SDGs研究所主催「第21回 SDGs ユニバーシティ講演会:地方創生とSDGs」のご案内

SDGs研究所のSDGsユニバーシティ講演会に、JANPIA出資事業部長の小崎が登壇します。インパクト投資やSDGsの視点を取り入れた地方創生にご関心のある方々に参考にしていただきたく紹介します。

第21回 SDGs ユニバーシティ講演会:地方創生とSDGs

第21回SDGsユニバーシティ講演会を開催致します。
SDGsの視点を取り入れた地方創生をいかにして進めるか?
第1部では宇田川氏が地方自治体の課題解決のためのプラットフォーム構想、第2部では小崎氏が地方創生に特に必要とされるファイナンス問題、という2つの視点から現状をブレークスルーするソリューションについて講演いただきます。
また、第3部では講師と笹谷校長を交えたトークセッションを行います。
皆様のご参加をお待ちしております。

 

【イベント情報】

日時2025年10月2日(木)15:30 – 17:00(受付開始:15:00)
※進行状況により終了時間が変わる場合がございます。
開催形式

会場+オンライン(YouTube配信)でのハイブリッド開催

会場国連大学本部ビル1階アネックス・スペース

(〒150-8925 東京都渋谷区神宮前5-53-70)【MAP】
参加費無料
プログラム<第1部>『地方創生SDGs ~経済・社会・環境の自律的好循環の形成に向けて~』
・講師:宇田川 徹(うだがわ とおる)
 内閣府地方創生推進事務局 参事官
(略歴)
1994年経済産業省入省、経済産業政策局産業資金課、企業行動課、福島復興推進グループ、 内閣府科学技術・イノベーション推進事務局などを経て、2025年4月より現職。
地方創生SDGs の推進を担当。

<第2部>『インパクト投資とJANPIAの取り組み』
・講師:小崎 亜依子(こざき あいこ)
 一般財団法人 日本民間公益活動連携機構(JANPIA) 出資事業部長
(略歴)
2024年1月より、JANPIAにおいて日本におけるインパクトファーストなインパクト投資市場の創造に取り組む。
サステナブルファイナンスの専門家として、2007年より日本総合研究所で企業のESG側面の分析手法を開発し、金融機関等のESG投資戦略や商品開発を支援。
2020年から2022年まで、金融庁においてサステナブルファイナンス専門チームの立ち上げや関連政策の策定支援に携わる。
ピッツバーグ大学公共政策国際関係大学院・修士課程修了、慶應義塾大学総合政策学部卒。
公益社団法人 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)

<第3部>講師と笹谷秀光校長を交えたトークセッション
主催SDGs研究所
後援経済産業省

外務省

渋谷区
お申込み会場参加、YouTubeライブどちらも以下のURLまたはQRコードよりお申し込みください。
https://sdgs-institute.com/report/seminar/21st-university.html

※応募〆切(会場希望者のみ):2025年9月29日(月)
※会場の席数が限られております。
 先着順で承りますので予めご了承ください。
注意事項応募フォームから申し込みをされると、自動返信で視聴用のURLが届きます。(会場参加で申し込まれた場合も、自動応答メールに視聴用URLが記載されています)
1分以内に自動応答メールが届かない場合、お使いのシステムなどから排除されている可能性がございますので、事務局までご連絡ください。視聴用のURLを事務局からお送りいたします。
お問い合わせSDGs研究所
[事務局連絡先]sdx_sdgs-institute@shidax.co.jp

 

休眠預金活用事業の成果物として資金分配団体や実行団体で作成された報告書等をご紹介する「成果物レポート」。今回は、外務省が発行したレポート『持続可能な開発目標(SDGs)に関する自発的国家レビュー(VNR)2025』の中に休眠預金活用事業の概要などが掲載されましたので、その掲載箇所について紹介します。

「持続可能な開発目標(SDGs)の自発的国家レビュー(VNR)」とは?

「持続可能な開発目標(SDGs)の自発的国家レビュー(VNR)」とは、各国政府が自らSDGsの実施状況に関する進捗管理とその評価を行うために作成する報告書で、2025年の夏にニューヨークの国連本部で開催される国連ハイレベル政治フォーラムにおいて日本政府が発表するものです。

2025年6月10日、持続可能な開発目標(SDGs)推進本部の会合で決定・発表された「持続可能な開発目標(SDGs)の自発的国家レビュー(VNR)2025」の中で、社会的包摂性やパートナーシップなどの観点からもSDGsとの親和性が高い「休眠預金等活用制度」について、紹介されました。 

【ご参考】休眠預金活用事業の掲載箇所

第4章 SDGs達成に向けた日本のビジョンと取組の評価

重点事項②「誰一人取り残さない」包摂社会の実現

(3)5つの重点事項と主な取組

  ―(包摂的な共生・共助社会づくり)(P54)

  ―コラム⑤:広がる共助の取組

   【事例3】休眠預金等活用制度による「誰一人取り残さない」包摂社会の実現(P57-58)


第6章 各ステークホルダーの評価と取組

(3)ステークホルダーによる取組の評価

   C-2 市民社会の動向

   4.1 「コロナ禍」及びポスト・コロナと市民社会の取組 (P197)

実行団体の休眠預金活用事業における「SDGs」の対応状況

JANPIAが2025年6月30日に内閣総理大臣に提出した2024年度 事業報告書の付属明細である「休眠預金等活用事業の現況 〈データ集〉2025年6月発行」 では、助成事業(通常枠)で採択された実行団体1,095 事業が事業計画で選択したゴールを集計しました。

結果、実行団体が実施する休眠預金活用事業はSDGsの17ゴールに網羅的に対応しており、特に、SDGs11.「住み続けられるまちづくりを」、SDGs4.の「質の高い教育をみんなに」、SDGs8.の「働きがいも経済成長も」、SDGs1.の「貧困をなくそう」、SDGs3.「すべての人に健康と福祉を」、SDGs5.「ジェンダー平等を実現しよう」、SDGs17.「パートナーシップで目標達成」に関連する事業が多いことがわかりました。

事業完了にあたり、成果の取りまとめるために実施されるのが「事後評価」です。事後評価は、事業の結果を総括するとともに、取り組みを通じて得られた学びを今後に生かせるよう、提言や知見・教訓を整理するために行われます。今回は、2023年3月末に事業完了した2020年度通常枠【子ども若者が主体の持続可能な地域づくり|北海道NPOファンド[20年度通常枠]】の事後評価報告書をご紹介します。ぜひご覧ください。

事業概要等

事業概要などは、以下のページからご覧ください。


事後評価報告

事後評価報告書は、以下の外部リンクからご覧ください。

・資金分配団体

・実行団体


【事業基礎情報】

資金分配団認定特定非営利活動法人 北海道NPOファンド
事業名子ども若者が主体の持続可能な地域づくり
<2020年度通常枠>
活動対象地域北海道
実行団体・特定非営利活動法人 いきたす
・一般社団法人 十勝うらほろ樂舎
・特定非営利活動法人 のこたべ

事業完了にあたり、成果の取りまとめるために実施されるのが「事後評価」です。事後評価は、事業の結果を総括するとともに、取り組みを通じて得られた学びを今後に生かせるよう、提言や知見・教訓を整理するために行われます。今回は、2023年3月末に事業完了した2020年度通常枠【コロナ・災害常態の中の新しい災害対応準備|ジャパン・プラットフォーム[20年度通常枠]】の事後評価報告書をご紹介します。ぜひご覧ください。

事業概要等

事業概要などは、以下のページからご覧ください。


事後評価報告

事後評価報告書は、以下の外部リンクからご覧ください。

・資金分配団体

・実行団体


【事業基礎情報】

資金分配団特定非営利活動法人 ジャパン・プラットフォーム
事業名コロナ・災害常態の中の新しい災害対応準備
<2020年度通常枠>
活動対象地域全国
実行団体・特定非営利活動法人 岡山NPOセンター
・一般社団法人 ピースボート災害支援センター (PBV)
・特特定非営利活動法人 ワンファミリー仙台

事業完了にあたり、成果の取りまとめるために実施されるのが「事後評価」です。事後評価は、事業の結果を総括するとともに、取り組みを通じて得られた学びを今後に生かせるよう、提言や知見・教訓を整理するために行われます。今回は、2024年3月末に事業完了した2020年度通常枠【コレクティブインパクトによる地域課題解決|社会変革推進財団】の事後評価報告書をご紹介します。ぜひご覧ください。

事業概要等

事業概要などは、以下のページからご覧ください。


事後評価報告

事後評価報告書は、以下の外部リンクからご覧ください。

・資金分配団体

・実行団体


【事業基礎情報】

資金分配団一般財団法人 社会変革推進財団
事業名コレクティブインパクトによる地域課題解決
<2020年度通常枠>
活動対象地域全国
実行団体・特定非営利活動法人 但馬を結んで育つ会
・一般社団法人 東の食の会
・特定非営利活動法人 空家・空地活用サポートSAGA
・特定非営利活動法人  Local Life Design

事業完了にあたり、成果の取りまとめるために実施されるのが「事後評価」です。事後評価は、事業の結果を総括するとともに、取り組みを通じて得られた学びを今後に生かせるよう、提言や知見・教訓を整理するために行われます。今回は、2022年3月末に事業完了した2019年度通常枠【中国5県休眠預金等活用コンソーシアム休眠預金活用事業|中国5県 休眠預金等活用コンソーシアム】の事後評価報告書をご紹介します。ぜひご覧ください。

事業概要等

事業概要などは、以下のページからご覧ください。


事後評価報告

事後評価報告書は、以下の外部リンクからご覧ください。

・資金分配団体

・実行団体


【事業基礎情報】

資金分配団中国5県 休眠預金等活用コンソーシアム
(幹事:特定非営利活動法人 ひろしまNPOセンター)
事業名中国5県休眠預金等活用コンソーシアム休眠預金活用事業<2019年度通常枠>
活動対象地域中国地方
実行団体・たすき 株式会社
・特定非営利活動法人 子どもシェルターモモ
・特定非営利活動法人 湯来観光地域づくり公社
・特定非営利活動法人 NPO狩留家

事業の「社会の諸課題の解決を図る」という成果の観点について、評価の信頼性及び客観性を確保するため、外部の第三者により評価を実施しています。今回は、2022年3月末に事業完了した2019年度通常枠【こども食堂サポート機能設置事業|一般社団法人 全国食支援活動協力会】の第三者評価報告書をご紹介します。ぜひご覧ください。

第三者評価・外部評価とは

事業の「社会の諸課題の解決を図る」という成果の観点について、評価の信頼性及び客観性を確保するため、外部の第三者により評価を実施しています。事業規模、重要性、国民的関心度、革新性の高さ、発展性等の観点よりJANPIAで対象事業を選定し、資金分配団体および実行団体とあらかじめ合意した上で、自己評価とは独立した形で評価が行われます。

 2019年度通常枠では以下の2つの事業を選定し、第三者評価を実施しました。このページでは(1)の報告書を紹介します。

 (1) こども食堂サポート機能設置事業
   〈資金分配団体〉一般社団法人 全国食支援活動協力会
         〈実行団体1〉一般社団法人コミュニティシンクタンク北九州
         〈実行団体2〉社会福祉法人那覇市社会福祉協議会
   〈評価実施者〉 株式会社国際開発センター(IDCJ)


 (2)子どもの未来のための協働促進助成事業
   ~不条理の連鎖を癒し、皆が共に生きるエコシステムの共創~ 

   〈資金分配団体〉特定非営利活動法人 エティック
         〈実行団体〉特定非営利活動法人岡山NPOセンター
   〈評価実施者〉 チームやまびこ(浅井美絵、中谷美南子)

「こども食堂サポート機能設置事業」第三者評価報告書

第三者報告書は、以下の外部リンクからご覧ください。

事業情報

【事業基礎情報】

資金分配団体一般社団法人 全国食支援活動協力会
資金分配団体事業名こども食堂サポート機能設置事業(2019年度通常枠)
実行団体1
<事業名>
一般社団法人 コミュニティシンクタンク北九州
<⼦ども食堂ネットワーク北九州機能強化事業>
実行団体2
<事業名>
社会福祉法人那覇市社会福祉協議会
<こども食堂等支援事業>

​​2013年に福岡県初のフードバンク団体として設立された、NPO法人フードバンク北九州ライフアゲインは、「すべての子どもたちが大切とされる社会」を目指し、子育て世帯を中心とした食料支援に取り組んでいます。コロナ禍で急増した「食料支援の需要」と「食品ロス」の問題を受けて、同団体は​​食料を配布するだけでなく、サプライチェーンの効率化やステークホルダーの連携促進にも尽力しています。食料品店、中間支援組織、行政等と協力して22年度に集まった食料品は136t以上。月35世帯ほどだった支援規模は​​​​月100〜150世帯​​にまで増加しました。こうした功績の背景にはどんな工夫があったのか。理事の​​​​​​陶山惠子さんにお話を伺いました。[コロナ枠の成果を探るNo.3]です。

​​「食料支援の需要」と「食品ロス」の問題に向き合い、延べ4,000世帯を支援​

​​子どもの通う学校が休校になり、働きに出られず、職を失った。自宅にこもる時間が増え、ストレスが蓄積されたことで家庭が崩壊した。2020年、新型コロナウイルスがもたらしたこのような問題は北九州市でも深刻を極めていた、と陶山さんは振り返ります。​

​​「コロナが原因で失職や離婚した家庭が増え、食料支援を求める世帯が急増。2019年度末には月30〜40世帯だったのが、2020年度にはゆうに100世帯を超えるほどに。同時に人の流れや物流が滞った影響で、土産品が売れ残ったり、給食用の食材も廃棄になったりと、食品ロスの問題も深刻化する一方でした」​

お話を伺ったNPO法人フードバンク北九州ライフアゲインの​​陶山惠子さん
お話を伺ったNPO法人フードバンク北九州ライフアゲインの​​陶山惠子さん

​​この問題に立ち上がったのが、陶山さんが理事を務める、NPO法人フードバンク北九州ライフアゲイン(以下、ライフアゲイン)です。同団体は、2013年の設立時より、食品ロスを食料支援につなげる環境活動と、経済的に厳しい子育て家庭への支援という福祉活動の両方に取り組んできました。​

​​コロナ禍において、ライフアゲインがLINE公式アカウントコミュニティ463名に対して実施したアンケートによると、257件あった回答のうち約7割が「家計の中で最も『食費』を充実させたい」と回答。こうした現場のニーズを出発点に、食料支援の体制を強化し、食品ロスの増加を食い止めるため、ライフアゲインによる休眠預金活用事業ははじまりました。​

実施したアンケートの結果
実施したアンケートの結果

​​事務所の近くに食品を保管するための倉庫を借り、スタッフを雇用したり、食品棚や搬入用の機材を購入したり。休眠預金を主に食品の管理環境や体制を整えるために活用することで、より幅広い層へのスムーズな食料支援につながったと言います。​


​​「主な支援の対象は子育て世帯ですが、生活困窮者の方たちにも、必要に応じて行政やケースワーカーさんを通じて食料支援をすることがあります。北九州市が積極的に取り組んでいる『子ども食堂』や連携先の大学で自主的なフードパントリー(※)を実施しました」​

​​※​​日々の食品や日用品の入手が困難な方に対して、企業や団体などからの提供を受け、身近な地域で無料で配付する活動のこと​

大学で実施したフードパントリー
大学で実施したフードパントリー

​​​​2022年末までの事業期間を経て、​​ライフアゲインが食品提供先として連携する福祉施設、および支援する団体の数は145団体(自治体福祉課・社会福祉協議会を除く)にのぼり、食品を提供した企業は188団体へ。​

​​​​食料支援件数は延べ4,000世帯を超え、寄贈された食品の受け入れ重量は2021年は110t、2022年度は130t以上​​と、一般的なフードバンク事業と比較し、圧倒的な規模での支援実績を記録しました。​

​​100を超える団体や行政と連携し、支援のアウトリーチを強化​

​​なぜ、これだけの規模で各所から食品が集まり、支援が可能になったのか。取材を通じて見えてきたのは、​​ステークホルダーとの連携力の強さ​​。それを証明した取り組みの一つが、​​食料配布のサプライチェーンの効率化です。​

2019年、​​ライフアゲインは福岡県リサイクル総合研究事業化センターが主催する「食品ロス」をテーマとした研究事業にチームリーダーとして参画し、複数の団体と協力して、食品ロスの削減に向けた取り組みを進めることに。​ ​結果、福岡県内でフードバンク活動の機運を高めるために新設されたのが、「福岡県フードバンク協議会」です。

​​​​2019年、​​ライフアゲインは福岡県リサイクル総合研究事業化センターが主催する「食品ロス」をテーマとした研究事業にチームリーダーとして参画し、複数の団体と協力して、食品ロスの削減に向けた取り組みを進めることに。​ ​結果、福岡県内でフードバンク活動の機運を高めるために新設されたのが、「福岡県フードバンク協議会」です。
​​​​研究事業の一環で県庁で行った食品ロスに関する合意締結式の様子

「現在、県内には8つのフードバンク団体が活動していますが、個別に食品を提供してくれる企業を開拓するのは大変ですし、企業にとっても一つひとつの団体と合意書を結ぶなどの対応をするのは相当な手間になります。逆に言えば、それらが解消されたなら、より多くの食品が効率的に集まるはず。そう考え、フードバンク団体と食品を提供する企業をつなぐ窓口の機能を一箇所にまとめるために協議会を設置しました」​

​​食品寄贈企業の開拓を始め、寄贈された食品の受付や管理、フードバンク団体への支援を呼びかける啓蒙活動や行政への政策提言を含む広報活動…。こうした役割を福岡県フードバンク協議会が積極的に担う体制が実現したことで、以前よりも集まってくる食品の数は格段に増えたと言います。​

そして、なにより重要なのは、集まった食品をいかに必要としている人に届けるか。​​北九州市内における相対的貧困世帯は母子世帯だけでも7,000にのぼると推測される一方、2019年度末時点で、ライフアゲインが支援する子育て世帯は50にとどまっていました。​ ​​当事者からの支援要請を待つのではなく、こちらから積極的に当事者とつながっていく「アウトリーチ」を強化する。​​その必要性を実感したライフアゲインは、支援希望者とつながるLINE公式アカウントを開設し、行政と連携して団体の活動を広く告知。これが支援者の拡大に大きく貢献したと、陶山さんは話します。​
​寄贈された食品

そして、なにより重要なのは、集まった食品をいかに必要としている人に届けるか。​​北九州市内における相対的貧困世帯は母子世帯だけでも7,000にのぼると推測される一方、2019年度末時点で、ライフアゲインが支援する子育て世帯は50にとどまっていました。​ ​​当事者からの支援要請を待つのではなく、こちらから積極的に当事者とつながっていく「アウトリーチ」を強化する。​​その必要性を実感したライフアゲインは、支援希望者とつながるLINE公式アカウントを開設し、行政と連携して団体の活動を広く告知。これが支援者の拡大に大きく貢献したと、陶山さんは話します。

「市内の各区役所に案内を設置し、2021年の冬休み前には行政からの提案で、児童扶養手当の受給者を対象とした配布物の中にチラシを同封してもらいました。送付先は約1万人。当初は300世帯だった支援対象の幅を、思い切って1,000世帯にまで広げました。支援希望者にはLINE公式アカウントへの登録を促したところ、新たに1,200名とつながることができたんです 

​​食料支援のボックスの中身​
​​食料支援のボックスの中身​

​口コミの力も相まって活動の認知はさらに広がり、取材時点でLINE公式アカウントに登録している支援希望者は1,800名にまで増加しました。現在も学校の長期休み前には、LINEを通じて食料支援の希望を聞いています。

​​「共に助け合う心」の強さ。未来の孤立を防ぐために​

ステークホルダーとの連携により、これまで以上に幅広い世代への食料支援が実現したころ、ライフアゲインの事務所には支援利用した方からのお礼のメッセージが続々と届き始めました。

 

「孤独じゃないと実感して勇気づけられた」「私たち家族のことを想ってくれる人がいると実感して元気が出た」ーーそんな感謝の声が溢れる中、とりわけ胸を打たれたメッセージについて、陶山さんは話してくれました。 


「中学生の女の子から、こんな手紙が届いたです。『ありがとうございます。これでお母さんと一緒にご飯が食べられます。お母さんはいつも私達がお腹いっぱい食べられるようにと、余りものばかりを食べて、まともな食事をしていません。食料を届けてくれたおかげで、家族みんなでご飯を食べられることが何より嬉しいです』と。食料支援を希望する人の生活は、私たちが想像するよりもはるかに厳しいのだと思い知らされると同時に、必要な人に支援が届くことの意義を実感できた瞬間でした」 


​​「私は決して独りじゃなかった」。食料支援を受け取った多くの人がそう感じたように、ライフアゲインもまた、支援を実施する中でステークホルダーによるサポートの心強さを実感していました。​

​​「1,000世帯に食料支援のボックスを届ける際、梱包作業がとにかく大変だったんです。そこで食料を寄贈してくださった企業にお声がけをしたら、多くの方が箱詰めのボランティアに参加してくれました。また、送料を賄うためにクラウドファンディングで支援を募ったら、目標金額を超える120万円の寄付が集まりましたし、資金分配団体の一般社団法人全国フードバンク推進協議会さんも他団体の参考になる情報を共有してくださるなど、常に相談しやすい関係性を築いてくださいました。​

​​あとは何より、活動を続ける中で行政との関係性が変化してきたなと実感しています。最近では市が主催するフードバンクの事業に対して提言を求められることもあり、相互に頼り、頼られる関係性が醸成されてきたなと感じています」​

エフコープ生活協同組合と連携して行った食品配布の様子
エフコープ生活協同組合と連携して行った食品配布の様子

つながり続ける関係の中で、助けを求めることは決して恥ずかしいことじゃないーー「家計は苦しいけれど、食料支援を受けるのは抵抗がある」という人も少なからずいる中、ライフアゲインはそんなメッセージを発信し続けてきたと言います。 


困っている人には手を差し伸べ、自分が困っているなら周りに助けを求める。ライフアゲインの“共助”の姿勢は周囲にも伝播し、大きな力となって、誰一人孤立しない未来を引き寄せ続けるに違いありません。

 

最後に陶山さんは、団体の今後についてこう語ってくれました。 


「昨今は物価高騰の問題もあり、子育て世代はもちろん、さまざまな事情から困窮し、孤立している人が増え続けています。私たちとしては、フードバンク事業を着実に続けながら、これまで以上に福祉活動にも力を入れたいなと。取り組みの一つとして、2022年からは家庭訪問型の子育て支援の準備も進めており、新しく借りた事業所ではさまざまな困りごとに耳を傾ける相談室を開こうと考えています。今後は食料支援を入口に、支援を必要としている一人でも多くの人とつながり、安心できる関係性を築くことで、困ったときには気軽に頼ってもらえる存在になりたいです」 

 

 

 

【事業基礎情報】

実行団体認定特定非営利活動法人フードバンク北九州 ライフアゲイン
事業名コロナ禍でも届く持続可能な食支援強化事業
活動対象地域北九州市及び近郊地域
資金分配団体一般社団法人 全国フードバンク推進協議会
採択助成事業2020年度新型コロナウイルス対応支援助成

事業完了にあたり、成果の取りまとめるために実施されるのが「事後評価」です。事後評価は、事業の結果を総括するとともに、取り組みを通じて得られた学びを今後に生かせるよう、提言や知見・教訓を整理するために行われます。今回は、2022年3月末に事業完了した2019年度通常枠【中核的災害支援ネットワーク構築|全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)】の事後評価報告書をご紹介します。ぜひご覧ください。

事業概要等

事業概要などは、以下のページからご覧ください。


事後評価報告

事後評価報告書は、以下の外部リンクからご覧ください。

・資金分配団体

・実行団体


【事業基礎情報】

資金分配団特定非営利活動法人
全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)
事業名中核的災害支援ネットワーク構築
〜大規模災害に備え、ネットワーキングから始まる地域の支援力強化〜

<2019年度通常枠>
活動対象地域全国
実行団体・特定非営利活動法人 いわて連携復興センター
・特定非営利活動法人 岡山NPOセンター
・北の国災害サポートチーム

事業完了にあたり、成果の取りまとめるために実施されるのが「事後評価」です。事後評価は、事業の結果を総括するとともに、取り組みを通じて得られた学びを今後に生かせるよう、提言や知見・教訓を整理するために行われます。今回は、2022年3月末に事業完了した2019年度通常枠【大災害後の生活再建推進事業|RCF】の事後評価報告書をご紹介します。ぜひご覧ください。

事業概要等

事業概要などは、以下のページからご覧ください。


事後評価報告

事後評価報告書は、以下の外部リンクからご覧ください。

・資金分配団体

・実行団体


【事業基礎情報】

資金分配団一般社団法人 RCF
事業名大災害後の生活再建推進事業
〜企業・地域・NPOが連携し地域コミュニティと経済再生を目指す〜
<2019年度通常枠>
活動対象地域全国
実行団体・一般社団法人 Teco
・鋸南復興アクセラレーション
・一般社団法人 YOMOYAMA COMPANY
・株式会社未来創造部