて中長期的なプランを話し合い、日本で安定した生活を送るための法的支援も行っているそうです。また、在留資格がない外国人の子どもでも学校に通える制度を活用し、自治体と交渉して就学機会を確保するなど、今できる支援を重ねながら希望をつなげています。
こうした相談者のニーズを満たす支援だけでなく、相談者の主体性を促すはたらきかけも大切にしています。例えば、ガーナ人の青年に「公園で寝て過ごしているなら、うちへ来たら?」と事務所に誘ったところ、メンバーと一緒に食料物資支援の整理や荷物運びをするように。最初はほとんど口をきかなかったのが、今やアクセプト・インターナショナルの頼もしいメンバーになっているのだそうです。
永井「ボランティアでも小さいことでも、社会に参加することに大きな意義があります。困難な状況にある彼らだからこそ、できることがたくさんあるはず。その可能性に光を当て、引き出していくことも私たちの役割です。彼らが参加できる場をたくさんつくって、新たなステップにつながる機会を少しでも多く提供していきたいですね」

休眠預金活用事業をきっかけに生まれた3団体の連携
アクセプト・インターナショナルがこの事業を通じて得られた大きな成果の一つが、団体同士の連携です。同時期に休眠預金活用事業の実行団体として採択されたのを機に、Mother’s Tree Japan、つくろい東京ファンドの2団体とつながり、思いがけない強力な支援ネットワークが生まれました。例えば、路上生活をしていたムスリマの妊婦のケースでは、Mother’s Tree Japanが出産可能な病院を探し、イスラム教の文化に配慮して女医を手配。つくろい東京ファンドが居所を確保し、アクセプト・インターナショナルがハラル食品の提供を実施しました。各団体の専門性を活かした支援が迅速に展開され、適切なサポートを提供することができたのです。
吉野「自分たちが不得意なところは、得意な団体にお任せする大切さを改めて学びました。今も3団体で情報を共有しながら、連携を深めています」
「後進の育成」も今回の事業を通じて得られた大きな成果です。日本では難民支援の経験者が少ない中、今回の事業を通して若手メンバーが多様なケースを経験し、実践を積む機会を得ました。
吉野「若手メンバーが現場での経験を重ねることで、知識やノウハウをしっかり継承できました。今では、自ら判断し行動できるまでに成長し、今後のさらなる支援につながると期待しています」
アクセプト・インターナショナルは事業終了後も、当事者が中長期の展望を持てるよう、可能な限りバックアップを継続。「平和の担い手を増やす」活動として、テロ・紛争に関わる若者を保護する活動に加え、在日ムスリムのネットワーク強化など、国内外の活動に引き続き力を入れていきます。
永井「私は、テロリストも非行少年も、在日ムスリムも難民もみんな、社会の担い手、平和の担い手になれると心から思っています。これからも彼らに伴走し、その可能性を探り続けていくとともに、まだアプローチできていない『解決の担い手がいない難しい問題』にもチャレンジしていきます」

■資金分配団体POからのメッセージ
アクセプト・インターナショナルの強みは、「難しい問題こそ自分たちがやる」という高いプロフェッショナル意識と、海外で培った独自のノウハウにあると考えています。今回その強みを活かし、既存の支援団体では対応が難しかった在留資格が不安定な在日外国人への支援が可能になりました。また、私たちが資金分配団体を務めるにあたり重視していたのが、団体同士のつながりです。実際に実行団体間の連携が生まれ、情報共有も進んだことは、大きな成果の一つです。今後さらに、さまざまな強みを持つ団体同士の連携が進み、支援の輪が広がることを願っています。
(NPO法人 青少年自立援助センター YSC Global School/浅倉みさきさん)
【事業基礎情報】
実行団体 | 特定非営利活動法人 Accept International |
事業名 | 難民認定申請者及び非正規滞在者への緊急人道支援事業(2023年度緊急支援枠) |
活動対象地域 | 東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県 |
資金分配団体 | 特定非営利活動法人 青少年自立援助センター |
採択助成事業 | 急増する「海外にルーツを持つ子育て家庭・若者・困窮者」緊急支援事業 |
休眠預金活用事業の成果物として資金分配団体や実行団体で作成された報告書等をご紹介する「成果物レポート」。今回は、資金分配団体『公益財団法人南砺幸せ未来基金、公益財団法人東近江三方よし基金、公益財団法人うんなんコミュニティ財団 ローカルコミュニティファンド連合(以下、「HUN」)〈21年度通常枠〉』が作成したレポート『Consortium HUN 社会的困難者を支えるローカルアクション 事業報告書 2021ー2024年度』を紹介します。
Consortium HUN 社会的困難者を支えるローカルアクション 事業報告書 2021ー2024年度
公益財団法人南砺幸せ未来基金(富山県南砺市)は、公益財団法人東近江三方よし基金(滋賀県東近江市)、公益財団法人うんなんコミュニティ財団(島根県雲南市)とコンソーシアムを組み、2021年度通常枠(草の根活動支援事業)の資金分配団体(『東近江・雲南・南砺ローカルコミュニティファンド連合(HUN)』)として、「社会的困難者を支えるローカルアクション」事業を実施し、この度、同事業の富山県南砺市・滋賀県東近江市・島根県雲南市における活動をまとめた報告書を公開しました。
地方市域では、人口減少や超高齢化が進む中、自助、互助、共助、公助の仕組みが脆弱化し、地域全体の課題解決力が問われています。
3市では、小学校区や旧町域を基盤とした地域自治組織が立ち上がり、地域課題に取り組み一定の成果を挙げている一方で、行政や地域自治組織だけでは社会的困難者の実態把握や対応に限界があるのが現状です。
また、地域には社会的困難者を応援する意欲ある団体が存在しますが、人的・資金的な基盤が脆弱であり、さらなる応援が求められています。
こうした課題を解決するため、「複雑化・複合化した社会課題はローカルアクションでしか解決できない。」を合言葉に、東近江三方よし基金、うんなんコミュニティ財団、南砺幸せ未来基金の3つのコミュニティ財団が連携しました。
それぞれが持つ地域資源を活かし、多様な主体が協働して地域課題の解決に取り組むとともに、市民自らが応援する仕組みを構築することで、「未来資本」を創出する取り組みを進めています。
本事業は、これらの取り組みを全国に広げていく挑戦でもあります。
本報告書では、「休眠預金活用事業・2021年度通常枠・草の根活動応援事業・全国ブロック」の資金分配団体として、私たちが取り組んだ活動や成果、目標達成の状況をまとめています。
【事業基礎情報】
資金分配団体 | 公益財団法人南砺幸せ未来基金(コンソーシアム幹事団体) 〈コンソーシアム名〉 東近江・雲南・南砺 ローカルコミュニティファンド連合 【構成団体】 ・公益財団法人南砺幸せ未来基金 (幹事団体) ・公益財団法人東近江三方よし基金 ・公益財団法人うんなんコミュニティ財団 |
事業名 | 社会的困難者を支えるローカルアクション 〈2021年度通常枠〉 |
活動対象地域 | 富山県南砺市・滋賀県東近江市・島根県雲南市 |
実行団体 | ・躍動と安らぎの里づくり鍋山 ・株式会社CNC ・特定非営利活動法人まちづくりネット東近江 ・一般社団法人ぐるり ・特定非営利活動法人喜里 ・あそびばキッチン実行委員会 ・東近江FCレジリエンス ・お産&子育てを支える会 ・一般社団法人umi ・一般社団法人福野アソシエイツ ・特定非営利活動法人よってカフェ ・農事組合法人大鋸屋営農組合 |
事業完了にあたり、成果の取りまとめるために実施されるのが「事後評価」です。事後評価は、事業の結果を総括するとともに、取り組みを通じて得られた学びを今後に生かせるよう、提言や知見・教訓を整理するために行われます。今回は、2024年3月末に事業完了した2020年度通常枠【ローカルな総働で孤立した人と地域をつなぐ|東近江三方よし基金】の事後評価報告書をご紹介します。ぜひご覧ください。
事業概要等
事業概要などは、以下のページからご覧ください。
事後評価報告
事後評価報告書は、以下の外部リンクからご覧ください。
・資金分配団体
・実行団体
【事業基礎情報】
資金分配団 | 公益財団法人 東近江三方よし基金 [コンソーシアム構成団体] ・うんなんコミュニティ財団 ・公益財団法人 南砺幸せ未来基金 |
事業名 | ローカルな総働で孤立した人と地域をつなぐ <2020年度通常枠> |
活動対象地域 | 全国、市 |
実行団体 | ・一般社団法人 みかた麹杜 ・社会福祉法人 マーシ園 ・産前産後ケアはぐ ・うんなん多文化共生まちづくり協議会 ・3C「夢」Club実行委員会 ・株式会社 ガラパゴス ・湖東まちづくり ・一般社団法人 Team Norishiro ・なんとおせっ会 移住応援団 ・特定非営利活動法人 愛のまちエコ倶楽部 ・テラまちコネクト |
東京都を拠点に、ベトナム人技能実習生や留学生への支援活動を行う「日越ともいき支援会」。日本に在留するベトナム人の技能実習生や留学生の数は急増していますが、劣悪な環境に置かれていることも少なくありません。「日越ともいき支援会」は、そんなベトナム人の「駆け込み寺」として、住居の確保、帰国できない若者の保護、就労支援など、さまざまな活動を行っています。2020年度、2021年度の休眠預金活用事業(コロナ枠)では、コロナ禍で生活困窮者となった約1万人以上のベトナム人を支援してきました。今回は、コロナ禍、そして現在の支援事業について、同団体の代表理事・吉水慈豊さんにお話を伺いました。[コロナ枠の成果を探るNo.4]です。
「ベトナム人の命と人権を守る」活動を始めたきっかけとは
ベトナム人の命と人権を守る。これは、「日越ともいき支援会」が支援活動の目的として掲げているものです。吉水さんがこの思いを強く持つようになった理由は、幼少期まで遡ります。

吉水さんは埼玉県にある浄土宗寺院の出身で、住職であるお父様がベトナム人への支援を行っていました。お寺の離れにはベトナム人僧侶が暮らしていて、幼い頃からベトナム人とともに暮らしてきたのだそうです。
2013年頃から、吉水さんはお父様の支援活動のサポートを始めます。東京都港区の寺院を拠点にしていたこともあり、亡くなった技能実習生や留学生たちをベトナムに帰国させたり、お葬式をしたりといった支援を行っていました。そのような中、吉水さんが支援について深く考えるきっかけとなる出来事が起こります。
「その当時、支援を行っていた実習生の数人が自殺してしまったのです。『どうしてこんなことが起こってしまうのだろう』と、技能実習の制度などを調べました。そのとき『ベトナム人の命と人権を守るにはどうすればいいのか』と考えたことが、現在の支援活動の根っこの部分になっています」
その後、コロナ禍で保護しなければならないベトナム人が爆発的に増えたことを受けて、2020年1月にNPO法人として認証を受けました。
コロナ禍での物資支援や保護にくわえ、勉強会や就労支援も実施
コロナ禍では、職を失い困窮したベトナム人の若者が急増。約1万人に物資の支援を行い、数千人は港区の寺院などで一時的に保護をしました。
当時はベトナムが海外からの入国制限を実施したこともあり、ベトナムに帰れない若者が多くいました。妊婦や高齢者は帰国が優先されましたが、それ以外のベトナム人は帰国することができず、最大何万人というベトナム人が帰国待ちという状況に陥ったのです。
吉水さんは、彼らを保護すると同時に、出入国在留管理庁(入管庁)や法務省と掛け合い、在留資格の交付をお願いしました。その甲斐もあってか、国は技能実習生に対する雇用維持支援を発表。これは特定技能を目指す外国人に対し、最大で1年間の在留を認めるというものです。
ただし、日本で生活し続けるためには、在留期間中に特定技能試験に合格すれば良いという単純な話ではありません。「若者たちをただ保護するだけではダメで、日本語や特定技能試験の勉強もして、新しい職場に繋げていかなくてはならない。当時はかなり切羽詰まった状況で、物資支援や保護に加えて、勉強会などの支援を行っていました」

その際、役に立ったのがコロナ禍での助成金です。以前は寄付金で支援を行っていましたが、コロナウイルスの流行が長引くにつれ、それだけでは難しい状況になったそうです。
「衣食住の確保だけでも、かなりのお金がかかります。食費は毎日数万円かかっていましたし、着の身着のまま逃げていた人たちへは衣服の支援もしていたので、助成金の存在は本当に助かりました。また、勉強会には日本語の先生や、ベトナム語で教えられる留学生にも有償で来てもらっていました。ボランティアではなく有償でできたのは、助成金があったからにほかなりません」
ほかにも、妊産婦や病気になった人への医療支援にも力を入れています。技能実習生や留学生たちは日常会話レベルの日本語はできるものの、医療や法律に関する話を日本語でやりとりするのは難しく、日本人の支援が必要不可欠だと吉水さんは考えています。
SNSの活用など、ベトナム人の若者目線で考えた支援を
コロナ禍は数千人の保護を行ってきた「日越ともいき支援会」。それだけの規模で支援を行うとなると、お金はもちろん、人手も必要です。しかし、「日越ともいき支援会」のスタッフは日本人6人、ベトナム人12人の計18人のみ。スタッフだけでは到底この規模の支援は行えません。にもかかわらず、大規模な支援ができたのはなぜか——そのヒントは、各分野のスペシャリストとの連携にありました。
「たとえば、就労関係は連合東京、医療関係は病院の先生、行政関係は区役所の方といったように、専門分野の方々と連携して支援を行ってきました。こうした方々は、父の時代から繋がっている人もいましたし、テレビなどのメディアに取り上げられたことをきっかけに連絡をくれる方もいましたね」
吉水さんたちが自ら発信することはほとんどなかったそうですが、それでもたくさんのメディアが「日越ともいき支援会」を取り上げました。当時、東京を拠点とする支援団体のなかで「日越ともいき支援会」がかなり大規模だったことにくわえ、取材依頼を一切断らなかったことがメディア露出の機会を増やしたのでは、と吉水さんは考えています。
「業界の襟を正すにはメディアの力も重要です。技能実習制度の問題を多くの人に知ってもらうため、現在も技能実習生へのインタビューなどは積極的に受けています」
吉水さんたちが自ら発信することはほとんどなかったそうですが、それでもたくさんのメディアが「日越ともいき支援会」を取り上げました。当時、東京を拠点とする支援団体のなかで「日越ともいき支援会」がかなり大規模だったことにくわえ、取材依頼を一切断らなかったことがメディア露出の機会を増やしたのでは、と吉水さんは考えています。 「業界の襟を正すにはメディアの力も重要です。技能実習制度の問題を多くの人に知ってもらうため、現在も技能実習生へのインタビューなどは積極的に受けています」

支援する側の人手を充実させる一方で、もう一つ重要なのが、困窮しているベトナム人に支援の情報を届けること。「日越ともいき支援会」は約1万人へ物資支援、数千人の保護を行いましたが、これだけ大規模な支援ができた背景には、日頃からSNSでベトナム人と繋がる地道な活動がありました。
「コロナ前からFacebookのMessengerを通して、ベトナム人の若者と積極的に繋がっていたのです。『ベトナム人を助ける日本人がいる』ということを、ベトナム人コミュニティの中で周知することが大事だと考えていました」
その活動の成果は、コロナ禍に顕著に現れます。吉水さんのもとへ、ベトナム人からSOSの連絡がひっきりなしに届くようになったのです。こうしたSOSに対し、東京近辺に住んでいる人に対しては寺院に来てもらい、遠方で東京に来るお金がない人に対しては、東京までの交通費を振り込み、来てもらったのだそう。多いときには1日何百件と来ていたSOSを、吉水さんは一つも断りませんでした。

コロナが落ち着いた現在は、Facebookでベトナム人と繋がるのはもちろんのこと、TikTokを活用した啓発事業も実施。TikTokでは、日本の法律についてや、就労のための窓口紹介など、日本で生活するにあたって必要な事柄を伝えています。 「ベトナム人が使っているSNSはFacebookとTikTokが多いので、私たちもこの2つを活用しています。相談窓口などで『何かあったら電話して』と言われることも多いのですが、彼らはSIMカードを持っていない人がほとんど。自分のスマートフォンから電話ができないので、電話は手段としてはあまり意味がありません。支援を私たちの自己満足で終わらせないためにも、彼らの目線で考えることが重要です」
技能実習生の人権を守るために。重要なのは、しっかりとした支援体制の構築
コロナ禍ではさまざまな支援活動を行ってきましたが、なかでも印象に残っているのは、2022年11月に愛媛県西予市の縫製工場に対して、技能実習生11人への不払い金2,700万円の支払いを求めたこと。この問題が明るみに出ると、生産委託元のワコールホールディングスは技能実習生の生活を支援するとして、「日越ともいき支援会」に500万円の寄付をしました。ほかにも、問題を知ったいくつもの会社が声を上げたり、ニュースを見た一般の人から暖かい声をかけてもらったりしたといいます。
「厚生労働省の方に『歴史を変えてくれてありがとう』、周りの方からは『頑張ったね』などと声をかけてもらったことが本当に嬉しかったです。私としては特別頑張ったわけではなくて、いつも通りの支援をしていたのですが、その結果たくさんの人に知ってもらうことができました」

愛媛県西予市の縫製工場の問題は、不払い金の額も大きかったため、多くのメディアに取り上げられ話題になりました。しかし、これは氷山の一角に過ぎず、日本各地ではこうした不払い金問題をはじめとして、企業から不当に解雇されるなどトラブルが相次いでいます。
こうした状況を受けて、政府の有識者会議は2023年4月、現在の技能実習制度を廃止し、新しい制度へと移行する案を示しました。この新制度について、吉水さんは根本的な問題解決にはなっていないと話します。
「たとえば、現在は原則不可とされている転職について緩和の方針が示されていますが、転職できないから失踪などの問題が起こるわけではありません。何かあった際に技能実習生から相談を受けたり、支援したりする体制が機能していないことが問題なんです」
本来であれば、企業と技能実習生の間にトラブルが起こった場合、実習生の受け入れ先に指導を行う「監理団体」と呼ばれる組織や、監理団体から報告を受けるなどする「外国人技能実習機構」が問題解決や支援を行います。しかし、こうした仕組みが十分機能していないために、労働環境や人権侵害に関するトラブルが後を経たないと吉水さんは考えています。
「まずは監理団体、そのあとに外国人技能実習機構、と相談ステップを踏むわけですが、ここで問題解決に繋がらないと、実習生たちも諦めるしかなく失踪してしまうんです。その問題を解決しないまま転職の制限を緩和しても、『1年我慢して働いたら、より時給の高い東京に行こう』といった実習生が増えるだけ。まずはしっかりとした支援体制を構築することが必要だと思います」

技能実習生を取り巻く環境は少しずつ変化の兆しを見せていますが、現在も「日越ともいき支援会」には日々相談やSOSの連絡が届きます。吉水さんはこうした現場の声を東京出入国在留管理局や厚生労働省に届け、ベトナム人の保護や支援だけでなく、国側にも支援の充実を図るよう働きかけています。
日本人とベトナム人がともに生きる社会を目指して、「日越ともいき支援会」はこれからもベトナム人の命と人権を守る活動を続けていきます。
事業基礎情報【1】
実行団体 | 特定非営利活動法人 ⽇越ともいき⽀援会 |
事業名 | 在留外国人コロナ緊急支援事業 |
活動対象地域 | 全国 |
資金分配団体 | 特定非営利活動法人 ジャパン・プラットフォーム |
採択助成事業 | 2020年度新型コロナウイルス対応支援助成<随時募集3次> |
事業基礎情報【2】
実行団体 | 特定非営利活動法人 ⽇越ともいき⽀援会 |
事業名 | 在留外国人コロナ緊急支援事業 |
活動対象地域 | 全国 |
資金分配団体 | 公益財団法人 日本国際交流センター |
採択助成事業 | 2021年度新型コロナウイルス対応支援助成<随時募集7次> |
内 容
00:00:00 開会
00:00:12 開会挨拶
00:01:21 事業概要
00:07:50 11団体の事業報告
00:44:35 事業実施によって明らかになった事象や気付きに関する報告
00:56:10 本事業の特徴(JANPIAのプログラムオフィサーからの視点)
01:06:54 パネルディスカッション 「市域におけるコミュニティ財団と旧身預金活用」
01:47:09 閉会挨拶
主 催
公益財団法人 東近江三方よし基金 https://3poyoshi.com/
公益財団法人 うんなんコミュニティ財団 https://www.unnan-cf.org/
公益財団法人 南砺幸せ未来基金 https://www.nantokikin.org/
後 援
一般財団法人 日本民間公益活動連携機構(JANPIA)
事業完了にあたり、成果の取りまとめるために実施されるのが「事後評価」です。事後評価は、事業の結果を総括するとともに、取り組みを通じて得られた学びを今後に生かせるよう、提言や知見・教訓を整理するために行われます。今回は、2022年3月末に事業完了した2019年度通常枠【NPOによる協働・連携構築事業|中部圏地域創造ファンド】の事後評価報告書をご紹介します。ぜひご覧ください。
事業概要等
事業概要などは、以下のページからご覧ください。
事後評価報告
事後評価報告書は、以下の外部リンクからご覧ください。
・資金分配団体
・実行団体
【事業基礎情報】
資金分配団 | 一般財団法人 中部圏地域創造ファンド |
事業名 | NPOによる協働・連携構築事業 〜寄り添い型包括的支援で困難な課題にチャレンジ!創造性を応援!〜 <2019年度通常枠> |
活動対象地域 | 中部圏(長野、岐阜、静岡、愛知、三重の5県) |
実行団体 | ・特定非営利活動法人 アイダオ ・特定非営利活動法人 侍学園スクオーラ・今人 ・特定非営利活動法人 上田映劇 ・愛知県県営住宅自治会連絡協議会 ・県営保見自治区 ・特定非営利活動法人 トルシーダ ・保見プロジェクト(中京大学) ・外国人との共生を考える会 ・特定非営利活動法人 かしもむら ・特定非営利活動法人 馬瀬川プロデュース ・一般社団法人 aichikara ・学生団体 加子母木匠塾 |
事業完了にあたり、成果の取りまとめるために実施されるのが「事後評価」です。事後評価は、事業の結果を総括するとともに、取り組みを通じて得られた学びを今後に生かせるよう、提言や知見・教訓を整理するために行われます。今回は、2022年3月末に事業完了した2019年度通常枠【孤立状態の人につながりをつくる|信頼資本財団】の事後評価報告書をご紹介します。ぜひご覧ください。
事業概要等
事業概要などは、以下のページからご覧ください。
事後評価報告
事後評価報告書は、以下の外部リンクからご覧ください。
・資金分配団体
・実行団体
【事業基礎情報】
資金分配団 | 公益財団法人 信頼資本財団 |
事業名 | 孤立状態の人につながりをつくる <2019年度通常枠> |
活動対象地域 | 近畿 |
実行団体 | ・一般社団法人 Team Norishiro ・immi lab ・わをんソーシャルサポートシステム 株式会社 ・お産&子育てを支える会 ・特定非営利活動法人 釜ヶ崎支援機構 ・特定非営利活動法人 こどもソーシャルワークセンター ・一般社団法人 SPSラボ 若年認知症サポートセンター きずなや ・一般社団法人 KYOTOGRAPHIE |