休眠預金活用事業に係るイベント・セミナー等をご案内するページです。今回は、公益財団法人ちばのWA地域づくり基金主催「若者の就労について考える地域円卓会議」を紹介します。
若者の就労について考える地域円卓会議
~働きたいけど働けない若者が自分に合った一歩を踏み出せる環境をつくるために、東葛・葛南地域でできることを考える~
ちばのWA地域づくり基金は、2023年度通常枠で「若年就労困難者のための包括的就労支援事業」を実施しています。
本事業では、働きづらさを抱える若者が自分に合った働き方や仕事を選択できる地域社会になることを目指し、市川市・柏市の3つの就労支援団体と連携して事業に取り組んでいます。
今回の円卓会議では、若年就労困難者を取り巻く課題や現状の施策について確認し、働きづらさを抱えた若者が自分に合った一歩を踏み出せる環境をつくるために、東葛・葛南地域でできることを考えます。
テーマに関心のある方はどなたでもご参加いただけます。ぜひお気軽にご参加ください!
【イベント情報】
日時 | 2025年9月2日(火)14:00 – 17:00(受付開始:13:40) |
開催形式 | 現地開催 |
会場 | アミュゼ柏プラザ (JR東武線「柏駅」東口より徒歩7分) (〒277-0005 千葉県柏市6-22-22)【MAP】 |
定員 | 50名(※定員になり次第締め切りとさせていただきます) |
対象 | テーマに関心のある方はどなたでもご参加いただけます |
参加費 | 無料 |
タイムテーブル(予定) | <テーマ> 働きたいけど働けない若者が自分に合った一歩を踏み出せる環境をつくるために、東葛・葛南地域でできることを考える 13:40 開場・受付開始 14:00 オープニング 地域円卓会議について 14:10 論点提供 14:30 セッション①(兼着席者紹介) 15:45 サブセッション兼休憩 (3-4人グループで意見交換を行います) 16:20 セッション② 16:50 ふりかえり・まとめ 17:00 円卓会議 終了 |
登壇者 | 【論点提供者】 ・塚田 輝 (公益財団法人ちばのWA地域づくり基金 プログラムオフィサー) 【着席者】 ・内山 和崇 氏 (千葉県商工労働部 雇用労働課 若年者雇用推進班 副主査) ・野村 聡 氏 (柏市 障害福祉課 副参事) ・藤沢 殊恵 氏 (いちかわ・うらやす若者サポートステーション 総括コーディネーター) ・知名 青子 氏 (独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター 障害者支援部門 上席研究員) ・五味 秀俊 氏 (一般社団法人千葉県中小企業家同友会 障がい者雇用と多様な働き方を考える委員会 委員長) ・小和田 尚子 氏 (NPO法人青少年就労支援ネットワーク静岡 共同代表理事) 【司会進行】 ・大村 みよ子 (公益財団法人ちばのWA地域づくり基金 プログラムオフィサー) |
主催 | 公益財団法人ちばのWA地域づくり基金 |
お申込み | 参加ご希望の方は、以下のQRコードを読み込み、必要事項をご記入の上お申し込みください 【申込締切】2025年9月1日(月)正午 (※締め切り前でも定員になり次第締め切りとさせていただきます) |
お問い合わせ | 公益財団法人ちばのWA地域づくり基金(担当:大村・塚田) [TEL]043-239-5335 [MAIL]info@chibanowafund.org |
休眠預金活用事業の成果物として資金分配団体や実行団体で作成された報告書等をご紹介する「成果物レポート」。今回は、資金分配団体 中国5県休眠預金等活用コンソーシアム(特定非営利活動法人ひろしまNPOセンター、公益財団法人とっとり県民活動活性化センター、公益財団法人ふるさと島根定住財団、特定非営利活動法人岡山NPOセンター、特定非営利活動法人やまぐち県民ネット21)が発行したレポート『2021年度通常枠 中国5県休眠預金等活用コンソーシアム休眠預金活用事業報告書』を紹介します。
2021年度通常枠 中国5県休眠預金等活用コンソーシアム休眠預金活用事業報告書 [2021.10-2025.3]
~人口や機会、経済などさまざまな格差の是正に向けて~
「中国5県休眠預金等活用事業2021」では、資金分配団体5団体と、中国地方5県に香川県を加えた実行団体7団体の計12団体が、多様な格差の是正をテーマに活動を行いました。
実行団体は、その専門性や地域性を活かし、体験機会の創出、支援環境の整備、地域経済の活性化、関係人口の増加といった活動を通じて、人口の格差、機会の格差、経済の格差の是正に取り組みました。資金分配団体である『中国5県休眠預金等活用コンソーシアム』は、社会的インフラの格差(特に地方や人口が少ない地域における市民活動団体の不足)に注目し、実行団体の事業支援や組織基盤の強化に取り組みました。
この報告書では、公募で採択された実行団体と資金分配団体の社会課題解決に向けた活動の成果や課題、そしてこれからの展望をまとめています。
【事業基礎情報】
資金分配団体 | 特定非営利活動法人 ひろしまNPOセンター |
公益財団法人 とっとり県民活動活性化センター | |
公益財団法人 ふるさと島根定住財団 | |
特定非営利活動法人 岡山NPOセンター | |
特定非営利活動法人 やまぐち県民ネット21 | |
事業名 | 中国5県休眠預金等活用事業2021 |
活動対象地域 | 中国地方、香川県 |
実行団体 | 一般社団法人 フウド |
特定非営利活動法人 ほほえみの郷トイトイ | |
一般社団法人 鳥取クリエイティブプラットフォーム | |
ワークアット株式会社 | |
特定非営利活動法人 妊娠しぇるとSOS | |
特定非営利活動法人 未来ISSEY | |
特定非営利活動法人 三段峡-太田川流域研究会 |
事業完了にあたり、成果の取りまとめるために実施されるのが「事後評価」です。事後評価は、事業の結果を総括するとともに、取り組みを通じて得られた学びを今後に生かせるよう、提言や知見・教訓を整理するために行われます。今回は、2025年3月末に事業完了した2021年度通常枠【シングルマザーのデジタル就労支援|グラミン日本[21年度通常枠]】の事後評価報告書をご紹介します。ぜひご覧ください。
事業概要等
事業概要などは、以下のページからご覧ください。
事後評価報告
事後評価報告書は、以下の外部リンクからご覧ください。
・資金分配団体
・実行団体
【事業基礎情報】
資金分配団 | 一般社団法人 グラミン日本 |
事業名 | シングルマザーのデジタル就労支援 <2021年度通常枠> |
活動対象地域 | 東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県 |
実行団体 | ・株式会社 IKEZOE TRUST ・特定非営利活動法人 シングルマザーズシスターフッド ・一般社団法人 ハートフルファミリー ・Animo Plus株式会社 |
事業完了にあたり、成果の取りまとめるために実施されるのが「事後評価」です。事後評価は、事業の結果を総括するとともに、取り組みを通じて得られた学びを今後に生かせるよう、提言や知見・教訓を整理するために行われます。今回は、2025年3月末に事業完了した2021年度通常枠【誰もが活躍できる信州「働き」「学び」「暮らし」づくり事業|長野県みらい基金[21年度通常枠]】の事後評価報告書をご紹介します。ぜひご覧ください。
事業概要等
事業概要などは、以下のページからご覧ください。
事後評価報告
事後評価報告書は、以下の外部リンクからご覧ください。
・資金分配団体
・実行団体
【事業基礎情報】
資金分配団 | 公益財団法人 長野県みらい基金 |
事業名 | 誰もが活躍できる信州「働き」「学び」「暮らし」づくり事業 <2021年度通常枠> |
活動対象地域 | 長野県内 |
実行団体 | ・長野県農業協同組合中央会 ・社会福祉法人 長野県社会福祉協議会 ・般社団法人 佐久産業支援センター ・特定非営利活動法人 長野県PS・ふくしネットセンターやさしなの ・一般社団法人 South-Heart ・株式会社 みみずや ・株式会社 イーエムアイ・ラボ |
休眠預金活用事業に係るイベント・セミナー等をご案内するページです。今回は、NPO法人青少年自立支援センター、公益財団法人日本国際交流センター共催「初めて外国ルーツ当事者と出会う支援者に知ってほしい―外国ルーツ支援・基本のき― 」を紹介します。
初めて外国ルーツ当事者と出会う支援者に知ってほしい
―外国ルーツ支援・基本のき―
近年、在留外国人が増加しているのはご存じですか?生活の中で外国ルーツの方を目にする機会も増えているのではないでしょうか。もしかしたら既に皆様の支援現場にも外国籍、外国ルーツの方々がつながり始めているかもしれません。その際、どのように対応したらよいのだろうと悩むことはありませんか?
例えば、子ども食堂にイスラム教徒のお子さんがつながってきたり、生活相談の現場に日本語が話せない方々が来たりすることもあるのではないでしょうか。
本セミナーでは、2010年度より外国にルーツを持つ子供・若者を対象に日本語教育、教科学習支援、進学・就労支援などを実施してきたYSC・グローバルスクールが、外国ルーツ支援の現状や課題を整理しつつ、支援を考える上での基本となるポイントをお伝えいたします。
また、今夏から公募を始める予定の休眠預金活事業の支援対象団体向け「外国ルーツ支援における地域的・分野的広がり応援事業」のプレ説明会も実施いたします。
【イベント情報】
日時 | 2025年6月11日(水)13:00~14:30(※途中入退室可) |
開催形式 | オンライン配信(Zoom) ※開催日前日にZOOMのURLをご連絡いたします。※希望者には、後日配信をいたします。 |
参加費 | 無料 |
内容 | ①ソーシャルセクターにおける外国ルーツの現状と課題の整理 ➁休眠預金活用事業 支援対象団体向け「外国ルーツ支援における地域的・分野的ひろがり応援事業」(研修、基盤整備等)の説明 |
登壇者 | NPO法人青少年自立援助センター 定住外国人支援事業部責任者 田中 宝紀(たなか いき) |
共催 | NPO法人青少年自立支援センター 公益財団法人日本国際交流センター |
お申込み | 事前申し込み制 ※希望者のみ後日配信有 参加・後日配信希望の申し込みはこちら(2025年6月10日午後12時まで) https://forms.gle/sxUkmPfPgYse2AHc8 ![]() |
お問い合わせ | NPO法人青少年自立支援センター [E-mail]activity-support-24@npo-ysc.jp |
休眠預金活用事業の成果物として資金分配団体や実行団体で作成された報告書等をご紹介する「成果物レポート」。今回は、実行団体 宝塚NPOセンター作成したレポート『「With」事業報告書2022.3-2025.2』を紹介します。
「With」事業報告書2022.3-2025.2
認定NPO法人宝塚NPOセンター(兵庫県宝塚市)は、一般社団法人 全国古民家再生協会(東京都千代田区)の2021年度「空き家・古民家を活用した母子家庭向けハウス設立事業」で実行団体として「孤立孤独/生活苦を抱える若者への緊急支援事業」事業を実施しました。
宝塚市内在住、あるいは宝塚市に転居を希望する“非正規雇用で働く母親とその子どもで構成されているひとり親世帯”を対象にしたシングルマザーハウス「With」での活動をまとめた事業報告書を公開します。
【事業基礎情報】
実行団体 | 認定特定非営利活動法人 宝塚NPOセンター |
事業名 | 地域で支える母子ハウス事業 |
活動対象地域 | 兵庫県宝塚市 |
資金分配団体 | 一般社団法人 全国古民家再生協会 |
事業完了にあたり、成果の取りまとめるために実施されるのが「事後評価」です。事後評価は、事業の結果を総括するとともに、取り組みを通じて得られた学びを今後に生かせるよう、提言や知見・教訓を整理するために行われます。今回は、2024年3月末に事業完了した2020年度通常枠【コレクティブインパクトによる地域課題解決|社会変革推進財団】の事後評価報告書をご紹介します。ぜひご覧ください。
事業概要等
事業概要などは、以下のページからご覧ください。
事後評価報告
事後評価報告書は、以下の外部リンクからご覧ください。
・資金分配団体
・実行団体
【事業基礎情報】
資金分配団 | 一般財団法人 社会変革推進財団 |
事業名 | コレクティブインパクトによる地域課題解決 <2020年度通常枠> |
活動対象地域 | 全国 |
実行団体 | ・特定非営利活動法人 但馬を結んで育つ会 ・一般社団法人 東の食の会 ・特定非営利活動法人 空家・空地活用サポートSAGA ・特定非営利活動法人 Local Life Design |
事業完了にあたり、成果の取りまとめるために実施されるのが「事後評価」です。事後評価は、事業の結果を総括するとともに、取り組みを通じて得られた学びを今後に生かせるよう、提言や知見・教訓を整理するために行われます。今回は、2024年3月末に事業完了した2020年度通常枠【ローカルな総働で孤立した人と地域をつなぐ|東近江三方よし基金】の事後評価報告書をご紹介します。ぜひご覧ください。
事業概要等
事業概要などは、以下のページからご覧ください。
事後評価報告
事後評価報告書は、以下の外部リンクからご覧ください。
・資金分配団体
・実行団体
【事業基礎情報】
資金分配団 | 公益財団法人 東近江三方よし基金 [コンソーシアム構成団体] ・うんなんコミュニティ財団 ・公益財団法人 南砺幸せ未来基金 |
事業名 | ローカルな総働で孤立した人と地域をつなぐ <2020年度通常枠> |
活動対象地域 | 全国、市 |
実行団体 | ・一般社団法人 みかた麹杜 ・社会福祉法人 マーシ園 ・産前産後ケアはぐ ・うんなん多文化共生まちづくり協議会 ・3C「夢」Club実行委員会 ・株式会社 ガラパゴス ・湖東まちづくり ・一般社団法人 Team Norishiro ・なんとおせっ会 移住応援団 ・特定非営利活動法人 愛のまちエコ倶楽部 ・テラまちコネクト |
2023年3月よりJANPIAで活動を始めたインターン生の「活動日誌」を発信していきます。第2回は、21年度通常枠の実行団体である社会福祉法人 長野県社会福祉協議会〈コンソーシアム申請〉(資金分配団体:公益財団法人長野県みらい基金)の取り組みについてのリポートです!
JANPIAにてインターン生として活動しているSです。
今回は長野県社会福祉協議会にお邪魔し、社会的養護の取組についてお話を伺ってきました。
その内容をレポートします。
1. 長野県社会福祉協議会とは
長野県社会福祉協議会(以後、長野県社協)は、昭和26年(1951年)に設立された団体で、長野県における社会事業や社会福祉を目的とする事業の健全な発達及び、社会福祉に関する活動の活性化により、地域福祉の推進を図ることを目的とした団体です。
現在では、「ともに生きる ともに創る 地域共生・信州」を目標に、様々な個性や多様性を持つ人々が人のあたたかさに包まれる地域の中で安心して暮らすことができ、その人らしい居場所を出番がある地域共生社会の実現を目的とした様々な取り組みを行っています。
長野県社協は公益財団法人長野県みらい基金が実施する21年度通常枠事業「誰もが活躍できる信州「働き」「学び」「暮らし」づくり事業」にて事業申請し、「社会的養護出身の若者の支援」を行う、実行団体として採択を受け活動を行っています。
2.「社会的養護出身の若者サポートプロジェクト」を始めた経緯
今回は長野県社協の数多くある取り組みの中から、「社会的養護出身の若者サポートプロジェクト」について。長野県社協常務理事の竹内さん、まちづくりボランティアセンター所長の長峰さん、若者支援担当職員の傳田さん、専門員の横山さんにお話を伺って来ました。

2-1. 「社会的養護」って?
「社会的養護」という言葉は聞き馴染みのない言葉ですが、こども家庭庁の定義によると「保護者のない児童や、保護者に監護させることが適当ではない児童を、公的責任で社会的に養育し、保護するとともに、養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行うこと」とされています。
長野県には現在14か所児童養護施設が存在し、約400名近くの児童がそこで生活をしています。
2-2. なぜ社会的養護出身の若者の支援を始めたのか?
取材前から疑問に感じていた、社会的養護出身の若者の支援を始めるにあたった経緯をお尋ねしたところ、その経緯は意外なものでした。

長野県社協は、長野県を襲った台風19号の災害を受けて、20年度に休眠預金活用事業でシェアハウスに人を呼ぶ事業を開始しました。そのシェアハウスにコロナで収入が減った若者から入居の相談があり彼らの事情を聞くことに。すると若者のなかでも特に社会的養護出身の若者が直面する困難が浮き彫りになり衝撃を受けたそうです。
現行の法制度では、社会的養護に該当するのは「児童福祉法」の範囲内の18歳まで。18歳を超えると公的な支援が一切途切れてしまい、社会的養護施設を出た若者は十分な支援も受けられない中で社会に参画しなければならないという現状が存在するとのこと。
これまで、社会的福祉の分野であまり焦点が当てられてこなかった、「社会的養護出身の若者」を支援する事業を始めることになったそうです。
2-3. 社会的養護出身の若者の支援を始める上での課題
社会的養護出身の若者の支援を始める上で、長野県社協が抱えていた課題は、専門性やノウハウが不足していたということでした。
そこで養護施設で長年勤務し現場の実情に精通している傳田さんをチームに加え、児童養護施設への働きかけを始めたそうです。

傳田さんは養護施設側が抱えている課題についてこう語って下さいました。
「養護施設の園長さんなどは、外部との交流がなく、行政などの支援の情報などが耳に入ることが少ない。また、自分たちでなんとかしようとする意識が強く、同じ地域にいても社協などとの連携もなく、どうしてもサポートの幅が狭くなってしまう」
このような課題認識の下、様々な地域の社協やNPO、企業を巻き込んだ支援の枠組みについて説明して下さいました。
3. 「長野県社会福祉協議会」の取り組み
ここからは長野県社協が社会的養護出身の若者に対して行っている、「まいさぽ」を通じた就労支援、「どこでも実家宣言」について取材した内容を紹介します。
3-1. 「まいさぽ」について
長野県社協では、既存の事業である「まいさぽ」と児童養護施設との連携事業を進めています。
「まいさぽ」とは、相談支援員や就労支援員が相談者との面談を通してニーズを把握し、相談者の状況に応じた支援が行われるよう、共にサポートプランを作成し、様々な支援につなげる事業です。
この「まいさぽ」の就労支援の中の「プチバイト」に児童養護施設の若者をつなげるという取り組みが、長野県社協が児童養護施設との連携で進めている事業内容です。
プチバイトとは、社会福祉法人経営者協議会の会員から協賛を募り、地域の協力事業所で職場体験したまいさぽの相談者に1時間800円の給付を行う事業です。職場体験きっかけとして社会との関係をつなぎ直し、就労の機会を開いていくことが目的とされています。
児童養護施設にいる若者は、「人(大人)が苦手」「コミュニケーションが苦手」といった人や社会に対しての恐怖心などが強く、成功体験が少ないという課題を抱えている人も少なくないそうです。
そんな彼らに対して、「プチバイト」という試験的な形で若者が抱える課題に対して理解のある事業者の元で就労体験を積むことのできる枠組みを用意したことには効果があったと傳田さんは語ります。
実際に「プチバイト」に参加した高校3年生のKさんは、以前務めていたバイト先はどこも長く続かず、社会参画に苦手意識を感じていた状態から、就労先での業務に楽しさを覚え、その会社への就職を希望するようになったそうです。
3-2. 「どこでも実家宣言」の広がり
傳田さんが紹介して下さった長野県社協が取り組んでいるもう一つの事業として、「どこでも実家宣言」があります。
「どこでも実家宣言」とは、親の支えがなく社会に参画する若者にとって、市町村社協が「実家」のように安心できて頼ることができる場所として機能するようにという目的で新しく傳田さんたちが始めた事業です。
長野県にある各市町村の社会福祉協議会に働きかけ、どの社協にも下記の写真のような「どこでも実家宣言」の設置を目指しているそうです。現在、「どこでも実家宣言」に参画している長野県内の社協は33件(2023年8月29日現在)に及び、地域・エリアを超えてこどもや若者をサポートする環境の整備にむけての取り組みを進めています。
4. さいごに
今回インタビューをさせて頂いた長野県社協での取り組みの中で痛感したのは、地域として社会参画に課題を抱える若者などをサポートしていく体制の重要さです。
「どこでも実家宣言」のような若者が安心感ももって頼ることのできる暖かさを感じさせる取り組みや、傳田さんの「成功体験を積ませてあげる必要がある」といった言葉に表れていたような、地域として若者が一歩ずつ前に進んでいける環境をつくること。
そういった「ソフト」な働きかけの重要性を今回の取材で学ばせて頂きました。
■ 事業基礎情報
実行団体 | 社会福祉法人 長野県社会福祉協議会〈コンソーシアム:幹事団体〉 〈構成団体〉 |
事業名 | 社会的養護出身の若者サポートプロジェクト |
活動対象地域 | 長野県内全域 |
資金分配団体 | 公益財団法人 長野県みらい基金 |
採択助成事業 | 2021年度通常枠 |
JANPIAは2023年12月1日、日本財団主催の「アジア・フィランソロピー会議 2023」の中で、「多様な「はたらく」、「まなぶ」の意思を尊重、機会創出の実現へ! ~休眠預金活用事業の事例から~」というセッションを企画・発表しました。「アジア・フィランソロピー会議」は、アジア地域におけるフィランソロピー活動に焦点を当てた国際的な会議で、今回のテーマは、 DE&I(多様性、公平性、包括性)。JANPIAのセッションでは、今回のテーマに関わる事業に取り組まれている実行団体の代表者と、休眠預金活用事業の可能性などについて対話しました。
活動概要
2023年12月1日、公益財団法人 日本財団の主催による「アジア・フィランソロピー会議」が、ホテル雅叙園東京にて開催されました。2回目の開催となる今回は、「DE&I(多様性、公平性、包括性)」(※1)をテーマとし、社会課題の解決に取り組む財団をはじめとしたアジアのフィラソロピーセクターのリーダーが一堂に会し、各セッションに分かれ様々な議論が行われました。
同会議のパラレルセッション4にて、JANPIAは、『多様な「はたらく」、「まなぶ」の意思を尊重、機会創出の実現へ!~休眠預金活用事業の事例から~』と題し、休眠預金活用事業の事例を紹介しました。
セッション4の様子は、動画と記事でご覧いただけます。

※1:「DE&I」は、Diversity(ダイバーシティ、多様性)、Equity(エクイティ、公平性)、Inclusion(インクルージョン、包括性)の頭文字を取った略称。
活動紹介
休眠預金活用事業説明(JANPIA)

はじめに、JANPIA 事務局長の大川より、休眠預金活用事業の紹介と今回のセッションの説明をしました。 「休眠預金等活用法よりJANPIAが2019年に指定活用団体に選定されて以来、全国で1,000を超える実行団体が休眠預金を活用し、社会課題の解決に取り組んでいます。今回は、その中から、今回の会議のテーマに合った事業に取り組まれている団体の代表者をお招きしました。会場やオンラインの皆様含めて、様々な観点から意見交換できたらと思います。」
▲JANPIA 事務局長 大川 資料〈PDF〉|休眠預金活用事業説明|JANPIA[外部リンク]
各団体の取り組み
[1]一般社団法人 ローランズプラスの事例紹介
株式会社ローランズ 代表取締役 / 一般社団法人 ローランズプラス 代表理事 福寿 満希氏
福寿:私たちは東京都の原宿をメイン拠点としながら、花や緑のサービスを提供している会社です。特徴的なのは、従業員80名のうち7割の約50名が、障害や難病と向き合いながら働いているということです。私たちは、「排除なく、誰もが花咲く社会を作る」をスローガンとしており、Flower&Green事業、就労継続支援事業、障害者雇用サポート事業の大きく3つの活動を行っています。

休眠預金活用事業には、過去に3回採択されています。1つ目の「障害者共同雇用の仕組み作り」という事業(※2)は、READYFOR株式会社が資金分配団体で、新型コロナウイルス対応緊急支援助成で採択されました。コロナ禍により、障害当事者の方たちの失業率が高まり、特に中小企業での雇用維持が大変でした。1社だけでは雇用が難しいため、例えば10企業でグループを作り、グループ全体で仕事をつくり、雇用を生み出していきましょうという仕組みづくりです。この事業によって30名程の新しい雇用が生まれ、助成終了後の今も、自走してしっかり回っている状態になっています。
2つ目は、「花を通じた働く人のうつ病予防project」事業(※3)です。資金分配団体は、特定非営利活動法人 こどもたちのこどもたちのこどもたちのために 様で、花を通してうつ病を予防していくという取り組みです。企業の花を通じたウェルネスプログラムとして、会社から従業員に対して、10分割できる花をプレゼントし、10人に「ありがとう」を伝える機会をプレゼントします。ある調査では、「ありがとう」の言葉は、伝える側の方が幸福度が高くなるというデータが出ています。「ありがとう」の伝えることの重要性を知り、求めるのではなく、自発的にその言葉を伝えていければ、幸福度が高まる機会が増え、結果的にうつ病が予防されていく仕組み作りに挑戦しています。3年間で4千人へアプローチすることを目標に取り組んでいます。
3つ目は、資金分配団体である株式会社トラストバンク 様と取り組んでいる「地域循環型ファームパーク構築」事業(※4)です。神奈川県横須賀市で花の生産と体験型農業(ファームパーク)の運営を行うことで、地域の障害当事者の就労機会を創ることに取り組んでいます。慣れ親しんだ地域に仕事を作り、障害当事者が地元で活き活きと働き、その対価を得ながら地域循環の元で生活をしていけるモデルを作ろうとしています。横須賀地域の福祉団体と連携して、福祉団体から採用していくという流れをとっています。先ずは横須賀で形をつくり、そこから、その他の地域循環モデルが広がっていったら良いなと思い取り組んでいます。

※2:2020年度 緊急枠 「ウィズコロナ時代の障がい者共同雇用事業」
(資金分配団体:READYFOR株式会社)【関連記事】ウィズコロナ時代の障がい者共同雇用
※3:2022年度 通常枠 「植物療法を通じた働く人のうつ病予防プロジェクト」
(資金分配団体:特定非営利活動法人 こどもたちのこどもたちのこどもたちのために〈イノベーション企画支援事業〉)
※4:2022年度 通常枠 「障がい当事者が活躍できる地域循環型ファームパーク構築事業」
(資金分配団体:株式会社トラストバンク〈ソーシャルビジネス形成支援事業〉)
[2]認定NPO法人 グッド・エイジング・エールズの事例紹介
認定NPO法人 グッド・エイジング・エールズ 代表 松中 権氏
松中:まず「プライドハウス東京」というプロジェクトについてご説明します。まだまだ社会の中にはLGBTQ+(※5)の方への差別偏見があり、孤独感を感じている方も少なくありません。そこで、性的マイノリティの方々が横で繋がったり、安心・安全に訪れることができる場所をつくろうという取り組みが、「プライドハウス東京」です。2023年11月現在、31の団体・専門家、32の企業、19の駐⽇各国⼤使館などと連携して取り組んでいます。

【関連記事】
世界でいちばんカラフルな場所を目指して!| グッド・エイジング・エールズ 松中権さん × エッセイスト 小島慶子さん【聞き手】
「プライドハウス東京」設立プロジェクトは、特定非営利活動法人エティックが資金分配団体を務める事業で採択され(※6)、当初は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の時期に合わせて期間限定の場所をつくり、その後、2022年頃に常設の大型のセンターを造ろうという計画でした。
しかし2020年に緊急アンケートを行ったところ、新型コロナウイルス感染拡大の影響でLGBTQ+の若者が大変な状況にあるということが分かってきました。実は、73.1%の方々が、同居人の方との生活に困難を抱えていることが分かりました。また、36.4%のLGBTQ+の若者が、コロナ禍でセクシュアリティについて安⼼して話せる相⼿や場所との繋がりを失ってしまったと回答しました。この緊急アンケートによって明らかになった「居場所のニーズ」により、当初の計画を前倒しし、2020年の秋、常設のセンターを開設することになりました。
LGBTQ+に関する様々な調査の中で、政府も調査していることの一つが自殺の事です。政府が自殺対策の指針として定める「自殺総合対策大綱」によると、性的マイノリティはハイリスク層と言われています。そうした方々が、安心・安全に集えるようなコミュニティスペースが、「プライドハウス東京レガシー」です。また、休眠預金を活用した事業が動き出したことによって、「プライドハウス東京」に関する高い信頼が得られ、翌年には厚生労働省の自殺対策(自殺防止対策事業)の交付金を受けることになりました。自殺対策の相談窓口は電話やSNSが多いですが、「プライドハウス東京レガシー」では、対面型の相談サービスを提供しています。2023年11⽉現在の来館者数は、延べ1万人を超えたというところです。

※5:LGBTQ+…レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランジェンダー、クエスチョニング(自分の性別や性的指向に疑問を持ったり迷ったりしている人)/ クィア(規範的な性のあり方に違和を感じている人や性的少数者を包摂する言葉)の英語表記の頭文字を並べ、LGBTQだけではない性の多様性を「+」で表現している。
※6:2019年度 通常枠
「日本初の大型総合LGBTQセンター「プライドハウス東京」設立プロジェクト」
(資金分配団体:特定非営利活動法人エティック(子どもの未来のための協働促進助成事業))
パネルセッション
続いて、JANPIA 加藤の進行により、パネルセッションが行われました。本セッションでは、お互いの発表に対する意見交換から始まり、続いて今回のテーマである「DE&I(多様性、公平性、包括性)」について、そして最後に、休眠預金活用事業への期待や展望について、登壇者の二人からお話を伺いました。

登壇者:
・株式会社ローランズ 代表取締役 / 一般社団法人ローランズプラス 代表理事 福寿 満希氏
・認定NPO法人グッド・エイジング・エールズ 代表 松中 権氏
司会:
一般財団法人日本民間公益活動連携機構(JANPIA)
企画広報部 広報戦略担当 加藤 剛

休眠預金の活用について、福寿氏は、「やりたかったけれどもやれていない事業や、やったら絶対に意義があると思っているけど、資金的・人的リソースが足りず、なかなか挑戦できない新規の事業で申請することが多かった」「障害者手帳をお持ちではないグレーゾーンの方もいらっしゃったりするので、そのような制度に引っ掛からない方たちにも支援が届けられたらと思った」と語りました。グッド・エイジング・エールズの松中氏は、「一般的な助成だと一番大切な居場所をつくるための家賃や人件費がサポートいただけないことが多かったので、休眠預金を知ったときは、これだったら居場所がつくれるのではないかと思い、申請した。常勤のスタッフが安心して働けるからこそ、新しいプロジェクトや寄付金が集められる」と続けました。また、お互いの活動について、松中氏は、「是非、連携させていただきたいと思った」と、今後の事業連携の可能性について盛り上がりました。
今回のテーマ『DE&I~すべての人々が自分の能力を最大限に発揮できる社会を目指して~』について、松中氏は、「LGBTQ+の当事者の若者が、卒業後に働く現場の一つとして、これらのコミュニティに関わるとか、企業のDE&Iに関わる部署への配属を希望できるようになるなど、卒業後にDE&Iを仕事としていくことが想像できるようになると良いなと考えている」と回答。また、福寿氏は、「障害者手帳もそうだが、名称の括りがあると、何か特別なものように思ってしまいがちなので、たまたま障害当事者のために業務を分かり易くしたところ、結果としてそれが同じ拠点で働くみんなのためにもなったといったように、障害者雇用が特別なものではない社会になったら良いなと思って取り組んでいる」と答えました。
また、休眠預金活用事業への期待や展望について、松中氏は、「取り組みの地域格差をどれくらい埋められるかというのが課題だと思っている。例えば、LGBTQ+センターは東京だけではなく、全国各地にあった方が良いと考えるが、地域によっては資金分配団体がなかったり、あったとしても掲げるテーマからなかなか採択に至るのは難しい状況もある。もっと全国各地の団体が参画しやすい仕組みになれば良いなと思う」と話しました。福寿氏は、「通常枠は約3年だが、自走できる仕組みづくりには時間がかかり、形ができてやっと活動を拡げるという手前で事業が終了してしまうので、拡がりが期待できる事業に対しては、ネクストチャレンジのような仕組みがあったら良いなと思う。有難いことに3つの事業で採択していただいており、現在2事業が実施中だが、どれも休眠預金が無ければ挑戦できなかった事業。社会課題の解決を後押ししてくれる制度なので、是非活用する事業者の方が増えていったら嬉しい」と話しました。
最後に、JANPIA 事務局長の大川より挨拶があり、「今日の学びを制度全体の発展にも活かせるよう、私どもJANPIAもしっかり取り組んで参りたい」と、このパネルセッションを締め括りました。

登壇者の皆さん

【1】事業基礎情報
実行団体 | 一般社団法人 ローランズプラス |
事業名 | ウィズコロナ時代の障がい者共同雇用事業 |
活動対象地域 | 全国 |
資金分配団体 | READYFOR株式会社 |
採択助成事業 | 新型コロナウイルス対応緊急支援事業 〈2020年度緊急支援枠〉 |
【4】事業基礎情報
実行団体 | 特定非営利活動法人グッド・エイジング・エールズ |
事業名 | 日本初の大型総合LGBTQセンター「プライドハウス東京」設立プロジェクト -情報・支援を全国へ届ける仕組みを創り、 LGBTQの子ども/若者も安心して暮らせる未来へー |
活動対象地域 | 東京都、及び全国 |
資金分配団体 | 特定非営利活動法人エティック |
採択助成事業 | 子どもの未来のための協働促進助成事業 ー不条理の連鎖を癒し、皆が共に生きる地域エコシステムの共創ー 〈2019年度通常枠〉 |
【5】事業基礎情報
実行団体 | 特定非営利活動法人グッド・エイジング・エールズ |
事業名 | LGBTQ中高齢者の働きがい・生きがい創出 |
活動対象地域 | 全国 |
資金分配団体 | READYFOR株式会社 |
採択助成事業 | 新型コロナウィルス対応緊急支援事業 ー子ども・社会的弱者向け包括支援プログラムー 〈2020年度新型コロナウィルス対応緊急支援助成〉 |
【2】事業基礎情報
実行団体 | 一般社団法人 ローランズプラス |
事業名 | 植物療法を通じた働く人のうつ病予防プロジェクト -花のチカラでうつ病発症を食い止めるー |
活動対象地域 | 東京都 |
資金分配団体 | 特定非営利活動法人 こどもたちのこどもたちのこどもたちのために |
採択助成事業 | うつ病予防支援 〜東京で働く人をうつ病にさせない〜 〈2022年度通常枠〉(イノベーション企画支援事業) |
【3】事業基礎情報
実行団体 | 一般社団法人 ローランズプラス |
事業名 | 障がい当事者が活躍できる地域循環型ファームパーク構築事業 ー障がい当事者が地域経済に参画することで、新しい社会包摂モデルを構築するー |
活動対象地域 | 神奈川県横須賀市 |
資金分配団体 | 株式会社トラストバンク |
採択助成事業 | 地域特産品及びサービス開発を通じた、 地域事業者によるソーシャルビジネス形成の支援事業 〈2022年度通常枠〉(イノベーション企画支援事業) |